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2015年07月31日

【モテ】『恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学』越智啓太


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恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日のではなくその前の前の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

タイトル通り、「恋愛」に対して科学的アプローチをしている注目作です。

アマゾンの内容紹介から。
「愛の吊り橋効果」は使ってはいけない!?あなたにも役立つ恋愛研究の最前線を解説。愛のスタイルを測定する「心理尺度」付き。

今回は特に、「モテテク」として使えそうなものを選んでみましたので、ご覧ください!






Capilano Suspension Bridge / David Davies


【ポイント】

■1.サスペンス映画はいちゃいちゃを促進する
ただし、興味深い研究がコーエンら(1989)によって行われています。彼らは、カップルが映画を見始める前と見終わる頃の、お互いの体へのボディタッチなどのいちゃいちゃ行動を測定しました。
 実験群の参加者には、ドキドキハラハラする場面はもちろん、暴カシーンもヌードシーンも含まれている「52pickup」というサスぺンス映画を、対照群には、暴力もヌードもない「真実の物語」というアメリカ中産階級の生活を描くドキュメンタリー映画を見せました。その結果、サスぺンス映画を見せた群では、次第にいちゃいちゃ行動が増加しました。一方、ドキュメンタリー映画を見せた群では違いはありませんでした。
 ドキドキハラハラや不安の喚起は、錯誤帰属の効果以外にも、「相手とより一緒にいたい」という親和的な動機を促進するためにこのような効果が発生するのだと思われます。


■2.ラブソングは恋を促進する
これを実験的に検討してみたのが、ゲーゲンら(2010)です。
 彼らは、18歳から20歳の独身の女性を実験参加者として集めました。そして、彼女らをまず待合室でしばらく待機させましたが、そこでBGMとしてラブソングを流す群と、二ュートラルソングを流す群を作りました。(中略)
 その後、実験参加者は、平均的な容姿の男性(9段階評定で魅力度5.08)から数分間のマーケティングに関するインタビューを受けました。
 さて、そのインタビューの合間に、インタビュアーの男性は女性の参加者に対してこのように持ちかけます。「僕はアンソニーっていうんだ。君はとってもいい感じの子だね。もしよかったら電話番号教えてくれないかな、後で電話するからさ。できたら、来週にでも一緒にどこかへ飲みに行かないかい」。これに対して女性が電話番号を教えるかどうかが従属変数になりました。結果は【表3-08】のとおりです。つまり、待合室でBGMとしてラブソングを流していたほうが、より電話番号を教えたのです。


■3.アルコールを飲むと異性が魅力的に見える
 アルコールを飲むと女性が美しく見えるかという研究を最初に行ったのは、ジョーンズら(2003)です。
 彼は、大学近くのバーにいた18歳から26歳の男女80人を捕まえて実験を行いました。(中略)
 彼らは、バーの一角に連れてこられて(もちろんバーの店主の了解は取ってあります)、パソコンの画面上に呈示される118人(男女59人ずつ)の若者の写真を見て、その魅力度を「まったく魅力的でない=1」から「非常に魅力的である=7」まで、7段階で評定しました。
 分析の結果、アルコール摂取が写真に対する魅力度を高く評価する傾向が見られました。また、男性の評価者の場合、女性の写真への評価が高くなる傾向が、女性の評価者の場合、男性の写真の評価が高くなる異性効果が見られました。つまり、異性の魅力が向上するというビアゴーグル効果がはっきりと見られたわけです。


■4.告白は「気持ち+どうしてほしいか」の組合せが最強
 また、我々の研究室でも渡邊さんが同様の分析を行っています。それぞれの研究の結果を【表4-03】に示してみましょう。
 これを見てみると、成功群においては、「好きです!」のような、単なる好意の表明だけの告白の比率はそれほど高くありません。おそらく好意の表明だけだと、相手に「では、何がしたいのか」ということが伝わりにくく、相手としても回答しにくいというのが1つの理由だと思われます。いきなり、「好きです!」と言われても、回答に窮してしまうという感じです。
 一方、「つきあってほしい」とか「デートしててほしい」という言い方だと、「はい」あるいは「いいえ」、「考えさせて(まあ、こう言われたら「いいえ」ですが)」とか明確な回答選択肢があるので、回答に窮してしまうことはないと思われます。つまり、好意の表明と、だから何がしたいのか(つきあいたい)ということをぺアにして伝える方法がべストだと考えられるでしょう。


■5.どのタイミングで告白するか?
 では、2人の関係がどの程度になったら「告白のタイミング」になるのでしょうか。渡邊さんは告白成功群と失敗群に分け、告白の時点でどのような行動をしていたのかを集計してみました。それを【表4-04】に示します。この結果を見ると、グループで楽しく遊んだり、相談に乗ったりしてあげるとか、家族の話をするなどの友達としての活動は、いくらやっていても告白の成否にはあまり影響ないということがわかります。
 告白の可能性を上げるのは、「用もないのに」会ったり、電話したり、メールしたりすることや、2人でプライべートな時間を共有することだということがわかります。逆に言えば、これらの行動が生じるような進展になったときこそ、告白のチャンスであり、ここまで至っていなければ、まだ告白は時期尚早ということになるでしょう。


【感想】

◆掲載した表もないのに、記事中【表●●】という表現がやたら出てきて申し訳ございません。

本書は、著者の越智さんが「法政大学文学部心理学科教授」という肩書きがあるためか、基本的にエビデンス重視。

表やグラフ、図解等がある場合には、それらがガンガン収録されています。

もちろん、その方が断然分かりやすいものの、残念ながらこうした図表関係は、本エントリーでは引用するわけにもいかず、こうして文章だけでお伝えせざるをえませんでした。

さらに本書では、単に海外の事例を紹介するのに留まらず、越智さんの研究室で取り組んでいる研究や、専門雑誌などにも発表されていないデータ等も掲載しているとのこと。

確かに上記ポイントの4番目(と恐らく5番目も)は、越智さんの研究室の方が行われた実験ですね。

そういう意味では、海外事例を使った焼き直しの本ではなく、オリジナリティがある、と言えるかと。


◆また、冒頭の内容紹介にもあるように、本書には私たち自身が回答することによって、自らを分析することができる、いくつかの「心理尺度」をも収録しています。

具体的には、こんな感じなのですが。

「愛情尺度・尊敬尺度・友情尺度」

「スタンバーグの親密性、情熱、コミットメント尺度」

「リーのラブスタイル尺度」

「面食い尺度」

「ひとめぼれ傾向尺度」
etc etc...

ちなみに、この「心理尺度」とは、一見「心理テスト」のようですが、統計的にしっかりした手法で作られ、信頼性や妥当性の検証された本物のテスト」とのこと。

今回は、少々時間が足りないので私がやっておりませんが、気になる方は試してみてください。


◆ところで、書影の帯の部分に大きく書かれているのが、「『愛の吊り橋効果』は使ってはいけない!?」の文字です。

「吊り橋効果」については、ご存知の方も多いと思いますが、一応Wikipediaの解説を。

吊り橋理論 - Wikipedia

同じような効果を狙ったものとして、被験者の「心拍」をスピーカーを通じてフィードバックし、偽の心拍数を聞かせることにより、あたかも「ドキドキしている」かのように思わせることで、写真の魅力度がどのように変わるか、という実験についても触れられています。

結果はドキドキしたと思いこまされた写真を、より魅力的だと思ったのだそうで、結果的に「吊り橋効果」が証明された、と言えるかと。

ただし、これらの実験を行う際には、1つどうしても重要な要因が必要であり、「愛の吊り橋効果」は理論上「ある一部の人にしか使うことのできないテクニック」なのだそう。

そこも思いっきり書きたかったのですが、さすがに営業妨害だと思うので、一応ネタバレ自重で。


◆その「吊り橋効果」に比べると、今回上記ポイントで挙げたTIPSは、理論的には効き目があるものばかりです。

たとえば2番目のBGMの件は、感覚的にそうかな、とは思っていましたが、まさかそんなベタに効果があるのだとはw

また、3番目のアルコールも、男性が口説きのシーンでやたら女性に酒を勧めるのは、酔わせて思考能力を低下させるためだと思っていましたが、実は酔わせることで、自分を魅力的に思わせられたんですね。

酒に弱く、独身時代からノンアルコールで口説いていた漏れ、涙目の巻……。

ちなみに、なぜこんな効果(一般的には「ビアゴーグル効果」というのだそう)が起こるのかについても、本書では触れられているのですが、「アルコールの摂取でポジティブな評価になりやすい」「アルコールによる心拍数増加で、吊り橋効果発生」という仮説と並んであった、「アルコール摂取による非対称性検査精度低下」という仮説が興味深かったです。

これは一般的に、人の顔は左右対称である方が魅力的に感じられるところ、アルコール摂取はこの非対称性の検出精度を低下させるのだとか。

……結論として、口説く際には、やはりアルコールは必須ということでw


◆なお、本書の終わりの方(第6章&第7章)では、恋愛の破局のシーンについても言及されているのですが、当ブログのニーズ的には、「恋愛は成就するまでが大事」なので、この辺は丸ごと割愛させて頂きました。

もっとも、「別れを切り出されたら、どうするのがいいか」「失恋したら、どう行動すると立ち直りが早いのか」等々についても触れられていますので、心当たりのある方(?)は、ご一読して頂きたく。

……と言うわけで、このように本書は、「出会いから別れまで」完全カバーしています。

本書を読んだからと言って、即、モテるとは限りませんが、少なくとも「モテる確率を上げる」ことは可能だと感じました。

巻末には、引用や参考文献もしっかり掲載されていますし、かなりガチな作りなのもポイント高し!

……2年前に同じ版元から出た越智さんの前作が、未だKindleになっていないところをみると、本書のKindle化はかなり怪しいですが。


科学的にモテたい方なら、要チェックです!

4788914859
恋愛の科学  出会いと別れをめぐる心理学
第1章 愛を測定し診断する心理学
第2章 モテるための心理学
第3章 恋に落ちる過程の心理学
第4章 告白と両思いを成就する心理学
第5章 恋は盲目の心理学
第6章 愛が壊れていく過程の心理学
第7章 好きなのに傷つける理由の心理学


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【編集後記】

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わー、これ積読になってるんですけど、「69%OFF」ってないわー(涙目)。


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