2015年07月18日
【ハーバード流?】『ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣』ロバート・スティーヴン・カプラン
ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気を集めていた1冊。著者のロバート・スティーヴン・カプラン教授は、ゴールドマン・サックスに22年間勤務し、副会長を勤めた後、ハーバード・ビジネススクールで教壇に立たれている方です。
アマゾンの内容紹介から。
うまくいくリーダーと、うまくいかないリーダーの違いは何か。リーダーシップとは生まれながらの資質だろうか。過去25年間にわたり、企業幹部や新米リーダーたちにアドバイスをしてきた、ハーバード・ビジネススクール教授、ロバート・スティーヴン・カプランは、こう結論づける。リーダーたちは例外なく、自信とやる気をなくす時期を経験する。違いが表れるのは、そうしたとき、正しい疑問を持てるか否か。本書では“ハーバード流”自分自身に何をどう問うべきかをお教えします。
なお、お買い得なKindle版もお忘れなく!
Harvard Business School - Baker Library / roger4336
【ポイント】
■1.明確なビジョンを持つための問い●なぜその組織で働くのですか? 他の職場ではなく、その職場で働いている理由は何ですか? その組織の何を気に入っていますか?
●「どうして30年もその職場で働いたの?」と孫に訊かれたときに、どう脱明したいですか? 繰り返しますが、他の会社で働くこともできたのに、その職場を選んだのはなぜですか? その組織は、どのような大義(または偉業)に貢献したのですか?
●10年後に、どんな会社になっていてほしいと思いますか? また、どんな偉業を成し遂げたと、言えるようになりたいですか?
●この組織ならではの魅力は何ですか? もしもこの組織がなかったら、世界はどんな損失を被っただろうと思いますか?
■2.時間を大事にするよう、マインドセットを調整する
この1週間どう時問を過ごしたか、思い出してみてください。タスクごとに何時間を費やしたか割り出してくださいと言われたら、かかった時間数を正しく計算できますか?
ならばここで私が、「今月あなたが自分のお金を何に使ったか、詳しく教えてください」と訊ねたとします。この問いに正確に答えられますか? 私が思うに、どの所得層に属している人も「いいですよ」ときっぱり答えるでしょう。(中略)
お金は大事だと考える人は、それを裏づけるような行動を取っているはずです。実のところあなたの時間は、お金にひけを取らないはど大事です――いや、お金より大事かもしれません。ですから、時間を大事にする行動が取れるよう、マインドセットを調整しなければなりません。
■3.具体的で実践できるフィードバックと、改善策を提供する
効果的なフィードバックをするには、スキルについて具体的なアドバイスをしましょう。実践的であることも心がけてください。つい感情的になって人格を攻撃(つまり個人攻撃)してはいけませんし、要点を避けようとして暖昧に伝えてもいけません。フォローアップで改善に向けたアドバイスをするときも、具体的で実践的であることを心がけましょう。
悪い例を紹介しましょう。プロフェッショナルはよく、会社で「もっと積極的に行動しなさい」とアドバイスされます。正直、私にはよく意味がわかりません。この種のあいまいなアドバイスを言う人は、実践的なアドバイスができるほど部下の働きぶりを調べておらず、なおかつ「印象で」ものを語る人が多いようです。(中略)
「具体的」、「明確」、「実践できる」――この3つを押さえること!
■4.後継者をしっかり育てる
本章の前半で、リーダーのなかには、有能な後継者を育てようものなら自分が追い出されてしまうと異常に心配する人がいる、という話をしました。その心配が、現実になることはめったにありません。リーダーがいい仕事をすれば、組織の業績も上がり、あなたの在任期間も延びる可能性が高いからです。
リーダーはむしろ、「後継者を育てなかったらどうなるか?」を心配すべきです。優れた企業は、有能な部下を後継者に育てることができるリーダーに報いてくれます。その反対に、十分に時間を与えたのに、有能な部下を後継者として育てられない部門長を昇進させようとはしないでしょう。
■5.「リーダーシップ」とは何か?
私が考えるリーダーとは、自分か信じるものが何かを知り、その信念に従って行勘できる勇敢な人のことです。リーダーに求められる特質はたくさんありますが、これこそがリーダーがすべきことの本質です。この定義によるならば、率いる集団の大きさや肩書きは関係ありません。直属の部下がいなくても、あるいは正式な権限がなくても、人はリーダーになれるのです。
この定義によれば、積極的に発言する、または意見を述べるといった簡単なことでも、強いリーダーシップを発揮することに他なりません。これをリーダーの定義とすると、あなたはリーダーですか? 会社ではリーダーを育成するために、従業員に積極的に発言させていますか? リーダーシップを発揮して行動した人に、昇進や報酬で報いていますか?
【感想】
◆冒頭でも触れたように、本書の著者であるカプラン教授は、ゴールドマン・サックス時代と現職を含めた過去25年間で、いくつかの会社の経営に関わるとともに、さまざまな企業幹部や新米リーダーに、定期的にアドバイスを行ってきたのだとか。ボリュームの関係で上記ポイントでは割愛していますが、本書に登場する実例の多いこと!
具体的な社名は1つも出てこないものの、その会社の規模も、ベンチャーレベルから、かなり大きなグローバル企業まで多種多様。
職種も中間管理職からCEOまで、沢山の人びとが、教授にアドバイスを求めていることが分かります。
とりわけ本書では、ハーバードで教えるようになってからの生徒たち(と言っても多くが幹部レベルのビジネスパーソンですが)の質問や相談が非常に多く、なるほど、ハーバードで学ぶ、ということは、こういった利点もあるのだな、と思った次第。
◆もっとも、本書で書かれている内容は、基本的には部長や社長等の「組織のトップ」に向けられたものであるため、CEOないしは役員が読むのが適切なのかもしれません。
たとえば上記ポイントの1番目は「ビジョン」ですから、本来はCEOがしっかり持つべきもの。
もっとも、CEOだけでなく、幹部社員たちも含めてお互いの意見を聞き合う場を設けると、より強固なものになるはずです。
特に、下記目次の第5章にある「迷走」しているような時期は、会社の軌道修正をするために、ビジョンも見直すべきでしょう。
……前LINE社長の森川さんのように「ビジョンは不要」と言い切っちゃう人もいますが。
LINE前社長・森川亮氏の経営哲学 「ビジョンは不要、やる気のない社員もいらない」|THE PAGE × DIAMOND ONLINE|ダイヤモンド・オンライン
シンプルに考える
参考記事:【経営】『シンプルに考える』森川 亮(2015年06月07日)
◆また、上記ポイントの2番目の「時間管理」の件は、つい先日もこの本でしたばかりでした。
「何にどのくらいの時間をかけたか把握する」というお話も同様ですね。
世界トップリーダー1000人が実践する時間術
参考記事:【時間術】『世界トップリーダー1000人が実践する時間術』谷本有香(2015年07月13日)
ただ、指摘されてなるほどと思いましたが、確かに「お金」の使い道は、ほぼ認識しているものですが、「時間」の使い道は、気にしていないと分からないもの。
もちろん、「お金」は何もしなければ減りませんが、「時間」は放っておいてもどんどん減りますから、なおさら意識的になる必要はありそうです。
◆一方、上記ポイントの3番目の「フィードバック」のお話は、ポイントの4番目の「後継者」の件にも関わってくるもの。
つまり、後継者を育てるためには、適切なフィードバックを行う必要があり、それは上記にもあるように「具体的」で「明確」で「実践できる」必要がある、と。
また、そうして「後継者」を育てないと、自分の時間が「本来やるべきことに割けない」ことになりかねません。
最悪なのが、自分で抱え込んでしまった挙句、組織が大きくなるにつれて、「やるべきこと」ができなくなり、パンクするというものです。
しかも、そもそも下の者からのフィードバックは、自分から聞きに行くようにしないと、まず得られませんし、自分自身が強権政治を行っていると、なおさら耳には入って来ない模様。
第5章にある「迷走」は、大抵組織のトップに問題があり、その問題もいきなり発生したのではなく、ずっと前から静かに進行しているケースが多いようです。
◆自分の本業絡みなので、詳しくは書けませんが、クライアントのいくつかが、現在「迷走」しておりまして。
「迷走」というか、1つの会社はその業界自体が、かなりの勢いで規模縮小しているので、「なすすべなし」状態なのですが、本書を読んで、「まだできることはある」と思いました。
そして、上記ポイントの5番目にあるように、「直属の部下がいなくとも」リーダーにはなれます。
そこで、まだ部下のいないビジネスパーソンの方にも、ぜひ本書を読んで、「自分が信じるものが何かを知り、その信念に従って行動」して頂きたいな、と。
……昨日の今日なので画像は載せませんけど、実は本書にも、かなり付箋を貼っておりますしw
組織に属するビジネスパーソンなら、一読の価値アリ!
ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣
第1章 会社の未来像を描く技術
第2章 時間を管理する技術
第3章 フィードバックを活用する技術
第4章 部下を育てる技術
第5章 迷走した組織を正す技術
第6章 みんなのお手本となる技術
第7章 自分の能力を開花させる技術
第8章 正しい疑問を持つ技術
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【編集後記】
◆今日の「Kindle日替わりセール」から。齋藤孝の速読塾――これで頭がグングンよくなる! (ちくま文庫)
かなり昔の作品ですし、単行本の中古なら最低価格で手に入るのですが、送料足すとまだこちらの方がお安いと言うw
参考記事:齋藤孝の速読塾(2006年11月01日)
ご声援ありがとうございました!
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成果を上げ続けたい人必見。:ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣【本読みの記録】at 2016年05月10日 23:29
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