2015年03月15日
【ライフハック】『呼吸入門 心身を整える日本伝統の知恵』齋藤 孝

呼吸入門 心身を整える日本伝統の知恵 (角川新書)
*Kindle版アリ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも意外な人気だった1冊。ご存じ齋藤 孝先生が、実はライフワークでもあった「呼吸」について、深く掘り下げてらっしゃいます。
アマゾンの内容紹介から。
数千年の叡智を、誰でもできるシンプルな「型」に凝縮した「齋藤式呼吸法」を実践することで、精神が安定し、集中力が増し、疲れにくくなる。呼吸を通じて自己を高められる一冊。
なお、すでにKindle版も発売されています!

Winter breath / lorenkerns
【ポイント】
■1.脳の疲れが取れる基本の呼吸法まずは、自分の呼吸の波に、自分自身を浸すようにします。潮の満ち引き、あるいは波の打ち返しのように、お腹で息を感じるようにしながら、呼吸の波を感じ取ります。
息がゆったり入ってきて、波が頂点に行ったらそれでゆっくり落ちて、吐き切ったら上がってくる――呼吸をじゃませず感じとるだけ。これが基本の呼吸法です。(中略)
その波に自分を浮かばせておくコツが分かりますと、脳が疲れてしまった時などに、ちょっと横になってそれを5分ほどやります。すると、脳の疲れがすぐに回復します。
■2.高い集中力を生む、齋藤式「3・2・15」呼吸法
私の提案する呼吸法は非常にシンプルです。意識を丹田に持っていってゆったりとしたお腹で息をします。
鼻から3秒息を吸って、2秒お腹の中にぐっと溜めて、15秒かけて口から細くゆっくりと吐く。――たったこれだけのシンプルなものです。慣れてきたら、鼻から吐いてもいい。
当初は「3・2・15」をワンセットとして6回、合計2分間集中してやってみるのがよいでしょう。「3・2・15」のリズムがからだに染み込んできたら、だんだん長い時間でも楽にこの呼吸ができるようになります。時間がなければ、ワンセット20秒でもいい。
■3.リフレッシュさせる「シェイキング」
膝をゆるめて立ち、足の裏を床面から離さない程度に、膝の屈伸を使って軽くジャンプします。脚が床からはっきり離れるほど跳び上がらなくてもいいのです。
楽な体勢で上下動して揺さぶってみましょう。泳いだ後、耳に水が入った時に首を傾けてトントンと跳ねますが、ちょうどそんな感じです。
1秒に2回くらいの速さで跳ねながら、呼吸と動きを合わせて、ハッハッハッハッと息を吐き出す。自分の中にあるものをどんどん吐いて捨てて、入れ替えをする。全身の力を抜いて、手もブラブラさせながらやります。
■4.一息で英単語を集中暗記する
まず15個ぐらいの単語を表にしておき、掛け声と共に、それを一息で暗誦するように声に出す。最初のうちは、2つか3つ言ったところで息を吸って、「えーと、えーと」と詰まってしまいます。
それを2回、3回、4回と繰り返すうちに、だんだん長く続けられるようになってくる。
次にそれを一息で言えるようにまでします。息を吸ったら、その息で単語を1つひとつ言っていく。
さらに、英語の単語を発音してから、日本語でその意味を言えるようにする。
これを繰り返し続けていますと、15個程度の単語なら、10秒以内で言えるようになります。そのくらいは充分、一息が続きます。
■5.一息でどれだけの文章を読めるか訓練する
例えば、太宰治の『走れメロス』を冒頭から音読し始めて、一息でどこまで読めるかを計ります。初心者で2行くらい。強者になりますと、5、6行くらいは読んでしまう。これは、自分の一息が何秒間ぐらい続くのかを知るバロメーターにもなります。
「音読をして一息でこんなに読めるのなら、黙読だったらもっと速く読めるよね」ということになります。この方法を続けると脳の集中力と連動して、読書スピードが格段に上がっていきます。下手な速読法よりよっぽどいい。
【感想】
◆本書のテーマ以前に、元々齋藤先生は、「頭脳」だけでなく「身体」に関係する著作が多い方です。何せ本書によると「『身体技法』を学ぶこと20年」とのこと。
そして「呼吸」についても、かなり昔から研究なさっているそうで、下手したら、最近話題になった「4-7-8方法」の元ネタである、アンドルー・ワイル博士より詳しいんじゃないか、と言う。
はてなブックマーク - 1分で眠りにつけると話題の呼吸法「4-7-8方法」を紹介 - ライブドアニュース
ちなみに、そのことが書いてあるのは、この本になります。

癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)
私は10年以上前に読んだのですが、その時は「1分で眠れる」とは言ってなかった気が(その後新たな効果が分かったのかもしれませんが)。
◆また、齋藤先生にははるかに及ばないものの、私自身、税理士の受験生時代には、「呼吸」に関して強い関心を持っていました。
当時はネット環境なぞなかったので、当然書籍が中心でしたが、その過程で出会ったのが、上記の『癒す心、治る力』であり、当時は私も「4-7-8呼吸」を実践していたという。
……ただ、私の記憶によれば、この「4-7-8」はあくまで「カウント」であって、秒数ではなかったハズ!?
いずれにせよ齋藤先生の「3・2・15呼吸法」は、ワイル式と同じように「短めに吸って、息を止めて、長く吐く」ことにより、「高い集中力」を生み出すわけです。
◆また、本書では、上記ポイントの4番目と5番目にあるように、「呼吸」に関係のある勉強法も指南。
「一息でやり抜く」という負荷をかけることによって、脳の処理能力を上げている感じです。
なお、前者の「英単語集中暗記」では、小学4年生が、中学3年生の覚える英単語を一気に覚え、かつ、その知識が2週間以上経っても定着したりしているのだそう。
「一息」でやる以上、何度も「高速回転」しているでしょうから、実は理に適ったやり方と言えるかもしれません。
勉強絡みで言うなら、割愛したお話として、「腰が入った座り方」というTIPSも第一話にあるので、こちらもお見逃しなく(今、私もしていますw)。
◆本書は、上記ポイントのようなTIPSネタばかりではなく、もうちょっと呼吸に関する深いお話もあるのですが、ボリュームの関係から、今回は具体的に実践できるものを優先しました。
サブタイトルに「日本伝統」とついているように、本当は「禅」や「能」や「狂言」のお話もあったんですけどね……。
それと、読み終わってから知ったのですが、本書は2008年に出た『呼吸入門』を再編集し、冒頭の「はじめに」を加筆したものとのことですので、ご留意を。
当時は見過ごしてしまいましたが、今読んでも十分得るところがある1冊だと思います。
呼吸を制すものは、人生を制す!

呼吸入門 心身を整える日本伝統の知恵 (角川新書)
第1話 なぜ「息」を考えるのか
第2話 呼吸力とは何か
第3話 息と心の関係
第4話 日本は息の文化だった
第5話 教育の基盤は息である
第6話 危険な呼吸法・安全な呼吸法
第7話 息を感じて生きる
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【編集後記】
◆本日のKindle日替わりセール品
お金持ちの教科書
先日、『大金持ちの教科書』をご紹介した加谷珪一さんの前作です。
送料考えたら、中古本のほぼ半値なので、気になる方はぜひ!

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