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2015年08月11日

【スゴ本】『赤を身につけるとなぜもてるのか?』タルマ・ローベル


赤を身につけるとなぜもてるのか?
赤を身につけるとなぜもてるのか?


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、人のカラダと意思決定の関係について、驚愕の事実を明らかにした1冊。

昨夜の土井英司さんのメルマガに先を越されて若干凹み気味なものの、追随しないわけには参りません!

アマゾンの内容紹介から一部引用。
・温かい飲み物を持つと、目の前の人を「温かい人」だと感じてしまう
・柔軟な交渉と強硬な交渉を分けていたのは、座る椅子の硬さだった
・心に重荷を感じると、本当に体も重くなる
・子どもに部屋を片付けさせるには、洗剤の匂いを嗅がせればいい
心理学の常識を覆した研究結果の数々を、第一人者みずからはじめて書籍化。
最先端の研究が明らかにした無意識の世界には、ビジネス・恋愛・子育てのヒントが満載!

既にKindle版も用意済み!

思わず付箋も貼りまくりました!







NIKKI- Infinity Hood Cowl Lipstick Red / smittenkittenorig


【ポイント】

■1.温かいものを持つと他人が親切に見える
 結果はどうだったか? 驚くなかれ、エレべーターで一瞬ホットコーヒーを手に持った人たちは、Aをやさしく、穏やかで、親切だと答えた割合が著しく多かった。一方、アイスコーヒーを持った人たちは、Aをやさしくなく、怒りっぽくて、利己的だと評価した割合が格段に多かった。しかし、温かい/冷たいを連想させない性質に関しては、ホットコーヒーのグループとアイスコーヒーのグループの間に評価の違いは見られなかった。


■2.ソファに座ると交渉姿勢も柔軟になる
 実験では、硬い木の椅子とやわらかいソファのいずれかに被験者を座らせ、自動車を買うために販売店を訪れている状況を思い浮かべさせた。そのうえで、まず、購入希望価格を販売員に対して提示させる。次に、その提案が拒絶されたという前提で再提案をさせる。そのとき、ソファに座った人は、硬い椅子に座った人より大幅に価格を引き上げる傾向があった。人はやわらかいソファに腰かけると、交渉姿勢も柔軟になるのだ。


■3.クリップボードの重さが能力の判断に影響する
 前章で紹介したハーバード大学、エール大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、物理的な重さと重要性の結びつきを調べる実験もおこなっている。1つの実験では、通りかかった人を呼びとめ、履歴書を見て求職者に評価をくだすよう求めた。履歴書は全員に同じものを見せたが、半分の人には重さ340グラムほどのクリップボードに挟んで渡し、半分の人には重さ2キロあまりのクリップボードに挟んで渡した。すると、重いクリップボードのグループのほうが求職者の能力を高く評価し、応募動機が真剣だと判断する傾向があった。


■4.赤色を見るとテストの成績が下がる
 46人の被験者たちに、20問の問題を収めたバインダーを渡した。これを5分間で解かせる。問題自体は全員同じだが、表紙の色だけが違う。赤のグループと緑のグループと白のグループをつくったのだ。これらの色は表紙にしか印刷されていないので、被験者は問題を解く間ずっとではなく、問題を解きはじめる前の5秒間しか色を見ない(5秒後に、ぺージを繰るよう指示される)。それでも、結果は最初の実験とよく似たものになった。
表紙が赤のグループは、緑や白のグループに比べて成績が著しく悪かったのである。緑のグループと白のグループの間には、違いが見られなかった(この実験でも、被験者のもともとの能力が3つのグループの成績の違いに影響しないよう配慮した)。エリオットらはさまざまなタイプの被験者に数学と言語のテストを受けさせ、同様の実験を重ねたが、テストの種類や被験者の属性に関係なく、赤はいつも成績に悪影響を及ぼした。


■5.嫌な思い出に封をする
 1つ目の実験では、被験者である学生たちを2つのグループにわけ、まず全員に、いま後悔している過去の選択について紙に書かせた。そして、片方のグループには、その紙を封筒に入れて提出させ、もう片方のグループには、それをそのまま提出させた。そのあと、紙に書いた出来事についての感情を尋ねた。「罪悪感」「悲しみ」「不安」「後悔」「恥」の5つの感情の強さをそれぞれ5段階で回答させたところ、記憶を封筒に封じ込めた人たちは、そうでない人たちに比べて、その経験について否定的な感情をいだいていなかった。


【感想】

◆上記ポイントでは、実験結果ばかり列挙してしまいましたが、本書の内容は、基本的にすべてキチンとしたエビデンスに基づくものです。

「おわりに」で、著者曰く、これらは「一流大学のトップレベルの研究者たちがおこない、権威ある学術誌に発表されたもの」なのだとか。

つまり、「ほかの研究者の査読をへて、適切な方法に従っている」ということ。

さらに、信憑性のある研究だけを選ぶために、「原則として複数の実験を実施している研究」を取り上げているのだそう。

そして現在、本書で描かれたこうした研究の分野は「身体化された認知」と呼ばれているとのこと。


◆実は、たまたま最近この分野に関係した本を、当ブログでは立て続けにご紹介しており、本書のタイトルにもある「赤を身につけるとモテる」というお話は(上記ポイントでは割愛していますが)、先日レビューしたこの本でも触れられていました。

恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学
恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学

参考記事:【モテ】『恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学』越智啓太(2015年07月31日)

ただし、その深堀り具合は、本書の方が上。

特に興味深かったのが、赤色による影響を「魅力的」や「セクシー」のみならず「聡明」「感じの良さ」まで評点していること。

それも女性のルックスが「平均レベル」「平均以下」「非常に魅力的」の3段階それぞれにおいて調べているという。

この研究の結果によると、赤の影響をもっとも受けるのは……(ネタバレ自重)。


◆また、やはり上記ポイントでは割愛しているものの、下記目次にある第9章の「浄め――心の汚れは除菌シートで落ちる」に登場する「心を清めたいときに体を洗う」というお話は、この本でも登場していました。

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「首から下」で考えなさい

参考記事:【オススメ】『「首から下」で考えなさい』シアン・バイロック(2015年07月17日)

この第9章を読むと、私たちが「清潔さを道徳性の高さと結びつけている」ことがわかります。

つまり、不潔な店やスタッフより、清潔な店やスタッフの方が誠実で信頼できる、とみなしている可能性が高い、ということ。

ですから、ビジネスをする際においても、こうしたことを「些細な問題」と考えずに、真面目に取り組むべきですし、逆に本書では、何かを売り込まれたときに、判断が誤る危険性を減らせる(身なりが整っているから信用できるわけではない)と指摘しています。

もっとも、「子どもやパートナーがいつもより頻繁に、あるいは時間をかけて手を洗っているときは、警戒したほうがいいかもしれない」というクダリの方が、重要かもしれませんが。


◆同じくビジネス絡みで言うなら、第8章「空間 その2――選挙に勝つと背が高くなる?」にあった「組織図の書き方」のお話も興味深かったです。

ある実験によると、「社長が大きな力を持っている」という説明文を読まされた人は、そうでない人と比べて、組織図上の上の方に社長のボックスを置く傾向が見られたとのこと。

これはすなわち、組織図を書く際に、組織内の特定の部署の重要性を強調したかったら、その部署と下位の部署の階層を結ぶ線を長くすれば良いことになります。

この「上下関係」のお話は、実はメディアのカメラアングルにも用いられており、たとえば、強さにまつわる状況や力のある人物を描きたいときは、下からのアングルが用いられることが多いのだそう。

逆に戦争や貧困をテーマにした写真は、上から撮られているケースが多いのだとか。

こうした「メディアの隠れた意図とカメラアングルの関係」は、意識しておいた方がいいですし、これを活かして、自分の写真を用途によって上手に選ぶと良いかもしれません。


◆冒頭の付箋の量を見て頂ければお分かりのように、本書には気になるネタが満載!

今回触れられていないものも、1つ1つが「へー!」となるような意外な事実や現象ばかりで、正直お腹一杯になりました。

特に「潜在意識に働きかける」ものが多いのも、自分好みだったりしますし。

そして、冒頭の内容紹介にもあったように「ビジネス・恋愛・子育てのヒント」として活用できるものも多々。

まずは私も、赤いネクタイを1本は買っておこうと思います。←単純w


これはオススメせざるを得ません!

赤を身につけるとなぜもてるのか?
赤を身につけるとなぜもてるのか?
はじめに 五感が操る私たちの世界
第1章 温度――アイスかホットか
第2章 手触り――商談に勝つ椅子、負ける椅子
第3章 重さ――バックパッカーが旅に魅せられる理由
第4章 赤 その1――赤ペンの使用を禁じた学校
第5章 赤 その2――赤を身につけるとなぜもてるのか?
第6章 光――冬になるとなぜ気持ちが沈むのか?
第7章 空間 その1――感情的な交渉と論理的な交渉
第8章 空間 その2――選挙に勝つと背が高くなる?
第9章 浄め――心の汚れは除菌シートで落ちる
第10章 匂い――あの店ではなぜ財布のヒモが緩むのか?
最終章 閃き――グーグルのオフィスは何が違うのか?
おわりに 身体化された認知があなたの人生を変える


【関連記事】

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【モテ】彼女が欲しい? よろしい、ならば『影響力の武器』だ!(2012年02月10日)

知らないと損する『無意識に買わせる心理戦略』活用法(2014年03月25日)

【スゴ本!】「なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル(2007年10月09日)


【編集後記】

◆上記で触れたように、赤いネクタイを購入すべく、アマゾンで見繕ってみました。

B00WWF5VEQ
(ダックス)DAKS ダックスネクタイ 赤系 da1241【並行輸入品】

こんな感じのドット柄なら、合わせやすいかな、と。


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