2015年04月04日
『気にしすぎ症候群』厨は今すぐネットをやめろ

気にしすぎ症候群 (小学館新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の編集後記で取り上げた伊東 明先生の最新作。伊東先生と言えば、個人的には「ハズレ無し」の著者さんとして認識してきましたが、本書も安定のクオリティでした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「気にしすぎ」がなぜ起きるのか、なぜ今急増しているのかを分析し、さまざまな行動パターン例を挙げながら解決策へ導く。
小さなことが気になって前に進むことができずにいる「病気未満」の人たちに向け、人気の心理コンサルタントがわかりやすく綴る、「気にしすぎ」の取扱説明書。
「既読スルー」が気になる方なら要チェックかと。
なお、記事タイトルは「ホッテントリメーカー」作なのですが、何気に「あってます」w

Bo sjalv sux / altemark
【ポイント】
■1.気にしすぎの根本原因は「リスク回避」そもそも人はなぜ気にしすぎになるのか?
ずばり言うと、人間には「リスク回避」という本能があるからです。気にするというのはリスクを察知する(察知しようとする)ことであり、生き延びるためには絶対に欠かせない重要な能力なのです。(中略)
つまり、動物としての人間という観点で言うと、また生まれつきの本能や生まれつき身体に備わったメカニズムという点から見ると、「気にする→リスク回避になる→生存確率が高まる」という図式があるために、人間は基本的に「気にするようにできている」のです。「気にする=リスク回避」→「気にしすぎ=過剰なリスク回避」という点は、ぜひ覚えておきたいところです。
■2.理性でわかっていても、感情が止められない
理性と感情の戦いでは、どちらが有利でしょうか? 人間ならではの能力で、理性が感情をコントロールすることはもちろん可能です。コントロールできなければ、犯罪者になるか、大きな社会的制裁を受けることは言うまでもありません。(中略)
しかし、より根源的な脳の部分、より本能に近い部分である「感情」というのは、恐ろしいほど強力です。他者の事例でも、自分の事例でも、思い出してみれば、「理性的に考えれば、馬鹿らしい、やめたほうがいいと十分にわかっているのに、感情や衝動が抑えきれなかった」という例はいくらでもあるでしょう。
そして、気にしすぎと関連が大きい、「リスク、脅威、恐怖」というのは、数ある感情のなかでも、最強と言っても過言ではないものです。
■3.「思考停止法」で気にしすぎの思考を止める
スポーツ選手たちの間で特にポピュラーになったのは、「手首に輪ゴムを巻く」というやり方です。練習中でもいいですし、イメージトレーニングの最中でもいいので、何かネガティブな思考が働き出したら、手首に巻いた輪ゴムをパチーンとはじきます。当然、痛いですね。その痛みによって、今自分がネガティブな思考を働かせていることについて自分自身にしっかり気づかせるとともに、「ネガティブな思考をすると、イヤなこと(この場合は痛み)が待っているよ」と自分を条件づけしていくのです。やってみるとわかるのですが、これはけっこう痛くて、3〜4回やっていると逆にネガティブな思考を思い浮かべるのが怖くなるくらいです。
■4.性格ではなく言い方や行動を変える
たとえば、人から次のAもしくはBで言われた場合、どちらのほうが自分を変えやすいと思えるでしょうか。(A)その気にしすぎの性格、何とかしたら? 治したほうがいいよ。一見すると、何かAのほうが根本的に変わりそうで効果的に思えるかもしれませんが、実際はおそらくBに軍配が上がるでしょう。性格を変えるというと、大軍に向かって一度に一人で戦いを挑むようなものです。一方、考え方や言い方や行動の何かを変えるということであれば、敵の一人ひとりとじっくり戦っていけばいいということになります。
(B)気にしすぎが始まったら、「次の旅行はどこに行こうかな?」って考えたらいいよ。とにかく、何か他のことを考えてごらん。
■5.あなたが思っているほど、他人はあなたに興味がない
本章の最後のアドバイスは次のようなものになります。「他人の目が気になる気持ちはよくわかりますし、ご本人にとっては深刻な問題かもしれませんが、意外に他人はあなたのことを特に何とも思ってないですよ。少なくとも、あなたが心配するほどには、あなたの言動や行動、欠点などに注目はしていないものです」。
面白いもので、誰でも、「他人の目が気になる」という他人に対しては、「別にそこまで気にしなくていいんじゃないの」と温かい目や余裕の気持ちで言うことができます。ところが、それが自分自身になるとできなくなってしまうのです。自分にはスポットライトがたくさん当たっており、みんなが自分に注目をしていて、その結果いかんで自分の人生が大きく変わってくるようなイメージを持ってしまっているからです。
【感想】
◆本書はまず、第1章において「こうして『気にしすぎ』がつくられる」と題して、「気にしすぎ」の人が生まれる原因を探っています。上記ポイントで言うと、1番目と2番目が該当しますが、他にもいくつかの要因が挙げられていました。
特に問題なのが、メディアがあえて恐怖や不安を煽っているケース。
テレビなら視聴率、ウェブならクリック数等を考えた場合、「リスク、脅威、恐怖」に訴えた方が効果的なのは、ある意味常識です。
……「ホッテントリメーカー」が生成したとはいえ、今日みたいな記事タイトル付ける私が言えた義理ではないのですがw
◆また、同じく問題なのが、「ネット」によって「気にしすぎ」の傾向が強まること。
そもそもネットさえなければ、そんなに簡単に他人と比較できないこと(平均貯蓄額等)や、身の回りのこと(食品添加物)、さらには環境問題まで、今なら瞬時に検索して分かってしまいます。
実際、Facebookで他人のリア充ぶりを見て、落ち込んだり劣等感を感じる、という話もよく聞くわけで。
Facebookをやってない漏れ、大勝利の巻w
そして上記でも触れた「既読スルー」に関しては、MMD研究所の調査によると、「既読スルーを気にする人は、12.2%、やや気にする人は32.1%、あまり気にならないが28.7%、気にならないは20.5%、どちらでもないが6.5%」とのこと。
気にすると気にしないとで、だいたい半分ですが、こういった問題も「ネットならでは」と言えると思います。
いずれにせよ、今回の記事タイトルは、あながち間違いでもないという……。
20150404追記:
タイムリーなことに、今日こんな記事がはてブホッテントリに上がっていました。
できなければ死んだも同じ-—中高生のインフラ「LINE」の実態 - CNET Japan
◆そして本書では、第3章以降にて「気にしすぎ」に対処。
第3章ではまず、「気にしすぎ」を治す方法に、人によって「向き・不向き」があること、そして一気に治すのではなく「徐々に・少しずつ」ステップを踏んで治す方が近道であることが言われています。
前者に関しては、上記ポイントの3番目、4番目以外にも、本書にはさまざまな方法が挙げられていますので、各自お読みになって試して頂ければ。
後者に関しては、第3章がそのまま「5ステップ」となっていますので、この手順で実践していけば良いと思います(詳細は本書を)。
また、第5章は特に「他人の目」を気にするケースについて、1章丸々要して言及しているのですが、最終的な結論は、上記ポイントの5番目の通り(身も蓋もありませんが)。
もちろん、世間には「もっと『他人の目』を気にすべき人」も存在するものの、そもそもそういう人は本書を買っていないかとw
◆なお、本書は第7章にて「十ヶ条」と題して、ここまでの6つの章の重要部分をまとめています。
リアル書店で確認する際には、ここをチェックすればOK!……って、このままアマゾンアタックしてくれてもいいんですよ!?
ぶっちゃけ、私自身が「あまり気にしない」「他人と比較しない」「LINEもFacebookもやってない」人間なので、本書の「本当の価値」が分かっているのか自分でも不安なのですが、読む人が読めば、もっとシビアに刺さるハズ。
そして本来、気にしすぎは「良い」「悪い」ではなく、「メリット」「デメリット」で考えるべきだそうなので、本書はその手助けになると思います。
やはり伊東先生のご本は、「ハズレ無し」でした!

気にしすぎ症候群 (小学館新書)
第1章 こうして「気にしすぎ」がつくられる
第2章 気にしすぎは生まれつきのもの?
第3章 気にしすぎを治す5ステップ
第4章 心の回路を変えれば、気にしすぎはもっとラクになる
第5章 「他人の目」を気にしすぎる人たちへ
第6章 「自分はこれでいいのか?」を気にしすぎる人たちへ
第7章 気にしすぎる人たちへの「十ヶ条」
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【編集後記】
◆比較的最近出た伊東先生のご本。
恋愛依存症 - 苦しい恋から抜け出せない人たち
……当ブログ的には、こちらの方がマッチしてたかも!?

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