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2014年10月25日

【会話術】『外資系とMBAに学んだ「先を読む」会話術』理央 周


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外資系とMBAに学んだ「先を読む」会話術 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、外資系企業でマーケティング畑を歩いて来られた理央 周さんのコミュニケーション本

本書曰く「結果を出す人の共通点は、『ずる賢いほどの先回り』なのだそう。

アマゾンの内容紹介から。
アマゾンをはじめ、外資系を中心に10社での勤務経験をもつ著者は、会社や業界ごとに異なるコミュニケーションの難しさに長年悩まされていた。面倒な上司、苦手な取引先、外国人の同僚、他社との交渉…そしてある時、思い立つ。「ミスコミュニケーションによる仕事の滞りを一掃できないか」と。誠実はビジネスの前提であり、成功要件ではない。結果を出すために必要な「計算ずくのしたたかさ」を、本書では具体的に紹介する。

どうも上司とウマが合わない、という方なら要チェックです!






Business Communication Duplicate model / GhoztTramp


【ポイント】

■1.感情という敵にロジックで挑まない
 ここで注意したいのは、A氏らに対して鉄壁のロジックで応戦しても事態はよくならないということだ。相手が冷静でロジカルな反論をぶつけてきたのであれば、こちらもロジックで対応していくことで解決策に近づく。しかし、このような感情的な反論を受けた場合は、ロジックで反論すると火に油を注ぐような事態になりがちである。
 感情的な反論を事前におさえ込むには、地道にコミュニケーションをとり、このケースでのA氏のようなキーマンを事前に把握しておくに尽きる。事前に別日程をとる余裕があれば、準備の打ち合わせをすることでリスクを減らせる。


■2.数字で説得する
 デパートを例にとれば、「会社全体で公式LINEアカウントをとって使いましょう」となると多大な経営資源、予算や人員が必要になり、運用も困難になる。しかし、「紳士服売り場」や「文房具売り場」などユニット単位でテストマーケティング的に実施して結果を出せれば、ビジネス・パーソンは動くものである。
 ここで重要なのは「頑張ってやるのでトライさせてください」という感覚的な言葉ではなく「現状1億円の売り上げを3か月で20%アップさせます」といった客観的な数字で説得することである。


■3.上位者が何を基準に判断するかを意識する
アマゾンジャパンにとって前例のない初めてのキャンぺーンだった「新聞・雑誌キャンぺーン」も、感覚派のC氏に説明する場合には、
「日本初の試みなので、インパクトのあるデザインで、先進的なイメージを浸透させて先行者利益を取りましょう!」
 とぶち上げるところから入ってイべント感を強調したし、数字重視のJ氏には、
「今回12誌の雑誌に出稿して、反応率が0.1%だった場合の購入率は2000万円を超えますのでやってみましょう」
 と、数字を用いて三段論法的に説得していくことが重要だった。


■4.資料の頭にエグゼクティブ・サマリーをつける
 外資系企業ではよく資料の頭に「エグゼクティブ・サマリー」というまとめの1枚をつけ、詳細の資料に関しては次のべージに添付する。フィリップモリスで学んだことは「職位が上の忙しいマネージャーは、ここしか読まないのだ」ということだった。
 サマリーの目的は「上司の行動を促す」ことにあるので、内容としては「その書類の趣旨」を明確に書き、上司に「いつまでに、何をしてほしいか」を箇条書きでシンプルに、ストレートに書く。その際はA41枚にまとめるのが必須で、細かい内容と詳細に関しては「あとで時間がある時に読んでください」というレべルでいいようにしておく。


■5.気のない相槌を打たない
 面倒だな、と思う相手ほど、気のない「そうですね〜」で迷惑がっていることを伝えるのではなく、「しっかり聞いていますよ」とわかる相槌を打って相手に気持ちよくなってもらい、タイミングを見計らってこちらの要望を聞き入れてもらう。このような腹黒さは絶対に身につけておくべきだ。真面目な人ほど、「面倒です」が顔に出ていたり、表情が引きつっていることがあるので気をつけたい。


■6.悪いニュースは早めに報告する
 上司にもさまざまなタイプの人がいるため、上司のタイプに合わせていいニュースを先に報告して気分をよくしてから悪いニュースを報告することもあっていい。ただし必要なのは、バッドニュースも必ず、間を置かずに報告することである。バッドニュースはファーストである以前にまず「マスト」なのだ。経営者をはじめとする上司の仕事は「正確な決断」をすることなので、正確な情報が何よりも必要になる。


【感想】

◆私はMBAも取っていませんし、勤め先も外資系ではなかったのですが、本書で主張されていることは、うなずける点が多かったです。

もう初っ端のポイントから、俗にいう「お前は俺か?」状態。

当時はまだ私も、今のようにビジネス書を読みまくってはいませんでしたから、「理屈が正しいのに、何でこっちが折れなきゃいけないんだ」とばかりに、上司や他部門に反論しまくっておりました(遠い目)。

「人はむしろ感情で動く」、と知ったのは、それから随分経ってからのお話なのですが。


◆そこで必要なのが「根回し」。

本書では、予測を含めてもっと幅広い対応を意図する「先回り」という表現を使っており、要は事前に下ごしらえをしておく必要があるわけです。

ちなみに、著者の理央さんは、ご自分のことを「腹黒」と称されているのですが、これは「想定する結果から逆算し、先手を打って物事を進めて」いき、「知らず知らずのうちに相手にYESと言わせるコミュニケーション力」を意図するもの。

本書を読んでいると、理央さんの、その「ハラグロ」ぶりが随所で発揮されていますので、参考にして頂ければ。

たとえば、なまじ「ビジネススキル本」ばかり読んでいると、ロジカル一辺倒になりがちなのですが、相手によって対応を変えねばならないことは、上記ポイントの3番目にもある通りです。


◆一方、こうした「ハラグロ」とは別に、本書のもう1つの柱とも言うべきものが、下記目次の第4章の「コミュニケーションをフレームワーク化する」。

ここでは、お馴染みの「3C分析」「SWOT分析」「4P」といったフレームワークに基づくコミュニケーション術を指南しています。

たとえば、「3C」であれば「顧客=取引先や上司等の『聞き手』」、「自社=自分」、「競合=ライバル、コミュニケーションの邪魔になるもの」と置き換えて検討。

本書では、読者が自動車の販売員になったつもりで、モデルチェンジをした人気車種をお客様に営業する事例が展開されていますので、興味のある方は、そちらをご覧ください。

おそらく、コミュニケーションスキルの高い人は、こうした分析をすることなく、無意識のうちに(?)最適解を導き出しているのでしょうけど、そこまでスキルの高くない方なら、読んでみる価値はあると思います。

……ただ、このスタイルはコミュニケーションスキルはそれほど必要なくとも、マーケティングスキルが必要な気が個人的にはしているのですがw


◆なお、割愛した中で興味深かったのが「名前を忘れた非礼をわびない」というTIPSで、わびない代わりにあることをして、相手の名前を知るのですが、ここではネタバレ自重で。

一応言っておくと、「漢字でどう書くか尋ねる」とか「名前を聞いて『いや、苗字ではなく下の名前の方です』という」ではありませんのであしからず(ひょっとして類書でご紹介済みかもしれませんが)。

いずれにせよ、何かしらの問題に対して、真正面から正直にぶち当たるのが、必ずしも正解ではないことが、本書を読んで良く分かりました。

私も仕事をする上で、ついつい馬鹿正直に応対することがあるので、理央さんの「ハラグロ」さを見習いたいと思います。


真面目な人ほど読むべき1冊!

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外資系とMBAに学んだ「先を読む」会話術 (PHPビジネス新書)
第1章 腹黒く「先読み」せよ

第2章 思いどおりに事を運び、人を動かすテクニック

第3章 賢者のコミュニケーション術

第4章 コミュニケーションをフレームワーク化する


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【言い回し】『この「言い回し」で10倍差をつける』金田一秀穂(2014年04月09日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

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角川インターネット講座 (4) ネットが生んだ文化誰もが表現者の時代

ドワンゴの川上さんの新刊なんですけど、少々お値段高め。

ただ、既にKindle版が出ているので、そちらの方が良いかもしれませんね。


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