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2015年09月09日

【残酷?】『超一流の二流をめざせ!』長倉顕太


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超一流の二流をめざせ!


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、かつてフォレスト出版さんで、数多くのヒット作を手がけてきた編集者である長倉顕太さんの、「単行本デビュー作」。

手がけた本は、「累計142作中、22作が10万部、65作が5万部以上のヒット」をされたそうですから、かなりの打率でベストセラーを出されてきたことになります。

アマゾンの内容紹介から。
1000万部以上の本を世に送り出してきた孤高のプロデューサーが放つ、世界一残酷な成功法則!「人間の本質」と「自由な表現力」を知ることで、凡人でも一流の結果を出すための具体的な戦略を初公開!

残酷かどうかはさておき、かなり過激な1冊でした!





James Altucher Everything in life is your mentor. Think of everything you see or do as mentoring you / symphony of love


【ポイント】

■1.目の前のことに集中する
 もうひとつは単純なことだ。
「目の前のことに集中しろ。今この瞬間に、正直に生きろ!」
 これしかない。これができなければ、絶対にあらゆる点でうまくいかない。
「自分は運が悪い、火消し人生だ」と自分のことを卑下する人は、心ここにあらずで、いつも不安な情報に煽られながら、起きもしない将来の不安を考えたり、過去の出来事にとらわれたりしてしまっている。
 実はそのような人こそ、「不安情報社会」の格好の餌食となっているのだ。
 もし、そんな人が100ぐらいのエネルギーを持っているとしたら、99くらいは将来の不安や過去の出来事にとらわれていることになる。そうすると目の前にあることを1しかやっていないことになる。それではチャンスも逃すし、目の前の大事なことをミスするのは当然だ。


■2.キャラクターづくりの4つのキモ
○1つ目は「何者なのかを認知させる」こと。
○2つ目は「仮想敵をつくる」こと。仮想敵をつくることによって、メッセージが出しやすくなる。
○3つ目は「言い切る」こと。言い切るメッセージを出し続ける。
○4つ目は「一貫性を持ち続ける」こと。一貫性がないものは信用されない。
 この4つを意識しながら、どんどん自分のメッセージを出していく中で、あなたという「キャラクターづくり」が成功していく。このメッセージの出し方は、当然フェイスブックやブログはもちろんのこと、本をどう出すのか、電子書籍をどう出すのか、どんなセミナーをやるのかなど、すべての表現に当てはまることになるのである。


■3.「問いを立てる力」を養う
 本来、「問いを立てる力」は誰にでも備わっているものだが、答えが用意されている、かつ答え合わせのための暗記が中心の日本の学校教育によって奪われてきた。
 もともと答えが用意されてしまっているので、問いを立てる必要もない。それは、答えに対して違うと言うことが許されない教育である。
 そうした教育を小さい頃から受けていると「問いを立てる力」がなくなってしまう。問いを立てないということは、すなわち「考えなくてもいい」ということになる。そうした子どもが大人になると「情報弱者」になるのだ。


■4.身体的な感覚を取り戻す
 思えば、私たちは生まれてから当分のあいだ親や、身近な大人の価値観に洗脳され、学校で世の中の価値観を植えつけられ、周りの人たちの影響から周りの人がつくった自分」を演じさせられて生きてきた。
 だから、まずは落ちることを意識してほしい。「落ちる」という言葉に抵抗があるなら、「これまでの自分をとことん疑ってみる」という意識を日常の中でやってみるのもいい。自分の好み、自分が選んでいるもの、所有している品々、こだわり、趣味、人間関係、親子の関係、嫌悪感など、多方面から自分を客観視してみることを実行していただきたい。
 自分のことが少しずつ見えてきたら、周りを取り巻く環境はどうなのか? どんなところで生活をしているのか? をつぶさに見つめてみてほしい。
 そのときに、やっと初めて自分の感覚が蘇ってくるに違いない。


■5.自分で価値をつける
私はアメリカのチップ制度はとても良いと思っている。アメリカではレストランで食事をしたり、いろいろなサービスを受けたりしたとき、チップを払う。
 お客さんは、サービスが良かったと思えば、たくさんチップを払うし、サービスが悪いと思えば、少なく払えばいい。これは、ある意味、自分で価格(価値)をつける練習になる。価値を決めるのは自分だという訓練にもなる。
 もちろん、日本でチップを払うと変に思われるが、常に商品やサービスに対して、
「自分ならいくら払うか」
「自分ならこうやってさらに高くする」

というような思考で毎日生きてみるのは思いのほか訓練になる。


【感想】

◆今でこそ、色々は版元さんが、会社のウェブサイトを充実させていますが、私がビジネス書を読み始めた2005年当時は、おそらくフォレスト出版さんが断トツでネット周りを整えていたと思います。

また、フォレストさんの場合、本を出すだけでなく、その後のセミナーを開いたり、音声商材を出したり等々のビジネスもやっていた(今もですが)のが特徴であり、どうもそれらは、本書の著者である長倉さんが手がけられたもののよう。

さらに長倉さんは、著者と本をつくるだけではなく、一緒に著者のビジネスを立ち上げたり、ホームページやメールマガジンの制作をサポートしたりもしたのだとか。

挙句の果てには、その著者が他の出版社から本を出すときの相談にのったり、ビジネスのアドバイスもした、とのこと。

実際、「あのやり方はなんだ?」と出版業界内で批判もあったらしいのですが、異業種からやってきた長倉さんにとっては、出版業界のやり方の方がぬるかったそうです。


◆ただ、こうした形で本を出したりセミナーを開いてきたところ、「99%」の「普通の人」である私たちが、「1%」の「すごい人」にあこがれて、本やセミナーに踊らされている状況に、長倉さんは危機感を覚えたのだとか。

そこで独立後は、自らマイクを持って舞台に立ったり、動画サイトに自分のチャンネルをつくったりして持論を展開。

電子書籍も17か月にわたって毎月出されたとのこと。

本書では、「すごい人」と自分を比較して、「あきらめ感」や「失望感」を味わっている私たちに「自己重要感」を取り戻すための方法が書かれています。

ただし、そのやり方のいくつかは、かなり「極端」と言いますか。

たとえば、上記4番目のポイントにある「身体的な感覚を取り戻す」ために、具体的な方法が7つ挙げられているのですが、「親と距離を取る」「いらない人間関係は手放す」辺りはまだしも、「金を使い果たす」「会社を辞める」などは、かえって取り返しのつかないことになりかねない気がします。

もちろん全部をやらなければダメ、ということではなく「できれば少なくとも、この中の3つは実行してほしい」そうなんですが。


◆ただ、方法論はさておき、ビジネス書や自己啓発書を読むと、比較的簡単に影響されてしまう傾向のある私にとっては、得るところが多々ありました。

まさに「それって私?」みたいな。

同じく「ビジネス書批判」の本としては、以前これらの本をレビューしましたが。

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ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)

参考記事:【警鐘?】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』漆原直行(2012年02月25日)

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読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

参考記事:【ビジネス書を斬る?】『読書で賢く生きる。』中川淳一郎,漆原直行,山本一郎(2015年04月10日)

実際に業界関係者で、「読者を踊らせていた側」である長倉さんが、自ら警鐘をならしている点で、本書はよりインパクトが大きいと思います。


◆なお、本書の巻末には「私が影響を受けた本の世界」と題して、20冊紹介されているものの、これがまた、見事に普通の選書とは異なっているという。

あくまで「長倉さんが影響を受けた」のであって、私たちが読まなければいけないわけではないのですが、ご自分が編集者だったとしたら、著者にこのセレクトを本に載せさせるか、というくらいですw

もっとも、私自身が読みたかったこんな本も含まれているんですけどね。

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DJ選曲術 何を考えながらDJは曲を選びそしてつないでいるのか? 沖野修也著 GROOVE Presents

長倉さんいわく「DJの頭の中と優れたビジネスパーソンの頭の中身は同じ」とのこと。

また、20冊中、唯一レビューしているのがこの本でした。

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minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ

参考記事:【ライフハック】『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』ジョシュア・フィールズ・ミルバーン,ライアン・ニコデマス(2014年04月02日)


◆長倉さんは、本書を私たち「普通の人」に向けて書かれているようなのですが、本書をより興味深く読めるのは、むしろ出版関係者の方だと思います。

特に、著者さんや編集者さんなら「売れる本」の作り方として参考になること必至。

上記ポイントでは割愛しましたが、「『すごい人』の手法を他業界で使う」なんてTIPSは、「なるほどー」と唸らされました(詳細は本書を)。

ただし、出版社にいた頃の長倉さんは「ビジネス書をつくるならビジネス書を読むな」と言われていたそうなので、やはり業界的には「異端」なやり方なのかもしれませんが……。


まさに「劇薬」な1冊!?

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超一流の二流をめざせ!
序章 「世界一“残酷"な成功法則」へようこそ
第1章 Walk on the wild side
 「すごい人」にはなれない現実
第2章 Sympathy for the devil
 「不安情報社会」の闇
第3章 Raw power
 自分の人生を手に入れる「世界観」のつくり方
第4章 Degenerated
 落ちて落ちて「ゼロ」になれ!
第5章 Where is my mind?
 「言葉」と「お金」をコントロールしろ!
第6章 Vanishing point
 「死」という同伴者とともに生きろ!
私が影響を受けた本の世界(長倉文庫の20冊)


【関連記事】

【ビジネス書を斬る?】『読書で賢く生きる。』中川淳一郎,漆原直行,山本一郎(2015年04月10日)

【警鐘?】『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』漆原直行(2012年02月25日)

【ライフハック】『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』ジョシュア・フィールズ・ミルバーン,ライアン・ニコデマス(2014年04月02日)

『「心のブレーキ」の外し方』石井裕之(2007年01月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」はこちら。

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中古のさらに半値ということで、思わずゲット。

もうちょっと経ったら、算数好きのムスコと挑戦します!


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