スポンサーリンク

       

2015年08月26日

【思考法】『考える訓練』伊藤 真


476313437X
考える訓練


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、東大在学中に司法試験に合格され、その後「伊藤塾」にて司法試験の受験指導をされてきた伊藤 真さんの思考のレッスン本。

既に土井英司さんがメルマガで紹介されているので、お読みの方もいらっしゃると思いますが、私自身、なかなか勉強になりました。

アマゾンの内容紹介から。
「考える」こととは、なんだろうか。私たちは、ことあるごとに「自分で考えなさい」と言われ続けてきた。
しかし、何をもって「考える」といい、そのために具体的にどうしたらいいのかを教わったことは、ほとんどない。
本書では、司法試験界の「カリスマ塾長」として知られる著者が、考える力を身につけるための方法論について明かす。
法律家が普段から行っている考え方のアプローチや、日常生活の中で鍛える訓練など、いまの時代を生き延びるために必要な「考える訓練」を伝える。

かなりお買い得なKindle版が28日配信なので、そちらもご検討下さい!





The Thinker / edmenendez


【ポイント】

■1.「共通点」と「相違点」を見つけ出す
「考える」とは、「相互の関係性の種類を見つけ出すこと」だといっても言い過ぎではないと思う。
 関係性には、「大・小」や「含む・含まれない」「正・反・合」「原因・結果」などさまざまな種類がある。
 そして、それらを見つける一番効果的な方法が「比べる」である。
「比べる」とは、「共通点」と「相違点」を見つけ出すことだ。対象を比較して、共通する点、相違する点を見つけていく。「分析する」という言い方をすることもある。
 これは私の勝手な定義だが、「分析とは、共通点と相違点を見つけて類型化すること」だと思っている。
 ある概念とある概念、あるいはある事象とある事象の共通点はどこで、相違点は何かを見つけようとする営みは、「考える」ことそのものだといってもいい。


■2.具体的なものを抽象化する
「考える訓練」の方法として、「具体的なものを抽象化する方法」がある。
 たとえば、ある具体的な失敗があったとする。そこから、抽象的なルールや教訓を見いだしていくのだ。(中略)
「具体的」な経験から「抽象的」な法則やルールが抽出できないと、同じ失敗をくり返すことになる。だから、「具体的」な経験をたんなる経験で終わらせないで、必ず「抽象化」するクセをつけるほうがいい。
 同じことが逆方向にもいえる。ルールを「具体的」なものにあてはめていく作業である。
 たとえば、「報・連・相」が重要だといわれたとき、自分の具体的な行動で、これは電話で確認だとか、これは一度相談しようとか、抽象的なルールをきちんと具体化して行動につなげていくのは「考える訓練」だ。


■3.IRAC(アイラック)を意識する
・「I」……Issue(問題点、課題)
・「R」……Rule(規則)
・「A」……Application(あてはめること)
・「C」……Conclusion(結論)
 何が「問題」なのかを明示し、その問題を解決するための「ルール」は何かを示し、今回の事件はどういう事実なのかその事実をルールに「あてはめて」、「結論」を導き出す。
 別の言い方をすると、課題に対して、「ルールという大前提」「アプリケーションという小前提」「結論」という、「法的三段論法」となる。

(詳細は本書を)


■4.思っていることを文章に書く
「思っていることを文章に書く」のは、立派な思考の可視化である。図にしたり、絵にしたりするのも可視化のひとつだ。そうやって可視化しないと、思考は堂々めぐりをしてしまう。
「論理的に伝える訓練」は、まず思考の可視化から始まるといってもいい。(中略)
 とはいっても、何を書いたらいいかわからないという人もいるだろう。そういうときは「So what」(=だから何なのか)と「Why so」(=なぜそうなのか)を書いてみるのがいい。
「どうしてそれをやりたいのか」「何のためにそれをやるのか」は「Why so」である。「それをやってどうなるの」「だから何なのか」は「So what」だ。


■5.「時間軸」と「空間軸」を動かす
 想像するとは、まさに未来を想像することでもある。「時間軸」を動かして、未来から見たらどうなのかとか、反対に過去から見たらどうなのかと考えてみることも、想像力を働かせることにつながる。
「空間軸」を変えるという方法もある。
 これは自分以外の視点に立つこととも共通するが、たとえば日本の立場からではなく、中国の立場から見るとどうなるか、韓国の立場に立ったらどうかなどと想像してみることで、見えてくるものが違ってくる。(中略)
 時間軸、空間軸を動かすこの方法は、想像力を働かせて考えを深めようとするときに大変役立つ方法だ。このやり方を使うと、より斬新な考えや深まった考えを引き出すことができる。


【感想】

◆本書の「はじめに」の初っ端で指摘されているのが、昨今のロースクールに入った学生の勘違いです。

彼らは「考えること」を「探し出すこと」だと思っているのだそう。

確かに、出された課題について判例を探したり、論文を読んだりして答えを見つけることで、先生から「良く勉強している」と褒められるものの、これは単なる「リサーチ」であって、考えることではありません。

自分では考えているつもりでも、実は単なる「作業」をしているに過ぎないという。

結果、そういう人が現場に出て法律家になると、同じように答えを探しまくってしまい、「ちょっと使えない」という評価になってしまうのだとか。


◆では、「考える」とは具体的にどうするのか、というお話が第1章から展開されていきます。

上記ポイントの1番目と2番目辺りは、その一例として。

また、「関係性」「関連性」に注目するのであれば「横展開」アプローチ、1つの対象だけをマニアックに深掘りするのであれば、「縦展開アプローチ」も考えられます(詳細は本書を)。

同じく割愛したやり方としては、「なぜ」を3回繰り返す、というものもありました。

そのためには、日頃から「なぜ」と考えるクセをつけておくのも、オススメとのこと。

伊藤先生は、自分が何か言ったあとに、必ず「なぜなら」と頭の中で自分に言ってみているのだそうです。


◆一方、上記ポイントの3番目に出てくる「IRAC」というのは、私は初耳でした。

伊藤塾では、判決文を読むときや、法律的な文書を書くときには、徹底的にこのIRACに沿っているのだとか。

ただ、これはビジネスシーンにも応用でき、たとえば「ある商品を何万個売りたい」という課題があるものの、目標に達しなかった場合。

IRACのIは「ある商品を何万個売りたい」で、Rは「地方では売れているが都心部では売れていない」という現状分析、Aは「店舗で置く位置が間違っている」などが相当します。

そしてCが「都心部の店舗への営業を強化する」等。

このようにIRACを意識することで、相手に「論理的に伝える」ことができる、というワケです。


◆今回、ベーシックな部分をメインに拾っていったところ、上記ポイントは、そのほとんどが第4章までの部分からの引用になってしまいました。

ただし、残りの部分でも「精度を上げる」「想像力を広げる」といったように、「考える」上では大事なテーマばかりです。

上記ポイントでは、ボリュームの関係で具体例をほとんど割愛してしまいましたが、実際には事例も豊富で、分かりやすく解説されているのは、さすが長年、受験指導等されてきた経験からかと。

しいて言うなら、字数的に新書でも良かったと思うのですが、サンマークさんは新書やってないですからね(ググったら以前はあったみたいですが)。

もっとも、Kindleだったら同じことですか。


在庫が少なめなので、お早めに!

476313437X
考える訓練
はじめに
1「考える訓練」の最初の一歩
2「日常生活」の中で鍛える訓練
3「論理的」に考える訓練
4「論理的」に伝える訓練
5 考える「精度」をあげる訓練
6 考え続けること、考えるのをやめること
7「想像力」を広げる訓練
おわりに


【関連記事】

【思考法?】『ユダヤ式Why思考法』石角完爾(2015年05月20日)

【思考法】『実践型クリティカルシンキング』佐々木裕子(2014年07月01日)

【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)

【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)

【スゴ本!?】『ルールを変える思考法』川上量生(2013年10月10日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00TJLEG4W
30代で人生を逆転させる残業0の時間術

中古があまり値崩れしていないため、かなりのお買い得になっております!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。