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2015年09月19日

【集中!】『「超」集中法 成功するのは2割を制する人』野口悠紀雄


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「超」集中法 成功するのは2割を制する人 (講談社現代新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日編集後記で取り上げた、野口悠紀雄先生の最新刊。

昨日の大前先生に続いて、知的生産術の大家が登場ということで、当ブログらしからぬ(?)真っ当な雰囲気ではありますがw

アマゾンの内容紹介から。
仕事、勉強、書類整理、時間管理、企業戦略…2割に集中すれば、「最後の勝者」になれる!成功のための最強法則。

確かに「努力を『コア(核)』に集中させれば、仕事の効率は飛躍的に高まる」はず!





Il principio di Pareto / attivitoso


【ポイント】

■1.本や新聞は2割読めばいい
 1冊の本だけを取り上げても、重要な部分は一部です。ぺージ数で言えば2割程度でしょう。そこをたんねんに読めば、8割は読んだことになります。だから、本のすべてを一様に読む必要はないのです。
 新聞の場合には、「(多くとも)2割読めばよい」という法則は、確実に成立します。すべてのぺージを隅から隅まで読むのは、非効率です。「購読料を払ったのだから全部読まないと損だ」などと考えてはいけません。役に立たない記事を読む時間のコストのほうが、購読料よりはるかに高いでしょう。一般紙にさまざまな記事が出ているのは、読者の範囲を広げ、コストを下げるためなのです。


■2.仕事は重要な2割からとりかかるべき
 2:8法則からすれば、重要なものから取りかかるべきです。しかし、あなたはそうしているでしょうか?
 多くの人は、片づけやすいことから着手します。そうすると、何件も処理できて、いかにも仕事が進捗した気持ちになるのです。しかし、これは錯覚にすぎません。本当に重要なことは処理されていないからです。
 こうして、「重要だけれども簡単には処理できない案件」は、先送りされます。そして、将来においてもさらに先送りされます。そして、結局のところ、解決されないままに放置されてしまうのです。これは、誠に本末転倒の状態ですが、実際にはそうなることが多いのです。


■3.「超」整理法は8:2法則を利用している
 いまやっている仕事に関するファイルを、「ワーキングファイル」と呼ぶことにしましょう。実は、仕事で必要なものの多くは、ワーキングファイルなのです。(中略)
 論文以外の仕事も含めて、1日の仕事のうちで使う書類の7〜8割は「ワーキングファイル」でしょう。
 この事実を考えると、すべての書類を一様に扱うのは、効率が悪いことが分かります。多くの人は、使わなくなった書類を一所懸命整理しようとしているのです。これは無駄な作業だと言わざるを得ません。
 ワーキングファイルを取り出しやすいような整理法を採用すべきです。それが「超」整理法です。具体的な方法は本章の2で述べることにしますが、それに先立って、「超」整理法は2:8法則を利用していることに注意してください。


■4.コアを把握するための3つの方法
 全体を俯瞰するための具体的な方法としては、目次の活用があります。教科書や参考書を読んでいるとき、頻繁に目次を一覧するのです。すると、「いま学んでいることが全体の中のどの位置にあるか。他の部分とどのような関係にあるのか」がつかみやすくなります。これは、目次を「鳥の目」として活用しようとする方法です。
 もう1つの方法は、結論から読むことです。学術論文の場合には、とくにこの方法が有効です。(中略)
「索引」も重要な役割を果たします。多数のぺージに掲載されている言葉は、その本のコアに関係している場合が多いのですが、それは索引で見つけ出すことができます。そこで、掲載ぺージ数の多い言葉を見ることをお勧めします。


■5.ビジネスのコアを見出すのは容易ではない
正しいコアの選択に失敗した失敗例は、山ほどあります。
 最近の例で言えば、薄型テレビ生産のために大規模な工場をリーマンショック前に建設したシャープとパナソニックがその例です。どちらもアップルのような水平分業化を行なわず、垂直統合の権化のような巨大工場を建設したのです。パナソニックの場合には、液晶テレビでなくプラズマテレビを選んだという製品選択の誤りもありました。
 しかも、状況は固定的でなく、変化します。技術進歩や人々の好みの変化により、あるいは世界情勢の変化により、「昨日重要だったものが今日は重要でなくなる」といった事態は頻繁に生じます。勉強のコアは固定的であるのに対して、ビジネスのコアは動くのです。ですから、一度は成功しても、その成功が永続するとは限りません。


【感想】

◆上記ポイントの3番目に「『超』整理法」というフレーズがサラッと出てきているのですが、これについては、皆さんご存知ですよ……ね?

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「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)

これは私がビジネス書を読み始める前に出版されていた作品なのですが、さすがに読んでおりました(一応)。

ただ、本が出たのが1993年ということで、「『超』整理法」自体ご存知でない若手の方もいらっしゃるかも……ということでググっていたら、ホントにいらしゃったの巻。

野口悠紀雄『超』整理法は2015年でも感動しまくる名著だった : blog@sutougen

こちらのエントリーに、この整理方法のキモがまとめられているので引用させて頂くと、こんな感じ……。
・資料を封筒に入れ、本棚に日付ごとに並べる(仮に一番左を最新とします)
・使った資料は必ず一番左に戻す
・そうすると、一番左によく使う資料がくる
・逆に使わない資料は一番右に集まる


◆ただ、この本を読んだ当時は気づかなかったものの、言われてみればこの整理法は「重要性」「必要性」をキーにしています。

とにかく、良く使うモノは左側に集まり、使わないモノは、右側に押し出されるという仕様ですから。

「重要なコアに集中する」という意味では、確かに「『超』整理法」は、本書で言う「2:8法則」がベースにあるのでしょう。

それに対して、カテゴリーや名称で整理する従来の方法は、上記ポイントの3番目で指摘されているように「使わなくなった書類を一所懸命整理しようとしている」とも言えるかと。

そして野口先生いわく「これは無駄な作業」である、と。

本書内では、こうした「無駄な作業の例」が他にも登場するのですが、確かに「もらった名刺の情報を一生懸命パソコンに入力して整理する」なんていうのは、その最たるものでしょうね。


◆ちなみに、この「2:8法則」が活かされる最たるものが、試験勉強。

本書の第4章では、「コア」に集中して勉強することを推奨しています。

「過去問を解く」という「王道テクニック」も、まさにその「重要なコア」を見つけ出すためのものでしょう。

他にも「コア」の見つけ方としては、上記ポイントの4番目の方法も、試してみる価値はありそうです。

……ちなみに、そこで指摘されている「索引」は、本書にはしっかりついていますので、読む際にはご活用のほどを。


◆一方、試験勉強と違って「コア」が分かりにくいのがビジネスです。

本書では、上記ポイントの5番目を初めとするような失敗例を挙げて、いかにビジネスで「コア」を見出すのが難しいかを指摘。

そこで登場するのが「ビッグデータ」です。

ただ、そこからのお話や、さらに後半の第6章と第7章は、「2:8法則」というより、それらと「2:8法則」とが矛盾しない、という説明がメインとなるので、今回は割愛しました。

当ブログ的にはあくまで、スキルアップや勉強ネタ部分をお読み頂ければと思います。


成功するには、重要な2割に集中すべし!

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「超」集中法 成功するのは2割を制する人 (講談社現代新書)
第1章 2割に集中する人が成功する
第2章 2:8法則を無視する人々
第3章 「超」整理法は自動的にコアを見出す
第4章 試験勉強でこそ2:8法則が有効
第5章 変化するビジネスのコアをつかむ
第6章 世界は偏っている
第7章 8割の逆襲?ロングテールとブラック・スワン


【関連記事】

【勉強法】『実力大競争時代の「超」勉強法』野口悠紀雄(2011年04月08日)

【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄(2008年09月25日)

★「80対20の法則を覆す ロングテールの法則」 菅谷義博 (著)(2006年03月07日)


【編集後記】

本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00WSJY4QW
イラストでよくわかる 写真家65人のレンズテクニック

新刊の1/3弱、中古の1/2弱というお値段は、なかなかに魅力的かと……。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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