2015年01月20日
【就活】『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?: 人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる』海老原嗣生
なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?: 人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気を集めた1冊。「人事・雇用のカリスマ」こと、海老原嗣生さんの最新作になります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
~「はじめに」より~
そろそろ、企業は何を考えているか、手の内をしっかり見せたほうがいいのではないかと思い、この本を書くことにしました。現実を知れば、「何だ、簡単だな」とホッとできる部分もあり、逆に「そういうエゲツない世界なのか」と殺伐とした気持ちになるかもしれません。
それでも、まったく的はずれな噂に恐れおののくよりはいいでしょう。企業の現実を知れば、ムダな努力もしなくなるはずです。そういう、「企業は何を思っているか」「どうしてそんなことをするのか」ということの裏事情を、事例や実務をもとに、詳しく説明していきます。
なお、既にお買い得のKindle版が出ているのも、ポイント高いです!
Laura Baumann / Baumann_Laura
【ポイント】
■1.インターンシップの2つの問題点まず、どの企業もインターンシップに参加できる学生の数は1回あたり30人程度に絞っています。新卒で探用する学生数よりもはるかに少ないのです。たぶん、インターンシップの募集に応募した学生の1〜2%でしょう。これではほとんどの学生は蚊帳の外ですね。
2つ目は、中身。入社後の仕事とまったく関係のない、夢を見させるだけの企画提案などを課している企業が多いのです。これは、私が『Works』という人材専門誌の編集長をしていた2001年にインターンシップの特集を組んだときから、何ひとつ変わっていません。
■2.大学レベルによって、説明会に呼び込むメールの順番が違う
たとえば、説明会の総定員が4000人だったとしましょう。
まず、旧帝大クラスのプレエントリー学生をメールで呼び込みます。その結果、申し込みが500人くらい集まったとしましょう。
続いて、早慶上智、ICU、一橋、東工大、東京外語大などに呼び込みメールを出します。これで一気に、申し込みは2000人に届きました。
さあ、次は、MARCHや関関同立、一般国公立大学あたりに呼び込みをかける番です。このあたりで、申し込みは3500人くらいに達するはずです。
そして、残り500席になったところで、全エントリー者に一斉メールを送信します。たった500席に対して、何万人ものエントリー者が奪い合いをするから、「なかなかアクセスできない」「すぐ埋まった」という事態になるのです。
■3.学歴スクリーニング目的のエントリーシートは、1社だけ真剣に書く
ありきたりな課題に対しては、最初の1社だけ真剣に全力投球で書くこと。その後は、それをコピペしながら、軽くアレンジする程度で省力化してください。こうすると、多少アレンジしただけの類似エントリーシートが各社に出されることになります。結果、面接でも、似たような質問が出される。同じような質問に受け答えしていけば、あなたも対応に慣れて、進化していきます。そう、相手がそのつもりなら、こちらもそれを利用するくらいに考えておいたほうがいいでしょう。
■4.企業が面接で見ている、たった2つのこと
面接で見ているポイントももうわかってきたでしょう。
・自社の仕事がきちんとできるか
・自社の仲間とうまくやれるか
これだけなのです。
その2点を確かめるために、面接で情報を集めている。
ただ、会社によって仕事は違うし、社風やそこにいる人のキャラも異なるので、見ているポイントはさまざまです。
これがこの本の、最大の重要ポイントなので、忘れないでください。このあとの質問のすべてにかかわる、まさに就活のキーポイントです。
■5.採用に影響する基礎能力試験
組織心理学の一分野でかつて盛んに研究された話なのですが、おおまかな傾向として、性格適性に関しては前述したとおりそれほど業績には連関していない一方、基礎能力(算数と国語)に関しては、かなり高い関係性が見出せています。南隆男教授(慶應大学→帝京大学)の研究などが著名です。
ただし、基礎能力が高くなれば高くなるほど業績もどんどん高くなるかというと、それも間違いです。ある一定線までは基礎能力が高いほうが業績もいいのですが、そこから先はそれほど関係なくなるという傾向が出ています。
■6.「会話」に持ち込むためには「質問する」
会話が自然に弾まない最大の理由は、質問→返答という一方通行のコミュニケーションになっているからです。会話とは、常に双方向から話が出なければ成り立ちません。その簡単な基本原則に立ち返ればいいのです。
そのための方法は、いたって簡単。あなたからも質問をするだけのこと。
それも、会話の流れに沿った質問をする。
難しくはありません。今、自分が答えたその内容について、「御社ではどう思うか」と確認するのです。
たとえば、自己PRをしたあとなら、「こんなタイプの人って、御社にはいますか」、志望動機なら「私が考えている入社後の仕事って、現実とずれてませんか?」と、あくまでも今話したことを確認するだけでいいのです。
これで、コミュニケーションは双方向となり、会話がつながり始めます。
【感想】
◆本書のタイトルにもある「エントリーシート」ですが、著者の海老原さんによると企業によって3通りのパターンがあるのだそうです。まず、「ほとんど読まない」。
これは、学歴で落としているにもかかわらず、そう公言できないため、「学歴スクリーニングの隠れみの」として利用しているケースです。
つぎに、「さらっと目を通す」。
こちらは、中身よりも、形(お題に即しているか、誤字脱字がないか等)を見ています。
最後に、「きちんとしっかり目を通す」。
こうした企業の場合、学校名にかかわらず、内容がよければ次の段階にすすめるのだとか。
◆そして、大手人気企業の大半は、最初のパターンであり、2番目のパターンは、学生からの「人気がそこそこ程度」の企業が用いるそう。
一方、最後のパターンは、人気企業であっても「人事部だけでなく、営業や技術関係の部署の社員も動員して」エントリーシートを熟読します。
たとえば、世界有数の輸送機メーカーである某社は、文章力や漢字ミスにもこだわらず、「PDCAサイクルが入っているかどうか」を見ている、とのこと。
……と書くと、とにかくエントリーシートにPDCAをぶちこみたくなりますが、それはあくまでもこの会社の評価基準であって、別の企業は別の企業なりのポイントで評価しているので、あまり意味はない模様。
結局「しっかり目を通す」会社のエントリーシートは「しっかり書く」必要があるわけですね。
具体的に、どの企業がどのパターンなのかの見抜き方が、本書では指南されていますので、気になる方は実際にご確認を(ネタバレ自重)。
特に、人気が高い企業であっても、最後のパターンの企業もあるので、これを見抜けないともったいないことになりそうです。
◆もう1点、割愛した中で「なるほど」と思ったのが、「経験の長さと業績の関係」によって分けられた「仕事の3つのタイプ」。
まず、キャリアを「アプリケーション」と「OS」に分けます。
前者はその業界内でしかつかえない知識やスキル(業界知識、技能等)で、後者は比較的どこでも使えるもの(ロジカルシンキング、チームマネジメント等)。
このどちらを重視するか(もしくは、どちらもそこそこ)によって、大きく3つに分類できるわけです。
その結果「20代でトップになれる会社」もあれば、「業界内の経験を10何年もかけて積み重ねる必要のある会社」もある、とのこと。
ただ、問題は「経験が必要な会社」なのに、「若手でも活躍できる」かのようにアナウンスするケースで、メガバンクなどで、実際にそういったケースが目立つのだとか。
もっとも、本当に「若手でもバリバリ」な会社は、10年もかけて覚えるほどの専門知識が必要ない、「ハードな営業」が基本になってくるのですが……。
◆さて、実は上記ポイントは、すべて本書の前半部分「募集から採用まで人気企業の「手口」、ぜんぶ」から抜き出しております。
バッサリ割愛してしまった後半は、下記目次のとおり「就活にまつわるニセ情報をメッタ斬り!」で、こちらもなかなか興味深いお話が多々。
特に「人気ランキング」を操作するために、「50を超える東京6大学のスキーサークルに、年2回、盆暮れにビールを送る」というやり方には、少々驚きました。
また、「企業の風土を見分ける5つの軸」というお話も、非常に興味深かったものの、図解が載せられないので、こちらは泣く泣く割愛。
いずれにせよ、私が学生だった頃とは、システムが全然違う(そもそもエントリーシートもリクナビもありませんでしたw)ので、「かつての私に読ませてやりたい」とはなりませんけど、もし、私が今、学生だったとしたら、絶対に食い入るように読んでいること間違いなし!
「身も蓋もないお話」が満載の「スゴ本」です!
なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?: 人気企業の「手口」を知れば、就活の悩みは9割なくなる
1 募集から採用まで人気企業の「手口」、ぜんぶ
インターンシップ~募集広告
プレエントリー~説明会
エントリーシート
履歴書
適正検査~入社試験
グループディスカッション~面接
2 就活にまつわるニセ情報をメッタ斬り!
人気企業ランキング
学部・性別
景気の影響と厳選採用
企業の選考基準
グローバル幻想
【関連記事】
【就活】『リクルートを辞めたから話せる、本当の「就活」の話 無名大学から大手企業へ』太田芳徳(2013年12月08日)【就職&転職】『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』塩野 誠(2013年11月17日)
東大生がひた隠しにしている『あの企業の入社試験に、あのひとが答えたなら。』(2011年12月08日)
【超戦術】『人気企業を目指す人のためのハイレベル面接術』伊東 明(2011年01月11日)
【オススメ】『35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書』渡邉正裕(2010年10月14日)
【オススメ】「キャリア・ショック」高橋俊介(2009年04月11日)
【編集後記】
◆上記ポイントの5番目で「算数も大事」と聞いて。大人のための「超」計算 正しく 速く カッコよく解く! (速く、正しく、美しく解く9つのコツ)
2けた、3けたもコワくない! ちょっとした工夫でこんなにカンタンに!……私も読んでおいた方が良い気がw
たとえば、おつりやワリカン計算が電卓なしでスパスパできるようになる、中学受験のカリスマ算数講師が実例をもとに説く、計算スキル底上げブック。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「ブランディング」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
10月10日まで
9月26日までのところ一部値引に移行して延長中
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです