2015年08月21日
【脳科学?】『いつ・どこで・誰に・何でも 売れる人の法則~頑張らない方がうまくいく~』伊東泰司
いつ・どこで・誰に・何でも 売れる人の法則~頑張らない方がうまくいく~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。タイトルだけ見ると、普通のセールス本のようですが、実は「脳科学をベースに購買を科学した営業マネジメント入門」ということなので、つい買ってしまいましたw
アマゾンの内容紹介から一部引用。
失敗する営業には理由があります。
では、どうやったら「売れる人」、つまり「売れる営業マン」になれるのか?
本書は、「売れる営業」の秘密について、少しずつ解き明かし、最新の脳科学や営業現場の知見から、売れる営業の理由・売れない営業の理由を考察しています。
テーマ的には確かに「セールス」なんですが、「交渉術」と言ってもいい内容でした!
Brain/Foetus / altemark
【ポイント】
■1.たとえ話で感情を震わせるデキる営業マンは、お客様がイメージしやすい言葉を使います。「たとえて言うならレモンです」と言えば、お客様は「おー、酸っぱいね」と、疑似体験できる。
「たとえ話」をするとお客様自身がいろいろ想像しますから、営業マンの言葉は「知識メモリ」に入らずに、「体験メモリ」に入れるということができます。だから、お客様の頭に残る。「たとえ話」の意義はそこにあります。(中略)
お客様がイメージしやすいたとえ話ができる営業マンは、お客様の感情を震わせるのがうまいわけです。感情が震えれば記憶に残りますから、商談を前に進めやすくなります。
■2.同感と共感を使い分ける
共感は「相手のことを認める」ことですから、褒めることとは違います。「あなたはそういう意見なんですね。私はそれを理解しました」、これが共感です。「あなたはそういう意見なんですね。私もそうです」は同感。しかし、同感ばかりはできないはずです。同感できるところは同感する、できないところは共感する。普段からこのようなコミュニケーションを取っていれば、相手は安心します。そして、相手のほうから信頼を寄せたくなります。「この人はいつも私のことをわかってくれる。認めてくれる」と感じるからです。
■3.相手の話を最後まで聴く
自分が話をしているとき、最後まで黙って聴いてくれる人が周りにいるでしょうか。たいがい、話を途中で遮られて、頼んでもいないアドバイスや説教をされますよね。これ、日本に限ったことではないようです。アメリカのある心理学者がアンケートを取ったところ、黙って自分の話を最後まで聴いてくれる人が身の回りに「ゼロ」と答えた人が最も多かったそうです。つまり、世界的にいないわけです。
話を最後まで黙って聴いてくれる人が1人でもいたら人生は幸せになる、とその心理学者は言います。ならば、あなたがそれをやってあげなさい、とも。ほとんどの人が「いない」というわけですから、あなたにそれができるならば、あなたはその人にとって「なくてはならない存在」になるのは間違いないからです。
訓練した結果、私は営業の成約率やスピードが大幅に向上しました。
■4.交渉は「小さな合意」を積み重ねる
交渉の基本は「小さな合意:スモールセット」からです。いきなり大きな合意を取りつけようとすると、相手の脳の中で反発が起こります。合意の成果がイメージできず、扁桃体も震えていないのにゴリ押しすると、側坐核が出てきて「やめておけ」と足を引っ張るわけです。従って、交渉相手の側坐核に見つからないように、スモールセットから入っていきます。そして、質問を重ねながら、扁桃体が震えるポイントを探していくわけです。扁桃体を震わせることができれば、ある程度イケイケで話をしても大丈夫です。
■5.「教えて頂ける範囲で」と「差し支えのないない範囲」とでは違う
先の台詞の中の「教えていただける範囲で結構ですから」という枕詞はとても重要です。日本人は同じような意味合いで「差し支えのない範囲で結構です」をよく使います。この2つの台詞は、同じように見えますが、交渉のプロとして言うと後者は絶対に使ってはいけません。「教えていただける範囲」と「差し支えない範囲」では脳の反応が変わるからです。
「ない」を肯定しようと思うと、いったん「ある」状態をつくらないと「ない」状態をつくれません。「差し支えのない」というと、まずいったん脳が「差し支えのある」ことでいっばいになります。そこから「ない」ことを選ぼうとすると「差し支えないと言われても、けっこうあるんだよね……」と守りの姿勢になり、喋る量が少なくなってしまうわけです。
【感想】
◆実は今回上記で引用した部分は、すべて本書の第3章と第4章からになります。それがゆえ、全体の4割ほどを占める第2章までは、ごっそりカットしている形に。
もちろん、付箋自体はこの2つの章にも貼っているのですが、後半のテクニカルな部分に比べると、ちょっと弱いな、と思った次第。
ただし、実は第2章こそが、「脳科学」についての解説にページを割かれている部分なので、本来ならある程度は触れるべきなのだと思います。
たとえば、上記ポイントの4番目は、そういった前提部分を述べないで、いきなり引用しても、ちょっと分かりにくかったかと。
◆そこで、本書で特に良く登場する「脳の4人衆(海馬、扁桃体、淡蒼球(たんそうきゅう)、側坐核)」について、簡単に解説を。
まず「海馬」は、記憶術系の本によく登場するのでご存知の方も多いと思いますが、情報の取捨選択を担い、脳に入力した情報を置いておくか、消すかを決定します。
「扁桃体」は、感情や喜怒哀楽を司る部分であり、扁桃体が反応してプルプル震えた情報は、決して捨てられることはありません。
「淡蒼球」(私は初耳でした)は、「やる気スイッチ」を司る部分で、「扁桃体が震えたとき」と「実際に行動を起こす」ことでスイッチが入ります。
「側坐核」はなまけもの(?)な器官であり、新しいことを始めたり、頑張るのが嫌いで、「扁桃体」の邪魔をしようと企んでいるという。
この「側坐核」が結構厄介で、たとえば、
そこでラーメンを食べて、「おいしい〜!」と扁桃体がプルプルと震えてしまったら最後、側坐核が働きかけなくとも、「もっと食べたい」というやる気スイッチが入ってしまい、リバウンド一直線なのだそう。
◆本書では、このような「脳の働き」を前提として、営業活動を展開していきます。
たとえば、本書の第4章では、「お客様に断られた場合」の対応法について触れられているのですが、これがなかなか腑に落ちました。
まず、脳科学的にお客様は「好き」か「嫌い」かで判断しているので、結局のところ、お客様が断る理由は「嫌いだから」にほかなりません。
ですから、お客様があれこれもっともらしい理由を言いだしたら、営業マンは「自分のやり方が間違っていたんだ、そんなことまで言わせてしまって申し訳ない」という自責の念と「お気遣いありがとうございます」という感謝の気持ちを持つべき。
ところがほとんどの営業マンは、むしろこれとは逆の感情(怒り)を持ちます。
そして、断られた後の反応は、「YES BUT法」等でお客様の反論に反論で返すか、次々に別の提案をするか、すぐに諦めるかの3つ。
どれも絶対に避けなければならない行動パターンです。
じゃあ、どうすればいいのか……については本書にてご確認を(ネタバレ自重)。
◆冒頭で触れたように、本書は営業の本ではありますが、もっと幅広く活かせる活かせる内容でした。
たとえば、上記のダイエットの件のように、自分自身の行動に反映させられるお話もアリ。
また、女性を口説くことこそ「理屈」じゃなくて、「好き」「嫌い」の世界ではないでしょうか?
……と言うワケで、「モテ本」好きの方も要チェックでw
もちろん営業職の方であれば、自らの営業スタイルを見直す、よい機会になると思います。
営業本ですが、意外とためになりました!
いつ・どこで・誰に・何でも 売れる人の法則~頑張らない方がうまくいく~
第1章 「また会いたい」と言われる営業
第2章 根性論ではないマネジメント
第3章 WHYの発想でお客様を動かせ
第4章 HOWを生かす、営業マネジメント
【関連記事】
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【編集後記】
◆ちょっと前の本ですが、気になっておりまして。デキる男の超・肉食習慣−結果を出し続ける体とメンタルが手に入る29の法則−
この本の内容も、脳の習性を知っていると、より実践できるんじゃないか、と。
ご声援ありがとうございました!
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