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2014年12月16日

【濃厚!】『時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?』松岡真宏


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時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、土井英司さんがご自身のメルマガで激賞し、かつ、その後もメルマガの最後で「最近読んでよかった本」の第1位として掲載されている1冊。

著者の松岡真宏さんは、東大経済学部卒業後、野村総合研究所やUBS 証券などで、流通・小売り部門の証券アナリストとして活動されていた方です。

アマゾンの内容紹介から。
時間は、買うものから売るものへ。誰もが、わずかな時間を切り売りして稼ぐ時代がやってきた―。気鋭の経営コンサルタントが、消費行動、企業のあり方、個人の働き方まで「時間」と「いま」の関係を読み解く。「すきま時間」×「スマホ」=時空ビジネス。

著者の松岡さんをメルマガで食事に誘うとは、土井さんもかなりのお気に入りの様子……。





Time / Alan Cleaver


【ポイント】

■1.時間資本主義における2つの時間価値
 今後は、以下の2つの時間価値が商品選択に関わってくると考えられる。
1. その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される=「節約(saving)時間価値」

2. その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される=「創造(creative)時間価値」


■2.時間と場所をセットにして売る
 近年、JR東日本が駅ナカビジネスを拡大しているが、まさに「すきま時間」と「空間提供」をうまく組み合わせた仕組みだと思われる。従来は、電車の待ち時間や乗り換え時間は「すきま時間」であり、有効利用が不可能な時間であった。しかし、その時間に、さまざまな物品を購入したり、食事をしたり、最近では託児サービスを受けられたり、マッサージを受けられたりする。これらはすべて「節約時間価値」と「創造時間価値」を組み合わせたサービスと言える。


■3.時間は「効率化」と「快適化」に二極化する
資金力を使っての圧倒的なマーケットシェアを背景にした大企業やグローバル企業を志向するのであれば「時間の効率化」という切り口で戦略を考えるべきだし、小資本で独立的に事業を成長させたければ「時間の快適化」という切り口で戦略を考えるべきである。いずれにせよ、時間価値が重要になってくる現代においては、時間価値の増大の手法として、効率化と快適化という2つの方向性があることを理解すべきである。


■4.時間がないからこそ人に会う
 付加価値型のサービス業で成果を出すために、簡単な方法がある。人に会うことだ。むしろ、人に会わない限り、ユニークな価値は生まれない。それは、情報というものの相対的価値が下がっているからである。インターネットに公開されている、誰もが手に入れられる情報ではダメなのだ。ニュースで知った記者クラブの取材情報ではなく、直接その人から聞いた話にこそ価値がある。


■5.時間とお金の人材マトリクス
 ここで、現代の職業人をマッピングするためのマトリクスを紹介しよう。このマトリクスのどこに属するかで、時間の使い方が大きく変わってくるからだ。
 縦軸は、収入である。上に行けば行くほど収入が高くリッチなお金持ち、下に行くほどプアな貧乏……と言うと語弊があるが収入が低い人。横軸は、時間の有無である。右に行けば行くほど時間がある「時間リッチ」、左に行けば行くほど時間のない「時間プア」となる。

(詳細は本書を)


■6.思い出の総量の多い社会でウケるもの
もし、日本の平均年齢が20代であったなら、国民全体の持つ思い出の量はまだ少なく、これからの明るい未来を想像できるような製品、コンテンツ、コマーシャルがウケるだろう。
 しかし、40歳や50歳の人が多い社会だと、その人たちが見てきたもの、体験してきたことの総和が未来よりも大きく、過去を使ってマーケティングするほうがより効果的になる。


【感想】

◆当ブログにおいて「時間」を扱った本というのは、ほぼすべて「タイムマネジメント」に関するお話が中心でした。

一方本書においては、「マーケティング」に関わるお話が多く、私自身、上記ポイントの2番目のような「ビジネスモデル」に関係する部分に付箋を貼りまくった感じです。

それ以外の例でも、たとえば「忙しい会社員」であるAさんがランチを買いに行くなら「店を検索する時間」「店とオフィスを往復する時間」「包装を開ける時間」「食べる時間」「ゴミを片づける時間」等の「時間価値の総和」を最大化してくれる商品は何かを考えるようになる、とのこと。

これとは逆に「ショッピングモール」であれば、「時間効率化」ではなく、「時間快適化」を目指すべき――「買い物自体をエンターテインメントとして演出し、楽しい時間を提供する――というのが、松岡さんのお考えです。


◆こうした「ビジネスモデル」ネタが第2部で展開されていたのに対して、第3部では「個人」のお話が。

上記ポイントの5番目のマトリクスは、本書内では図解されていますので、その再現を(若干ぼやけてますが、お許しを)。



ちなみに、左上の「伝統的エリート」の特徴として、「勉強熱心」「ビジネス書を多く読破」「異業種交流会に出席」といったところが挙げられていたので、当ブログの読者さんの多くがここに当てはまるのではないか、と。

ただし、これからの時代は、右上の「クリエイティブ・クラス」に移る必要性があるわけで、本書ではそのヒントが随所で触れられています。


◆たとえば、意外なところでは「軽井沢に集まる」!?

示し合わせたわけでもないのに、軽井沢に別荘を借りたり買ったりして週末を過ごすビジネスパーソンが増えているのだそうです。

これに関連して重要なのが、上記ポイントの4番目なのですが、詳細は本書にて。

また、場所の話で言うなら、「今後は東京への一極集中が進む」というのが、松岡さんの予想です。

そうなると、まさにこの本のような状態になるのでは、と。

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年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学


◆土井さんが激賞された割には、あまり他所では目にしない本書ですが、なるほどコンテンツ的には深かったです。

深すぎて(?)、私自身、一部消化不良になった部分もありましたが、それは本書が単なる「ノウハウ本」ではないからだと思われ。

個人的には、この手の本は新書で出して、多くの人の目に触れてもらうべきだと思うのですが、私が本書を買ったリアル書店では、お堅い「社会」棚に置かれていました。

……それじゃ売れる本も売れにくいです罠。

まぁ、あざといタイトルや派手な装丁にしないところが、版元の草思社さんらしいとも言えますがw


すべてのビジネスパーソンが読んで考えるべき1冊!

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時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?
第1部 時間資本主義の到来
 第1章 人類に最後に残された制約条件「時間」
 第2章 時間価値の経済学
 第3章 価値連鎖の最適化から1人ひとりの時間価値の最適化へ

第2部 時間にまつわるビジネスの諸相
 第4章 時間そのものを切り売りする
 第5章 選択の時間
 第6章 移動の時間
 第7章 交換の時間

第3部 あなたの時間価値は、どのように決まるのか
 第8章 人に会う時間を作れる人、作れない人
 第9章 公私混同の時代
 第10章 時間価値と生産性の関係

第4部 時間価値を高めるために─場所・時間・未来
 第11章 時空を超えて
 第12 章 巨大都市隆盛の時代
 第13章 思い出の総和が深遠な社会へ

結局のところ、時間資本主義とはいかなる時代なのか


【関連記事】

【本質主義】『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』グレッグ・マキューン(2014年11月20日)

【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)

【リモートワーク?】『強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」』ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(2014年01月24日)

【生産性向上】『「仕事が終わらない! 」を抜け出す200のアイデア』ローラ・スタック(2013年11月04日)

【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)


【編集後記】

◆今日の本に関連して。

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成功と自由を手に入れる安田式時間ルール35

こちらは本書とは逆に、ノウハウ系な感じですね。


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では、時間資本主義時代の人材像とはどのような人でしょうか。 ... 本書では時間とお金の人材マトリクスというものが紹介されています。
時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか? 松岡 真宏著【読書による経験価値】at 2015年07月05日 12:41