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2015年05月15日

【やる気UP!】『「やる気」が出る心理学』中越裕史


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「やる気」が出る心理学


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、以前、「未読本・気になる本」の記事で取り上げたものの、その後すっかり忘れていた1冊。

昨日の記事で取り上げた「スキルアップ」同様、当ブログでは「やる気」も人気のテーマです。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「どんなときも、自分自身の感覚を信じること」。あれこれ考えすぎるのをやめて、「今、自分がどう感じているのか?」。まずは、それを指標にすること。やる気の出ない自分に向き合い、自分なりのやる気の出し方を考えるきっかけをつかむために、一つの基本的な原則を示す。

なお、Kindle版は、今しばしお待ちください。





September 13, 2013 at 09:58PM / Arya Ziai


【ポイント】

■1.やる気の出し方はオーダーメイド
 僕たちは普段、食べ物なら「甘い物が好き」「辛い物が好き」と自分の個性を尊重できるし、恋愛でも「筋肉質な男性が好き」「ぽっちゃりした女性が好き」など、自分の好みを尊重できます。
 そんなものは個人の好みの問題であって、他人にどうこう言われる問題でもないし、何か絶対的に正しい好きな食べ物とか、異性のタイプなどがあるわけではありません。
 やる気もそれと同じです。やる気の出し方は十人十色。本当に個性が色濃く反映されます。上司や先輩、世にいう成功者のやる気の出し方が僕たちにも合うかというと、そんなことはありません。
 だから、やる気を出したいと思うのであれば、人の意見に左右されることなく、自分なりのやる気の出し方を、オーダーメイドする必要があるのです。


■2.解決志向ブリーフセラピーに学ぶ、やる気の出し方
 解決志向ブリーフセラピーには、非常にシンプルで現実に即した、中心哲学となる3つのルールがあります。それは、
<ルール1> もしうまくいっているなら、それを変えようとするな。
<ルール2> もし1度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
<ルール3> もしうまくいってないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ。
 というものです。自分のモチべーション・スタイルを考えるとき、この考え方は非常に有効です。

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森・黒沢のワークショップで学ぶ解決志向ブリーフセラピー


■3.うまくいっていないにもかかわらず続けていることを書き出す
「愚痴っぽいことばかり書いてしまう……」という人もいるかもしれませんが、それはそれでかまいません。そういうときはぜひ愚痴でもいいので、思いつくままたくさん書いてみてください。その中で、1つでも今すぐ役に立つものがあればそれでいいのです。
 それに愚痴ばかりが出てしまうというのは、自分自身の働き方を根本から見つめ直すための、よいきっかけになるときかもしれません。(中略)
 今の職場ではどうしてもやる気が出ない。にもかかわらず、ずっと働き続けてしまっている。そういう自分自身に気づいたときは、もっと自分に合った職場環境を探してみるのも、1つの方法ですよ。「もしうまくいってないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ」ですからね。


■4.疲れてやる気が出ないときは、しっかり休みを取る
 心身が疲れているとき、無意識はこれ以上無理をさせないように、僕たちからやる気を奪います。だから、やる気が出ないというのは、ある意味、僕たちを守る心の働きなのです。
 こうなると、いくら意識で無理矢理に自分を奮い立たせて、やる気を出そうとしても、僕たちの思う通りにはいきません。こういう状況では意識と無意識では、無意識のほうが圧倒的に主導権を握っています。体を守るという無意識の働きは、動物として最も大切なことですから当然です。
 疲れているから、やる気が出ない。それは意識ではどうにもできないことで、強い意志など関係ないのです。たとえ焦る気持ち、みんなに置いていかれる気持ちがあったとしても、勇気を持って休みを取る。これ以外にやる気を回復させる方法はありません。


■5.楽しいはずなのに面倒でやっていないことをする
 実際のカウンセリングの中でも、「若いころは映画好きで、1人でよく映画館に通ったものですよ。でも、今はDVDで済ましてしまって……」とか、「学生時代は一人旅とかよくしたし、今でも行ってみれば楽しいと思うのですが……」という方は、かなり多いです。
 そういう方々に共通するのは、「やってみたら絶対に楽しいとは思うのですが……」という言葉です。
 そういうときはカウンセリングの中で、「では今回のカウンセリングの宿題として、次回来られるまでに、1人で映画館に行ってきてもらえますか?」と課題を出したりします。(中略)
 やってみたら絶対に楽しいと思うけれど、腰が重くてやっていないこと。そういうことは大幅に心のエネルギーを回復させるんですよ。


【感想】

◆本書の著者である中越さんが、働く人のカウンセリング、特にやる気に関する相談を受けていて感じるのが、上司や先輩等、立場が上の人に言われたアドバイスや、著名経営者等のビジネス書に書いてあるアドバイスに、必要以上に影響を受けていることが多い、ということなのだそう。

確かに後者の場合、「ガンガン目標を達成する」的な趣旨のものは多いですし、当ブログでも、そういう本をご紹介したことは多々ありました。

もちろん、達成動機の強い人ならば、それでも問題はありませんが、そうでない人も当然いるわけです。

結局、人はそれぞれ独自の「モチベーション・スタイル」があり、それはあくまで今の自分にとって、心の芯から納得できるやり方であること。

それこそまさに、上記ポイントの1番目で言われていることになります。


◆本書の第1章では、具体的に「オーダーメイドのやる気の出し方」を模索。

まずは、自分自身のことを紙に書き出してみます。

「この1週間でやる気の出たこと」。

「今までの人生でやる気があったとき」。

そして、上記ポイントの3番目にある「うまくいっていないにもかかわらず続けていること」等々。

これらを踏まえて、「今の自分が取り入れてみたいと思うモチベーション・スタイル」を決定するわけです。


◆一方、このモチベーション・スタイルを実行してもやる気が出ない場合、まず考えるべきは、「疲れが溜まっていないか」ということ。

本書の第2章では「モチベーション・リカバーでやる気回復!」と題して、こうした「疲れ」の対処策に言及しています。

問題は、肉体的な疲労だけでなく、精神的なストレスもやる気を損なうということ。

そういえば、この本には「金銭的なトラブルを抱えると、情報処理能力が落ちる」というお話がありましたね。

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いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学

参考記事:【オススメ!】『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール(2015年03月01日)

いずれにせよ、プライベートなトラブルは、やる気に影響を与えます。

それを「プライベートで嫌なことがあったからといって、仕事のやる気がなくなるなんて、甘い事は言ってられない!」と自分に鞭打ち、さらにイライラすることで、より一層プライベートが悪化する……といった事態はさけて頂きたく。


◆ちなみに、割愛した中で興味深かったのが、「モチベーション経費」という考え方です。

これは「やる気を出すためにお金を使うこと」であり、実際、ある程度やる気に対してお金を使ったほうが、うまくやる気を出せる人が多いのだそう。

確かに、高い文房具を使うことで、やる気が出る、という話や、ホテルのカフェで仕事をすると捗る、という話はよく聞くところ。

同じように、旅行やマッサージに行くことで、やる気がでるのなら、立派な「モチベーション経費」です。

中越さんご自身は、サラリーマン時代、少し高めのビジネスバッグを使っていた、とのこと。

それでやる気が高まるなら、こういった経費は決して無駄遣いではなく、むしろ費用対効果が高いと言えるワケなので、積極的に導入したいものです。

……私も痩せたおかげで既製品が着れるようになったので、久しぶりにちょっと高めのスーツを新調しちゃいましたし(ヨメには内緒でw)。


◆ちなみに当ブログでは、「やる気」に関する科学的なアプローチをした本として、以前この作品をご紹介しました。

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ヤル気の科学―行動経済学が教える成功の秘訣

参考記事:【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

この本はこの本で、確かに「スゴ本」なのですが、あくまでこれも「ビジネス書のアドバイス」に過ぎません。

「実験結果ではこうなのかー」と鵜呑みにすることなく、あくまで「心の芯から納得できるやり方」かどうかを検討すべき。

本書はきっと、その手助けをしてくれると思います。


やる気を回復するために!

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「やる気」が出る心理学
第1章 モチベーション・スタイルを創ろう!

第2章 モチベーション・リカバーでやる気回復!

第3章 仕事の意味が見つかるモチベーション・ロゴス

終章 まとめ


【関連記事】

【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

【140の戦略?】『説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム』スーザン・ワインチェンク(2014年01月19日)

【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)

【スゴ本!】『やってのける 〜意志力を使わずに自分を動かす〜』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2013年09月24日)

【はてブ3000超!】ダニエル・ピンクの新作『モチベーション3.0』がついに登場!(2010年07月06日)


【編集後記】

◆自分ではなく、相手に「やる気」を出させたい場合なら、こちらを。

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説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

レビューは上記関連記事にて。


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