【"科学的"幸せ?】『ハーバード流幸せになる技術』悠木そのま:マインドマップ的読書感想文

2015年06月24日

【"科学的"幸せ?】『ハーバード流幸せになる技術』悠木そのま

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、個人的にハマっている「科学的自己啓発書」の流れを汲む1冊。

特に本書では、具体的な「幸せになる技術」をまとめており、ある意味「集大成」とも呼べるものとなっております。

アマゾンの内容紹介から。

ハーバードといえば、成功の象徴であると同時に“成功の罠”の象徴でもある場所だ。そこには、大きな成功を手に入れたにもかかわらず幸せにはなれなかった人が大勢いる。だからこそ、「本当の成功とは何か、本物の幸せとは何か」についての研究や議論が日々行われているのである。本書では、ワークスタイルデザイナーである著者が、幸福についての科学的な研究やハーバード関係者の発言を実践的に編集、数多くの「幸せになる技術」を紹介する。

今回は、本書に登場する作品とそのキモとなるTIPSを抜き出してみましたので、ご覧ください！

Oh Happy Day! / OakleyOriginals

【ポイント】

■1.現在だけでなく未来の利益も満たす

(1)ラットレース型(べジタリアン・バーガー)
　現在の損失(まずい)×未来の利益(健康的)
(2)享楽型(ジヤンクフード・ハンバーガー)
　現在の利益(美味しい)×未来の損失(健康に悪い)
(3)ニヒリズム型(最悪のハンバーガー)
　現在の損失(まずい)×未来の損失(健康に悪い)
(4)ハピネス型(理想的なハンバーガー)
　現在の利益(とても美味しい)×未来の利益(素晴らしく健康的)
　幸せとは「喜びに満ち、人生の意味を感じる経験である」というべン-シャハーの定義は、喜び(＝現在の利益)と意味(＝未来の利益)の両方がともに満たされた状態を示しています。

HAPPIER―幸福も成功も手にするシークレット・メソッドハーバード大学人気No.1講義

■2.幸せな人は生産性が高い

　タル・ベン-シャハーのアシスタント講師だったショーン・エイカーは、著書『The Happiness Advantage(邦題：幸福優位 7つの法則)』において、幸せとは「よい気分」以上のものであり、「成功するために不可欠な要素」と述べ、様々な調査データを紹介しています。たとえば、診断前にボジティブな気分になった医師は、通常よりも19％も短い時間で正確な診断を下し、楽観的な営業マンは、通常よりも56％も成績がよく、試験前に幸せになった学生は、通常の学生よりも数学テストの成績がはるかによい、などです。

幸福優位７つの法則　仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論

■3.モノよりも経験にお金を使う

　研究では、米国人の約57％はモノより経験を買うほうがずっと幸せになれると答え、その逆は34％でした。ノートンらは2ドルでも20万ドルでも、モノより経験を買うほうが悔いは残らないとしています。(中略)
　そうはいっても、経験を買うと幸せになれるのはある種の経験を買ったときに限られます。ノートンらは、次のような条件をリストアップしています。
○誰かと一緒にいることで、社会的な"つながり感"が促される経験
○これから先、何度でも語りたくなる想い出のストーリーが生まれる経験
○ありたい自分やなりたい自分をしっかりと実感できるような経験
○他の選択肢とは気楽に比べられない、類いまれな機会がもたらされる経験

 「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY

■4.意味のある目標を持つ

「幸せな人は、その人ならではの目標と実行計画を持っている」と述べているのは、ソニア・リュボミアスキーです。彼女は、目標を持っていたとしても意欲や情熱に欠けているのなら、まず情熱や意欲を育てるべきであり、間違った目標をめざしているのなら、「長期間にわたって幸せになれる目標」を見極めることを優先すべき、と主張しています。(中略)
　リュボミアスキーが考える"意味のある目標"とは、次のようなものです。
○自分で選んだ目標であること
○回避目標よりも接近目標であること
○新しい活動に挑む目標であること

 幸せがずっと続く12の行動習慣

■5.「ちょっとしたこと」を積み重ねる

　ギルバートは、幸せになるための「ちょっとしたこと」として、まず「瞑想する」「運動する」「十分な睡眠をとる」といった「当たり前のこと」だけれども大切なことを提案し、次に「利他主義を実践すること」「人脈を広げること」「感謝すべきこと3つを書き留める」「その理由も誰かに話す」ことを奨めています。
　人はとかく「あっという間に結果が現れる魔法の薬」を欲しがるものです。ギルバートは「そのようなものはない」と釘を刺し、幸せを実現するにはダイエットと同じように「毎日、当たり前で小さなことをを励行し、結果が出るのを待たなければならない」と述べています。

明日の幸せを科学する(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

【感想】

◆以上、本書から選んだ5冊並びにそこからの引用をお届けしました。

ところで、お恥ずかしながら、この5冊で既読のものは1つもなし。

かつ、その存在を知っているのも、最後の『明日の幸せを科学する』のみでした。

明日の幸せを科学する(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

一応、文庫化された時点で、このような記事を書いているのですが、結局未だ読んでおらず……。

【メモ】プレミア付きの自己啓発書が文庫化される件（2013年12月05日）

◆これらを含め、本書の「参考文献」として登場する作品のほとんどが、どれもハーバード等の大学教授らが執筆した、エビデンスのあるものです。

ところが、私自身が、そもそも著者について知らず、かつ、スピリチュアル系の装丁を施されてしまうと、書店で見かけても手にも取っていないというアリサマ。

さすがにスピリチュアル系であっても、この本のようにタイトルで「ピン」と来るものだと、チェックしますけど。

「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室

参考記事：【科学的自己啓発書?】『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』エリザベス・ダン,ロバート・ビスワス=ディーナー（2015年01月12日）

実は上記参考記事で触れている内容は、本書とも結構かぶっており、この本を何故参考文献にしないのか、少々意外でした。

著者2人がハーバードと関係ない（「カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学心理学部准教授」＆「米・ポートランド州立大学講師」）からかもしれませんが、むしろ、本書自体がこの本の「日本版」を目指しているのかもしれません。

◆さらに今回挙げた5冊以外にも、気になる本がちらほらと……。

リュボミアスキー教授の人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法

ハーバード流　キャリア・チェンジ術

ハーバードビジネススクール不幸な人間の製造工場

Gの法則―感謝できる人は幸せになれる

ハーバードの人生を変える授業 (だいわ文庫)

ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則

また、これら以外にも、翻訳されていない本が何冊も「参考文献」に挙がっていました。

本書を含め、こうした「科学的自己啓発書」がコンスタントに売れてくると、翻訳される作品も増えてくるのではないでしょうか。

◆一方で本書は、こうした数々の研究成果を、その切り口ごとにまとめ直した感じ。

下記目次にもあるように、「成功」「お金」「キャリア」「目標」「行動習慣」の5つのテーマごとに、「幸せ」との関連を探っています。

この手の「科学的自己啓発書」は、基本的に翻訳本が中心であり、おしなべて読みごたえがあるので、1冊1冊読み切るのに時間がかかるところ、本書なら新書でエッセンスをサクッと学ぶことができるのは秀逸かと。

本書を読んで興味を持った作品があれば、次にそちらに直接当たれば良いと思います。

もちろん、本書でも「幸せになる技術」は具体的に挙げられていますので、実践可能。

さっそく私も、上記ポイントの5番目にあるように「ちょっとしたことを積み重ね」てみるつもりです。

幸せを科学した1冊！

ハーバード流幸せになる技術 (PHPビジネス新書)

1 幸せを導く「成功の技術」
2 幸せを殖やす「お金の技術」
3 ソウルワークと出逢う「キャリアの技術」
4 幸せな人生を築く「目標の技術」
5 幸せを創る「行動習慣の技術」

【編集後記】

◆最近連荘でお送りしている、Kindleセール。

今度は学研の「ビジネススキルアップ97タイトルセール」なるものが、7/9まで開かれているそうです。

Amazon.co.jp: ビジネススキルアップ97タイトルセール（7/9まで）: Kindleストア

ところがチェックしてみたところ、当ブログご紹介済みの作品はこちらだけという。