2015年01月18日
【必読】『ビジネスは30秒で話せ!』緊急レポート
ビジネスは30秒で話せ!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した良質なプレゼン本。平積みではなく、棚挿しで1冊だけあったのですが、これが結構な掘り出しモノでした。
アマゾンの内容紹介から。
ビジネスプラン発表やコンペでのプレゼン、商談、採用面接 etc…。人前で簡潔に話し、目的を達するためのプレゼンテーションは、短く簡潔に伝えるだけでは不十分。聞き手にわかる言葉を使い、根拠を明確にして内容を伝え、聞き手にとってメリットを感じた時に、魅力的なプレゼンとなる。そうすれば聞き手に自分の望んだアクションを取らせることもできる。GE,MasterCard,Wal-Mart,IBM,Merrill Lynch,Unilever,Cisco Systemsなど、米国トップ企業で指導したコミュニケーション・コンサルタントが教える、聞き手を動かすビジネスプレゼンのテクニック。
なお、書名がシンプル過ぎるので、タイトルは「ホッテントリメーカー」のお世話になりました。
Presentation / dionhinchcliffe
【ポイント】
■1.話に聞き手の"WIIFM"を入れるWIIFMとはWhat's in it for me?の略で"私に何のメリットがあるの?"という意味だ。
コミュニケーションという点から見れば、WIIFMとは、「聞き手が最も知りたいこと」だと言える。
人間は基本的に自分の利益のために行動する生き物なので、(筆者は自身の名声と富のために本書を書いている)
「自分に何のメリットがあるか?」
「そこから得られるものは何か?」
「なぜそれを自分がやるべきなのか?」
といったことを知りたがる。したがって、聞き手にWIIFMを明確に示せば、相手への説得力が大幅にアップする。
■2.「ダイヤモンド・モデル」で話を構成する
コミュニケーションの達人になるには、自分の考えを明確に述べ、それを証拠を挙げて証明し、さらに聞き手が興味を持つような発想・切リ口(コンセプト)で話を色付けする力が必要だ。
そこで、筆者が考案した実用的な"話のパターン表"、「ダイヤモンド・モデル」を紹介したい。話が論理的になるよう「始め・中・終わり」の順に構成し、話の中間部分を3つのサブトピックに分けて色付けする工夫を、ダイヤモンド形の枠にまとめたものだ。・注意を引く
・メイントピック
・サブトピックの紹介
・サブトピック1〜3
・サブトピックの要約1〜3
・結論
・アクションプラン
(詳細は本書を)
■3.聞き手に何をしてほしいのかを述べる
営業部長が「最近、経費を使い過ぎだ」と会議で社員に話した。しかし、「今後、毎月の経費を20%削減するように」と具体的に言わない限り、何も変わらないだろう。(中略)
口頭でのコミュ二ケーションで頻繁に見られる落とし穴は、話し手が聞き手を宙ぶらりんにしてしまうこと。つまり、結論の部分を話した時点で「これから何をすべきなのか聞き手はわかっている」と思ってしまい、そこでプレゼンテーションを終了してしまうのである。これから何が起こってほしいのかを話し手がハッキリ口に出して言わないと、聞き手は何もしなくていいと思うかもしれないし、最悪の場合は全く違うことをしてしまうかもしれない。
■4.メッセージを15秒に凝縮する
筆者がクライアントを指導する時は、ある厳しいテストを課す。
取引先や潜在顧客に向けてなど彼らが伝えたいメッセージのすべてを、テレビコマーシャルのように15秒で明確に話してもらうのだ。
話す点は次の2つ。●主要ポイントは何かクライアントが自分の言いたいことを本当に理解しているかどうかが、このテストでよくわかる。効果的な15秒プロモーションを行えたら、彼らはしっかり的を射たメッセージを持っていると考えていい。
●なぜそれが聞き手にとって重要なのか
■5.私的な話を使って相手の心に訴える
まず、人々から反応を得られるだろうと確信できる個人的体験を話す。例えば、慌ててアクセルとブレーキをまちがえて踏んでしまい、父親の車を湖に水没させてしまったというような話だ。
次に、その話の要点を1つ簡潔に述べる。湖の話を使うと、「前もって十分に計画を立てれば悲惨なことにはならない」……など。そしてその要点を聞き手に結び付けて本筋に入る。(中略)
個人的な体験を紹介し、その要点を1つ簡潔に述べて、それを聞き手に結び付けて話す。聞き手は、そのストーリー、話し手が伝えたいこと、そして話し手のことをずっと覚えているだろう。
■6.質疑応答で上手に対応する11のテクニック(抜粋)
(1)あらかじめ「高い確率で尋ねられるだろう」と思う質問と、「できれば尋ねてほしくない」と思う質問をいくつか挙げ、それぞれの回答を用意しておく。
(4)質疑応答を始める時は、自分でも質問をいくつか用意していつでも言えるようにしておく。
そうすれば、しばらく質問が出なくて周りが静かになった場合でも「私がよく尋ねられる質問は……」などと言って場を持たせることができる。
(8)答えには証拠を提示して信憑性を示す。
【感想】
◆まず、本書において根幹をなしているのは、上記ポイントの2番目で触れられている「ダイヤモンド・モデル」だと思われ。上記では項目挙げだけに留まっているものの、実際は、下記目次の第2章「内容」全体を通して、詳細に解説されています。
プレゼンのスタイルとしては、PREP法やらSDS法やらありますが、本書の「ダイヤモンド・モデル」も、勝るとも劣らないメソッドかと。
これは特に、ダイヤモンド形の枠にまとめている点がユニークで、もし本番で忘れた際にも、その図解から思い出すことができるかもしれません。
……肝心のその図がないのが残念で、ネットに落ちてないか探したのですが、見つかりませんでした。
◆そこで簡単に補足しておくと、「メイントピック」とは、その名の通り「主要テーマ」なのですが、ここでは「自分がなぜこの場にいるのか、聞き手はこれから何を聞くのか」を述べます。
一方それに続く「サブトピック」とは、「メイントピック」についての情報や詳しい内容。
これは、必ず「3つ」に分類する必要があります(お約束)。
さらには、これら3つのポイントを「要約」し、最終的に言いたい点である「結論」に結びつけよ、と。
……ただここで「あーやれやれ」と終わってはだめで、最後の最後に「相手に何をしてもらいたいのか」である「アクションプラン」を言わなければなりません(上記ポイントの3番目参照のこと)。
本書では「サンプル・プレゼンテーション」として、著者のクライアントが実際に行ったプレゼンの構成が紹介されていますので、ご参考まで。
◆続く第3章は「話し方」。
「アイコンタクト」や「ジェスチャー」の有用性については、類書にもある通りです。
また、聞き手の注意を切れさせない(眠気を誘わない)ための工夫として、「声の抑揚をつける」「声の大きさとスピードを変える」といったものが挙げられていました。
実はこの2つは、以前当ブログでも申しあげたように、私が社会人時代、新入社員教育の講師をした際に意識したもので、おかげで他の講師に比べて私の講義は、居睡りする人が少なかったという……。
特に声の大きさは、「そろそろヤバいかな?」という時に、急に声量を上げると、結構な効果がありましたので、ぜひお試しをw
◆第4章の「質問者への対応」も、実際にセミナーや講師をされる方なら要チェックです。
ちなみに、上記ポイントの6番目にある「高い確率で尋ねられる」質問については、「聞き手の立場になって自分のプレゼンを見てみよ」とのこと。
本書収録の例で言うと、例えば「このプログラムを始める必要があります」と言われたら「なぜ?」と思うだろうし、「弊社はこの分野で一番大きなシェアを占めています」と言われたら「証明してくれ」と言うはずだ、と。
やはりここは、事前に準備しておくのが一番でしょうね。
質疑応答の準備に関しては、上記にあるように「自分でも質問をいくつか用意していつでも言えるようにしておく」というのが、個人的にはツボでした。
◆本書は、上記「ダイヤモンド・モデル」があるがゆえ、たとえプレゼン本を何冊か読んだことがある方でも、一読の価値はあります。
逆に、この手の本が初めてなら、一通り最初から最後まで通して解説してくれているため、この1冊だけでもプレゼンの対応可能。
また「プレゼンの必要がない」という方でも、上記ポイントの4番目にあるように、言いたい事を「15秒」でまとめる機会ならあるのではないか、と。
何気に買った本書ですが、意外と使えそうで、まさに「掘り出しモノ」と言える1冊だと思います。
短く、魅力的に伝えるために!
ビジネスは30秒で話せ!
第1章 準備
第2章 内容
第3章 話し方
第4章 質問者への対応
第5章 まとめ
【関連記事】
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【元ネタ本?】「なぜ、この話し方だと成功するのか」アーチ・ラストバーグ(2010年06月14日)
【話し方】「たった1分間で相手を引きつける話し方13のテクニック」アラン・ガーナー(2010年06月06日)
【編集後記】
◆「30秒」といえば、こちらの本もオススメ(レビューは上記関連記事にて)。結果を出す人の30秒で話を伝える技術
本書同様、幅広く使える1冊です!
ご声援ありがとうございました!
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