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2015年04月30日

【思考力】『東大・京大に合格する子どもの育て方』江藤 宏


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東大・京大に合格する子どもの育て方 (経営者新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ずい分前にリアル書店で見かけて気になっていたものの、アマゾンで評判を確認してから買おうとしたところ、「2〜3週間待ち」だったため、買うに買えなかった人気作。

その後、どのリアル書店でも在庫切れで、かつ、「『2〜3週間待ち』表示でも、すぐ在庫復活するだろう」と思っていたら、むしろ4週間以上待たされたというw

アマゾンの内容紹介から。
受験、就職、そしてその後の人生において本当に必要な答えを導くため、「なぜ?」からはじまる子育て論。「暗記型」から「思考型」へ。考える力を身につければ子どもの学力は必ず伸びる。

こんなことなら、大人しくKindle版を買っておくべきでした(マジで)!





I'm tired of studying / ItalianCasual


【ポイント】

■1.「わかりやすい」授業の落とし穴
 結局、わかりやすい授業であればあるほど、授業を聞いた時こそ何となくわかったような気にはなるものの、教わった内容は、子どもたちの頭にはほとんど残りません。先生は、教えた内容を子どもたちに忘れられることを前提としているから、練習問題を繰り返させるのです。(中略)
 もちろん、それが悪いことだとは思いません。確かに練習を繰り返せば、教わった内容の中でいくらかは知識として頭に定着するでしょう。算数の練習問題を解いていれば、計算力は高まるはずです。ただし、機械的に解ける練習問題をいくら繰り返したとしても、考える力を養うことはできません。なぜなら機械的に解ける練習問題とは、要するに頭を使って考えなくても回答できる問題だからです。


■2.子どもの頭が柔らかいかを見極める方法
 頭が柔らかいかどうかを見極める方法は、実は簡単です。子どもがまだ習っていない難問を、与えてみればよいのです。例えば月刊誌『中学への算数』(東京出版)には、学力コンテストのコーナーがあります。このコーナーに掲載されている問題に挑戦させてみてください。問題を見て3分も経たない間に「無理だ、こんな問題は習っていない」と音を上げるようなら、まず頭が柔らかくないと判断すべきでしょう。逆に、この問題を面白がり、時間をかけてあれこれ試行錯誤しながら考え続けられるようなら、頭の柔らかさは相当なものだと考えられます。


■3.難しい問題を30分考えさせる
 取り組む問題は1問あれば十分なのです。ただし、繰り返しになりますが、簡単に解ける問題では意味がありません。むしろ30分考え続けたけれども、解けないような問題が良いのです。できれば、いろいろと試行錯誤する切り口のあるような問題が、より望ましいでしょう。
 そのレベルの難問を30分考えてみる。けれども解けない。それでも、次の日にもう一度考えてみる。同じ問題に何度も挑戦することは、最高の頭の訓練になります。これを繰り返すと、別のことをしている時でも、頭のどこかでその問題を考えているものです。そして考え続けていれば、いつか「わかる」、つまり答えにたどり着く瞬間がくるものです。


■4.子どもと取り組む国語上達法
 音読ができるようになれば、ぜひ、次に取り組んでいただきたい国語上達法があります。1回目の音読が終わったら「上手に読めたね」とほめて、「もう1回読んでみましょうか。2回目は、きっと、もっと上手に読めるよ」と誘う。最低、2回は繰り返して読ませるのです。(中略)
 読み終わったら、次は書かれていた語句や言葉の意味について、子どもと話し合ってください。例えば「文化の日」について書かれた文章であれば、「文化ってどういう意味だろう?」と問いかけるのです。
 質問に対する答えは、すべて受け入れてあげる。「なるほど、確かにそうだね」と相槌を打ってあげる。その上で、時々「なぜ、そう思うの?」と、思考を引き起こすマジックワードを投げかける。
 こうした練習を繰り返すことで、子どもの国語力は確実に向上します。


■5.思考教育の授業風景
<今日の問題>
(1)6÷3  (2)0÷3  (3)6÷0  (4)0÷0
(前略)
「6÷3は2だったよね。これは6個のリンゴを3人で分けるのと同じだったでしょう。ということは、逆に考えれぱ、3人が2個ずつリンゴを持っていれば、6個になるね」
「……」
 A君は興味津々に考師の話に耳を傾けています。
「6÷3=□とすれば、□に入る数は2でしょう。だったら、3×□=6と考えてもいいね」
「あっ!」
「何か思いついたかな?」
「だったら0÷3=□とすれぱ、3×□=0になればいいんだ。ということは□は0です」
「スゴイぞ。じゃ6÷0はどうなる?」

(続きは本書にて)


【感想】

◆色々と考えさせられる本でした。

特に、私が当ブログで「勉強本」としてご紹介している受験のための「狭義の勉強本」と、本書の主張とは、ある意味「真逆」なので、耳イタイと言いますか。

まず初っ端の上記ポイント1番目では、「機械的に」「繰り返し」「計算」を行う勉強法を真っ向から否定。

これは小学校の授業についての話ではあるのですが、ほとんど「公●式」をdisっているようにも思えます。

そもそも計算を速く行うためには、できるだけ「反射的・機械的」に行うことが望ましいのですが、これは「考えることを、いかにバイパスするか」ということ。

つまり、その過程において、「思考」と言う意味で頭が使われることはありません。

そこで本書では、小学校に入る前から計算塾やそろばん塾に通わせるリスクについても言及しており、確かにむしろ「考えない習慣」が身についてしまう恐れがある以上、警鐘を鳴らさざるを得ないでしょう。


◆ただし、ある程度計算が速い方が受験には有利なのは事実です。

実際、開成中学や灘中学などのトップ校に、毎年数多くの合格者を出している進学塾のトップクラスでは、短時間で難問を解かせる練習を繰り返すのだとか。

たとえば算数なら、入試に出そうな問題を公式化し、解くためのテクニックを叩き込むのだそうです。

本来、「考える力のある子」、本書で言うところの「柔らか頭の子」には、こういうテクニックは必要ないのですが、塾としては多くの合格者を出すインセンティブがあり、かつ、子どもやその親も、難関校に合格することが望みであることには変わりはないわけで。

結果的に、「問題を見極め」「それに最適な解法を記憶の中からマッチングさせて引き出す能力」を鍛えることで、「考えずに問題が解ける」子どもが出来上がります。

ところが、彼らが合格したトップレベル校が求めているのは、「柔らかな頭」を持った子どもであり、こうした「解法を暗記する」ことで合格しても、やがて授業について行けなくなる可能性が高いのだそう。

たまに話として聞く、「苦労して難関校に入ったものの落ちこぼれた」という方は、ひょっとしたらこのパターンなのかもしれません。


◆実はウチのムスコは、小学校に入る前から公文式に通っており、そちらではひたすら計算力を鍛えている感じです。

水泳等の他の習い事があったり、公文とは別に、今年から算数教室にも通うようになったので、公文はやめてもいい、と本人には言っているのですが、ゲームのように速く沢山処理するのが好きなのか、まだ辞めたくない、としがみついているという。

また、考える力とは別に、以前読んだこの本で、学業成績とワーキングメモリとの間には強い関係があると知ったので、事あるごとに暗記させたりもしています。

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脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する

参考記事:【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)

ただ、暗記力や計算スピード、ワーキングメモリ等で対応できるのは、おそらく「ある一定レベルまでの学校」であり、本書のタイトルにあるような「東大・京大」に受かるためには、やはり「考える力」を伸ばす必要があるのだと思います。


◆ちなみに、上記ポイントの5番目の「授業風景」は、本書の著者である江藤さんの塾での小学校4年生のもの。

お恥ずかしながら私は、(2)や(3)の答えは知っていましたが、「何でそうなるのか」までは考えたことがありませんでした。

さらに(4)については、今まで考えたこともなく「?」となってしまったという(恥)。

これらを、講師が「教える」のではなく、子どもが「自ら考える」ことに意味があるのだな、と。


子どもを持つ親なら、一読の価値アリです!

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東大・京大に合格する子どもの育て方 (経営者新書)
序 章:どんな子どもでも東大・京大に合格できる可能性を秘めている
第1章:進学塾や進学校に入っても子どもの学力が伸びない理由
第2章:子どもの学力を伸ばすのは「暗記」ではなく「思考」
第3章:わが子を東大・京大へ導く「思考教育」とは?
第4章:思考教育で身につけた「考える力」で「人生の勝ち組」になる


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【理系の子?】『人気講師が教える理系脳のつくり方』村上綾一(2012年11月18日)

【新旧対談】『スーパーIT高校生"Tehu"と考える 創造力のつくり方』Tehu,村上憲郎(2013年03月14日)

【スゴ本】『理系の子―高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン(2012年06月07日)


【編集後記】

◆今日の本の「よく一緒に購入されている商品」から。

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算数ができる子の親がしていること (PHP文庫)

私自身が「超文系人間」なものですから、読んでおいた方がいいのかも!?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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