2015年05月11日
【思考法?】『東大医学部式 非常識な勉強法』岩波邦明

東大医学部式 非常識な勉強法 (イースト新書Q)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、以前『東大医学部生だけが知る 超・知的生産法』をレビューしたことのある、岩波邦明さんの新刊。タイトルは思いっきり「勉強本」のようですが、以下にあるように「思想論」的な内容になります。
アマゾンの内容紹介から。
東大模試で「E判定(合格率0~20%)」という結果が出てから、たった1年の勉強で東大理3(医学部)に現役合格したのち、在学中に考案した「岩波メソッドゴースト暗算」のヒットで起業にも成功した著者の実体験から考え出したノウハウとは。逆境を乗り越える方法、圧倒的スピードで成長する方法、最高のパフォーマンスを実現する方法、やる気をアップする方法、知的生産力を高める方法、100%結果を出す方法など、30の「非常識な思想論」。
ただ、これこそ勉強をする上での「インフラ整備」な気が!?

Study study. / lethaargic
【ポイント】
■1.「問いの明確化」で具体的で意味のある質問に言い換えるたとえば、「人生に意味はあるか」という問いは一見、問いとして成立していそうに見えますが、内容があいまいすぎて、じつはまったく問いとして成立していません。
なぜなら、「意味」という言葉の意味が、そもそもあいまいだからです。
しかし、これを「自分は人生のなかで、自分が"生きててよかった"と思えることを得られるだろうか」といったふうに問いを変えれば内容が具体的になるため、論理的に答えを出していくことができます。
このように、「あいまいで無意味な質問」を「具体的で意味ある質問」に言い換える技術が、「問いの明確化」です。
■2.「失敗の原因」である「小さなあきらめ」をなくす
やはり、努力が続けられない理由の大半は、大きなあきらめではなく、日々のちょっとした「小さなあきらめ」からきているのです。大きなあきらめというのはそう多くあるものではありませんが、日常のなかでの小さな気のゆるみやあきらめというのは、それこそ星の数ほど存在します。そういった小さいあきらめがきっかけとなって、長々と休んでしまったり、小さいあきらめが積み重なって、やるべきことができなかったりするものです。
■3.自分の内面のみを「改善」する
私は世界とは「内面」「外側の環境」の2つの因子で構成されていると思っています。そして、つねに「内面」のほう、すなわち己の改善にのみ目を向けて生きるように心がけています。
そして、時に改善とは闘いになります。なぜなら、「外側の環境」が荒れまくっているときでも、それにじっと耐えながら「内面」を失わず、磨こうとしなければならないからです。
たとえば、ものすごく忙しくなったり、トラブルがいくつも重なったりすれば、どうしても「外側の環境」のほうしか考えられなくなるものです。しかし、そんなときこそ「内面」に目を向けて、自分のどこを改善すれば解決できるのかをじっくり分析すべきです。
■4.減点にこだわらず、自分のMAXを上げる
ものごとは、いかに減点を抑えるかというより、そもそもの「自分のMAXキャパシティ」を上げる努力をしてしまったほうが結果的にうまくいくということは、往々にしてあると思います。
小さな自分のままで減点にこだわるよりも、自分のレべルを上げれば減点の許容範囲も伸び、結果的にのびのび仕事ができて、さらに自分の伸びししろが増えていくという好循環に入れるからです。これは「己の改善」とも直結するテーマです。
結局、いちばん大事なのは「いかに最低限をメンテナンスするか」なのですが、その最低限を維持するために、逆に攻めの思想である"足し算の発想"で100点満点を120点、150点にしてやる、という気概が大事だということです。
■5.脳に入るインプット変数を変える
たとえば、環境を何も変えずに「明日から俺は心機一転、頑張るぞ」と思っても、実際は何も変わらないということがよくあります。
一方、作業スペースを変えたり風邪が治ったりするだけでパフォーマンスが急によくなったりします。
これは脳に入るインプット変数(目から入る情報、耳から聞こえる情報、仕事中の体の姿勢、締め切りなどのプレッシャーの有無、ご飯からくる栄養レべルなど)を変えることでしか人間のアウトプット(仕事量、行動)は変わらないということを表しているといえます。
ですから、いまの自分の生活では脳にどんな変数がインプットされているのかということを考えて、たとえばスマートフォンで1日3時間遊んでしまうのであれば、それを1時間に変えるとか、そういった「変数いじり」をすることが有効なのです。
【感想】
◆冒頭で触れたように、本書は「勉強法」の本ではありません。これは実は、本書の「はじめに」の冒頭でも、しっかりと
この本のタイトルは「非常識な勉強法」ですが、本書はいわゆる受験や資格試験のノウハウ本ではありません。と書いてあり、そういう意味では、良心的です。
とは言え、タイトルの最初に「東大医学部式」とあって、それに続いて「非常識な勉強法」と謳っていたら、ここまで「非勉強法」な内容だとは思わない方がほとんどかと。
というより、少なくとも「はじめに」をチラっとでも見ない限りは、まずは分からないでしょう。
「オトナの事情」
……こういう「タイトルと内容のアンマッチ」のパターンは、アマゾンレビューで荒れやすい気が。
◆それでも、「勉強にも関係ありそうじゃね?」と思った中から拾ったのが、上記の5つのポイントです。
こういった「試験に直接的には関係ない」ものの、考え方や習慣を変えるTIPSというのは、広い意味で「勉強をする上でのインフラを整える」と言えるのではないでしょうか。
実際、冒頭でご紹介した岩波さんのこの本でも、私が注目したのは「集中術」という「インフラ」でしたし。

東大医学部生だけが知る 超・知的生産法 (角川新書)
参考記事:【超集中力!?】『東大医学部生だけが知る 超・知的生産法』に学ぶ5つの集中術(2015年03月07日)
もっとも、岩波さんの本当の意味での勉強本は、今のところはこちらになるんでしょうが。

〔図解〕合格判定0%から1年で東大医学部に合格した人の秘密の勉強法
◆また、本書の特徴として、岩波さんがさまざまな出来事やコンテンツから得た「気づき」が収録されている事が挙げられます。
例えば、大ヒットマンガである『HUNTER×HUNTER』では、武道の達人であるアイザック=ネテロというキャラクターが極めた「感謝の正拳突き」という技から、ある示唆を得たとのこと。
この「感謝の正拳突き」というのは、自分を育ててくれた武道に恩を返そうと、1日1万回の正拳突きする、というもので、1回の正拳突きに当初5〜6秒かかり、初日は18時間以上費やしました。
ところが、愚直に丁寧に続けた結果、2年後には正拳突き1万回が、1時間を切るようになります。
ここから岩波さんは、「力をつけるには、『質から速度』の順番である」と悟ったとのこと(詳細は本書を)。
このように岩波さんは、日々の暮らしの中からも「本質」を得ようとされているそうです。
◆なお、本書のもう1つの特徴として、各項目ごとに、関連する岩波さんのツイートも収録。
たとえば、上記のネテロのお話も、このようにつぶやいてらっしゃいます。
一つ一つの小さな作業や仕事を、なるべく、慎重に(丁寧に) やるべく、心掛けている。最初は時間がかかっても、挙動が丁寧である事が重要で、速度は後から上げられても、質は難しいと思う。 ハンターハンターのネテロの「正拳突き」と同じ感覚。 質から速度へ、の順序が大事だと思う。
— 岩波 邦明 (@kuniaki_iwanami) 2013, 3月 25
そもそも岩波さんのアカウント自体が、こうした「気づき」があるたびにつぶやいているそうなので、気になる方は要チェックで。
もちろん本書も、「勉強本」というよりは「自己啓発本」として得るところが多々ありますので、ご検討下さい!
さまざまな「気づき」が満載の1冊!

東大医学部式 非常識な勉強法 (イースト新書Q)
第1章 逆境を乗り越える
第2章 圧倒的スピードで成長する
第3章 最高のパフォーマンスを実現する
第4章 やる気をアップする
第5章 知的生産力を高める
第6章 100%結果を出す
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【努力術?】『努力が勝手に続いてしまう。---偏差値30からケンブリッジに受かった「ラクすぎる」努力術』塚本 亮(2015年01月29日)
【集中力】『精神科医が教える集中力のレッスン』西多昌規(2014年09月25日)
【編集後記】
◆今の岩波さんのお話を読んで、気になったのがこちら。
<面白さ>の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか (角川新書)
エンタメからも得るモノはありそうです!

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