2015年03月20日
【ツッコミ?】『最強のコミュニケーション ツッコミ術』村瀬 健
最強のコミュニケーション ツッコミ術(祥伝社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「元切込隊長」ことやまもといちろうさんの書評を読んで、リアル書店でゲットした1冊。やまもとさんは、たまに書評を書かれることがあるのですが、ここまで激プッシュされるのも珍しい気が。
アマゾンの内容紹介から。
なぜ、お笑い芸人、なかでもツッコミ担当に社交的な人間が多いのか?テレビ番組の司会者はどのように仕切り、進行させるのか?放送作家・漫才作家として2000組を超える芸人を指導してきた著者が、徹底分析。豊富な事例と共に解説します。ツッコミをコミュニケーションに取り入れると、場の主導権を握れる、プレゼン・説明がうまくなる、他人と違う着眼点が身につく、など多くのメリットがあります。才能に左右されるボケに対して、ツッコミに才能は不要。努力と経験で上達可能なスキルです。さあ、笑ってばかりいないで、いや笑いながら、最強のコミュニケーション、ツッコミ術を学びましょう。
そのやまもとさんの書評の威力もあってか、アマゾンで長らく在庫切れだったのが、やっと復活したようです!
Chicago Underground Comedy / -Tripp-
【ポイント】
■1.ツッコミは努力と経験で上達可能な「スキル」お笑いでのボケとは、常識とかけ離れたおかしな発言をすることです。そして、ウケるには創造力が必要とされます。対してツッコミは、そのおかしな部分を指摘して説明する役割です。たとえば、ラーメンを食べながら「おいしいわー、このうどん」とボケる人に、「それラーメンだよ!」と指摘するのは、それほど難しいことではありません。
ツッコミを入れるのは、相手が意図的にボケた時に限りません。天然ボケの同僚、ミスを連発してくる上司、無茶な要求をしてくる取引先……これらは、すべてツッコミどころです。遅刻した部下に単に注意するのではなく、「遅いんだよ。おまえはメロスを意識してんのか!」とツッコんでウケれば、その後の人間関係が決定的に変わってくるのです。
■2.ツッコミで場の主導権を握る
仕事の現場では、責任者もしくは役職が高い人が最初に話し始めるのが通例でしょう。しかし、ツッコミを意図的に取り入れれば、途中からその場を仕切るのはあなたです。「で、予算はいくら出せるんですか?」「それはおかしいでしょ!」などと、ツッコミである「トークに意見をする人」が、必然的にその場の中心にいることが多くなるのです。
ツッコミで場の主導権を握れば、その場が自分にとって嫌な流れになった時でも、さりげなく話題を変えられます。自分が中心にいることで、「○○さんはどう思われますか?」と、他の人に質問を振ることもできるのです。このように、ツッコミを会話のべースに取り入れることで、その場を思い通りにコントロールできます。
■3.ツッコミは見て、観て、診る
まず、見ることで情報を「感知」し、観ることでその情報を「精査」し、診ることでどう対応するか「判断」する。感知→精査→判断。プロの芸人をはじめ、ツッコミがうまい人は、この3つを並行して捉える論理力に優れているのです。
なんの論理力も駆使せず、部下のミスを「見て」いるだけなら、結果だけで判断して単にどやしつけるだけでしょう。「観る」ことで、部下に同情の余地が出てくるかもしれません。さらに「診る」ことで、情状酌量の余地があるなら、同じ怒るのでも言い回しがソフトになるかもしれません。これが見て、観て、診るというこことです。
■4.ツッコミの「型」は10種類(抜粋)
●指摘ツッコミ…ボケのおかしな部分を直接的に指摘する。オーソドックスなツッコミで、一番使用されている
●ノリツッコミ…すぐにはツッコまず、ボケを肯定して話に乗ったあとにツッコむ。批判、揶揄された時などに使う
●すかしツッコミ…ツッコむ価値のないボケをさらっと受け流すこと。相手の意図と違う反応をして予定調和を崩す
●セルフツッコミ…ボケがウケなかった時に自分でツッコむ。スベったことを帳消しにできる。「全然ウケへんやんけ、これ!」など
●たとえツッコミ…指摘ツッコミの最終進化形。「たとえ(=比喩)」を駆使したツッコミで、能動的に笑いを取りにいく。難易度が一番高い
■5.ツッコミの声の大きさは、ボケの「常識からの距離」で決まる
ツッコミの声は、ボケの非常識さのレべルに合わせた大きさにしなければなりません。その時、声の強弱の基準になるのは、「常識からの距離」です。(中略)
プロの芸人ともなると、たくさんのツッコミ経験から、そのへんを皮膚感貨てつかんでいます。一度、バラエティ番組や漫才を、ツッコミの声の大きさに注意しながらご覧になってください。どのツッコミも、ボケの「常識からの距離」によって声に起伏をつけていることがわかります。
【感想】
◆本書の第1章では、「ツッコミの6つのメリット」なるものが挙げられています。「頭がよいと思われる」「聞き上手と思われる」等々、詳しくは本書をご覧頂きたいのですが、その中の1つが、上記ポイントの2番目の「場の主導権を握れる」。
指摘されて「なるほど」と思ったのですが、バラエティ番組の司会を担当している芸人の多くが、ツッコミ担当なんですよね。
確かに、ボケ担当の芸人が司会なんぞやった日には、「カオス」になるでしょうが、物事を確認したり、発言を促したり、相手に質問をしたり、といった行動は、まさにツッコミ芸人が得意とするところ。
ここだけをとってみても、ツッコミという「スキル」が、ビジネスに通じるものであることが理解できます。
◆具体的なツッコミのパターンは、第4章の「ツッコミには「型」がある」にて。
ここでは上記ポイントの4番目にあるように、ツッコミの10種類の「型」を詳しく解説してくれています。
冒頭のやまもとさんのエントリーによると、やまもとさんは「セルフツッコミ」や「ノリツッコミ」はほとんどなさらないそうですが、「ノリツッコミ」は、ハマるとウケること必至。
具体例として挙げられていたのが、「さんまのまんま」での明石家さんまさんのこんなトークです。
ゲスト「まぁ、でも、さんまさんはこの先、ずっと独身でしょうからね」さんまさんは、このパターンはすごく多い気がw
さんま「そうやねん、(1回離婚してるから)結婚はこりごりやし、このままいって最後は孤独死ってコラ!」
なお本書では「ノリツッコミ」の注意点として、「すこしでも照れがあるとウケないこと」と「ボケに乗っかるのを長くしないこと」の2点を指摘していましたので、ご留意頂きたく。
◆また本書では、第6章の「プロのツッコミ、アマチュアのツッコミ」において、実際のお笑い芸人たちを一般人と比較して、そのツッコミ技を分析しています。
「声」、「タイミング」、「間」等々、ウケるかウケないかの境目は、ただ単に言葉尻の問題だけではありません。
どれもこれも「あるある」なんですけど、中でも「タイミング」は、ツッコミの死活を分けるのではないか、と。
特に、相手がツッコミを期待してボケをかましたのに、それを放置してしまった場合、後から気づいても手遅れです(一応本書では、タイミングを逸した時の挽回策も提案していますが)。
まぁ、上記ポイントの1番目にあるように、「ツッコミは努力と経験で上達可能」なんですから、これこそまさに、場数を踏むしかないでしょうね……。
◆それにしても、やまもとさんのエントリーを拝読すると、本書を称賛するフレーズの数々が目に付きます。
ざっと拾ってみても、
「苦手な人と、話が続かなくて困っている人には、最適な本」
「テクニックを惜しげもなく披露」
「マジで目うろこ」「文字通り、眼鏡が落ちました」
「何度も読み返してしまいました」
「これだけのことをあっさりと新書で書くもんだなと感心しました」
……と、まるで全盛期の小飼 弾さんを彷彿とさせる(?)絶賛ぶり。
ただし、これらの「ツッコミ」を、本書の具体例にあるような、ガチなビジネスシーンで実践するのは、いかんせん多少リスキーではないでしょうか(小市民)。
もちろん、ツボにはまれば、大変な破壊力があるとは思いますので、仕事の場よりも、むしろ、合コンやナンパ等で活用すべきだと思います。
……次回作は、ぜひ「モテ本」で(小声)。
ロジカルに「ツッコミ」を考察した良書です!
最強のコミュニケーション ツッコミ術(祥伝社新書)
第1章 ツッコミを取り入れよう
第2章 徹底分析! ツッコミ
第3章「ツッコミ脳」になると……
第4章 ツッコミには「型」がある
第5章 最強のツッコミ・たとえツッコミの作り方
第6章 プロのツッコミ、アマチュアのツッコミ
第7章 ツッコミ練習問題
第8章 ツッコミの達人と、その奥義
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【編集後記】
◆なんか、本書の「よく一緒に購入されている商品」に、まだ書影もないこんな本が出てきてるんですが。読書で賢く生きる。 (ベスト新書)
著者を確認して、「これは買わねば!」と私も思いましたw
ご声援ありがとうございました!
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