2015年06月08日
【思い込み?】『人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学』鈴木敏昭
人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でご紹介したところ、以外にも結構な注目を集めた作品、著者の鈴木敏昭さんは、心理学教授であり、専門領域として、自尊心、性意識、思い込み、人格形成などを研究されている方です(セブン&アイ・ホールディングスの鈴木さんは「敏文」ですw)。
アマゾンの内容紹介から。
「平凡な人生を歩む“運命”だ」「もともと引っ込み思案の“性格”だ」「会社が苦痛で“ストレス”だらけだ」決まりかけた人生を変える究極のヒント。
昨日の本に続き、既にお買い得なKindle版が出ております!
/ eflon
【ポイント】
■1.ネガティブな人生脚本をつくる幼少期の13の禁止令(抜粋)・「何もするな」「実行するな」
・「子どもであるな」
・「感じるな」「感情を表に出してはいけない」
・「考えるな」
・「成功するな」
・「重要な人になってはいけない」
・「所属してはいけない」「仲間入りをしてはいけない」
(詳細は本書を)
■2.典型的な「思考のゆがみ」9パターン(抜粋)
●白黒思考・全か無か思考(完璧主義)
●過度な一般化
●ネガティブフィルター・マイナス化思考
●すべき思考
●レッテル貼り
(詳細は本書を)
■3.数値化し、グレーゾーンを見つける
「全か無か」「成功か失敗か」など2つに分かれている思考の確信度を、0〜100%の間で数値化してみる方法である。つまり、「何もやらなかったのと同じ」「自分は何もできない人間」は果たして本当にそうなのか、洗い出してみるのだ。
仕事で失敗したなら、その失敗が何%ぐらいなのかを考えてみる。
「上司には叱られたけれど、お客様に納得してもらえたから40%ぐらいかな」
「他社に契約をとられたのは悔しいけれど、やれるだけのことはやったから、60%」
といった具合だ。(中略)
0から100を連続した数値で考えることで、物事は白か黒かという二択ではなく、グレーゾーンのほうが広いのだと気づくはずだ。そして、100%の失敗や過ちなどめったにないのだと悟るのである。
■4.「バルコニー思考法」で自分を上から眺めてみる
思い込みにどっぷりと浸かり、感情的になってしまうとき、人は自分しか見えていない。バルコニー思考法とは、自分で自分を俯瞰する方法である。家やマンションのバルコニーから見下ろすように、自分や物事を高い視点から観察してみる。客観的に自分を見つめ直すのである。(中略)
イライラしているときや怒っているときだけではなく、悲しいとき、悔しいとき、楽しいときなどあらゆる場面でバルコニー思考法は使える。自分を客観的に見つめられる習慣が身につけば、感情に流されず、思い込みのまま突っ走ることもなくなるだろう。
■5.姿勢を変えて、心を変える
まず足の裏を地面にぴったり着けながら、腰に力を入れる、余分な力は抜き、まっすぐに立ってみよう。
次に両肩を真下に押す(筋肉で下げる、という感じ)と、足の裏までスーッと力が届き、足の裏がさらに地面を押すような感覚になるはずだ。そして、体の中心に1本の軸が通ったことが実感できるだろう。(中略)
重心を落とせば、余計な力も抜けて、身体もリラックス状態に向かっていくはずだ。
この動作は、普段何気なく動かしている身体を、自分の意思でコントロールする方法である。
たとえば緊張すると、足元がフワフワして、自分の身体が自分のものではないような感覚になってしまうが、この姿勢をとると自分の身体の感覚を取り戻すことができる。
【感想】
◆上記ポイントの1番目に出てくる「人生脚本」とは、交流分析で著名なエリック・バーンが提唱した「心理的プログラム」のこと。人生脚本(交流分析) - Wikipedia
人は、さまざまな体験を通じて感じたことをもとに、「自分はきっと、こんな人生を送るだろう」という「脚本」を、無意識のうちに書き、それに沿った人生を歩むのだそう。
この人生脚本は、主に7歳くらいまでの幼少期につくられ、特に影響を与えるのが、親による「禁止令」なのだとか。
たとえば、上記ポイントの1番目にある「子どもであるな」とは、下に弟や妹がいると、親に「あなたはお姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」等言われるようなパターンです。
この禁止令を持つ人は、早い段階で自立を促され、子どものころにのびのび過ごせなかったため、「堅物」になりやすい傾向がある、とのこと。
◆実は、この人生脚本に影響を与えるものには、「禁止令」以外に「ドライバー」というものもあります。
ドライバーには、以下の5つがあるのだとか。
「完全であれ」「喜ばせろ」「努力せよ」「強くあれ」「急げ」
たとえば、親や先生に「しっかり勉強して、いい大学に入れ」と言われたら、それは「完全であれ」のドライバーに該当します。
本書では、各「ドライバー」を持った人の特徴を、「言葉」「話し方」「身振り」「姿勢」「表情」等から解説。
……この辺は、自分がどれに該当するかは人それぞれであり、全部を掘り下げる訳にもいかないので、丸ごとカットしてしまいました。
◆さらに、ここから「人生脚本」を遂行するための「ゲーム」のお話も登場します。
「ゲーム」とは、簡単に言うと「報酬を得るためにある行動を繰り返すこと」なんですが、たとえば、「手柄は自分のもの」「失敗は部下のせい」というような上司は、責任回避のゲーム「私は悪くない」を演じている、とのこと。
前述のエリック・バーンは、こうした「ゲーム」を30以上も挙げており、本書ではそのうちの7つが紹介されています。
「どうせ私はダメだから」「土下座しろ!」「なんで返事くれないの」等々、いかにも周囲にもいそうなものばかり。
問題は、「ここまででも、まだ第1章である」ということで、ホントはここからが本番なんですが(涙目)。
◆続く第2章と第3章が「思い込み」の解説と分析。
上記ポイントの2番目の「『思考のゆがみ』9パターン」は第3章に収録されており、それを受けて第4章では、それぞれの「ゆがみ」の対処法が述べられているという仕様。
そして上記ポイントの3番目は、ポイントの2番目にある「白黒思考・全か無か思考(完璧主義)」の対策の1つになります。
実は、この「白黒思考〜」の対策は他に2つあり、それぞれ「減点方式をやめて、加点方式に変える」「円グラフ法」というものなのですが、ぶっちゃけどちらも興味深くて付箋を貼ったものの、さすがにここばかり抜き出すわけにもいきませんでした。
その後もこの調子で9パターン分、対策が述べられているのですから、正直ここだけにフォーカスして、記事を書いた方が良かったのではないか、と(今さらw)。
◆さらに第5章では、より根本的に思い込みを治療するための方法が登場。
そのうちの1つが上記ポイントの5番目なのですが、これなどは、たとえば「なぜか本番に弱い人」という「人生脚本」を持った人に有効です。
ただ、ある「対策」が、特定の「人生脚本」や「思考のゆがみ」に効果があっても、違うものには意味がなかったりするので、本書全体を通じて活用できる人、というのは基本的に少ないハズ。
もっとも、自分が上手くいかない原因に、この「人生脚本」があり、本書の一部分だけでもそこに効いたのであれば、それはそれで「余裕でペイした」と言えるでしょう。
そもそも、「自分がどのパターンに当てはまるか」から、本書でじっくりご確認頂きたいところですが。
「思い込み」に対処して、人生を変えたい人に!
人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学
はじめに なぜ、あなたの人生はいつまでたっても変わらないのか?
第1章 人生は「自分で書いた脚本」どおりに進む
第2章 人生脚本は多くの「思い込み」でできている
第3章 人生を支配する「思い込み」の正体
第4章 「思い込み体質」を改善して人生を変える
第5章 思い込みを利用すれば、人生はもっとうまくいく
【関連記事】
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【幸せ】『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』本田直之(2012年06月15日)
【編集後記】
◆今日の本に関連して、セール対象となっているKindle本を。「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室 (中経出版)
パッと見、星の数が微妙ですが、1人、星1つを付けている微妙なレビュアーがいるせいなんですよね……。
なお、レビューは上記関連記事にて。
ご声援ありがとうございました!
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