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2015年08月20日

【資料作成】『社内プレゼンの資料作成術』前田鎌利


社内プレゼンの資料作成術
社内プレゼンの資料作成術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、7月末の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた資料作成術本。

その記事の直後に土井英司さんがメルマガで、【これはすごいわ…。】なんて言ったものですから、いきなりアマゾンの在庫が切れて、そのまま私も買えずにいたという。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
■孫正義社長が「一発OK」を連発した社内プレゼン術を全公開!
■資料5〜9枚、3分のプレゼンで、100%の説得力を生む技術!
■約80の図版で「超」実践的なテクニックを解説!
■ソフトバンク、ヤフーで採用された「究極のプレゼンスキル」!

なお、今ならお買い得なKindle版もありますので、在庫切れもなんのその!?





The eXtended Web / mikecogh


【ポイント】

■1.ロジックに沿って資料をまとめる
「ロジック(論理)」などという言葉を使うと、小難しい印象をもたれるかもしれませんが、何も難しいものではありません。なぜなら、社内プレゼンで必要なロジックはたった1つだからです。その論理展開(=ストーリー)に沿ってプレゼン資料をまとめれば、必ずわかりやすいプレゼンになるのです。(中略)
「1課題」「2原因」「3解決策」「4効果」の4つが、この順番で並んでいること。そして、それぞれが「なぜ?」「だから、どうする?」「すると、どうなる?」という言葉で繋がっていること。それだけでロジカルなプレゼンになります。社内プレゼンは、このストーリーさえ覚えておけばOKなのです。

(詳細は本書を)


■2.キーメッセージは最重要ポイント以外はすべてカットする
 キーメッセージを13文字以内にするためには、要するに、伝えるべき最重要ポイント以外の要素をすべてカットしていけばいいのです。
 まず、カットしていただきたいのが平仮名です。(中略)
【before】売上未達を改善するための戦略提案について(20字)
【after】売上未達改善の戦略提案(11字)
 平仮名を減らしても意味は通じることがご理解いただけると思います。そして、それだけで文字数をかなり減らすことができるのです。


■3.グラフは「左」、メッセージは「右」に配置する
よく見かけるのが、【図16-1】のように、グラフとメッセージを縦に並べるスタイルです。グラフをより大きく見せる意図があるのだと思うのですが、実は、この配置は見る人に優しくありません。
 というのは、人間の脳は、右脳はビジュアル、左脳は文字情報などの論理理解することに特化しているからです。つまり、ビジュアルと文字情報を「上下」=「縦」に配置するよりも、「左右」=「横」に配置したほうが、両方の情報を脳内でスムースに処理できるのです。
 では、グラフとキーメッセージを左右のどちらに振り分けたほうがよいのでしょうか?
 答えは、「グラフ=左」「キーメッセージ=右」です。なぜなら、左目から入る情報は右脳へ、右目から入る情報は左脳へとつながっているからです(図16-2)。グラフを左に配置することで、ビジュアル処理が得意な右脳に届き、キーメッセージを右に配置することで、文字情報の処理が得意な左脳に届くことによって、脳は両者を瞬時に把握できるというわけです。


■4.折れ線グラフは横幅を狭めて、折れ線に「角度」をつける
 さらに、折れ線グラフをより効果的に見せるテクニックがあります。
 まず、強調したい折れ線を「極太」にします。(中略)
 さらに、スライドの左半分のスぺースにグラフを収めることで、グラフの横幅を狭めます。こうすることで、折れ線に角度がつくため、より危機感を印象付けることができるわけです。(中略)
 また、グラフの横幅を狭めることで、右側に入るキーメッセージのスペースを確保することにもつながります。これは、非常に有効なテクニックですので、折れ線グラフを編集するときには、どんどん活用していただきたいと思います。


■5.データは「画像」で検索する
 たとえば、「富士山 登山者数」というキーワードで検索すると、【図22-1】のような検索結果が表示されます。「1年以内」と期間指定したうえで、検索窓の真下にある「画像」をクリック。すると、ウェブページのなかに含まれている写真やイラスト、グラフなど画像だけを一覧表示した画面に切り替わります(図22-2)。
 そのなかで、資料として使いたいグラフを見つたらクリックし、「ぺージを表示」から当該サイトに飛びます。そのサイトが信頼できるものかどうかを確認したうえで、問題がなさそうであれば、グラフをコピー&ペーストでスライドに載せます(本編スライドであれば、もちろん編集します)。


【感想】

◆本書のタイトルには「プレゼン」と入っていますし、カテゴリーも「プレゼンテーション」にしておりますが、本書は一般的なプレゼン本とは少々違います。

とにかく「話し方」やら「身ぶり」の話は一切ナシ!

極端な話、「資料が10割」と言ってもいいくらいです。

ただし、単なる会議の資料とは異なるのは、「決裁者のGOサインを得る」のが目的であるということ。

ゆえに、聴衆の感情に訴えかけたり、共感を集める必要はありませんし、ジョブズやTEDのプレゼンを真似るのは、かえって決裁者の心証を害する可能性があります。

とにかく本書は、徹頭徹尾、決裁者を意識した資料作成術と、その発表方法が述べられているという。


◆著者の前田さんにとっての決裁者は、多忙で知られるソフトバンクの孫さんだっただけあって、プレゼン時間は、通常「3分」(1分バージョンも念のため作成するのだそう)しかありません。

また、スライドの枚数も「5〜9枚」ですから、言えることは限られています。

おまけに、スライド1枚1枚に載せるフレーズやグラフも、極限まで余分な情報を削ぎ落としたものですから、まさに「シンプル」。

とにかく、第2章のタイトルが「プレゼン資料を『読ませて』はならない」というくらいですから、パッと見た一瞬で理解できるようなスライドを作るワケです。

とはいえ、細かい部分まで突っ込まれることを想定して、アペンディックス(別添資料)を大量に用意しておくのが前田流のよう。

むしろ、アペンディックスを作ることを前提にしないと、ここまでバッサバッサとは情報を削れないと思います。


◆そして、上記ポイントの1番目にあるような、全体構成を別にすれば、本書はひたすら資料作成のノウハウが列挙されている仕様。

第2章では、「キーメッセージに最適のフォント」から、「メッセージの色の指定」等のテキストベースのTIPSが。

第3章では、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ等の「グラフの使い方」が指南されています。

上記ポイントの3番目のグラフとメッセージの左右の配置のお話は、多分初耳だと思いますが、それに関連した上記ポイントの4番目の折れ線グラフのお話も目からウロコ。

確かに左右にグラフとメッセージを並べると、グラフが恐ろしく急角度になりますねw


◆また、上記ポイントの5番目のデータを画像検索する、というお話は、私はやったことがありませんでした。

むしろ本業絡みで、官公庁等への提出書類をエクセルバージョンを誰か作っていないか、該当様式名に続いて「xls」と入力した上で検索したことは多々ありましたが。

なお、その「富士山 登山者数」の画像検索ですが、やってみたところこうなりました。



細かいのから、おおざっぱなものまで色々ある模様。

……ただ、これを資料に使うというのは、あくまで「社内プレゼン」だからですよね?(著作権的な意味で)


◆今まで数多くのプレゼン本や資料作成本を読んできましたが、「シンプル」という意味では、本書がトップだと思います。

さすが孫会長が「一発OK」連発し、ソフトバンク内でプレゼン講師を務められただけのことはあるな、と。

ただし、本書でいうプレゼンとは、あくまで「社内プレゼン」ですから、「コンペで勝つためのノウハウ」等は収録されていません。

……要は「クライアントのコーポレートカラーを使う」みたいなTIPSですね。

また、企業の規模が小さいと、そもそも「社内でプレゼン自体がない」可能性もありますが、たとえそうであっても、社内資料作りのノウハウとしても秀逸だと思われ。


孫会長「お墨付き」の資料作成術がここに!

社内プレゼンの資料作成術
社内プレゼンの資料作成術
第1章 プレゼン資料は「シンプル&ロジカル」でなければならない
第2章 プレゼン資料を「読ませて」はならない
第3章 グラフは「一瞬」で理解できるように加工する
第4章 決裁者の理解を助ける「ビジュアル」だけ使用する
第5章 100%の「説得力」をもつ資料に磨き上げる
第6章 プレゼン本番は「資料」に沿って話すだけ


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【オススメ!】『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』山口 周(2012年10月22日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

4334038735
はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書)

いやなんか、このあいだ下腹部がどうこうという事件があったばかりなので……。


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