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2015年02月21日

【結構スゴ本!】『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』吉田尚記


なぜ、この人と話をすると楽になるのか
なぜ、この人と話をすると楽になるのか


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

アマゾンレビュー等を見ても、「コミュ障向け」という印象を受けていたのですが、なかなかどうして「奥が深い」作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
ニッポン放送の大人気アナは、些細な会話すらままならないコミュ障だった!そんな彼が20年かけて編み出した実践的な会話の技術を惜しみなく披露。話すことが苦手なすべての人を救済する、コミュニケーションの極意!!

お買い得なKindle本も、既に用意されております!





Chicago Public Radio Studio / redjar


【ポイント】

■1.コミュニケーションの「定石」を学ぶ
 会話が上手だなって思える人は、コミュニケーションの瞬間瞬間に意味を見出し、その都度ふさわしいテクニックを駆使しています。そこへ近づくためには言葉のやりとりを1回1回、ゲームとして認識することが重要だったんですね。ゲームであれば当然ルールや技術があり、練習して磨いていけば誰でもコミュニケーション能力は上達するものだと知った。
 そうするといろんな事柄が明らかになってきて、ひとつに、コミュニケーションには「定石」があるらしいことが見えてきたんです。 
 コミュニケーションには、こう来たらこう受ける、こう受けたらこう出すという「型」がたくさんある。それはある種のパターンで、反復可能だし人に教えることもできる。定石を駆使するだけで、いまこうなってるからこっちへ振ってみようとか、相対的なコミュニケーションがとれるようになったんですね。


■2.相手にしゃべってもらう
 コミュニケーションはゲームである以上、「こうすれば100パーセントうまくいきます」とは絶対に言えません。コミュニケーション・ゲームにおけるテクニックや勝利条件は網羅できないからこそ、1人ひとりが違うスタイルを身につけていく必要があるんです。
 ただ何度も言うとおり、できるだけうまくいくよう確率を上げていく方法はあります。その基本はたったひとつ。人にしゃべらせる。これだけです。人に楽しくしゃべってもらう。最初に話しかけるとき以外、自分からしゃべる必要はない。


■3.相手のテンションに合わせる
 もちろん相手のテンションは変えられません。でも自分のテンションなら変えられますよね。そうして共有されたテンションがその場のムードをつくるんです。
 目のまえの人がどんなテンションでいるか、ある程度ならわかりませんか? 少し元気がなさそうだとか、気さくで明るい人だなとか、神妙でムツカシイ感じとか、相手の側がその場で醸し出しているテンション。コミュ障であればそれを感じ取るくらいには繊細な感覚を持っていると思う。そこに自分のテンションを合わせていけばいいんです。


■4.答えやすい質問をする
 人はよっぽどのことがない限り、考えなければ答えられない質問には二の足を踏んでしまうんです。(中略)
 反対にとにかく答えやすさだけを追求して質問を重ねていくと、時折とんでもないジャンプ力のある答えが返ってくることがあるんです。それは二度と同じ答えが出ないようなオリジナリティのある反応で、インタビューとしても優れたものになるんですね。食べ物に喩えるなら、栄養はあるけど食べづらいものよりまず食べやすいこと。答えやすい質問がいちばん効果的です。


■5.解釈が固定されないよう、自慢はしない
 なぜ自慢はご法度なのか? これも自慢している人を見ると恥ずかしいとか、カッコ悪いとか、そういうモラルに関する問題ではありません。あくまでコミュニケーションの技術として、自慢があるとその人の解釈が固定されてしまうからです。パスコースが非常に狭くなって、フィールド全体も貧困になっていくんですね。
 たとえばよく、ある有名人と知り合いなんだって人、いるでしょう。それが「どうだ、すごいだろ!」って自慢になると、有名人と知り合いである自分をそのように解釈しろというメッセージになって、キャラクターを押しつけてしまうんです。最悪なのは、もし同じ場にその有名人ととても仲の良い人がいたら、「うわあ、この人いま一目置かれたいんだ」っていう解釈が加わって尊敬できなくなってしまう。


【感想】

◆お恥ずかしながら、私は本書の著者である吉田尚記さんについて存じ上げていなかったのですが、「マンガ大賞」の発起人であったり、「放送業界で1、2を争うアニメやゲームなどのオタク」として有名な方なのだそう。

吉田尚記 - Wikipedia

ちなみに、Twitterのフォロワーも、現時点で12万人もいらっしゃいます。

よっぴー(@yoshidahisanori)さん | Twitter

そんな方ですから、ネイティブでコミュニケーションスキルが高いのかと思いきや、冒頭の内容紹介にもあるように、元々は「些細な会話すらままならないコミュ障だった」とのこと。

天下のニッポン放送に採用されている時点で、本当の意味での「コミュ障」ではないでしょうけど、入社当時はイベント会場や街頭ロケで、知らない人に声をかけるのが苦痛だったのだとか。

そこから吉田さんが、如何に「コミュニケーション・スキル」を身に付けていったかが明かされているのが、本書なワケです。


◆その「コミュ障」脱却の転機の1つとなったのが、「コミュニケーションは『ゲーム』なんだと気づいたこと」。

上記ポイントの1番目では、「ゲーム」であるがゆえに「定石」があることについて触れられていますが、例えば、プロのパーソナリティ同士で番組をやると、すごくやりやすいのだそうです。

というのも、事前に相談をしなくとも、話の道筋がだいたい読めるから。

さらには、定石を数多く身に付けていくうちに、将棋の棋士が解説するように「コミュニケーションの盤面解説」ができるようになっていたのだとか。

吉田さん曰く「サッカーに万能の戦術がないように、会話にも必勝法はありません。ただ、勝率が高くなる戦い方はあります」とのこと。

この辺のくだりは、ナンパにも通じるものではないか、と個人的には思うのですが、ナンパクラスタの皆さんが、本書を読んでどう思われるか興味があるところです。


◆また、本書にはコミュニケーションに関する「金言」が多々。

割愛した部分からいくつか抜き出してみます。

「コミュニケーションというのは、じつは、コミュニケーションが成立すること自体が目的であって、そのときに伝達される情報は二の次」

「コミュニケーションには敵と味方を峻別する機能がある」

「人は間違った情報を訂正するときに一番しゃべる生き物」

「伝えるというのは、なるべく伝わるよう演出することにすぎない」

「もし『え、説明して?』って言えたら、間違いなく話は転がる」

「ふだんの会話から、『嫌い』『違う』の単語だけ外す」


……画像は割愛しますけど、かなり付箋を貼りまくりましたよ。


◆ちなみに、本書の「はじめに」では、「コミュニケーションのスキルを磨くには、何が必要なのか」という点について触れられていました。

吉田さんは「技術」と断言。

さらには、「コミュニケーションに『心』なんて便利な言葉を持ち出したら、押えなければいけない実態をスルーしてしまうことになりかねない」とまで言われています。

個人的には「ノウハウチック」な本が好きなだけに、本書はツボに刺さりまくり。

ただし、割愛した中の「愚者戦略」というのは、よほど心が強いか、吉田さんのようにバックボーン(慶應卒等)がないとハードルが高いと思うんですけどね……(詳細は本書を)。


コミュニケーションスキルを高めたい方なら必読!

なぜ、この人と話をすると楽になるのか
なぜ、この人と話をすると楽になるのか
【基本編】
はじめに コミュ障の私よ、さようなら
【1】コミュニケーションとは何だろう
【2】「コミュ障」だった私
【3】コミュニケーションという「ゲーム」
【4】ゲーム・プレーヤーの基本姿勢
【5】沈黙こそゴール

【技術編】
【6】コミュニケーション・ゲームのテクニック
【7】質問力を身につける
【8】キャラクターと愚者戦略
【9】コミュニケーション・ゲームの反則行為
まとめ コミュニケーションは徹頭徹尾、人のために


【関連記事】

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『ツカむ! 話術』が想像以上に凄い件について(2014年04月10日)

【オススメ!】『コミュニケイションのレッスン』鴻上尚史(2013年05月28日)

【56の心得】『会話は「聞く」からはじめなさい』上阪 徹(2012年08月29日)


【編集後記】

◆昨日の「未読本・気になる本」の記事に載せ損ねた1冊。

4799316133
基本は誰も教えてくれない日本人のための世界のビジネスルール

これも一種の「コミュニケーション本」かと。


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