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2015年05月08日

【起業】『失敗のしようがない 華僑の起業ノート』大城 太


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失敗のしようがない 華僑の起業ノート


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった起業本

著者である大城 太さんは、「大物華僑の下でビジネス修行をし、自らも起業1年目で1億円の年商を上げる」という結果を出してこられた方です。

アマゾンの内容紹介から。
「儲け」を確実に生み出す門外不出のノウハウ、したたかにビジネスを回していく124の極意。遠回りしておめでとう、貧乏な時こそ外へ出る、人を選ぶのはレベルが低い、上手くいっていることを変えない、上を下げずに下を上げるなど、非常識のようでいて「確かにそうだ」と思わずうなずく華僑の教えを伝授。

土井英司さんがメルマガで激賞されていたのは、伊達ではありませんでした!





Chinatown / Danny Nicholson


【ポイント】

■1.完璧を追求せず、先発のスピードで制する
 日本人が90%の完成度や成功率を求めるのに対し、30%の可能性に賭けるのが華僑であり中国人。日本で一般的に推奨される「準備8割・本番2割」も、華僑流では「準備2割・本番8割」とおそらく逆の割合になるでしょう。
 この違いはチャンスをつかむスピードの差になって現れてきます。ちなみに私の場合は、いろいろな課題を抱えながらも中国の工場との関係作りにいち早く着手したおかげで、ライバル大手の参入をブロックすることができました。
 今の世の中、完璧を追求するよりも先発のスピードで制するほうが、はるかに勝率は上がります。


■2.貧乏な時こそ人に使ってもらう
 ボスの言う「貧乏な時」とは金銭面の話ではありません。そこそこ成功しても、もっと上に行きたいなら、自分よりレべルの高い人に使ってもらう。使ってもらえなければ、自分のレベルがまだまだ、だということ。相手を得させるレべルには至っていないということです。
 これはサラリーマンも同様です。レべルの高い人に使ってもらえるかどうかで自分のレべルがわかりますね。そして、人に使われるのが嫌だという気持ちの強い人は、起業してもチャンスをつかめず苦労するかもしれません。


■3.「アイデア」「お金」「作業」でチームを作る
 これらは、すべてビジネスに不可欠な要素です。お金があっても、アイデアつまりビジネスプランがなければお金の使い道がありませんし、アイデアがあってもお金がなければ絵に描いた餅というやつです。そしてアイデアとお金があっても、作業しなければ何も進みません。
 これらをチームの人材として考えると、「アイデアを出す人」「お金を出す人」「作業をする人」となります。
 スタートアップ時にそれぞれ最低1人ずつ確保するのが華僑のチーム作りの鉄則なのです。必ず最低3人揃わなければやりません。


■4.「できる人」より「やりたい人」と組む
「自分ができなくても、できる人と組めば可能になる。これも華僑の考え方のひとつですけど、ずっと一緒にビジネスをやる仲間は「できる」と言う人より「やりたい」と言う人のほうがいいんです。できる人同士が組んだらリスクも出てくるでしょ。できると言う人は、もともと独りでもできると思ってるんだから」


■5.100%信頼するのは自分の甘え
「日本人はよく知らない人には壁を作るね。ところがいったん心を許すと100%信頼。だからちょっとしたことで騙された、裏切られたと大騒ぎするんです。華僑はどんな相手でも信用するのは99%までで、残りの1%は自己責任です。全面的に信頼するのは甘えなんですよ。自分で考えること放棄して、相手に委ねてるんだから」


【感想】

◆ユダヤ人同様、華僑も世界を股にかけて活躍している以上、起業の秘訣のようなものはしっかりとあるワケですが、当ブログでは従来、華僑関係の書籍はご紹介しておりませんでした。

それゆえ今回の作品は、ある意味「初めての華僑本」とでも言うべきものであり、当然付箋も貼りまくり。

特に、大城さんが弟子入りした華僑の富豪はかなりの大物で、「華僑社会では知らない者はいない」というほどの方、とのこと。

実際、この方は日本にいる華僑の「ボス」的存在だそうで、本書内で大城さんは、この方のことを「ボス」と呼んでらっしゃいます。

本書では、この「ボス」のお言葉がカッコ書きで記されている部分が多数あり、それだけ集めても記事が1本書けるくらいw

上記ポイントでは4番目と5番目がそれに該当し、短いながらも含蓄のあるお話だと思いました。


◆さて、本書の中で、個人的に留意したいのが、土井さんが「思わず膝を打った」という、上記ポイントの3番目にも関係するお話です。

ここでは、「『アイデアを出す人』『お金を出す人』『作業をする人』を、それぞれ最低1人ずつ確保する」とありますが、「起業時なんて、誰かが何かを兼ねてもしょうがない」と思いがちではないかと。

しかし本書では、「それではダメだ」と断言しています。

その理由は、まず「お金を出す人」と「アイデアを出す人」が一緒だと、ビジネスが短命に終わるのだそう。

また、「アイデアを出す人」と「作業をする人」が一緒だと、ビジネスの成長が遅れ、「作業をする人」と「お金を出す人」が一緒だと、ビジネスが小さくなる、とのことです(詳細は本書を)。

何でも大城さんは、独立して起業する際、自己資金で始めようとしたところ、「ボス」に「自分のお金は使うな」と言われて、親戚全員から少しずつお金をだしてもらったのだとか。


◆加えて「華僑流」が秀でているのが「心理的に人を動かす」技術です。

たとえば、一般的に人は「得したい気持ち」と「損したくない気持ち」を比較したら、後者の方がウエイトが高いもの……って、まさに「プロスペクト理論」そのまんまなわけですが。

プロスペクト理論 - Wikipedia

ところが華僑流だと、どちらか一方ではなく、両方の心理にアプローチします。

なおかつ、「先に得をさせる」ことで「損したくない」気持ちを膨らませるという。


◆具体的な方法は?、というと、大城さんの会社で実際に行なっているのが、営業マンのボーナスの先渡し。

通常6月と12月に支給するボーナスを、5月と11月に支給します。

その際、「あなたの能力ならこれくらいの数字は行くだろうから、見込みであげる」としながらも「ただし達成できなかった場合は、その分返金してね」と告げてるのだそう。

ここでのミソは、金額だけ見せるのではなく、実際に振り込んでしまうこと。

営業マンはボーナスを早くもらえて喜びますし、「損したくない気持ち」から、意地でも数字を達成するように頑張るのだそう。

……華僑流恐るべし!


◆本書は基本的には「起業」の本ですが、「仕事術」や「マネジメント」の要素もあり、意外と幅広い層の方にお楽しみ頂けるのではないか、と。

また、中国とビジネスをされていたり、社内や取引先に中国人の方がいらっしゃる場合、「中国人の思考法」知りうる意味で、一読の価値があると思います。

ただし唯一不満(?)だったのが、英文や数式もないのに横書き左開きだったこと(おかげで少々若干読みにくかったです)。

それと、現時点でアマゾンに在庫がないため、お読み頂けるのが後日になってしまうのが、少々残念でした。

うーん、Kindle版があったら、かなり売れそうなんですけどね……。


起業を意識されている方なら、マストな1冊!

4534052804
失敗のしようがない 華僑の起業ノート
第1章 大物華僑に学んだ「100%起業」のマインド
第2章 起業1年で結果を出す「華僑流ビジネス」のスタートアップ
第3章 最強の合理思考で「人」の悩みをシンプル化する
第4章 折れない心を養う華僑流「社長論」
第5章 人間心理をグサリの思考法でお客とお金を引き寄せる
第6章 華僑流の人脈術&交際術でひとつ上のステージへ


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00O1N4C2Y
[音声DL付]英会話きちんとフレーズ100 スティーブ・ソレイシィ シリーズ

中古本が値崩れしていないため、かなりのお買い得となっております。


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Posted by smoothfoxxx at 09:00
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