2015年05月28日
【勉強法】『暗記が苦手な人の3ステップ記憶勉強術』宇都出雅巳

暗記が苦手な人の3ステップ記憶勉強術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、勉強本好きにはお馴染みの、宇都出雅巳さんの最新刊。本書は、2013年に同じ宇都出さんによって書かれた『なるほど! 合格勉強術』の続編に位置づけられるものであり、より一層実践的になっております。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
記憶を活用することで、ほんのちょっとしたスキマ時間でも、机に向かわなくても勉強できる。
それが、3ステップ記憶勉強術。
「1思い出す→2問いに変える→3ざっくり読む」の3ステップをぐるぐるくり返すことで、がんばらなくても覚えられる!
マーキングや書き込みの具体例まで収録されており、まさに「手取り足取り」な1冊です!

CL Society 334: Walking and reading / francisco_osorio
【ポイント】
■1.考えないでとにかく読む3ステップ記憶勉強術の3つのステップには、「解く」というステップはありません。それは過去問は「解く」のではなく、「読む」からです。
ラクに問題文を読めてさっさと解けるのであれば、解いても構いません。ただし、がんばって解こうとか、考えて解くことはやめるということです。(中略)
なぜなら、考えるにしても、必要な知識がないとムダな時間が増えるからです。(中略)
基本的な知識がない人、少ない人が、一生懸命考えて解こうとするのは、道具や武器を持たずに何かに取り組もうとするのと同じことです。まずは、わからなければ解答・解説を見て、少しでも道具や武器を持ってから戦えばいいのです。
■2.読みながらあれこれ書き込む
「ざっくり読む」のなかで、とりわけ「構造を読む」場合は、読むと同時にあれこれ書き込むことが大事になります。
○で囲んだり、アンダーラインを引くことは、よく行なわれますが、そのほか、長い文章のなかの区切りや、文章と文章の間に斜線を引いておくことで、文章は一気に読みやすくなります。
たとえば、2ケタの数字同士のかけ算を計算するなとき、暗算の得意な人は別として、普通の人にはけっこうきついですよね。でも、メモ用紙に筆算で計算したり、途中の数字を少し書きとめておければ、かなりラクに計算できると思います。
文章にあれこれ書き込みをするのは、これと同じようなことを行なうことなのです。そうすることで脳のメモリが解放され、より内容を理解するほうに使えるのです。
■3.目次項目は記憶術で覚える
まずは、記憶術で記憶する対象を絞りに絞ること。しかも、理解して記憶できるものではなく、無意味なものにすること。そこで記憶術の対象として浮かびあがってきたのが、タイトルや見出しなどの目次項目だったのです。
目次項目であれば、数は一気に絞り込むことができます。そして、理解すれば意味あるものになりますが、最初、勉強しはじめるときにはチンプンカンプンで無意味にしか見えないものです。
だからこそ、記憶術を使うタイミングが重要です。多くの記憶術本ではある程度、理解が進んだ段階で、試験本番に備えるために記憶術を使うというのが一般的です。しかし、「目次イメージ記憶法」は、理解する前、テキストや問題集を買ってきたその日など、できるだけ早い段階で記憶することを勧めているのです。
■4.復習のタイミングは「皿回し」のイメージで
よく、1日後、1週間後、1か月後、3か月後の4回復習すれば大丈夫なんていう勉強法がありますが、私の体験から考えても、それでは試験に通用しません。
そこで、私がお伝えしているのが、「皿回し」の感覚です。たくさんの棒の上で同時に皿をまわす「皿回し」です。ある程度くり返していれば、少しの間、放置しておいてもまわり続けます。しかし、放置しすぎると皿は落ちてしまいます。「落ちそうかな……」と、気になったらすかさず3ステップを行なってまわすわけです。
このためには全範囲をざっとでも常に意識することが必須です。そのために使えるのが目次です。目次だけでも必ず1日1回は思い出す、ざっくり読むことで、どの皿をまわさなければいけないか、どの皿は少し放置しておいてもいいのかがわかるのです。
■5.ある部分の内容を要約する
そうやってだんだんと細かいところまで押えたうえで、おススメしたい思い出し方が、「要約する」です。簡単に言えば、「要するに……」「一言でいえば……」という形で、ある部分の内容を表現することです。
これまでに、「○○って何だろう?」と問いに変えながら、だんだんと具体的な細かい知識誠に入っていった流れを逆に向かわせるのです。これによって、知識の抽象化が進み、より理解が深まります。記憶と理解と同様、具体化と抽象化の好循環を起こしていくことがカギとなります。
【感想】
◆当ブログでは、比較的多く勉強本をご紹介して参りましたが、その中でも、最も多くの勉強本をレビューしているのが、今回の宇都出雅巳さんだと思います。しかも、もっとも最初に書いた記事は、2005年4月という大昔!?
その時に取り上げたネット書籍は、その後『速読勉強術』となり、下記エントリーにもあるように、司法試験合格者のsunさんが「勉強方法を考える上で役立った本」の1冊として推薦されています。
勉強方法を考える上で役立った本: 新・単なる勉強記録
私自身、税理士試験の勉強においては、この宇都出さんのスタイルに近いものであったことで親近感を覚え、その後現在に至るまで、勉強本を出されるたびに、チェックしている次第。
過去問やテキストに、大胆に書き込みを行なったり、マーキングをするそのやり方は、理にかなったものだと思います。
◆ただし、文章であれこれ解説するより、実際の書き込みを見てもらった方が、手っ取り早いのも、また事実。
そこで本書では、同じ版元のテキストや問題集のページを使って、「こうやってやるんだ」という書き込み例を収録しています。
それも、出題形式に合わせて3パターン。

FP技能士3級 合格マイスター 過去問&予想模試 '14−'15年版

上・中級公務員試験 20日間で学ぶ日本史・世界史(文学・芸術)の基礎 (上・中級公務員試験 3)

新TOEICテスト英単語・英熟語の忘れない覚え方
ちなみに、センター試験用の数学の問題も掲載されていましたが、出典の記載がないので、それだけはオリジナルなのかもしれません。
◆なお、こうした各種試験の勉強法を具体的に初歩から説明するため、本書では「架空の家族である山田家」の人物が4人登場します。
それぞれが、上記のテキスト通り「FP3級」、「公務員試験」「TOEIC」「大学入試センター試験」を受けるため、宇都出さんに「個別指導」を受けるという設定。
各人との会話形式による導入部分と、宇都出さんの解説、さらには上記で触れた書き込み例をまじえて、理解を深めていく、という仕様です。
これらの試験を受ける方なら、直接的にノウハウを吸収できること必至ですし、それ以外の試験の方でも、出題形式に合わせて、読み替えて頂ければ、と。
……さすがに、税理士試験のような「ほぼ全部記述式」の場合は、少々難しそうですけど、目次のマーキングや覚え方等は、しっかり参考になると思います。
◆その目次の覚え方で「目からウロコ」だったのが、上記ポイントの3番目の「目次項目は記憶術で覚える」というお話。
目次を攻略するのは、内容を理解する前なので、とにかく「丸暗記」する必要があります。
そこで登場するのが「目次イメージ記憶法」。
これは、俗に「場所法」ですとか「基礎結合法」と呼ばれる、「イメージを場所に結びつける」やり方です。
場所法(記憶術) - Wikipedia
本書では、実際に覚えるべき項目と、家の周りの場所を結びつけるやり方を丁寧に解説してくれています。
そして、こうして覚えた目次項目が「足場」となって、その後のテキスト暗記に役立つという。
なるほど、確かに!
◆なお、書影にうっすら見えるように(?)、読者プレゼントとして、「3ステップ記憶勉強術 実演解説動画」がウェブにて提供されています。
メールアドレスの登録が必要なので、私は申し込んでおりませんが(スイマセンw)、興味のある方は、実際にお申し込みを。
ただ、イラストや図解を多用したり、会話形式を取り入れているため、本書を読むだけでも、十分理解できるとは思います。
もちろん、過去の宇都出さんの著作とのネタかぶりは、ある程度はありますので、その辺はご留意を。
個人的には「高速大量回転法」の頃から比較すると、宇都出さんの勉強法も、より幅広く、より深くなったと感じましたが。
実際に受験をされる方なら、一読の価値アリ!

暗記が苦手な人の3ステップ記憶勉強術
1.3ステップ記憶勉強術 基本のしくみ
2.3ステップ記憶勉強術 【基本編】目次の読み方
3.3ステップ記憶勉強術 【基本編】
4.3ステップ記憶勉強術 【基本編】
5.3ステップ記憶勉強術 【上級編】
6.3ステップ記憶勉強術 【上級編】
7.3ステップ記憶勉強術 【上級編】
8.3ステップ記憶勉強術 【上級編】
9.3ステップ記憶勉強術 【応用編(1)】
10.3ステップ記憶勉強術 【応用編(2)】
11.3ステップ記憶勉強術 勉強法、その先へ
【関連記事】
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【力作!】『合格(ウカ)る技術』宇都出雅巳(2011年02月24日)
「速読勉強術」宇都出雅巳(2007年02月03日)
【編集後記】
◆冒頭で触れたように、本書の前篇に当たる作品がこちら。
なるほど! 合格勉強術
未読の方は、本書と併せてご覧ください(レビューは上記関連記事にございます)。

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