2015年03月22日
知らないと損する『クリエイティブコンサルタントの思考の技術』
クリエイティブコンサルタントの思考の技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で、人気だった1冊。その際にも触れたように、著者のケヴィン・ダンカンは以前、当ブログで『イギリス式シンプル問題解決法! 図解思考50のルール』をレビューしたことがある方です。
アマゾンの内容紹介から。
1人でもチームでも使えるアイデア発想のバイブル! ゼロから考え企画を実現する方法!限られた条件のもとで、最短でアイデアを生みだし、最高のカタチにする思考の技術。
なお、タイトルは久しぶりに「ホッテントリメーカー」のお世話になりましたw
Killer idea / khalid Albaih
【ポイント】
■1.アイデアは枠の中で考える創造的で優れたアイデアというのは、厳しい制約が課された中で生まれます。制約という「枠」があるからこそ、よりいっそう想像力を巡らせて、現実的なアイデアを出そうとするのです。
この概念は、ドリュー・ボイドとジェイコブ・ゴールデンバーグが『インサイドボックス 究極の創造的思考法』(文藝春秋)で詳しく解説しています。
最初にありとあらゆる制約を確認して、参加者全員にアイデアを出すうえでの制約をしっかりと認識してもらいましょう。(中略)
制約を認識すると、制約という「枠」の中で真剣に考えざるをえなくなるので、非現実的なアイデアや使いものにならないアイデアの数が減ります。
■2.アイデアは忘れた頃にひらめくものと心得る
腹立たしいことに、何かの答えを探しても、探しているときは見つからず、探すのを止めると見つかったりします。このような突破口が開けるのは、たいていは脳が答えを見つけられない「行き詰まり状態」を過ぎた後です。
つまり、むりやり答えを見つけようとすれば、実際には答えを遠ざけることになりかねないのです。
一般に、ひらめきが訪れるのは、思考に邪魔が入ったときか、脳がリラックス状態になったときです。
ジョナ・レーラーは、「集中しないように集中すべきだ」という言い方をしています。
脳には短期記憶を保存する領域(前頭前皮質)があります。この部分がいわゆるワーキングメモリで、ここに一時的に保存される情報が考えとしてまとまると、突破口が生まれるのです。
■3.アイデアの内容を薄めない
とにかくアイデアの可能性について徹底的に調べるまでは、その内容を薄めるようなことをしてはいけません。
そんな事態にならないように、次の4つを意識してください。1 直感を信じる……そのアイデアを自分は気に入っているか?
2 手を加えない……アイデアに手を加えたくても我慢できるか?
3 犠牲を覚悟する……そのアイデアを実現するために何を犠牲にできるか?
4 のめり込む……どうすれば、すべてを注ぎ込むことができるか?
■4.「事前検証」を行う
組織としてアイデアを実行に移す予定でも、まだ正式には決まっていないとうときに、決定権のある人たちで集まってミーティングを開きます。
次に、「1年後にそのアイデアが悲惨な結果になっている」と仮定し、何が起こったのかを、各自に想像して書いてもらうのです。(中略)
このようにして「事前検証」を行えば、さまざまな被害を未然に防ぐことができます。
それに対して、「事後検証」は何の役にも立ちません。
■5.一貫性を持って取り組む
これは、ジム・コリンズとモートン・ハンセンが共著『ビジョナリーカンパニー4』(日経BP社)で紹介したコンセプトです。
探検家のアムンゼンがスコットよりも先に南極点に到達したのは、毎日必ず20マイル進んだからだ、と彼らは述べています。
アムンゼンは、悪天候であっても必ず20マイル進み、反対に天候がよくても20マイルで止めて、翌日のために体力を温存しました。
一方のスコット隊は、悪天候のときや疲れたときはテントで休息し、天候のよい日は、翌日のための体力を削ってでも前に進みました。
仕事は、一貫性を持って取り組むのがベストです。
どのくらいの量の仕事をどのくらいの時間で行うのが適切なのか、関係者で検討して決めましょう。
【感想】
◆本書のタイトルからすると、どう考えても「思考術」のようであり、少なくとも「アイデア」という文字はありません。しかし、帯には「アイデア発想のバイブル」とあり、かつ、内容紹介でも「アイデア本」のようなので、どんな本かと思っていたのですが、蓋を開けたら上記ポイントの通り「100%アイデア本」でした。
ちなみに、本書の原題は『he Ideas Book: 50 Ways to Generate Ideas More Effectively』というもの。
The Ideas Book: 50 Ways to Generate Ideas More Effectively
思いっきり「アイデア本」であるのは一目瞭然ですが、それをあえて「思考の技術」と邦題を付けたようです。
ちなみに、前作の原著がこちらで、タイトルも装丁もシリーズもののようなのに、翻訳版では一新。
The Diagrams Book: 50 Ways to Solve Any Problem Visually
……日本の版元は同じかんき出版さんなので、何かしら思うところがあったのかもしれません。
◆さて、その「アイデア本」の中身としては、なかなかユニークだと思われ。
まず、下記目次のように、アイデアを段階を踏んで考えていくところなどは、あまり類書で見られないスタイルです。
一般的に「アイデア本」は、「とりあえずアイデアを生み出す」ことにフォーカスしがちですが、それを絞る「過程」や「実行」までをフォローしている作品というのは、あまり見た記憶がありません。
そして、前作が「ダイアグラム」の本だったくらいですから、本書も「図解本」とはうたっていないにも関わらず、図が満載。
マトリックスはもちろんのこと、ピラミッドや三角形等々、思考を深める工夫がなされています……ってここが「思考の技術」なのか!?
◆また、ところどころで、過去の作品にも言及しているのは、上記ポイントの1番目や5番目の通りです。
特に1番目のポイントは、そこで紹介されているこの本のテーマそのものなので、興味を持たれた方は、そちらもお読み頂ければ、と。
インサイドボックス 究極の創造的思考法
参考記事:【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)
ちなみに、この「制約という枠の中で考える」好例として本書で挙げられていたのが、映画『アポロ13』に出てくる「非難した船内の二酸化炭素濃度が上昇したため、そこにあるものだけでフィルターを作る」シーンです。
私は映画を観てないのですが、多分この辺りかと。
◆それにしても、本書のような「純粋なアイデア本」を読んだのは、久しぶりでした。
50ものTIPSを収録していますし、テイストとしては、加藤昌治さんの『考具』に近い感じ。
考具 ―考えるための道具、持っていますか?
それに「新しい考え方」や、上記で触れたような「時間軸」の概念を加えた上で、図解した、とでも言いましょうか。
その図が一部ただの「ポンチ図」(?)である点を除けば、良くできた作品だと思います。
プロのアイデア発想術がここに!
クリエイティブコンサルタントの思考の技術
第1章 アイデアを生みだす準備をする
第2章 原型となるアイデアを生みだす
第3章 アイデアを発展させてカタチにする
第4章 アイデアを見極める
第5章 アイデアを実行に移す
【関連記事】
【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)『デザインコンサルタントの仕事術』が想像以上に凄い件について(2014年11月07日)
はじめて『アイデア・ハンター』を使う人が知っておきたい6つのルール(2012年08月31日)
【発明】「発明家たちの思考回路」エヴァン・I・シュワルツ(2007年10月12日)
【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)
「すばらしい思考法 誰も思いつかないアイデアを生む」マイケル・マハルコ (著)(2006年05月16日)
【編集後記】
ちょっと気になる、本書の参考文献として挙げられていた作品。イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則
2013年のものらしいのですが、全然見た記憶がありませんでした。
ご声援ありがとうございました!
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