2015年02月17日
【紙1枚!?】『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』浅田すぐる
トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の日経新聞の広告で知った1冊。トヨタでは「すべての書類を紙1枚にまとめる」習慣はありながらも、その詳細なマニュアルがなかったところ、著者である浅田さんが研究を重ね、まとめられたのが本書なのだそう。
アマゾンの内容紹介から。
世界のトップ企業・トヨタの「仕事のできる人」たちが当たり前のように実践している仕事術をもとに体系化した、シンプルにして究極の思考整理法を大公開!
なお、今日現在、単行本の在庫が切れているようですが、お手頃価格なKindle版なら入手可能なようです。
2014-01-27 How can I improve my animation workflow / sachac
<画像はイメージで、本書とは関係ありません>
【ポイント】
■1.「一覧性」を持たせるたとえば地図を見てどこかへ行くとき、いちばんわかりやすいのは、出発地から目的地までの道のりが1つの紙面に書かれているものです。全体が見えれば、出発地から目的地までの様子がひと目でわかり、距離感や方向感覚をつかめます。到着時間の予想も立てられるでしょう。
これが、出発地から目的地までの道のりが何枚にも分かれている地図だと、そうはいきません。「この先は○○ぺージへ」というように、ぺージをまたいで地図が続いて一覧性がなくなると、わかりやすさが半減します。
つまり、「紙1枚に収める=一覧性を持たせる」だけで、何枚にもわたる書類より、ずっと伝わるものになるのです。
■2.「フレーム」と「テーマ」で分かりやすさを高める
私が作った書類では、「分析の目的」「評価の視点」「全体の要約」「評価の詳細」「今後の方向性」というテーマの項目に分け、それぞれを枠で囲み、枠の中に重要かつ必要最低限の情報を盛り込みました。
フレームとテーマがあることで、読み手は「この部分には何が書かれているのか」がひと目でわかります。全体を見渡せば、「この書類は何と何について書かれているのか」もわかります。
また、読む前にある程度その先がどのような内容なのか見通しがつくため、読みやすさもアップします。
さらには、テーマがついていることで情報の取捨選択もしやすくなります。「この部分とこの部分は大事だから特に注目しよう」といった、メリハリのある読み方ができるのです。
■3.「動詞」を「動作」に変換する
たとえば、「もっとよく考える」「優先順位をつけて働く」「目的を意識する」といったビジネス書でよく見かける表現は、どれも表現として目には見えません。だから新人社員は「どうしよう」と路頭に迷ってしまう。
そこで、表現に含まれる「動詞」を、目に見える「動作」に変換することで、誰でも再現できるようにするのです。
たとえば「挨拶する」は動詞です。
これを動作に変えると、笑顔で「おはようございます」とはっきりした声で言う、頭は軽く下げる、などとなります。
きちんと挨拶するということが、具体的にどういうことかわからない人には、このように動作を示してあげるとよいのです。
■4.すべての基本となる「エクセル1」
まず、緑色のぺンで枠組みを作り、そこで青色のぺンを使って頭の中の情報を整理する。続いて赤色のぺンを手に取り、書き出された情報に対する思考を深めていくのです。
紙に書き出すからこそ、頭のごちゃごちゃが整理され、紙を見ながら考えるからこそ、思考が逃げず、集中できる。したがって、自然と答えを導き出せる、というところがポイントです。
ふだん考えをまとめる作業か苦手だという人は、これを頭の中だけでやろうとするために、思考が前に進まないのです。
(書き方等、詳細は本書を)
■5.論理的に考えをまとめ、わかりやすく伝える「ロジック3」
(1)まず、「1P?」という質問の答えを考えます。
「1P?」とは、「1Phrase?(ひとことで言うと?)」という意味。この場合であれば、「自分の仕事をひとことで言うと何になるか?」を考えます。(中略)
(2)次にもう一度緑色のぺンに持ち替えて、「Q1?」「Q2?」「Q3?」のそれぞれに対応する質問を立てます。(中略)
(3)質問を書き込んだら、今度はそれぞれの質問に対する答えを青色のぺンで書いていきます。(中略)
(4)フレームの中がすべて埋まったら、これで完了です。あとは、これをもとに説明していけばよいのです。
(詳細は本書を)
【感想】
◆冒頭で触れたように、トヨタには「すべての書類を1枚にまとめる」という習慣はあっても、そのための詳細なマニュアルはない、とのこと。ですから、本書で浅田さんが披露している書き方も、特に「トヨタ公認」というわけではないようです。
ただし浅田さんは20代の頃、ご自身が作成した「1枚の紙」が社長までのぼることとなり、それをきっかけに業務が一大プロジェクトへ発展する、という体験を得ます。
さらには、この「1枚にまとめる」技術を駆使し、残業時間をゼロにしたり、入社4年目でアメリカに赴任されたりもしたのだそう。
結果的に浅田さんが、トヨタ時代に作成した「1枚」は1000枚を超え、他の人が作成したものを見て研究した数を含めると、累計3000枚以上にはなるとのこと。
◆それだけ研鑽を重ねた浅田さんのテクニックは、上記ポイントの4番目と5番目で明らかにされています。
まずは思考を整理する「エクセル1」。
通常はA5またはB5サイズのノートを横書きにして、緑色のペンで縦2段、横4列の計8個のフレームを書きます(16個や32個のケースもアリ)。
ちなみに浅田さんはふだん、アピカの「フィグラーレマトリクスノートノート(無罫)」というノートを使われているとのこと。
アピカ フィグラーレ マトリクスノート SW131C A5 茶
そして、一番左上のフレームに「日付」と「テーマ」を記入し、残りのフレームに青色のペンで答えを書いていきます。
それができたら、今度は赤色のペンで、書いた答えにマルやバツの印をつけて思考を整理するのですが、やはり本書で具体例を見て頂いた方がピンと来るかも。
◆一方「ロジック3」の方は、ポイントの5番目で書き方を列挙してみましたが、収録された図を踏まえての話なので、これだけ見てもやはり分かりにくいですね(すいません)。
本書の例だと、まず最初の「1Phrase?(ひとことで言うと?)」の部分には「自分の仕事をひとことで言うと何になるか?」を記入します(本書の例だと「自動車の営業を担当しています」)。
残りの「Q1?」「Q2?」「Q3?」は、それぞれ「What?」「Why?」「How?」が該当し、答えを3つずつ埋めていくという(本書の例だと「どんな車を売っているのか?」「なぜ、その仕事を選んだのか?」「営業はどうやっているのか?」)。
もちろん、「What?」「Why?」「How?」の順番は自由に変えてよく、むしろ柔軟に変えることで、思考が深まるようです。
本書では、他にも「新規企画のプレゼン資料を作る」「社外セミナーの結果を報告する」といったケースでの具体例も収録されていますので、そちらもご参考まで。
◆なお、浅田さんが独立後行なったセミナーでは、ある一線で働くベテラン広告マンに、「聞く人が聞いたら100万円以上の価値がある」とまで言われたのだとか。
そして、そのセミナーで話されたのが、他ならぬ「本書に収録された内容」なのだそう。
いかんせん、肝心の図がない状態でのレビューなので、分かりにくいかもしれませんが、メソッド的にはシンプルで、実践しやすいと思います。
肝心なのは、「いい話だった」「面白かった」で済ませないで、実践することなのですが(自戒を込めて)。
自分の考えをまとめ、分かりやすく伝えるために!
トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術
1.なぜ、トヨタはナンバーワンなのか?
2.トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術〜基本編〜
3.トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術〜応用編〜
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【編集後記】
◆買おうか買うまいか迷っているうちに、土井英司さんにメルマガで先をこされてしまった1冊。「稼げる男」と「稼げない男」の習慣 (Asuka business & language book)
ま、まぁ、ウチではウケにくいジャンルだからいいんですけどね(負け惜しみ)。
ご声援ありがとうございました!
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