2015年05月09日
『情報の「捨て方」』が想像以上に凄い件について
情報の「捨て方」 知的生産、私の方法 (角川新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で見かけて即ゲットしてしまった1冊。お馴染み成毛 眞さんが、ご自身の情報との付き合い方について、指南して下さっています。
アマゾンの内容紹介から。
新聞を読むな。BSテレビを観ろ。メモは「太赤マジック」で取れ。SNS上のバカは即刻「ブロックしてよし」―人生もビジネスも、どう“情報を捨てるか”で質が決まる。「良い情報を探す」前に、疑い、見極め、そうして活かせ。人、街、テレビ、ネット、スマホ…本当の知的生産をするための、「情報活用」以前の教科書。
なお、Kindle版が、既に発売済み。
また、タイトルは久し振りに「ホッテントリメーカー」」のお世話になりましたが、その通りなんで付箋も貼りまくっておりますw
Read / orangefan_2011
【ポイント】
■1.情報のS/N(シグナル・ノイズ)比を上げるでは、情報に使われる人を脱し、情報を使う人になるにはどうしたらいいか。
まずはすでに述べたように、触れる情報の内容を、質のいいものだけに絞ることです。自分でS/N比を上げるのです。不要なものには触れないこと、触れてしまったら捨てることです。1日中情報を追い求めるなど愚の骨頂。そんなことをする時間があるくらいなら、ほかの知的なこと、生産的なことをしたほうがずっといい。
■2.自分に意外性を持たせる
国内のオフィスでデスクワークに従事している人は、アフリカ経済や永久凍土の溶解などについて知ったほうがいいし、逆に、海外出張の多いビジネスマンは、海外の雑誌を読むよりもむしろ、歌舞伎や能など、日本文化のディープなところにどっぷり浸かるのがいいと私は思います。
自分に意外性を持たせることを意識するといってもいいかもしれません。自分の勤務先や肩書きとは、最も縁遠そうなところを攻めてみてはどうでしょうか。
そのギャップは人に「面白い人」というイメージを植え付けます。面白い人には面白い人が吸い寄せられ、そこでは面白い情報交換がされます。自分を面白い人にすることも、貫重な情報を入手するためのひとつの方法なのです。
■3.岐路に立たされたら「あの人だったら」を妄想する
このときの「あの人」は身近な上司や親ではありません。雲の上の存在と言われるような人たちです。
たとえば、坂本龍馬だったら、スティーブ・ジョブズだったら、マザー・テレサだったらどうするか。
そうやって妄想すると、「あ、これはないな」と選ぶべきでない選択肢が消えていきムダな情報をかき集めて思考することもなくなり、正しい決断が下せるものです。思い浮かべる雲の上の存在は、シーンごとに違っていて構いません。とにかく雲の上のそのまた上にいるような人になりきって考えます。
松下幸之助は、中国企業からのへッドハンティングに応じたでしょうか。答えは明白なはずです。
■4.自分の情報をアウトプットして反応を待つ
自分の持っている情報の価値に気づかないことは、よくあることなのです。その業界や社内では当たり前のことでも、一歩外に出ると驚愕されることはいくらでもあります。驚かれるということは、貴重な情報ということにほかなりません。
では、自分がそうと気づかずに持っている情報の価値は、どうやったら確かめられるのか。答えは簡単です。できるだけ広く、遠くに届くようにアウトプットし、反応を待つのです。
■5.教養の有無で、得た情報の活用範囲が異なる
同じ仕事をしている人たちの間で、得られる情報の量に大差がつくことはありません。しかし、その人に教養があるかないかで、得た情報の活用範囲はまったく異なります。
教養があれば、得た情報が、自分の持っている教養の何に「似ているか」がわかります。何と「相性がいいか」がわかります。何と「組み合わせたら面白いか」がわかります。この"何と"を多く持っていれば持っているほど、その人はアイデアを多く生み出せるわけです。
【感想】
◆本書はサブタイトルに「知的生産、私の方法」とあるように、基本的には「知的生産術」の本になります。ただ、メインタイトルで『情報の「捨て方」』とうたっている通り、余計な情報を摂取しない方法も満載。
本書では、そういった余計な情報を「ダメ情報」と呼び、「徹底的に避ける」ことを推奨しています。
曰く、「ダメ情報が書かれていることが予測できる本は手に取らない」「観ているテレビ番組にそういった雰囲気が感じられたら、即刻チャンネルを変える」等々。
逆に、良質な情報を摂ることで、上記ポイントの1番目にある「情報のS/N比」を上げるわけです。
◆本書では第1章にて、その良質な情報の入手について言及。
たとえば、成毛さんがよく見るニュースサイトは、「47NEWS」なのだとか。
47NEWS(よんななニュース):47都道府県52参加新聞社と共同通信のニュース・情報・速報を束ねた総合サイト
ただし、ニュースサイトのチェックは「1日2回で十分」とのこと。
成毛さんの場合、朝と夜の2回ニュースをチェックしているそうなのですが、それぞれ「何を中心に読むのか」と、「その理由」を知って、目からウロコが落ちました(ネタバレ自重)。
また、「BSテレビのオススメ番組」(正直、まったく知りませんでした)は、「1度見ればその情報の質の高さに腰を抜かすこと間違いなし」とまで言われているので、さっそく観てみたいと思います(こちらもネタバレ自重)。
◆続く第2章では、情報の「見極め方」について指南。
成毛さんは、基本的に情報は「疑ってかかる」そうなのですが、具体的な裏取方法について触れられています。
中でも「なるほど」と思ったのが、「対立軸で比較する」というお話。
たとえば「○○は体にいい」「××は危険だ」といった情報があった場合、これらを鵜呑みにせず、「○○ 体に悪い」「×× 安全」といったキーワードで検索せよ、とのことです。
……「○○は体にいい」とあっても、「○○ 体にいい」と、フツーに検索してた漏れ涙目の巻。
同じくこの第2章では、「面白い本」の見極め方についても触れられていますので、当ブログの読者さんは要チェックだと思われ。
◆また、やはり内容紹介にあった「太赤マジック」は、第3章にて解説されています。
一応、使われているのは、「1963年発売のロングセラー商品」とのことなので、多分これではないか、と。
ぺんてる サインペン XS520BD5 5本パック 赤
「太赤マジック」なんて言われたら、こういう「マッキー」みたいなのをイメージしちゃいましたが、そこまで太くはないようです。
そして、やたら「ネタバレ自重」していて申し訳ないものの、どのようにメモをして、そのキモは何か、についても本書にてご確認ください。
◆前の方から補足していったら、やたらと長くなってしまったので後半は割愛しますが、実は付箋を貼ったのは、第4章以降の方が多いくらいです(上記ポイントも3番目以降が後半)。
結局、「読書」や「勉強」といった成毛さんが過去に出された本のテーマも、すべて上のレイヤーである「知的生産」に含まれるわけですから、中身が濃くなるのも致し方ありませぬ。
ちなみに、成毛さんが歌舞伎の本を出されたのも、上記ポイントの5番目のお話を読んで腑に落ちました。
ビジネスマンへの歌舞伎案内 (NHK出版新書 446)
当ブログの場合、どうしても「直接的なメリットが見える」本を優先しがちなんですが、教養は大事なのだと改めて思った次第です。
当ブログの読者さんなら、ツボであろう1冊!
情報の「捨て方」 知的生産、私の方法 (角川新書)
序章 「情報とは一体何か」―バカを相手にしないための手段として
1章 情報を「入手する」―24時間浴びる、しかしルートは絞る
2章 情報を「見極める」―「どうせウソだよね」という思考習慣
3章 情報の「非整理術」―整理に追われて1日を終える人々
4章 情報を「噛み砕く」―解釈する力のない者は敗れる
5章 情報を「生み出す」―受け取るだけの人間になるな
6章 情報を「活用する」―面白い生き方をしたいなら
特別章 成毛眞「情報」個人史
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【知的生産】『プロの知的生産術』内田和成(2011年11月22日)
【知的生産術】『アイデアを形にして伝える技術』原尻淳一(2011年04月28日)
【編集後記】
◆今日のKindle日替わりセールから。大前研一ビジネスジャーナル No.3 「なぜ日本から世界的イノベーションが生まれなくなったのか」 (大前研一books(NextPublishing))
大前先生のこういう本が、Kindleでお手軽に読めるのはいいですね。
ご声援ありがとうございました!
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