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2015年03月18日

【論理思考】『頭がいい人の「論理思考」の磨き方』渡辺パコ


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頭がいい人の「論理思考」の磨き方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で、一番人気だった作品。

グロービス・マネジメント・スクールで講師を勤められる渡辺パコさんが、論理思考が身に付けられるよう、指南して下さっています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「考えがまとまらない」「言いたいことが伝わらない」「企画書・提案書が通らない」「相手をなかなか説得できない」・・・etc.
それは、論理的に考える力と伝える力が不足しているからだ。ビジネスに、プライベートに、絶対不可欠な2つの能力がこの1冊で身につく!

本書を読み込めば、きっと論理的に考えることができるかと。





Social Media Integration Framework / Gauravonomics


【ポイント】

■1.ロジックツリーのメリットとデメリット
 ロジックツリーを使うメリットは、上位概念から具体的なものへと下位展開する中で、MECEを使っていくことで、網羅性のあるロジックがつくれる点にある。
 そのため、課題を解決するための方法が全部でどのぐらいあるのかを考えるには向いている。戦略オプション(長期的な見通しに立った選択肢)をなるべくたくさん出すような場合に最適だ。
 しかしその一方で、下位展開によって発見されたオプシヨンは、あくまで「目的のための一手段として考えられる選択肢」にすぎず、とくに、
「それが実際に実行可能か」
「それを自分たちは本当にやりたいのか」
という部分は問わないままにきている。


■2.箇条書きはピラミッドストラクチャではない
 日本では箇条書きが好まれる。たとえば「箇条書きにしてこい」と指示された場合、通常5項目以上、なるべくなら10項目以上の箇条を書きたくなるのではないだろうか。
 10項目からなる情報があり、「よって○○は××である」と主張されても、10項目がすべてメインメッセージの理由になっているかどうかを即座に判断することは難しい。
 前項で見たように、本当にメインメッセージの理由づけになっているとは限らないからだ。
 このような場合は、10個の情報をグルーピングしてまとめ、それぞれ意味のある固まりにして、直接理由づけになっているものだけをキーライン(第2階層)にしていかなければ、読み手に主張が伝わりにくくなる。


■3."So What"「それっていったい何?」
 実際に日常的に論理思考を行うために、一番重要な思考の手法は"So What?"だ。So What?とは、「それって何?」と自問自答していくことで目の前にある情報から意味を見出し、価値のある情報を引き出していく思考だ。(中略)
 So What?の思考で重要なことは、「だからいったい何がどうなのか?」というように、何かしら意味のあるメッセージを導き出すことである。
 情報の領域を示す「項目」だけを提示しても、その項目が「どうなのか?」という内容を示していなければ、情報としての価値がない。この点は非常に重要なので覚えていてほしい。


■4.思考を混乱させる4つのトラブルメーカー
a.イシューをつかまえきれずに、目移りしてねらった獲物を手放して違う獲物に向かって奥に進んでしまう

b.誤った前提、隠れた前提に気づかない

c.事実の誤認、事実の過大/過小評価

d.公平な判断ができない


(詳細は本書を)


■5.文章を論理的に構造化する方法
 まず、文書のメインメッセージを発見する。メインメッセージは文書の中にある自分の中心的な主張だ。これを、
××は○○すべき
という形になるように書き出す。(中略)
 メインメッセージが発見できたら、そのメッセージを支えるキーラインを発見する。(中略)
 キーラインの発見と並行して(同時進行で)、キーラインのさらに根拠としてあげている事実や情報(サポートメッセージ)を探し、キーラインの下につける。これでピラミッドは3階層の構造になる。必要なら4〜5階層に構造化する。
 いずれにせよ、ピラミッドストラクチャの中のメッセージは、常にそのすぐ下のメッセージによって直接理由づけられているようになる。

(詳細は本書を)


【感想】

◆具体例を挙げないで、こうしたテーマを本から引用しても、正直分かりにくいと思います。

……と、実際に上記でやってしまっているのですが、今ひとつピンとこなかったら、すいません。

そもそも本書の「おわりに」によると、本書の位置づけは「やや難しい」レベルに該当する模様。

著者の渡辺さん曰く、下記の本のような入門書の後に本書を読むと、より理解が深まるとのことです。

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はじめてのロジカルシンキング―3つのステップで考える!


◆実際の本書はどうかというと、具体例が登場しまくり。

テーマごとに、それぞれ事例が付されているだけでなく、下記目次の通り2部の第2章は、『実践! 「伝える力」のトレーニング』と題して、丸々演習問題となっています。

ただし、単に問題と解答があるのではなく、仮想の受講生(バーチャル受講生)19人(全員分収録されているわけではないです)による解答に、渡辺さんの講評と解説が付く仕様。

演習は5問あって、すべてをしっかり考えて答えるには「5〜10時間の時間が必要だろう」(渡辺さん談)とのこと。

私は記事にする必要もあって、そこまで熟考しなかったものの、一応全部やってみました。

……確かに難しかったです。

ただ、まったく手も足も出ない、というわけではなくて、考えた解答に不備があったり、ピント外れだったり、というものだったので、時間をかければ、もうちょっと何とかなったハズ(願望)。


◆かといって、登場するフレームワークは、それほど多いわけではありません。

具体的には、「帰納法」「演繹法」「MECE」「ロジックツリー」「ピラミッドストラクチャ」のたった5つだけ。

また、考え方の「ツール」も「So What?」「True?」「How?」の3つのみです。

とはいえ、これらが「どういうものか」を知ってらっしゃる方は多いと思いますが、「使いこなせている」と自信を持って言える方はどれだけいらっしゃるやら。

私自身、「心もとない」からこそ、上記で触れた演習も解けないわけでして(恥)。

そういう意味で、私と同じような方は、本書を読む価値があると思います。


◆なお本書は、2001年に刊行した『論理力を鍛えるトレーニングブック』と、2002年に刊行した『意思伝達編 論理力を鍛えるトレーニングブック』から「核になる部分を抜粋し、一部加筆・修正したもの」とのこと。

なるほど13年以上も前の本ですから、中途半端に新しい本と違って、時事ネタ等が、丸っきり差し替えられていました(新国立競技場の「ザハ案」等)。

ただし、同時に渡辺さん曰く「解説やメッセージの面ではまったく修正する必要を感じなかった」のだそう。

そういえば、本書では、やたら「イシュー」というフレーズが出てきて、私はこの本を思い浮かべたのですが、本書の元となった本の方が、ずっと昔に出ていたワケで。

4862760856
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

参考記事:【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)

まさに、「論理思考」というモノ自体が、「時代を超えて普遍的」だったワケですね。


より深く「論理思考」を理解するために!

4761270764
頭がいい人の「論理思考」の磨き方
1部 「考える力」を鍛えるトレーニング
 第1章 論理思考ができると仕事はどう変わる?
 第2章 論理思考のツール
 第3章 思考をドライブするための手法
 第4章 実践! 「考える力」のトレーニング

2部 「伝える力」を鍛えるトレーニング
 第1章 伝える力を生み出すステップ
 第2章 実践! 「伝える力」のトレーニング


【関連記事】

【重要思考】『戦略思考ワークブック【ビジネス篇】』三谷宏治(2014年10月14日)

【思考法】『実践型クリティカルシンキング』佐々木裕子(2014年07月01日)

【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)

【これは分かりやすい!】『コクヨの5ステップかんたんロジカルシンキング』下地寛也(2013年02月13日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆そういえば、この本もKindle化されましたね。

B00T5YZ9MQ
ビジネスは30秒で話せ!

それほどお買い得、というほどでもないのですが、何故か中古が新品以上のお値段が付いているという。

参考記事:【必読】『ビジネスは30秒で話せ!』緊急レポート(2015年01月18日)


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