スポンサーリンク

       

2015年08月30日

【ビジネスの本質】『指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術』堀江貴文,斎藤由多加


4777128431
指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていた1冊。

ご存知ホリエモンこと堀江貴文さんと、リクルート出身のゲームクリエーターである斎藤由多加さんが、謎の(?)タッグを組んで世に送り出した作品です。

アマゾンの内容紹介から。
――今回、ホステスを題材にこの本を書こうと思うに至った理由も、それと似ています。具体的に言うと理由は二つ。一つは、ホステスさんたちがいるクラブ業界は、心が折れそうになる、そんな激しい競争の中で、クライアントをリピートさせる高度な技術を数多く持っている人たちがたくさんいる業界だということ。そこに僕らが学ぶことはとても多い。そしてもう一つは、にもかかわらず誰もその価値に全く気づいておらず、ママたちが書く本などは何かと「情熱」とか「真心」といった精神論や美学で片付けられている。この「見向かれぬ価値」に目をつけ、各々の体験から彼女らの手法を分析しつつできたのが本書です――本文より --

なお、お買い得なKindle版がすでに用意されていますので、そちらもご検討ください!





Japan Hostess / Danny Choo


【ポイント】

■1.デートの「場」を提供するマッチングビジネス
 まずはゲーム業界を例として話を始めます。モーターショウやE3、ゲームショーなどといった展示会には、世界中から業界の名だたる企業が一堂に会し、競い合います。主催者は、イべントのコンテンツとも言えるこの出展企業たちを開催地に招致するのに、お金を払うのではなく、お金を払わせて出展させています。
 一方の来場者はというと、こちらも世界中から集まりますが、主催者は彼らからもお金をとるのです。
 出店者が客でありながら、来場者も客です。両方からお金をとっている。これはおいしい商売と言えます。


■2.「完成」は客にゆだねる
 また、ヒットしている料理屋というのは、1つの共通点があります。
 完成させないで客に料理を出す。ジグソーパズルでいうところの「最後の1ピース」を客に埋めさせる。彼ら料理人が言うことは、料理人の手でなされた「完成」は、価値を下げる、ということ。
 この「最後の1ピース」を埋めさせることで、客を料理人側に引き込み、そこに自己投影させ、あたかも自分がその料理人側であるかの錯覚を持ってしまう……。
 また「最初から完成していたら商品にはならない」というのはアイドル産業ではあたりまえに言われている法則です。
 少女が芸能界にそまって変化していく過程を見ていくうちに、いつしかファンの心中に当事者意識を芽生えさせていく例と言えます。


■3.「解決」は提供しても、「終結」させない
アメリカという国は、軍産複合と言われますが、まさに武器輸出で儲けています。戦争がこの世から消滅すると不都合なのです。(中略)
 彼らが日本に仕掛けた罠があります。それは「領土問題」です。この火種があるうちは、日露、日中は結託することはない。日本は同盟国としてアメリカに依存してくれるだろう……。
 このようにあえて火種を残すことで、遠隔でパワーバランスを操る戦術(外交用語で「オフショア・バランシング」と言う)を、米国は世界のあちこちで駆使しています。
「解決」を提供することはあっても、「終結」を提供してはならない、だからこそ常に「火種」を提供し続ける。これがアメリカ人の作ったビジネスモデルです。恐ろしいですが、事実です。


■4.客の心の中の「台本」を読む
 どんな客も、心の内は困ったことを抱えているものです。困っているから客なのです。心理カウンセリングにおいても相談者のことを「クライアント」と呼びます。その意味でも、顧客とクライアントは同じ語源です。
 彼らはみな、「こうしたい」という目に見えない台本を抱えて生きています。それをなかなか人にうまく見せられず、時として自分でも何が書かれているか整理できないものです。
 その引き出しを開けて、台本を演じさせてくれる、息の合ったプロを客は常に探しています。
 ちなみにIT業界ではこれをソリューションと言います。
 アンサー(正解)ではなくソリューション(解決法)と呼ぶのは理由があります。アンサーは1つだが、ソリューションは人の数だけあっていい。
 ですからその台本をしれっと読み取り、上手に料理するその「アレンジ」がプロの仕事人のキモということになるわけです。


■5.制服は心の鎧
 マクドナルドの店員からドコモショップの受付、CAにいたるまで、プロの仕事人たちは皆、制服を持っています。その制服を着用することで、自己を捨て、職務に乗っ取ったプロの顔になる。つまり制服は、彼らの心を守る鎧の役目を果たしています。
 この考え方には学ぶ点がいくつかあります。
 それはどういうときか? 客のクレームを受けたとき? いや、どちらかと言うと、「自分のわがまま」を出してしまいそうなとき、です。(中略)
制服は、外から身を守る鎧でもあるが、同時に自分の「私」の部分を隠すための「自分を律する道具」なわけです。そう、自分を律する、という意識こそが、プロになるために必要な姿勢なのです。


【感想】

◆そもそも本書の著者お2人が、なぜに一緒に本を出すことになったのか、読む前から疑問だったのですが、本書のあとがき(堀江さん筆)によると、お2人は「ゲーム事業の立ち上げを一緒にやっていて、毎週1度の打ち合わせを1年程続けてきた仲」なのだとか。

……てっきり、どこぞのキャバクラで偶然一緒になったのかと(違

ただ、任天堂の岩田さんが亡くなられた時の斎藤さんのブログ記事で、昨年の初夏、堀江さんとタクシーに同乗している旨の記載があったのは、記憶していました。

いずれにせよ、本書ではどちらの体験談なのかを記載する代わりに、「堀藤」という架空の人物による一人称で表記されているのが特徴です。

体験談によっては、明らかにどちらかのお話か、分かるもののありましたがw


◆たとえば、上記ポイントの1番目の「『場』のビジネス」については、斎藤さんは、ご自身のこの本で紹介されていました。

4344410114
「ハンバーガーを待つ3分間」の値段―企画を見つける着眼術 (幻冬舎文庫)

参考記事:【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)【マインドマップ付き】(2006年01月18日)

そしてこの本だけでなく、本書においても、一連のリクルートの「情報誌」が「出稿者も購入者もお金を払う」システムであることを指摘しています。

ちなみに、今般本書で新たに知ったのが、TEDカンファレンスの創始者であるリチャード・ワーマン氏が、リクルート社の『住宅情報』を見て「この雑誌はドル札製造マシンだ」と表現した、という逸話。

さらに本書では、その「『場』のビジネス」を運営する上でのノウハウを、「距離感」というキーワードを元に明らかにしています(詳細は本書を)。


◆私自身が酒を飲まず、クラブやキャバクラに興味がないため、ホステスさんたちのテクニックについては、ほとんど割愛してしまいましたが、彼女らのテクニックで、私たちのビジネスにも転用できそうものが、いくつもありました。

たとえば、とあるホステスさんは、アフターの後のタクシー代のお釣りを律儀にお客さんに返していたのだそう。

それも、封筒の表に日付とお客さんの名前を書いてロッカーに保管しておき、タクシーの領収書と一緒に。

そして彼女は、翌日のお礼メールで、タクシーの領収書を一応とってあることに少しだけ触れるのだとか。

……こういう事をしてもらうと、また行きたくなるんですよね、きっと(憶測)。

ただし、あるときお金に余裕のあるお客に、「恥をかかせないでくれ」と言われてからは、現金の代わりにスタバのプリペイドカードを渡すことに変更したという。

もちろん、それでも気になる人はいるのでしょうが、こういう工夫が大事なことは、他のビジネスでも同じだと思います。


◆他にも本書には、こうしたホステスさんたちの「クライアントをリピートさせる技術」が収録されていますので、色眼鏡で見ずに、一読して頂きたいな、と。

もっとも、良く分からなかったのが、巻末付録1の「業界用語の基礎知識」。

キチンと解説してくれている(「チーママ」というのが「チーフママ」の略称だというのは、初めて知りましたw)のはありがたいのですが、本書の本筋とはあまり関係ないような?

また、巻末付録2の「できるホステスは店をどこで判断するか」も、お店のクオリティの判断方法としては参考になるものの、逆にこの話は、堀江さんや斎藤さんじゃなくても書けるお話だと思います。

もっとも、本書の第0章では、続編(?)の可能性についても触れられているので、今度は別の業界をテーマに、お2人で書かれるのかもしれませんね。


切れ者2人のビジネスヒントがここに!

4777128431
指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術
第0章 ある日の出来事 序章にかえて……
第1章 クラブママが使う嫌われない技術
第2章 人を味方にする方法
第3章 プロの定義
第4章 客が本当に求めているものは何か?
第5章 客との距離感
第6章 ウソとの遭遇と「心の鎧」
第7章 すげ替えのマジック
終章 願望力について
あとがき
巻末付録1 徹底解説 業界用語の基礎知識
巻末付録2 できるホステスは店をどこで判断するか


【関連記事】

【再録】★「ハンバーガーを待つ3分間の値段」斎藤由多加 (著)【マインドマップ付き】(2006年01月18日)

【濃厚!】『ホリエモンとオタキングが、カネに執着するおまえの生き方を変えてやる!』堀江貴文,岡田斗司夫 FREEex(2014年05月30日)

【起業】『金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?』堀江貴文(2013年04月28日)

【対談】『ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」』(2009年09月06日)

【起業のヒント!?】『風俗的マーケティング』モリコウスケ(2011年01月08日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」はこちら!

B00VEEJ9XU
Evernote豆技50選 (Espresso Books)

「取扱説明書ではありませんのでEvernoteをゼロから使おうとしている方は別の本をご覧ください」とのことなので、初心者の方はご注意を。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

この記事のカテゴリー:「マーケティング」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。