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2015年07月12日

【説得術】『どんな人も思い通りに動かせる アリストテレス 無敵の「弁論術」』高橋健太郎


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どんな人も思い通りに動かせる アリストテレス 無敵の「弁論術」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、発売当時、アマゾンに新刊の在庫がなくて買いそびれていた1冊。

さらに、中古にプレミアが付いていた事もあってスルーしていたのですが、さすがに現在は落ち着いたようです。

アマゾンの内容紹介から。
誰が相手でも、絶対に話を通す!哲学×心理学×会話術。2300年前に完成していた最強絶対の“説得メソッド”。最強哲学者が教えるモノの言い方。

なお、Kindle版なら「32%OFF」と大変お買い得です!





Aristotle / maha-online


【ポイント】

■1.説得のテンプレ「トポス」に従って話すと論理的になる
 例えば、あなたが上司に「A社の担当は、新人の田中には荷が重い」ことを伝えたいとします。このとき「比較のトポス」を使うと、
「A社の担当は、3年目の佐藤でも苦労したんですから、新人の田中には荷が重いですよ」
 となります。いかがですか。単に、「新人の田中には無理ですよ」と言うよりも、論理的に聞こえ、説得力も増したのがわかるでしょう。
 現実の議論でも、こうしたトポスにしたがって話ができるかどうかが、その人の話が「論理的」に聞こえるか、ひいては「話の内容が正しい」ように聞こえるかどうか、の分かれ目になります。よく「頭のいい人の話し方」などと言いますが、そうした話し方をする人は、本人が意識するにせよしないにせよ、大抵こうしたトポスにしたがって話しているのです。


■2.手頃な行為をみつくろって怒りへ誘導する
 先ほど、「無視」「いやがらせ」「侮辱」が、相手に怒りの気持ちを抱かせる原因になると述べました。
 この原理を使えば、聴衆の怒りを向けさせたい人間の手頃な行為をみつくろって、その行為は聴衆への「無視」「いやがらせ」「侮辱」だと主張すれば、怒りへの誘導ができることになるでしょう。例えば、自分の嫌いな市長に対し、聴衆の怒りを向けさせたい場合はこうです。
自分「市長は私たちの訴えを完全に無視したそうです」
聴衆「それはまたなぜ?」
自分「理由なんかないですよ。私たちのことをバカにしてるんです」


■3.アリストテレスによる「友愛を抱かれやすい人物」(抜粋)
・こちらの友の友
・こちらの敵を同じく敵とする人
・こちらが憎んでいる人に憎まれている人
・こちらの長所をわかってくれる人
・悪口を言わない人  
・切磁琢磨するライバル   (詳細は本書を)
 ターゲットが聴衆にとってこのような人物だと主張すれば、その人は、聴衆をターゲットへの友愛の情へ導くことができるでしょう。また、自分がそういう人物であるとアピールできれば、聴衆に自分への友愛を抱かせられるわけです。


■4.聴衆を怖がらせて味方にする
 では、聴衆の恐れを利用し、自分の主張を有利に運ぶにはどうすべきか?
 そう、それが、聴衆にとっての「身にせまった悪だ」と主張すればいいのです。
 例えば、以下のような論法はよく見るでしょう。
「××法が、政府で議論されている。一見、一般市民には関係なさそうな話だ。しかし、いったん運用されれば、あなたの生活に大きなダメージを与えかねない……」
 この手の「じつはあなたに関係がある」と強調する主張には、人の恐れをあおる効果があるのです。


■5.中傷に対する6つの防衛ライン
 中傷に対しては、以下のパターンのうちで、状況や材料的に可能なラインで反論しましょう。
 イメージとしては、相手からの中傷に対し、こちらには「6重の防護壁」があると考えてください。相手の攻撃やこちらの状況次第で、防衛ラインを内側へ移していく感じです。
第1防衛ライン「そのような事実はない」
第2防衛ライン「事実だが害があるようなことではない」
第3防衛ライン「害があるかもしれないが聴衆に対してではない」
第4防衛ライン「聴衆に対して害があったとしても、言われているほど甚大でない」
第5防衛ライン「法(道徳)的に問題はない」
第6防衛ライン「法(道徳)的に問題はあっても重大なものではない」  (詳細は本書を)


【感想】

◆今回上記で引用した部分は、著者の高橋さんが書かれたものなのですが、その元となっているのが、アリストテレスの『弁論術』という書籍です。

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弁論術 (岩波文庫)

そして、この弁論術は「理性的な弁論術」とも呼ぶべきものなのだとか。

さて、ここで注意すべきは「論理的な弁論術」ではないことです。

「論理的であること」とは「理性的であること」の一部に過ぎず、「理性的である」ためには、論理を柱に据えながらも、人間の感情面にも、正しく対処できなければならない、とのこと。

実際、『弁論術』全3巻のうち、第2巻の大半というボリュームが、「聴衆の心への働きかけ方」に割かれているそうです。


◆それを踏まえて、上記ポイントでも、2〜4番目までが第4章の感情面をテーマにした章からの抜粋に。

一方、実はかなりのページを費やしている第3章からは、1番目のポイントしか抜き出しませんでした。

というのも、この第3章は、いわゆる「論理的な説得術」の話であり、一般的な「説得術の本」でもよく目にするから。

……もっとも、そのルーツはすべて、アリストテレスの『弁論術』にあるのかもしれませんが。

ちなみに、第3章では、「定義のトポス」から「帰納のトポス」まで、計14個のトポスが紹介されていますので、気になる方は本書にてご確認ください。


◆逆に、前述のように「感情面」のお話は多めに抜き出しているのものの、それでも若干補足を。

まず、上記ポイントの3番目では「友愛」が出てきますが、「友愛」の反対は、「憎しみ」なのだそう。

ここでその「憎しみ」と、上記ポイントの2番目に出てくる「怒り」との違いなのですが、「怒り」は、仕返しや時間の経過などで癒されることがある一方、憎しみは癒されることはない、とのこと。

そして、「憎しみ」とは、「怒り」よりも強力に聴衆をあおることのできる感情なのだとか。


◆もう1つ、上記ポイントの4番目の「恐れ」についてですが、単に恐怖を煽るだけではだめで、そこに必要不可欠なものがあるのだそう。

それが「一点の希望」です。

アリストテレスは『弁論術』の中で、「救われる希望がなにか残っている必要がある」と言っており、要は「まったくの絶望ではダメ」ということ。

なぜなら、「どうにもならない問題」だと、人は「恐れ」よりも「あきらめ」の感情を持ってしまうから。

本書では、どのように「恐れ」を抱かせるのか、具体的に手法まで述べられているので、これまた気になる方は要チェックでお願いします。


◆なお、第5章で述べられているのが、「人柄」であり、これこそ俗にいう「ロゴス、パトス、エトス」のうちの「エトス」にあたるもの。

今まであまり、このテーマについて述べられていた本を読んだことがなかったので、ここは結構参考になりました。

何と言っても、「聞き手が思わず味方したくなるような人柄」のトポス(テンプレ)が、30超も列挙されているという親切ぶりw

この手の説得術の類書を沢山読んでいる人でも、併せて読まれることをオススメしたいです。


何としてでも「人を動かしたい」方に!

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どんな人も思い通りに動かせる アリストテレス 無敵の「弁論術」
1. 超入門!無敵の「弁論術」とは何か―確実に相手を説得し、人に負けない「最強の会話術」
2. 誰も教えてくれない「人を説得する技術」―最強哲学者が生み出した3つの無敵メソッド
3. 勝手に「説得力」が出る話し方―第1の最強メソッド・無敵のテンプレ「トポス」に当てはめる
4. 聞き手の「気分」を手玉に取る話し方―第2の最強メソッド・聴衆の「感情」をコントロールし、支配する
5. 思わず味方したくなる人の話し方―第3の最強メソッド・自分の「人柄」を演出する
FINAL 悪用厳禁!人をだます「詭弁」の知恵―「禁じ手」から自分の身を守る術


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【編集後記】

連日の「Kindle日替わりセール」本で恐縮なのですが、当ブログでご紹介しているので。

B00SIFXNZ8
本質思考―MIT式課題設定&問題解決

「65%OFF」というセール価格なので、気になる方はこの機会にぜひ。

参考記事:【コンサル流】『本質思考: MIT式課題設定&問題解決』平井孝志(2015年01月26日)


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