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2015年06月05日

【プロの心理術?】『限りなく黒に近いグレーな心理術』メンタリストDaiGo


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限りなく黒に近いグレーな心理術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも評判だった1冊。

今やビジネスシーンで活躍されているメンタリストDaiGoさんが、「プロ」が駆使している心理術を解説してくれています。

アマゾンの内容紹介から。
思いのままに動かしたのに感謝されちゃう!なぜか人気の繁盛店、百戦錬磨のビジネスマン、天使のふりした悪女…うまい人がやってる「グレーな手口」を、「メンタリズム」で丸ごと解き明かす!

『影響力の武器』あたりが好きな方なら、ツボかもしれません!





Salesman & New Owner / Belly Acres


【ポイント】

■1.相手を迷わせてから、判断を手助けする
人は判断に迷う状況に身を置くと、考えるのが面倒になり、差し出された答えに賛同しやすくなります。
 それも自分に知識が不足している場合ほど、専門家からの意見に流されやすくなることもわかっています。(中略)
 ニセの投資話の被害者に「なぜ、投資案件に乗ってしまったのか」を聞くと、「信頼できる人からすすめられたから」という答えが返ってきます。知識の豊富な専門家だから、親身になって相談に乗ってくれた人だから、昔お世話になった人だから。こうした要素が安心を生み、正しい判断を鈍らせるのです。


■2.高額商品は切りのいい数字を提示する
人は端数が1998円、2980円とごちゃごちゃした数字になっていると、その商品を安くておトクだと認識します。(中略)
 一方、何十万円、何百万円する高級品に関しては、端数を000円で揃えたほうが、高級感が高まることもわかっています。38万円よりも50万円、198万円よりも200万円。切りのいい数字に切り上げられているほうが、人はそこに対価を払うだけの価値があると考えます。ハイブランドの値札は税抜き表示が多いのも、そのためです。
 高いから信用できる、高いから品質がいい、高いから満足できる。こうした心理をくすぐる値付けが、名誉価格です。


■3.聞き手が警戒しているときは早口で
じつは、長らく説得力の高まる話し方はゆっくりとした口調だとされてきました。
 ところが、最新の研究では早口でまくし立てるほうが聴衆を説得できることがわかってきたのです。それも聞き手が警戒している間ほど早口のほうがよく、相手が心を許してきたら遅くしていくというリズムが最も説得力の高い話し方となります。
 早口が効果的なのは、相手に批判的なことを考える隙を与えないからです。一気に客観的に感じる情報などを語りかけ、相手が前のめりになるなど、聞く体制になったところで、ゆっくりと本当に伝えたいメッセージを入れていきます。


■4.事前に流れる情報が重苦しいほど、CMの効果は上がる
 また、テレビを見ていて、こんな疑問を感じることはありませんか?
 テロリストによる人質殺害事件の特集の後、交際相手を殺害した容疑者のニュースが流れ、スタジオに重苦しい雰囲気が残るなか、キャスターが「いったん、CMです」と告げます。すると、次の瞬間、画面には疾走する高級車が映し出され、運転席に座った美男が、助手席の美女に笑いかける……。
 果たして、こんな悲惨なニュースの後で高級車のコマーシャルを流し、欲しいと思う人がいるのでしょうか。じつは事前に流れる情報が重苦しいほど、コマーシャルの効果は上がるということが実証されています。


■5.お金以外のものに変換して、お金を使うことに対する抵抗を減らす
 たとえば、海外に行ってカジノで遊んだ経験のある方はご存じだと思いますが、店内の雰囲気と比べて使われているチップは非常に安っぽい場合がほとんど。豪華な内装と贅沢なサービスを提供しているのに、なぜ、チップはプラスチック製なのでしようか。もちろん、そこには心理的な誘導があります。
 もし、日頃使っている現金のまま賭けていたら、「あの金で何々ができる」と考え、賭け金を引き上げることに抵抗を感じます。しかし、現金から安っぽいチップに両替した途端、通貨価値は変わらないはずが、見た目の違いから賭けることへの抵抗感が一気に下がってしまうのです。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、本書を読んでまず頭に浮かんだのが、お馴染みのこの本でした。

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影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

ただし、この『影響力の武器』が、1つの心理テクニックを挙げるのに、基本的に1つの実験やエピソードを挙げているのに対して、本書は1つのエピソードで5つも6つも「テクニック」が登場する仕様。

たとえば、本書の初っ端に登場するレストランでのエピソードでは、「初頭効果」、「ゴルディロックス効果」、「返報性の法則」、「単純接触効果」、「混乱法」、「社会的証明」、「クロスセル」、「コントラストの原理」と、てんこもりです。

続く「新車購入」のエピソードでも、前述のものに加え、「一貫性の原理」、「リスクリバーサル」、「ローボールテクニック」と「いかにも」な手口が明かされるという……。

一応、これらのテクニックは、エピソードに続く解説部分でしっかり「種明かし」がされていますので、知らないものがあれば、詳細はそちらにてご確認を。


◆私自身、本書を読んで初めて知った「心理術」がいくつかありました。

たとえば、上記ポイントの2番目の「高額商品は切りのいい数字」というのは、言われてみたら、なるほど確かに。

また、ポイントの3番目の「聞き手が警戒している間は早口で」というのも、私は初耳でした。

考えてみれば、『影響力の武器』の初版が出てから、四半世紀近く経っているわけで、それは新たなテクニックが生み出されていてもおかしくないかと。

もちろん、『影響力の武器』も改訂によってアップデートしており、現在は[第三版]になっていますが。


◆ちなみにこれらのエピソードは、各章2つずつで、本書では合計12個が収録されています。

これらの中で、「いかにも日本的」だと思われるのが、「SCENE5欲望*弱みにつけこむ詐欺師の罠」に登場する「SNS課金」のお話。

私は自分が課金ゲームをやらないため、今ひとつピンと来ませんでしたが、ログインした途端に「●●さん、ひと勝負行きましょう!」「●●さん、一緒にきてもらえませんか」と声を掛けられたら、それはハマります罠。

特に、現実世界であまりコミュニケーションを取っていなければ、なおさらのこと。

以前読んだこの本によると、ドワンゴの中では「ブラウザ三国志」への資金投下は、「給与の2割まで認める」ことになっていたそうですがw

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ルールを変える思考法 (角川EPUB選書)

参考記事:【スゴ本!?】『ルールを変える思考法』川上量生(2013年10月10日)


◆また、これまた「日本的」(?)なのが、「SCENE3男女関係*いいコのフリした悪女の手口」に登場する「取引先でアルバイト中の大学生のコ」。

年齢的にも、シチュエーション的にも、「プロ」ではないのが明らかなんですが、素人でもこうやって、男の気を引いて、食事やらプレゼントを引っ張るんだな、と。

特に「色気」を使っているわけでもなく、相手の好意を利用しただけなのですが、そりゃそのコに気がある男性なら、いいなりになっちゃいますって……。

ただし、あくまで男性の方から「自分の意思で」、そうしようとさせているのがスゴイです。

まさに「悪女」!

男性の皆様におかれましては、願わくば本書を読んで、こういう女性にはひっかからないで頂きたく……。


◆なお、本書に登場するこうした「テクニック」は、各章の最後に用語説明が付されていますので、知らなかったり、知識があいまいなものがあれば、そちらで即、調べられるようになっています。

ただ、これらは特に「メンタリズム」というワケではなく、「プロが駆使する心理術」といったほうが良さげ。

『影響力の武器』が500ページ弱で述べていたことのエッセンスを、その半分のページに凝縮して盛り込んだ感じです。

個人的には「EPISODE11 夫婦のすれ違い編」だけは、あまりしっくりきませんでした(普通に男女の性差の話だと思います)が、それ以外のエピソードは、一読の価値があるかと。

皆が皆、『影響力の武器』のような厚い本を読むわけでもないでしょうから、むしろ本書の方がバカ売れしても不思議はありませぬ。


プロに騙されないために、読んでおきたい1冊!

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限りなく黒に近いグレーな心理術
SCENE1消費*なぜか人気の繁盛店の仕掛け
SCENE2仕事*百戦錬磨のビジネスマンの戦略
SCENE3男女関係*いいコのフリした悪女の手口
SCENE4集団*大入り満席のセミナーの秘密
SCENE5欲望*弱みにつけこむ詐欺師の罠
SCENE6自分*うまくいかないあなたの理由


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この『最強交渉人が使っている 一瞬で心を動かす技術』がすごい!!(2012年05月15日)


【編集後記】

◆本書は「エピソード中心」という意味では、むしろ『影響力の武器』より、こちらに近かったかも。

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影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

レビューは上記関連記事にて。


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