スポンサーリンク

       

2014年11月03日

【メンタル】『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか? 実践版「レジリエンス・トレーニング」』久世浩司


4797380411
なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか? 実践版「レジリエンス・トレーニング」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、ワーカホリックな方なら知っておくべき「レジリエンス」の指南本。

著者の久世浩司さんは、レジリエンスの専門家であり、ポジティブ心理学の社会人向けスクール「ポジティブサイコロジースクール」を設立し、代表を務めてらっしゃるというお方です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
あの人がいつも元気な理由は「レジリエンス」にあった!
長時間労働、嫌な上司、思いやりのない職場、キャリアの節目…ストレスや困難、失敗などの逆境を乗り越える力「レジリエンス」の実践トレーニングを19の事例とともに紹介します。

仕事で心が折れる前に読んでおくべき1冊です!





Climate Resilience Lab - Nairobi, Kenya / poptech


【ポイント】

■1.「気晴らし」でネガティブ感情の悪循環から抜け出す
「気晴らし」とは、そのネガティブ連鎖を断ち切るために、ネガティブな気持ちを「別のことに注意を"そらす"」ことにあります。ネガティブな感情や思考から、自分の意識を別の対象にシフトすることです。その結果、ネガティブな感情の繰り返しがストップし、悪循環からスーッと抜け出すことができるのです。(中略)
科学的根拠のある気晴らしには、主に4つのカテゴリーがあります。
(1)エクササイズやダンス、ジョギングや各種スポーツなどの「運動系」
(2)好きな音楽を鑑賞したり演奏したりする「音楽系」
(3)ヨガや瞑想、散歩など呼吸を落ち着かせる静かな活動である「呼吸系」
(4)日記や手紙など手を使って書くことで感情を表出化する「筆記系」


■2.「感謝」の気持ちを高める習慣をもつ
 たとえば、仕事で計画が頓挫して挫折感に包まれることがあります。そんなとき、「私が悪かった」「人に迷惑をかけて申し訳ない」と考えて自分を責め続けると、自責の念が高まり「罪悪感」というネガティブ感情に悩まされます。罪悪感は憂鬱感や自尊心の低下につながり、私たちのレジリエンスの機能を脆弱化させます。そんなときに役に立つ心理的資源が、ネガティブ感情とは真逆の「感謝」というポジティブな感情なのです。
 ポジティブな感情にはネガティブな感情を「帳消し」する働きがあることがわかっています。(中略)
 そして常日頃から「感謝」を豊かにする習慣をもつことで、レジリエンスの特徴の1つである「ストレスに対する緩衝力」を強化することも期待できます。感謝が豊かな人は、打たれ強い人でもあるのです。


■3.イラッとしたら早足散歩をする
 怒りの感情が発生すると、まるでその人から怒気が発散され、伝染したかのように、まわりの人もイライラしてくるものです。それは怒っている本人も同じです。また、怒りの対象となる相手の顔や弱々しい態度、または反省の色が見えない表情を見るだけで、新たな怒りが込み上げてきます。怒りのネガティブ連鎖が発生するのです。
 そこで、まずはその場を離れて散歩をすることをおすすめしました。会議中であれば、「少し休憩時間をとろう」と提案して、席を離れて会議室を出る。「これなら社長である私がするのは簡単です」と言っていました。


■4.「マインドフルネス」で呼吸のクールダウンをする
 マインドフルネスは、禅をべースとしながら、ストレスを低減させる効果のある科学的を手法が取り入れられた、現在欧米のビジネスパーソンを中心に広く流行しているセルフマネジメントの技術です。(中略)
 このマインドフルネスの技法の基本となるのが、呼吸を落ち着かせることで緊張を緩和するテクニックです。これはとても簡単で、普段よりもたっぷりと時間をかけて息をゆっくりと呼吸を繰り返すものです。1分間に4回から6回の呼吸が目安です。

(詳細は本書を)


■5.リーダーが率先して助けを募る
 助力ある関係を職場で育むときに邪魔になるのは、「遠慮」や「恥ずかしさ」などの心理的な障壁です。特に私たち日本人は「上司や年上の人に助けを請うことは、その人の迷惑になるのではないか」と遠慮し、「こんなことをお願いしたら、嫌がられるのではないか」と羞恥心をもってしまい、積極的に人から助けをもらおうとはしません。(中略)
 この遠慮や恥の気持ちを取り払うのが、リーダー自ら率先して助けを求める模範的行動だったのです。特に「I Need Your Help」のようなシンプルな4つの言葉をマジックワードとして示されると、部下もツールとしても使いやすいものです。


■6.「職場」の選択を間違ったら固執する必要はない
「ある仕事に就いたら、少なくともその職場で3年間は我慢して働き続けるべきだ」という考え方があります。「石の上にも3年」ということわざの応用でしょう。しかし、私は自分が選んだ「職種」にはこだわり続ける価値はあるとは思いますが、「職場」の選択が間違っていた場合は、それに執着し続ける必要はないと考えます。
 なぜなら、場の選択を間違うと、いくらハードに仕事をしても報われないからです。他の人から認められることも少なく、さらには自分の成長スピードにさえ陰りが見えてくるからです。


【感想】

◆日常生活では、あまり耳にしない「レジリエンス」という言葉。

私が最初に接したのは、この本ででした。

4887596286
凹まない人の秘密

参考記事:【ストレス耐性】「凹まない人の秘密」アル・シーバート(著) 林田レジリ浩文(翻訳)(2008年04月24日)

ところでこの本については、当時はガンガン書評を書いていた小飼 弾さんも紹介されていまして。

参考記事:404 Blog Not Found:Resilience - 書評 - 凹まない人の秘密

ここに「本書は即効薬ではない」という指摘がありました。

一応、私の記事を見ても「3つのリストをつくる」ですとか「目標を達成したときのことを想像する」といったTIPSはあったのですが、なるほど言われてみれば「ハウツー本」ではなかったな、と。


◆それに比べると、本書はかなり実践的です。

何と言っても、サブタイトルからして『実践版「レジリエンス・トレーニング」』ですし、序章でいきなり「トレーニング」ですからw

上記ポイントの1番目は、その序章からであり、「気晴らし」ですらカテゴリー分けしてしまっています。

ここで意外だったのが、「ゆっくり休む」ですとか「のんびりする」といった選択肢を含むカテゴリーがないこと。

実は、肉体的な疲労は睡眠や「休暇」で回復できたとしても、心理的な疲労感はそれではダメなのだとか。

実際、著者の久世さんは、激務でのプレッシャー等でかなり疲労した際、休暇を取って家族でバリ島に行ってのんびりしたものの、仕事の事で頭がいっぱいでリラックスできず、心の疲労感は解消できずにいたのだそうです。

こういう「残業多め」な方の場合は、本書によると「運動系」エクササイズが良い、とのこと(詳細は本書を)。


◆一方、怒りっぽくてイライラしがちな人に適しているのが、上記ポイントの3番目の「早足散歩」で、これは臨床心理の専門家もオススメするほど。

この「早足散歩」、スピーディーに歩くことのエクササイズ効果に加えて、呼吸の乱れを正す作用も兼ねた、運動系と呼吸系を合わせた、素晴らしい気晴らし法なのだとか。

ここで注意すべきは、散歩中は「怒りの対象」にフォーカスせずに、黙々と歩き続けること。

「歩く行為と呼吸の乱れに意識を集中する」のだそう。

これはビジネスシーンのみならず、パートナーや家庭内での口論のときにも役立つとのことなので、我が家でも必要に応じて試してみたいと思います。


◆なお、本書では「スピーディーに立ち直るために必要な心理的資源」を「レジリエンス・マッスル」と呼んでいるのですが、その訓練法の1つとして、自分の「強み」を理解して、それを活用することを挙げています。

その強みを知るために便利なのが、米VIA研究所の「VIA-IS」というツール。

強み診断ツール『VIA-IS』の紹介|ポジティブ心理学 無料心理テスト

強みというと、ストレングス・ファインダーを思い起こしますが、こちらは無料なので、お時間がある方はお試しアレ。

設問は全部で120問で、10〜15分ほどで終わるそうなんですが、今回は私は時間がなくて間に合いませんでした(スイマセン)。


◆さて、今回は実際のトレーニング部分をメインにご紹介しましたが、本書は他にも興味深いお話が多々。

特に最近話題となった本に関連したいくつかの部分は、そちらの本も読んでみたくなりました。

たとえば、この本に出てくる「自己犠牲的なギバー」と、「感情バンパイア」(他人に罪の意識や劣等意識を感じさせる)の関係ですとか。

4837957463
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

この本に詳しい「ブレーン・トラスト」など。

4478016380
ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

もちろん、「仕事がテンパっててそれどころじゃねー」という方は、手っ取り早く「トレーニング」部分を熟読して、対応して頂きたく。


仕事がお忙しい方こそ、読んでおくべき1冊!

4797380411
なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか? 実践版「レジリエンス・トレーニング」
序章 レジリエンス・トレーニングとは?
1章 ネガティブ連鎖を断ち切る習慣
2章 「上司との人間関係ストレス」とのつきあい方
3章 「思いやりのない職場」での過ごし方
4章 キャリアの節目での「逆境力」
5章 立ち止まって振り返る習慣


【関連記事】

【ストレス耐性】「凹まない人の秘密」アル・シーバート(著) 林田レジリ浩文(翻訳)(2008年04月24日)

『「怒り」のマネジメント術』に学ぶ「怒りと付き合う7つのTIPS」(2011年09月14日)

【正しい目標設定とは?】『絶対的な自信をつくる方法---「OKライン」で、弱い自分のまま強くなる』森川陽太郎(2014年07月17日)

【オススメ】『「悩むこと」が「楽しいこと」になる本 悩む技術 完全マスター』伊東 明(2013年01月12日)

【リスト化】『ゆたかな人生が始まる シンプルリスト』ドミニック・ローホー(2011年02月15日)


【編集後記】

◆先日記事でもご紹介した、Kindleストア2周年記念セールが、いよいよ本日23時59分までとなっています。

【またまたお買い得!】「Kindleストア2周年記念セール」が11/3まで開催中!(2014年10月31日)

お買い求めはお早めに!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。