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2015年04月13日

【仕事のレシピ?】『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 「計って」「数えて」「記録する」業務分析術』坂口孝則


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仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 「計って」「数えて」「記録する」業務分析術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、取り上げた1冊。

土曜日の日経新聞朝刊の2面にデカデカと広告が載っていたので、気になっていた方も多いと思います。

ちょっと長くなりますが、アマゾンの内容紹介から。
フォント、Q数、項目数、すべて数値を決めておく!細部まで考えつくした、カリスマコンサルタントによる速くてスムーズな仕事術!
仕事は「数」に置き換えればすべて解決する!
「プレゼンの上手い人は、何文字で資料を作り、何分喋るのか?」「文章が上手い人は、一つの文章にメッセージをいくつ入れるのか?」「営業が上手い人は、一ヶ月に何回顧客に会いに行くのか?」「講演が上手い人は、何パターンネタを持っているのか?」。仕事の効率が悪い人は、モノゴトを数でとらえることができない人。本書の著者は、先輩の打ち合わせを録音し、資料を定規で測り、プレゼンの発表時間を計測し、「数」を導き出してきた。最初に、細部まで徹底的にこだわれば、仕事はどんどん速く、スムーズになる。テレビでのコメンテーターとしても人気のカリスマコンサルタントがはじめて明かす、驚異の仕事術!

メインタイトルより、サブタイトルの"「計って」「数えて」「記録する」業務分析術 "がしっくりくる「スゴ本」かと。

なお、Kindle版が、かなりお買い得なのもポイント高いです。





Having some fun with slide design / Jose C Silva


【ポイント】

■1.「完結型資料」の2つの原則
 次に「完結型資料」だ。これは「資料に必要情報を網羅し、口頭で補足をおこなうもの」だった。(中略)
 この「完結型資料」はさまざまな形式が考えられるものの、覚えておくべきは2つしかない。それは、
・資料のなかのコンテンツとコンテンツの配置を揃えること
・できるだけコンテンツを四角で囲むこと
の2つだ。すごくシンプルで、たいしたことがないと思うかもしれないけれど、試行錯誤しこれらを発見するまでにめちゃくちゃ時間がかかった。この2つさえ守っていれば、大半の資料が綺麗になる。

(詳細は本書を)


■2.プレゼンテーションの時間配分
1.大枠・9割の時間を使って話し終わるように設計する

2.中枠・プレゼンテーションの内容を3つにわけ、4割+3割+2割で話す(これで1.の9割になる)

3.小枠・パワーポイント1枚あたりの説明時間は3分とする


(詳細は本書を)


■3.文章の漢字比率は28%以下にする
 そこで、ぼくはべストセラーを裁断してバラバラにして、スキャニングした。その後OCR(文字認識ソフト)を使って、スキャニング画像を文字データ化した。さらに、そこからひらがな、カタカナ、数字を抜くプログラムを作った。そうすると、漢字だけが残るから、漢字比率が計算できる! これを繰り返すと、べストセラーは全体の文字数のうち漢字が25〜28%を占めるとわかった!
 これでぼくの1つの指針ができた。もちろん仮説かもしれない。だけど、読みやすい文章のためには、漢字比率を25〜28%に抑えればいいんだ。(中略)
 具体的にどんなプログラムを使えばいいか。Visual Basicを使えばいい。そこで、本章末に書いておいた。

(smooth注:章末にコードが掲載されていましたが割愛)


■4.営業では「30分で10問」質問する
 まずは、会話の基本として「オープン質問」を心がける。そして、相手の基本情報はちゃんと事前調査しておき「問題質問」になるよう気を配る(それが相手の時間を大切にする)。さらに、自分はその問題を解決するに足る人間であると手短に説明するために、相手の利益に合致した会話や質問をする。
 1つの目安は、これら質問を30分に10問ていど相手に繰り出せるかだ。ぼくはかつて優秀な交渉者を録音して分析したと書いたけれど、凡庸な交渉者は30分に5問ていどしか質問できず、優秀な交渉者は10問できる。考えてみれば当然で、通常のひとが2回要する交渉を一度でやってしまうんだから、優秀に決まっている。


■5.声の出しかたは3つある
 それで、ぼくが聴くかぎり、素人の講演はほとんど「声の大きさ」しか意識していない。有名なところでは、元首相の野田佳彦さんも早朝街頭演説(辻説法)をあれだけ繰り返していたのに、声のバリエーションは大小だけだった。おもいっきり感情的に話す、おなじく元首相の小泉純一郎さんとはだいぶ違っていた。声の出しかたが人気の差になった、とはいいすぎかもしれないけれど、ぼくはそう信じている。
 講演のときは、「(1)大小」「(2)高低」「(3)遅速」を意識し、聴き手を退屈にさせないようにするんだ。


【感想】

◆本書の冒頭の「はじめに」は、ICレコーダーで録音したスゴ腕の先輩の価格交渉の様子を、著者の坂口さんがノートに書き写すシーンから始まります。

「何を語り、何を訊き、どうやって説得し、どこに導こうとしているのか」

それまで坂口さんは、「交渉上手」といわれていた先輩たちの交渉を20回ほど分析しており、仕事の分析ノート、走り書きがダンボール何箱分もたまっていました。

まさしくサブタイトルにもある、「計って」「数えて」「記録する」ことによる「仕事の定量化」。

やがてそれは、1冊の本となり、同じように調達・購買関係の作品を中心に膨大な作品群へとつながりました。

Amazon.co.jp: 坂口 孝則: 本

そして本書は、そんな坂口さんにとって、初めての「専門領域外」である「仕事術」の本なワケです。


◆坂口さんが頼った「達人」は、その「交渉上手な先輩」だけではありません。

プレゼンのプロに頼み込んで、資料の「型」を46個教えてもらったり、数多くの「販売セミナー」に参加したり、300万円ほどの講演音源を購入したり。

また、上記ポイントの3番目のように「ベストセラー」の分析までされています。

細かい話なので割愛したものの、資料で使うべきフォントの種類やサイズ、ヘッダー、フッターの数値、プレゼン資料の余白や文字の色等まで収録されているという……。

本来、こうしたデータは「マル秘」でしょうから、今回のレビューでも極力避けております(上記ポイントの3番目、4番目については、新聞広告にも数値が出ていたので取り上げましたが)。

このような仕事に関するデータ好きな方なら、本書はかなりお楽しみいただけるのではないか、と。


◆ためしに、割愛した項目の小見出しを、いくつか書き出してみます。

 ●資料に書かれていない内容を必ず3分の1盛り込む

 ●線の種類も4つを使い分ける

 ●グラフも4つの種類を使いわける

 ●どんな文章にもFALの3つを入れておく

 ●文章の主張や媒体によって3つに書きわける

 ●出会ったひとはタンクに入れる

 ●講演中の動きは「問題提起」と「解決案提示」の2つにわける


一番最後の『「問題提起」と「解決案提示」』は、講演等でスクリーンのどちら側に立って、どう動くか、というお話で、非常に興味深かったのですが、文章だけだと分かりにくいので、泣く泣くカットした次第……。


◆本書は坂口さんの、長年に渡る知識やノウハウ、データをまとめあげたものであり、いわば「仕事術の上澄み」とでもいうべきものです。

結論部分だけでも価値はありますが、そこに至る経緯や、図解、その他の資料で、理解を深めてくれており、仕事術本としても秀逸だと思われ。

若干気になったのが、普通ひらがなにしない漢字まで、いくつかひらがなになっている事で、これは例の「漢字比率」を実践しているからでしょう。

このクオリティのコンテンツが、このお値段(Kindleは特にw)なら、私としては「買い」なんですけど、アマゾンでは賛否両論(?)のようですね……。


気になる方は本屋さんにGO!

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仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 「計って」「数えて」「記録する」業務分析術
第1章 プレゼンのうまい人は、何ポイントで資料を作り何分話すのか?

第2章 文章がうまい人は、メッセージをどう絞るのか?

第3章 営業がうまい人は、一ヶ月に何回顧客に会いに行くのか?

第4章 講演がうまい人は、何パターンネタをもっているのか?


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【編集後記】

◆ドワンゴの川上会長の新刊。

コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)

装丁が何だか「昭和」っぽい(?)のですが、新刊ですからっ!


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