2015年07月15日
【働き方】『実力派たちの成長戦略』山本真司

実力派たちの成長戦略 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、前回ではなくその前の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた仕事術本。この記事の直後に本書を買ったものの、読んでいる途中で誤って読了のダンボールに紛れ込んでしまい、レビューがこんなに遅くなってしまいました(涙目)。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
会社からの過大な要求、疲弊していくメンバー、成長できない自分……。
大変動の時代を生きるプレイングマネジャーたちに贈る新しい働き方の指針。(中略)
10年の時を経て、名著『30歳からの成長戦略』が大幅に加筆修正のうえ、再び登場。
疲れない、ピンチに強い、部下も自分も成長できる!
ビジョナリー・プロフェッショナル(実力派創造者)だけが知っている究極の働き方を1冊に。
冒頭の記事を書いたころと違い、今ならお買い得なKindle版でもお読み頂けます!

bcg-Matrix / jean-louis zimmermann
【ポイント】
■1.差別化ビジョンを構想する私の方法論は、自分の成長投資する分野を選ぶ。選び方は「まだ人気のないもの×好きなこと、やりたいこと」が原則である。
言い換えると、「まだ人気のないもの」というのは、未来を指し示す魅力的な分野であるが、まだ大衆が飛びついていないものを必死で探すことを意味する。未来に起きることは、現在兆しとして世の中に現れているものだ。それは、まだ、「人気がない」。まだ人気のない兆しから、未来をつかむために、いろいろな勉強をし、経験を積む。
また、「あるべき姿、ビジョン」を描いて、突き進むためには、自分がその気にならなければならない。自分が「やりたい」と思う分野で、「やれそうだけど、いまの自分では手が届かない」といった、ちょうど自分が燃えるレべル感の条件を満たす分野を選ばなければならない。
■2.アウトプット志向で学習する
何がアウトプットだったかを、是非先に思い出してほしい。インプット志向の学習法には問題があるからだ。先にアウトプットを決めて、そのアウトプットに役立ちそうな分野しか、インプットに努力しないというのが正解だ。
私は、常に、自分のテーマを3つだけ、頭に置いている。それにかかわるものにしか、観察も読書対象も向けないように気をつけている。他は、捨てている。
仕事や学習のワークフローを考えてみよう。仕事や学習は、インプットがあって、プロセスがあって、アウトプットがある。常識的な考え方では、インプット至上主義で勉強、研究、調査などを重視する。
しかし、視点を変えてアウトプットから、すなわち尻から始めてインプットするという方向に仕事や学習の仕方を切り替えることにより、効率・効果ともに格段にアップする。それ以上に、常識的インプット志向学習法は、あなたを駄目にしてしまうリスクすら抱えていると思う。
■3.創造的ディスカッション10の掟(抜粋)
●仮説ファースト。自分の仮説を考えてからチーム・デイスカッションに臨む。
●参加者は、職位、経験にかかわりなくフラットな文鎮型の組織でディスカッションするのだという運営原則を共有する。
●参加者の中で一番権限の強い人は、自分の意見を言うのを控える。
●全員が経営トップだと思って発言する。自分の担当分野、担当業務の範囲を超えて議論する。
●「できない」というのは美味しい言葉だと心得よ。
――「できない」ことは、「どうしたらできるか」を考えられれば差別化の武器になる。
■4.時間管理十訓(抜粋)
第一訓 スケジュール帳は計画書。1日に数回は眺める。
――時間配分の重要な計画書がスケジュール帳。工程管理は完璧を期す。
第二訓 常に2週間先まで視野に入れておく。
――時間資源配分は、若干長い時間軸で考えていないと意味がない。
第四訓 自分1人の時間でも来客・会議と同様にアポをとる。
――「孤独になれる時問」を確保するための工夫である。
第六訓 原則として8〜19時にしか仕事をしない。土日のどちらか片方は完全休養する。
――集中力を発揮するためには、疲れていては話にならない。働く/休むのメリハリをつけるのが重要。
■5.欲と無欲を併せのむ
発見してみれば、なぜこんなことに10年間も気がつかなかったのかと思うほど、簡単なことである。ビジョンも簡単であり、「他人の成功・幸福を実現する人」になりたいということだ。そして戦略も簡単で、「自分の利害を捨てて、他者の利害を優先する。自分のために能力を伸ばすのではなく、他者のために能力を伸ばす」ことである。
私を突き動かすエネルギーは、相変わらず欲である。しかし、他者に成功してもらいたいという欲であり、そのために自分を磨くのである。また、自分は失敗してもかまわない、他者に大きな迷惑がかからない限り、自分がどうなろうと大したことではないというふうに、自分にはあくまで無欲なのである。
【感想】
◆本書は、冒頭の内容紹介にもあったように、著者の山本さんが2004年に出されたこの本がベースとなっています。
30歳からの成長戦略 「ほんとうの仕事術」を学ぼう
一応、2010年に「新装版」なるものが出ているのですが、内容紹介を読む限りは、旧版をベースに加筆された感じ。
ちなみに私は、旧版の方を読了しているのですが、それに先立ち、まずこの本で初めて山本さんのことを知りました。

40歳からの仕事術 (新潮新書)
参考記事:「40歳からの仕事術」山本真司(著)(2005年01月27日)
日付でお分かりのように、10年半前、丁度まだ私がこのブログを始めて、1ヵ月も経たないうちだったというw
◆結局『40歳からの仕事術』は、上記のようなレビューで茶を濁したものの、本丸(?)である、この『30歳からの成長戦略』の方はご紹介しておりませんでした。
理由はいくつかあったのですが、一番大きかったのは、この本、当時の私にはコンテンツ的に「濃厚過ぎた」ことかな、と。
実際、その頃はまだビジネス書を読み始めたばかりであり、フレームワークの知識もありませんでした。
例えば、上記の『40歳からの仕事術』の記事で、「仕事ポートフォリオ・マネジメント」なるTIPSを挙げているんですが、これって「BCG PPM」の応用ですよね?
プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント(PPM)とは|マーケティング用語集
こういう基礎知識を知っていると、すんなり「腑に落ちる」べきお話も、私には全てが「新しい情報」だったわけでして。
◆なお、本書の「はじめに」によると、今回新刊として出た本書は、この『30歳からの成長戦略』からの「そのままの引用」が1/3、大幅に書き換えたものが1/3、そして残りの1/3は、完全な書き下ろしである、とのこと。
さすがに10年前に読んだ本であり、どこが前著からの引用かは、ちょっと分かりませんでした。
ただ、下記目次にある、第5章の「100分で学ぶ経営戦略論の基礎『5講』」というのは、何となく見覚えがある、と思ったら、前著では「MBAコンプレックスを克服する―これだけでOK!『30分MBA講義』」であり、3倍強になっていたというw
ちなみに、本書と前著の目次を突き合わせても、ほとんどかぶっていないのですが、前著の目次にある「差別化」「アウトプット」といったフレーズは、そのまま上記ポイントの1番目と2番目にあるのがお分かり頂けると思います。
やはり「重要な項目」と思われるものは、新旧ともに収録されている模様。
◆一方、山本さんは、若手ビジネスパーソンに向けて、こんな本も書かれています。

20代 仕事筋の鍛え方
参考記事:【マインドマップ書評】「20代 仕事筋の鍛え方」 山本真司 (著)(2005年09月20日)
この本はもう、「若いうちの苦労は買ってでも」的な内容なんですけど、そりゃまぁ、東銀とかBCGとかで働かれていたら、負荷をかけるのが当たり前の世界ですからね〜。
それはさておき、最初の『30歳からの成長戦略』から、この本までの約1年半で、「20〜40代までのビジネスパーソンの全世代」を押えきってしまっているのがスゴイです。
当時は、神田昌典さんはガチガチの商人でスキルアップ本を出しておらず、勝間さんも本田直之さんもデビュー前ですから、このジャンルでの山本さんの存在感は、圧倒的だった記憶が。
◆その後、本業に注力されていたこともあって、ビジネス書シーンの表舞台からいったん去るものの、上記ポイントの5番目にもあるように「他人の成功・幸福を実現する」気持ちは変わらずお持ちでした。
それゆえ、ご自身が「30代、40代のときに学んだ仕事の『ツボ』を伝える」ために、本書を書かれた、とのこと。
私も10年前よりは成長したツモリでいますが、それでも改めて今読むと、書き下ろしの部分のおかげもあって、新しい発見が多々ありました。
また逆に、本書によって山本さんに初めて接する方は、圧倒されないようご注意を(本書も新書にしては300ページ超と厚めですしw)。
30代以降のビジネスパーソンに、一読をオススメ!

実力派たちの成長戦略 (PHPビジネス新書)
第1章 Change or Die変わるか死ぬかの時代―大変動を経験し続ける30代、40代
第2章 ミドル再生計画―ビジョナリー・プロフェッショナルとは何か
第3章 「あるべき姿、ビジョン」を構想する―日本の30代、40代がいまやるべきこと
第4章 ビジョン構想力の鍛え方―「自分」と「他者」、「金」と「心」のバランスを考える
第5章 100分で学ぶ経営戦略論の基礎「5講」
第6章 時間不足と戦う―集中のためには弛緩せよ
第7章 ミドルのための心のマネジメント
終章 超一流の人生を目指せ。そして、いますぐに行動せよ!
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【仕事術】『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』戸塚隆将(2013年08月18日)
【編集後記】
◆昨夜の記事で書いた、アマゾンの「prime day」ですが。prime day 7.15Amazon最大のセール プライム会員限定
結構完売していて、キャンセル待ちになっている商品が多くてビックリの巻。
日頃、書籍ばかり見ていると、どのくらい得なのか、分からないと言う(涙目)。

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