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2015年07月21日

お前らもっと『交渉に使えるCIA流 真実を引き出すテクニック』の凄さを知るべき


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交渉に使えるCIA流 真実を引き出すテクニック


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、当ブログにおける今年上半期の大ヒット作である『交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック』の続編。

今回は「嘘を見抜く」から一歩先に進んで「真実を引き出す」ことを目的とした内容となっています。

アマゾンの内容紹介から。
同じ著者による『交渉に使えるCIA流嘘を見抜くテクニック』の続編。本書では、相手に本当のことを語ってもらうにはどうすればよいのかが、やはり多くの実例とともに語られる。CIAといえば、強圧的な尋問をイメージしがちだが、著者たちは、対立や敵対の中では決して良質の真実は得られないこと、相手を責めず深く理解しようとする気持ち、相手の立場への思いやりこそが心を開かせ人を動かすのだと繰り返し語る。さらに後半部分の付録「ビジネス、法律、および日常生活の場での活用法」には、実際の交渉場面で役立つ知見が満載である。

なお、タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」のお世話になりましたw





CIA gang / jaycross


【ポイント】

■1.インフォマーシャルにおける「その場思考」に誘い込む4つのポイント
●言いなりになりやすい状況
 そもそもインフォマーシャルは情報が一方通行であり、視聴聴者には不利にできている。出演者に質問をしたり、「それは本当ですか」と疑問を呈したりすることができず、番組のメッセージだけを頼りに、買うかどうするか決定せざるをえない。
●くり返しの効果
同じことを何度も聞けば聞くほど、本当だと受け入れやすい、少なくとも受け入れる可能性が高まる。これは心理学において自明の理だ。
●つい/たまたま――こちらのぺースに巻き込む
インフォマーシャルを見るという行為自体、自分の意思で選んだわけではない。
●まずは〜――結果を考えさせない
番組では「さあ、小切手帳を出して」「クレジットカードをご用意ください」などと言わない。「まずはお電話ください」。これだけだ。電話くらいならしてもいいか……しかも「いまから10分以内に」電話をしたら、もう1個くれるとは! これはお得!


■2.「転調セリフ」の例(抜粋・軟⇒硬へ)
・何か考えているようですね
・〜の話で、何か気になることがあるようですが
・あなたのお答えは、ちょっと不自然な気がします
・これまでのやりとりから考えて、何かもっと別の話があるように思えますが
・あなたの話にはいくつか妙なところがあるんですが
・調べたことから、あなたは何らかの形でこの問題にかかわっているという結論になります
・誰が何をしたかはわかっています。ただ、なぜそんなことをしたのかを知りたいんです


■3.誠実であると相手に納得させる話し方
●話す速度を落とす
モノローグに入ると、誰でも興奮状態になる。すごいヤマだ! 頑張って自白させるぞ! と思う。大きな見せ場だ。そこでは、あえてゆっくりはっきり話すように心がけよう。キーワードに重点を置いて話すと自然にペースがゆっくりになる。
●メモをとらない
何も話していないなら、メモをとる必要はない。ペンとノートを置きなさい。相手と1対1で向き合うことだ。じっと見つめたり、視線をぶつけたりしないほうがいい。
●低い声で話す
経験上、声のトーンは上げるより落としたほうが効果は高い。相手に大声をあげたら、一般的に、返ってくる反応は2つに分かれる。1つは、相手も怒鳴り返す。もう1つは無視する。こちらのほうが始末に負えない。


■4.相手に合わせてモノローグを組み立てる(抜粋)
●相手の行動に「理由」を与えてやる
相手を「その場思考」モードからはずれさせないために、モノローグで言い訳を考えてやり、相手のメンツを保つことは非常に効果がある。
●社会に転嫁する
モノローグで、何をしたにせよ本人だけが悪いのではない、と伝えることは非常に効果がある。
●結果を深刻に考えさせない
「その場思考」からはずれないために、結果がどうなるかを考えさせないことは必要である。効果的なのは、深刻な状況をあえて軽く扱うことだ。


■5.「私たち」を強調する
 交渉の場においては、互いに協力し、批判するのではなく先方の考えを理解する。ハーバード交渉術のウィリアム・ユーリーのいう「歩み寄り」だ。こちらも歩み寄るから、先方にも敵対心をもたず、ともに協力して結論を得ようという姿勢で交渉の席についてもらおう。最良の結果を引き出せるし、長期的によい関係が続く。倫理的かつ有能な交渉人という評価も得られる。
 よい結果を導き出すことは容易ではないが、まず穏やかな落ち着いた口調で、「どうすれば私たちは本件を解決できると思われますか?」と切り出してみるとよい。このアプローチは信じられないくらい効果がある。「こちら――そちら」という対立のシナリオではなく、「私たち」が一緒に解決しようという姿勢をみせることができるからだ。テーブルを叩き、怒った顔で要求をつきつけるよりはるかにスムーズだ。


【感想】

◆まず、上記ポイントに登場する、いくつかのワードについての補足を。

「その場思考」とは、いま本当のことを話したら、先々どんな結果があるか考えず、いまのことだけに集中すること。

「転調セリフ」とは、面接からいよいよ取り調べに移行するとき、質問者がおこなう発言のこと。

これは、モノローグの出だし1,2文がそれにあたり、「気になっていること」式、あるいは「きみがやった」式をとります。

その「モノローグ」とは、取り調べのプロセスで中心となる語り部分のこと。

相手を「その場思考」モードに置き、抵抗・否定する気を失せさせ、隠そうとしていた情報を明らかにしたほうがよいと思わせるのが目的です。

なお、すぐ上で出てきた(本書でいうところの)「取り調べ」とは、人をゆさぶり、あるいは説き伏せて、本人が隠しておきたい情報を提供させるべく寝られたプロセスのこと。

……以上、「巻末」の用語集から、ほぼそのまま持って来たのですがw(これが結構便利でした)。


◆さて、冒頭でも触れたように、本書は『交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック』の続編に当たります。

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交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック

参考記事:『交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック』が想像以上に凄い(2015年02月26日)

「嘘を見抜く」だけならば、「質問」をして、相手の反応を「観察」するだけでもできることがありますが、「真実を引き出す」となると、いわゆる「落とす」、つまり「自供」までが必要。

要は、「私がやりました」とまで言わせないといけません。

そこで本書でキモとなるテクニックが、上記でも登場した「モノローグ」。

これがまた、やたらと長台詞でして、相手を諭してバリアを解かせ、自ら話す気にさせる機能を持っています。

具体的に1つでも引用したかったのですが、そもそも長い上に、部分的に抜き出したのでは、意味をなさない可能性があるので、今回は割愛しました(詳細は本書にてご確認を)。


◆なお、前作ではいくつか登場した「世間的に知られた具体例」(下院議員のスキャンダルや、アメフトのヘッドコーチのスキャンダル)が、本書では(前作でも登場した)「O・J・シンプソン事件」のみとなっています。

O・J・シンプソン事件 - Wikipedia

本作では、執筆陣の1人であるマイケル・フロイドが、「その場に立ち会って質問した」と仮定した取り調べを収録。

見事、シンプソン本人に自白させているのですが、実際の取り調べはそうはならず、結果的に刑事裁判では「無罪判決」となっています(その後民事裁判では有罪確定)。

ちなみに、下記目次にもあるように、付録3にて、その実際の面談記録が収録されていますので、興味のある方は比較してみてください。

……と書いたものの、今どきO・J・シンプソンを知っている人が、どれだけいるのやら。

お恥ずかしながら私の世代は、地上波テレビでアメフトの番組や中継があった(今でもスーパーボールの中継はありますが)くらいなので、彼がいかにスーパースターだったかを考えると、この事件のインパクトも理解できるのですが。


◆ただし、前作ではあまり触れられていなかった、デリケートなテクニックも本書では登場します。

その1つが「嘘も方便」。

もともと前作でも登場した「おとり質問」の中には、いわゆる「ひっかけ」(「あなたたの同僚が、きのうあななたがシェリーさんのパソコンの前に座っていたのを見たと言う可能性はありますか?」等)もあったのですが、本作ではもっと大胆です。

たとえば、相手に共感を示すために、「自分が生まれたときに母親が亡くなった」ことにして、自供を引き出したお話などは、後で本人が知って、裁判で問題になったら、陪審員がどう思うのやら?

もちろん、「事件についての歪曲はしない」「できない約束はしない」等の注意書きはあるのですけどねw


◆結局のところ、本書が推奨する取り調べのスタイルは、一般的に考えられている「脅して自白を強要する」ものとは、真反対なものです。

その分、上記ポイントの4番目にあるように「相手に合わせる」必要もありますし、事前準備も必要。

本書の「はじめに」には「前作を読んでいなくてもかまわない」とあるのですが、個人的には、読んでいないとちょっとキツいと思います。

ただし、40ページ弱もある巻末の「付録1 ビジネス、法律、および日常生活の場での活用法」は、実生活に密着している分、比較的理解しやすいかと。

ここは、それまでの13の章それぞれに対応する形で、内容を解説しつつ、活用法を具体的に述べているという親切な仕様です。

ぶっちゃけ、かなり付箋を貼ったものの、さすがに「付録」でレビューするのもどうかと思い、上記ポイントでは5番目だけにとどめましたがw


前作がツボだったなら、必読な1冊!

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交渉に使えるCIA流 真実を引き出すテクニック
1. 女スパイの告白とインフォマーシャル―「その場思考」モードの驚くべき力
2. 最良のシナリオか最悪のシナリオか
3. 「取り調べ」モードにスイッチを入れるとき
4. モノローグで真実を引き出す
5. 効果を上げる「話し方」
6. 相手に合わせてモノローグを組み立てる
7. モノローグに抵抗されたら
8. 相手の発言を聞き逃さない
9. 嘘も方便
10. 対立や敵対は逆効果―人を裁くな
11. ラルフの告白―こうして彼は口を開いた
12. もしO・J・シンプソンを取り調べたとしたら
13. 真実を引き出したいなら

付録1 ビジネス、法律、および日常生活の場での活用法
付録2 すべては準備から始まる
付録3 実際のO.J.シンプソン面談記録
用語集


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00VESYKAS
新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

この本、中古に送料足すとほとんど新品と変わらない値段なんですけど、実はその筋では知られた人気本なんでしょうか?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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