2015年09月07日
【論理的?】『あなたの話が伝わらないのは、論理的思考が欠けているからだ』吉岡友治

あなたの話が伝わらないのは、論理的思考が欠けているからだ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲したスキルアップ本。著者の吉岡先生は、当ブログでも何冊か著作をご紹介している方なので、当然のようにレジに直行致しましたw
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「だと思う」「ですよね」「とにかく」「絶対に」「結局は」……。
こうした言葉は、使いすぎに要注意!
じつは、これらの無意識に使ってしまっているあいまいな表現が、あなたの話を伝わりにくくしているのです。
絶対に負けられないビジネスのプレゼンや商談では、論理的思考を通して、話の構成を考えてから話すことが不可欠です。
今回は本書の中から、「気をつけたい5つのフレーズ」を選んでみましたのでご覧ください!

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【ポイント】
■1.「ではないでしょうか?」「その気にさせる」には、言いたいことに「理由を出す」ことが大切なのです。だから、なぜ自分はこんなにハッキリ言えるのか、相手が疑問を持つ前に先回りして「なぜなら……だからです」と示しておくのです。
「ないでしょうか?」を連発する人は、この根拠がうまく出せません。だから、相手の賛同を過剰に求めるわけです。でもそれだけでは「納得」はしません。そのうちに「面倒くさい」という気持ちが先に立つのです。
相手をその気にさせるには、まず言いたいことを伝え、相手が疑問を持つ前に根拠を言って、相手の疑問の余地をなくします。そうすれば、妙な気遣いをしなくても、相手に「なるほどな」と思わせることができます。
■2.「たしかに……しかし、」
「たしかに……」を最初に置く人は、自分の主張の理由を細部までつかめていません。だから、すぐ理由を説明できないのです。(中略)
でも、このような「聞き手と話し手との交流感」は大切な要素には違いありませんが、必ずしも、説得力のメイン・ポイントではないのです。メインはあくまで理由とその説明にあるのです。
だから、聞く方や読む方でも、「たしかに……しかし……」が来たら要注意。理由は後ろにあることを思い出して、まず前半の「たしかに……」の部分を無視して、「しかし……」以降が理にかなっているかどうかを見ましょう。交流感にごまかされるのではなく客観的に検討しなくてはならないのです。
■3.「とにかく」
「とにかく」は、結論を急ぐ言葉です。「今まで述べたことはいろいろあるにしても、それはそれとして、結論はこれだから、もう議論は止めて実行の段階に入ろう」という言葉です。途中でいろいろ経緯や議論があっても、結論は最初から変わらないのだから、途中は無視していいんだ、という態度です。
でも、こういう近道には早く結論にたどりつく利点はあるけど、途中に出てきた問題が放置されたままということになりがちです。それに、せっかく時間や手間をかけて議論や検討してきたことがムダになってしまう。いったい、何のために議論や検討がなされたのか? 関わった人たちが納得するはずはありませんよね。
■4.「そんなつもりじゃなかった」
たしかに、物事の評価は「結果」「動機」という2つの点から評価できますが、その2つは同等ではありません。「良い結果」は「悪い動機」を帳消しにしますが、「良い動機」をいくら積み重ねても、「悪い結果」自体はなくせません。せいぜい「悪い結果」になったときに「情状酌量」してあげる、というぐらいの効果しかないのです。(中略)
むしろ、何か物事がうまくいかなかったときは、まずその事実を認めるところから出発するべきです。それとともに、その「悪い結果」が引き起こされたプロセスを解明し、被害を受けた者に対して、すべて開示することを約束します。この時点で、加害者vs.被害者という対抗図式は崩れ、同じ問題を探究する「同志」としての関係が成立します。
■5.「みんなそう言っている」
「みんなそう言っているよ」は、主張のサポートではありません。むしろ「お前は、あえて社会の大勢に文句を言うのか?」という恫喝になっている。(中略)
データやソースがはっきりしない主張は聞かない。こういう姿勢を地道に取り続けると「こいつは脅しでは屈服しないな」と相手は思います。反対に、自分が上司の立場なら、こういう言い方に頼らないことです。この言い方は、個人を萎縮させて組織の活力を落とすだけでなく、あなたを権力志向の嫌な奴に見せるからです。
【感想】
◆最初本書のタイトルを見て、いわゆる「会話」や「議論」の話だと私は思ったのですが、実はそうでもありませんでした。引用ボリュームの関係で、上記ポイントでは全て割愛していますが、本書には数多くの具体例が収録されており、その中にはあきらかに新聞の社説的な書き方がされたものもちらほら。
また、上記ポイントの2番目では「聞く方や読む方でも」と、両者を意識した表現がなされています。
それが故に、当初本書のカテゴリーも「コミュニケーション」のつもりでしたが、サブカテゴリーとして「ライティング」も追加した次第。
一般的に、「話が伝わる」と言うと、もうちょっと「軽め」な内容をイメージされそうな気がするので、念のため。
◆さらに、今回は「気をつけたいフレーズ」と題して5つ選びましたが、本書は各レッスン(書影に「40のレッスン」とある点にご留意を)のタイトルの下に、すべて「『「○○○』に気をつけよう!」と付されているのが特徴です。
この「気をつける」のが、どうも「自分がそのフレーズを使わないよう」気をつけるケースと、「相手がそのフレーズを使ったとき」に気をつけるケースとがある模様。
たとえば、上記ポイントの5番目でも、「みんなそう言っている」というフレーズに関して、相手に使われた場合の対処法がある傍ら、自分でも使わないよう注意を促しています。
私自身も、上記ポイントの1番目の「ではないでしょうか?」を、当ブログでおそらく過去何度も使っていたはず……と思って、ブログ内検索でググってみたところ、約1600件ありましたw
もちろん、引用部分でも結構ありましたから、必ずしも私だけの記述ではないにせよ、いかに私の文章での主張に「理由がない」かが分かったという(恥)。
◆また、本書は後半からは、「伝える」だけでなく相手を「説得」し、「議論に勝つ」ことを目指しています。
この辺は、同じ吉岡さんのこの本にも通じるところかと。

反論が苦手な人の議論トレーニング (ちくま新書)
参考記事:【議論】『反論が苦手な人の議論トレーニング』吉岡友治(2014年09月16日)
この本、1年前の新書なのに、中古が意外と高い人気作なんですね。
そして本書でも「少年犯罪が増えたのは、メディアやゲームのせいだ」みたいな主張に、真っ向から反論しているのですが、これはむしろ、「議論」というより「情報リテラシー」のような気が。
特に第4章では、俗にいう「詭弁」も出てきますので、そちら方面にまで手を伸ばすのであれば、この本もオススメしておきます。

論理で人をだます法
参考記事:あの芥川賞作家もびっくり 驚愕の『論理で人をだます法』(2012年02月14日)
この本は、自分で使うというよりも、相手に使われた場合に対処するための「ディフェンス用」の作品なのですが。
◆本書は、過去の吉岡さんの作品と比較しても、読みやすい部類に入ると思います。
ただし、登場する具体例によっては、極端だったり、汎用性がなさげなもの(死刑廃止」「公務員の入れ墨」等)もありますのでご留意を。
もっとも吉岡さんは、「小論文を数千本添削してきたベテラン先生」ですから、新聞に載るような具体例が多いのも理解できるのですが。
それと細かい話ですが、このコンテンツ(英文、数式なし)でしたら、「横書き左開き」にする必然性を、あまり感じませんでした……って、速読しない人はあまり気にしませんかw
論理的に書いたり話したりするために!

あなたの話が伝わらないのは、論理的思考が欠けているからだ
1.日常で使う言葉と論理の基本
2.主張をはっきりさせる表現
3.相手が納得する根拠の見つけ方
4.議論に勝つためのロジック
【関連記事】
【論理的文章術】『シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術: 世界で通用する20の普遍的メソッド』吉岡友治(2015年01月19日)【議論】『反論が苦手な人の議論トレーニング』吉岡友治(2014年09月16日)
【文章術】『いい文章には型がある』吉岡友治(2013年03月26日)
【オススメ!】『論理が伝わる 世界標準の「議論の技術」 Win-Winへと導く5つの技法』倉島保美(2015年05月30日)
あの芥川賞作家もびっくり 驚愕の『論理で人をだます法』(2012年02月14日)
【編集後記】
あのトルステン・ハーフェナーの新作が、久しぶりに登場!
とっさのしぐさで本音を見抜く
この手の本で「累計50万部」というのは、スゴイと思います。

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