2015年01月23日
【読書術】『「深読み」読書術: 人生の鉱脈は本の中にある』白取春彦
「深読み」読書術: 人生の鉱脈は本の中にある (単行本)
【本の概要】
◆今日お送りするのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にてご紹介した読書術の本。著者が、主に「非ビジネス書」系の作品が多い白鳥春彦さんなだけあって、いつもの読書術本とはひと味違いました。
アマゾンの内容紹介から。
「濃く」「豊かに」生きる人の本の読み方・選び方!1冊の“深い読書”は100人の教師にまさる―読書法が変われば、人生が変わる。深く・大量に・速く…!視野が広がる「頭の整理法」。白取春彦的・快適読書ライフのすすめ。
人によって「合う」「合わない」部分があるかもしれませんが、本好きの方なら一読の価値アリです!
Deep Thought / mikecogh
【ポイント】
■1.本は「全体」を読む知識を得るだけのために本を読まざるをえないということは誰にもあることだろう。だからといって、得たい知識について書かれている箇所のみを飛び地のようにしてジャンプ読みをするならば、その知識を自分のものにするためにはかえってよけいな時間がかかってしまうはずだ。
なぜならば、どんな知識であっても有機体のように他のさまざまな知識や事象と密接につながっているからだ。樹木は幹ばかりではなく、枝も葉も根もあって成立しているのと同じように。したがって、書物の全体を読んで全体的なつながりとともに理解したほうが、すんなりとその知識が得られることになる。
■2.多読する
ある事柄について、いくつもの書物を読んだほうがいい。何冊もの本を読むことによって、今まで常識だと思いこんでいたものが、偏見だったとわかるからだ。
ふだんのわたしたちだって、いろいろな人間に会って、いろいろな交捗や関係をもって、はじめてこの世にはいろいろな性格や考え方があるのだとわかる。それと同じことを書物に対してもすればいいのだ。
多読の効用はまずそこにある。
■3.選書のヒント
・巻末の参考文献を見る
・目次をみる
・ペラペラ拾い読みをして、目に入ってくる文章や数語を読む
・目次を見て、気になった、ないしは核心を突いていると思われる部分を2ページ以上立ち読みする
(詳細は本書を)
■4.著者の思考をシミュレーションする
書物の知識とはぺージの中に書かれている情報のことではない。個々の書物がもっている知識とは、その中に書かれている事柄を著者がどう結んでいるかということなのだ。それは、技術が進んだ現代にあってもなお、文章という古典的な形でしか表現できないものなのだ。
そして、読書をするということは、著者のやり方による事柄の結びつけ方を自分の中でシミュレーションしてみることなのである。
■5.読書で大事な3つのこと
(1)書物の主張、あるいは結論が何であるかをはっきりと知る。最初はどんなに難しそうに見えていた書物でも、この3つさえはっきりさせることができれば、とても簡単な書物に見えてくる。そして、この3つを知ってようやく「1冊の書物を読んだ」ということになるのだ。
(2)その主張や結論を導いた根拠を押さえる。
(3)その根拠の前提となっているものが何かを押さえる。
■6.読みにくい古典は大切にしない
閉じたままにはしておかず、ぞんざいにぺージを開いておく。飼い猫が踏んでも気にしない。すると、そのうちに古典の威厳が薄れてきて、開いたぺージの数文字、数行が目に入り、なんとなく読むことになるだろう。
そうなったら、もう助走が始まっている。からかうような気持ちでソファにでも寝転んで少し続けて読めばいいのだ。その段階になれば、もはや敬遠する気持ちはなくなって、こんな有名な本なのに中身はちっとも偉ぶっていないなという印象をもつだろう。あとは適当に読みやすい箇所からぺージをめくるだけでいいのだ。
【感想】
◆初っ端の「ジャンプ読みをしない」辺りで、すでにピンと方もいらっしゃるかと思いますが、本書は、当ブログで今までご紹介してきた多くの読書術本とは、かなり異なったスタンスをとっています。今回割愛した中には、「1冊の本を最後まで通読する」というTIPSもあり、これはいわゆる「ビジネス書の読書術」とは違うな、と。
ただ、これに関しては「駄本」を無理して最後まで読め、というのではなくて、「難しい本」や「古典」を最後まで読み切ることを推奨していることなので、ご安心を。
もっとも「読みやすそうな本を通読するのは誰にでもできる」「その通読は達成感をもたらさない」とも言われていて、個人的には耳が痛いのですがw
◆一方、選書の仕方に関しては、ある程度類書に近いかと。
目次を見ることや、気になった部分をチェックするあたりは、お馴染みの手法です。
ただし、若干異なるのが、著者にこだわらないことで、著者が有名であるかどうかや、著者の経歴などは見ない、とのこと。
もちろん、一般的に著者の経歴は「盛られている」ことが多いので、鵜呑みにはできませんが、逆に「この経歴で、これ語りますか?」というフィルターにはなると思うのですが……。
なお、上記ポイントでも「参考文献を見る」とありましたが、立ち読みでチェックしている本ではなく、すでに読んだお気に入りの本の参考文献にあたる、というTIPSも本書では紹介されていましたので、ご参考まで。
◆また、本書でも何冊かの類書同様「古典」を推しています。
とはいえ、上記ポイントの6番目のように、アプローチ方法をアドバイスをしてくれているのは有り難いところ。
それでもなお、古典が読みにくい、という方のために、本書ではこの本を「最初の古典」として推奨していました。
幸福論 (岩波文庫)
「難しい用語はほとんど出てこないし、文章も平易」とのことなので、気になる方は、ご検討いただければ。
◆ところで、昨日の未読本の記事でも「速読」について触れましたが、本書では最後の最後、209ページでやっと登場します。
ただし、その手法は「自然速読」とも言えるもので、いわゆる過去の読書の蓄積に基づくもの。
小飼 弾さん言うところの、「0冊から100冊読むのと、1万冊読んでから100冊読むのとでは当然読む速度が違う」というお話に近いもので、「手軽に実践」というわけにはいきませんでした。
アマゾンの内容紹介に「深く・大量に・速く」とあったので、「『深く』と『速く』を両立させるなんて!」と変に期待しちゃいましたが、この辺は一応ご留意を。
でも、「深く」「大量に」読むなら、要チェックな1冊です!
「深読み」読書術: 人生の鉱脈は本の中にある (単行本)
第1章 仕事も生き方も圧倒的に変わる!本を読む人、読まない人の決定的な差
第2章 「自分の頭で考える」ために―人間的魅力が増し、人生が豊かになる読書
第3章 毒にも薬にもならない本は読むな!自分を成長させてくれる本は、こうやって選ぶ
第4章 あなたの読み方は間違っていないか?人生の充実度がガラリと変わる「本の読み方」
第5章 使える知識はこうして身につける!深く・大量に・速く読むための読書案内
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【編集後記】
◆本書では、古典の1つとして「聖書」を紹介しているのですが、実は『ターミネーター』の設定も聖書を意識しているのだそう。特に『ターミネーター4』になると、かなり聖書的らしく。
ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]
そういえば『ブレードランナー』も、聖書の設定のようですし、やはり聖書も教養として知っておくべきなのかな、と。
ご声援ありがとうございました!
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