スポンサーリンク

       

2015年02月23日

【超マーケティング?】『マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法』ちきりん


4478064784
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、人気ブロガーちきりんさん、2年ぶりの完全書下ろしの新刊。

本書では、これからの時代に必要と思われる「稼ぐ力」の源泉となる「マーケット感覚」について事例とともに解説してくれています。

端的にまとまっているKindle版の内容紹介から。
月間200万PVの超人気ブロガー・ちきりんの最新作。マーケット感覚とは「社会の動きがこれからどうなるのか」「いま何がいくらで売れるのか」などがわかるアンテナやセンサーといえるもの。市場化が進む社会においてキーとなるこの新しい概念を、多様なビジネスと社会的事例を知る著者ならではの筆致で解説する。

こういう「身も蓋もない」(いい意味で)お話は、当ブログ的には「ツボ」でございますw





Age Wave / jurvetson


【ポイント】

■1.上位レイヤーの競争を理解する
 上位レイヤーの市場間競争において金融機関は、「安心の老後には何千万円が必要」「子供を1人育てるには何千万円かかる」と煽りに煽ることで、お金を消費市場から貯蓄市場にひっぱってきます。(中略)
 一方の消費財メーカーやサービス業は、上位レイヤーにおける市場間競争に気がついていません。「子供を1人育てるには何千万円必要だ。だから貯蓄を!」と呼びかける金融機関に対して、「子供が1人いれば、老後の費用はこれだけ少なくてすむ! むしろ一緒に旅行や食事を楽しんでおくなど、子供や孫と仲良くなっておいたほうが、老後は安心です!」と宣伝できるはずなのに、そんなメッセージは、見たこともありません。


■2.モノの「価値」に意識的になる
 これから重要になるのは、「自分は何を売っているのか」「何を買っているのか」について、意識的になることです。糸井重里さんや栗原はるみさんは、自分が売っているのが手帳やフライパンだなどとは思ってもいないでしょう。売っているのは、モノを選ぶときの価値観やセンスであり、毎回の販売を通じて獲得した(孫が祖父母にそう思われているのと同じレべルの)購入者からの信頼感です。それがわかっているから、彼らは成功しているのです。


■3.マーケット感覚で自分のスキルに気づく
グローバル金融の世界において、日本のメガバンクに勤めていることは、決して優秀とは見做されていません。一方、日本のスーパーのレジスキルやファミレスの接客スキルは、どこの国の人たちと比べても圧倒的にスゴイのです。
 日本のファミレスでのバイトが普通にこなせる人であれば(語学やビザの問題を除けば)、誰でも明日から、欧米やアジアのカジュアルレストランでフロアマネージャーが務まります。そういう人はみんな「グローバルに通用するスキル」を持っているのです。
 マーケット感覚が鋭くなれば、銀行員として働く優等生だった昔の同級生より、コンビ二でバイトをしている自分のほうが、よほど世界で売れる経験とスキルを蓄積しているとわかるはずです。


■4.顧客に提供している価値を見出す
 プロスポーツの市場で取引されているのは(=観客が求めているのは)、「思わず感嘆してしまうほど高いレべルの技や、手に汗握るパフォーマンス」という価値ですが、高校野球では「全力で戦ったにもかかわらず、時の運で勝ったり負けたりする理不尽さや、技術レべルが低くても、気合いと根性でカバーしようとする若者たちの物語」が取引されています。つまりプロ野球と高校野球では、観客に提供されている価値が異なるのです。(中略)
 そして、この点に注目して成功したのが、秋元康氏がプロデュースするAKB48です。歌や踊りのレべルが高くなくても、ひたむきに頑張る姿を見せることに価値があるのは、甲子園児だけでなく芸能人でも同じだと見抜いたのは、秋元氏の慧眼でしょう。


■5.電子書籍の普及で磨かれるマーケット感覚
「書籍は価格弾力性の低い商品だから、価格を変えても売上は大きく変わらない」という人までいます。たしかに本をよく読む人のなかには、「本を買うときに価格を気にしたことはない」という人もたくさんいます。しかし最近、市場全体としてはそうではないということが、キンドルなど電子書籍の登場によって証明されました。
 電子書籍では、セール価格になった書籍の売上が瞬時に跳ね上がります。顧客は書籍に関しても、価格に対して非常に敏感なのです。とはいえ出版界の人にその感覚が欠けているのは、彼らの元々の能力の問題ではなく、業界の(価格に関する)市場性レべルが低いという、環境の問題です。そして今後その環境は、電子書籍の普及により急速に変わっていくでしょう。


【感想】

◆本書の「はじめに」では、タイトルにある「マーケット感覚」について、「売れるものに気がつく能力」「価値を認識する能力」と定義しています。

つまり「何に価値があるのか」と、「その適正価格はいくらか」ということ。

前者はざっくり言えば「バリュー」で、後者は「プライシング」になるでしょうか(……って英訳しただけですけどw)。

その「バリュー」についての具体例の1つとして、本書の「さいごに」では、山から集めた「葉っぱ」が2億円になるビジネスが紹介されています。

詳しくは、当ブログで以前ご紹介したこの本に詳しいので、興味がある方は、ぜひご一読を。

4797340657
そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

参考記事:【葉っぱがお金に?】「そうだ、葉っぱを売ろう! 」横石知二(2007年11月10日)


◆また、プライシングに関しては、当ブログでご紹介済みのこの本が参考になると思います。

4534050429
価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?

参考記事:【スゴ本】『価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?』リー・コールドウェル(2013年02月17日)

ただ、それ以上に私自身が実感しているのが、上記ポイントの5番目の電子書籍の件。

当ブログはKindle版がメインではないにもかかわらず、Kindle本のセール記事でのお買い上げは、過去のランキングを見ても、とんでもないことになっています。

例えば昨年10月の月間ランキングでは、10月にレビューした本でランク入りしたのがたった1冊だったのに対し、Kindle関連は14冊というアリサマ。

今月も中経出版さんのKindle本セールがあるので、恐らく似たような感じになってしまうと思います。

この辺は、新刊ですぐにKindle版を出したり、セールをバンバンやる版元さんがある一方、Kindle版に消極的だったり、出しても値段がほとんど変わらない版元さんがあるのが、興味深いところですが。


◆なお、本書の最終章では「変わらなければ替えられる」と題して、変化を拒否していても、替えられてしまった例が挙げられています。

たとえば従来、地方から外国に旅行するには、国内線で羽田空港に来た旅行客は、そこから乗り換えバスで成田空港まで行かなくてはいけませんでした。

家族4人で約2万円、1時間以上かけて移動するくらいなら、と地方の旅行客が選んだのが韓国が2001年に造った仁川国際空港です。

諸外国に行く場合、いったん仁川国際空港に行ってそこで乗り換えても、同じ空港内ですから余計なコストも時間もかからず、かつ待ち時間を有効に使える施設が充実している、というのですから、羽田&成田に勝ち目はありません。

その現実に直面した日本の航空行政の関係者は、慌てて羽田空港の国際化に乗り出したという。

なるほど、最近羽田からの国際線が増えた、と感じていたのは、そういう事情があったのか、と。

ですから、同じように規制や法律で守られている業界も、今後はどうなるか分かりませんし、その前提でビジネスを考える必要があるわけです。


◆この他にも、本書は具体例が豊富で分かりやすく、かつ、自分が興味のあるテーマだったため、風呂に浸かりながら最後まで一気に読み切ってしまいました。

しいて気になったところを挙げるなら、「ふるさと納税」について、「地方自治体がマーケット感覚を身につける機会」とポジティブに評価されているのですが、個人的には「受益者負担の原則」からみて、制度としていかがなものかと……(本題に直接関係ないので詳細は割愛しますが)。

それでも、本書のような「物事の本質を考えさせられる」作品は、ノウハウ本ばかり読んでいる自分にとっては貴重ですし、得るところも多かったです。

ちなみに、本書のKindle版のお値段は、どのように決定されたのか、後で種明かしして欲しいものですがw


これから稼ぎ続ける人になるために!

4478064784
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
序 章 もうひとつの能力
第1章 市場と価値とマーケット感覚
第2章 市場化する社会
第3章 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
第4章 すべては「価値」から始まる
第5章 マーケット感覚を鍛える5つの方法
終 章 変わらなければ替えられる


【関連記事】

【オススメ】『自分のアタマで考えよう』ちきりん(2011年10月29日)

【人気ブロガーがデビュー】『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』ちきりん(2011年01月20日)

【葉っぱがお金に?】「そうだ、葉っぱを売ろう! 」横石知二(2007年11月10日)

『戦略思考トレーニング』が想像以上に凄い件について(2013年04月20日)

【スゴ本】『価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?』リー・コールドウェル(2013年02月17日)


【編集後記】

◆「アマゾン総合1位」ということで、今話題の1冊。

4800237548
百田尚樹『殉愛』の真実

お手軽に作られた便乗本なのかと思いきや(失礼)、メインの著者2人はいずれも「講談社ノンフィクション賞受賞者」というガチな布陣でした。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「マーケティング」へ

この記事のカテゴリー:「起業全般」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
                               
この記事へのトラックバック
               
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法作者: ちきりん出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2015/02/20メディア: 単行本(ソフトカバー) 人気ブロガーのちきりんによる「自分のアタマで考えよう」「未来の働き方を考え
大げさな話じゃなくて、身近な話:マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法【本読みの記録】at 2015年07月20日 22:38