2014年10月17日
意外と知られていない『打ち合わせの天才』のテクニック10選

打ち合わせの天才 (光文社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。著者の野地秩嘉さんは、以前『企画書は1行』を、当ブログでもレビューしたことがあるノンフィクション作家さんです。
アマゾンの内容紹介から。
日々、誰もが何気なく行っていることだが、仕事を実質的、かつ着実に前へ進める役割を担っているのが「打ち合わせ」。一見、“雑談”のように感じられる打ち合わせもあるが、その中でのキラリと光るひとことから企画が生まれ、商品提案につながった、というのはよくある話だ。手軽なニュアンスはあるものの、まさにビジネスの成功を左右する最も重要な行為である。にもかかわらず、真正面から論じられてこなかった打ち合わせの意義やノウハウを、あらゆる業界のトップから現場まで多くの一流たちを取材してきたノンフィクション作家が徹底指南!
なお、タイトルがちと淡泊なので、久々に「ホッテントリメーカー」を使ってみましたが、「テクニック、10個もねーじゃねーか!」というツッコミはご勘弁を。

lolex / limaoscarjuliet
【ポイント】
■1.気軽な席でも会食ルールを守る『トム・ソーヤの冒険』などで知られるアメリカの作家、マーク・トウェインはこんなことを言っている。
「若いうちはどんなルールにも従っておくのがいい。どうせ歳を取ればルールを破るカが身につくのだから」
マーク・トウェインが言うように、若いビジネスマンは気軽な席でも、愚直に礼儀を守っておくべきだ。基本さえわきまえておけば、いずれは基本をくずしてセンスを発揮することができる。まずは打ち合わせ会食における基本マナーを知っておくこと。そして、いつか会社を代表する立場になったら、出席者のなかの若い人の立場を気遣って、率先してリラックスする人間になることだろう。
■2.昼の打ち合わせはホテルのバーか美術館のカフェを用いる
私は昼間に外で打ち合わせするのなら、ホテルのバーもしくは美術館、博物館のカフェを選ぶ。
どちらも昼の時聞は空いている。同業者が話を聞いているおそれもない。安心して、ビジネスの話ができる。とくに美術館のカフェは空いている。コーヒー、紅茶、ケーキの値段は町の喫茶店よりも少し高いけれど、ホテルのティールームほど高額ではない。
私がよく利用するのは、六本木ミッドタウンにあるサントリー美術館に併設されているカフェだ。相手が場所を間違えるという心配がない。そして、地下鉄の駅から屋内を通ってたどり着くことができるから。雨が降っても濡れることはない。
■3.打ち合わせに道具を持ちこむ
たとえば、相手が若いころにインタビューに答えた記事、若いころの写真、本人が「好きだ」と語っていたミュージシャンのレコード、CD……。要は、何かしらの小道具を携えて行って、それを見ながら話をした。
打ち合わせでも、会食でも同じことをやればいいと思う。自分の話術に自信がなく、人と話すこと自体が得意でなければ何か道具を持っていけばいい。相手が関心を持つような資料があればいいし、なければ本でも、音楽のCDでも、何でもいいと思う。
■4.相手と共通の立場になる
講演を聞いていてて感じるのだけれど、話の上手な講師は心ず聴衆を巻き込んで、「私たち」という共通の立場を形づくる。(中略)
これは仕事の場合でも同じだと思う。お互いの距離を埋めるためにも「私たち」という言葉は欠かせない。いやらしくない程度に意識的に会話のなかに「私たち」という単語をちりばめていけばいい。最初のうちは「私たち」という言葉を使うことに抵抗があるだろうけれど、何度も実践を重ねて、上手に一体感を高めるアプローチを研究すること。
■5.面白い人を目指さない
若いビジネスマンに会うと、「打ち合わせで話がスムーズに流れません」といった悩みを聞く。しかし、話がスムーズにいかないのは、話術や話題の豊富さではなく、提案するプランに魅力がないからだ。打ち合わせで本当に考えなくてはならないのは、面白く魅力ある提案を出すことであり、その人自身が面白い人を目指す必要はない。
つまり、仕事の打ち合わせの最中に意識することとは、「面白い人を目指さないこと」なのである。
■6.相手のリサーチをする
「接待でもっとも大切なのは店を選ぶこと」
一般にはそう説明されている。しかし、真実はそうではない。もっとも大切なのは店選びではなく、招く相手(ゲスト)を知ることだ。ゲストの好みや考え方を事前に調べておくことなのである。
そして、打ち合わせの会食でも同じだ。食事の好み、アルコールをたしなむかどうか、会食に誘う週はどういった食事をしているかなどを知っておくことが重要になってくる。
【感想】
◆本書の各章については、下記目次の通りなのですが、前半が「昼」、後半が「夜」の打ち合わせを意識した内容と言えます。そして今回は特に、前半の日中の打ち合わせに関するTIPSを中心にまとめてみました。
と言うのも、後半で一番多く付箋を貼った箇所が、第5章の「店選びのコツ」だから。
ここは料理のジャンルごとに選び方のコツが指南されているのですが、そこから2つ以上選ぶと、エントリー自体が「そっち寄り」の内容になってしまいます。
それならむしろ、「店選び」だけで記事書いた方がいいくらいで(それはそれで面白いんですがw)、本書のテーマとはちょっと異なるかな、と思った次第。
もちろん、「店選び」が気になる方は、本書にて直接ご確認頂きたいのですが。
◆さて、昼の打ち合わせですが、基本的に本書では「1対1」での打ち合わせを前提としている感じです。
特に野地さんの場合に多いのが、ご自身の企画を出版社の知り合いに持ちかけるようなケース。
また、野地さんは仕事上、インタビューをするケースも多いため、上記ポイントの3番目の「道具を持ち込む」というのは、そこで実際になさっていることだそう。
他にも営業が売り込みをかけるようなケースも意識されていて、要は「こちらから働きかける」シチュエーションをご想像頂ければ。
◆その流れで「名刺」についても言及されているのですが、野地さん曰く、変わったデザインや、似顔絵入り、肩書きが長い等の名刺は、相手の記憶に残らないのだとか。
逆に、「相手が捨てたくない名刺」とは、「高価な名刺」あるいは「高そうに見える名刺」で、デザインはシンプルで、肩書きは1つだけ、材質は白い高級紙……って、それ、私が以前作ったヤツじゃないですかw

参考記事:【ブログネタ】「人間国宝名刺」を作ってみました(2008年08月13日)
もっとも、作っただけで、ほとんど誰にも配ってないんですがw(ダメじゃん)
◆後半については、上記で触れた通りで、店選びがメイン(?)なのですが、注意すべきは上記ポイントの6番目の「リサーチ」。
野地さんは料理や飲食に関する本を出していることもあって、店選びを「お任せされる」事が多いのですが、一度、予約の取りにくい、美味しい焼き鳥屋を選び、打ち合わせを終えた後で、相手の編集者に「実は私、鶏肉がダメで」と言われたことがあるのだそう。
予約もあまりいらない昼飯と違って、夜は急に店も変えられないでしょうから、この辺はぬかりなくやりたいものです。
さらに第6章では「打ち合わせの達人」と題して、野地も認める達人たちのノウハウが明かされていますので、こちらも要チェックで。
さすがに本書のタイトルの「天才」は微妙なんですけど、打ち合わせをする機会が多い方なら、読んで損はありませぬ。
打ち合わせを制する者は仕事を制す!

打ち合わせの天才 (光文社新書)
第1章 打ち合わせの目的
第2章 昼の打ち合わせは雑談力が勝負
第3章 打ち合わせにのぞむ姿勢
第4章 打ち合わせの会食ではセンスを見せろ
第5章 店選びのコツ
第6章 打ち合わせの達人
第7章 人をもてなすときには想像力を
【関連記事】
意外と知られていない『会食力』のテクニック10選(2011年05月18日)【戦略的食事法?】『「食事」が最強のビジネス戦略である』杉浦 蘭(2014年06月19日)
【電通式?】『戦略おべっか どんな人でも、必ず成功する』ホイチョイ・プロダクションズ(2012年07月12日)
【オススメ】『変われる人 8000人のキーパーソンと会食してわかったこと』鮒谷周史(2012年01月07日)
【55のルール】『初対面の3分で誰とでも仲良くなれる本』新田 龍(2011年02月22日)
【編集後記】
◆今日の本と似たようなテーマの1冊。
銀座に集う一流の午後6 時からの成功仕事術~エグゼクティブから学ぶ、人の心を動かす極意~
こちらは、より「接待」にシフトした感じですね!

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