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2014年10月13日

【キャリアデザイン】『出世する人は人事評価を気にしない』平康慶浩


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出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、人事コンサルタントである平康慶浩さんの最新作。

平康さんといえば、本書の前作にあたる『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』が2年程前に人気だったため、覚えてらっしゃる方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から。
仕事が速くて正確、率先して業績を上げる、周囲の信頼も篤い…人事考課で高い評価を得る人が、なぜ会社の中で冷や飯を食うことになるのか?「使う側」と「使われる側」の壁を理解することで、組織におけるキャリアの本質は見えてくる。130以上の組織で人事制度の整備に携わったコンサルタントが、人事評価の本当の意味と昇進のしくみを紹介、会社員のキャリアの築き方を指南する。

会社の競争のルールは「2回変化する」のだとか!?





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【ポイント】

■1.目の前の仕事で結果を出しても昇進できなくなる
 人事用語で言えば、一般社員の間(主任、係長などを含む)は「卒業基準」で昇進判断がされる。小学校のカリキュラムを終えたから中学校へ、中学校のカリキュラムを終えたから高校へと進む、というのと同じ理屈で、平社員を卒業して主任や係長になる。
 しかし、大学は違う。入試を経て、大学生としてふさわしい学力があるかどうかを判断される。
 管理職に昇進するときも大学入学と同じような判断がされる。これを「入学基準」と言う。
 拙著『うっかリ一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』(東洋経済新報社)にも書いたが、この時の視点の変化に対応できる人が管理職に昇進しやすくなる。目の前の仕事でいくら結果を出したところで、「上の役職」の考え方ができそうになければ、彼、彼女が出世することはない。一般社員と管理職との間にはそのような壁がある。


■2.昇進面接では候補者が口にする「思い」を信用しない
 何しろ相手は課長や部長、役員に昇進する候補となる優秀な人々だ。普段は多くの部下を従え、コミュニケーションも優れているし、素晴らしい実績も持っている。だからこそ昇進面接官の前に座るわけだ。彼らに対して、「もしあなたが昇進したあとで何をするか、抱負を聞かせてください」とか、「自分の長所と短所を簡単に教えてください」なんて聞いてみても、非の打ちどころのない素晴らしい答えが返ってくるだけだ。


■3.出世している人たちに共通する2つの行動パターン
本質の理解に至る方法はさまざまだが、実際に出世している人たちは、2つの行動をとっている。
第一に、つながりを大事にしている。
第二に、質問を繰り返している。
 この2つの行動をとっていれば、少なくともで【ビジョン】【戦略性】【勝利へのこだわり】【ビジネスモデリング】【人材マネジメント】などの資質が自然と手に入りやすくなる。

(詳細は本書を)


■4.部下と飲むよりも話が合わない年上に混ざり込む
 例えば、取引先の担当者とばかり話をしているのであれぱ、その担当者との交渉は自分の部下に任せてしまおう。そうして、担当者の上司が来るときにだけ顔を出すようにしよう。少なくとも、その上司があなたに会うべき理由をつくっていくように行動した方がよい。(中略)
 部下を引き連れて飲みに行くのではなく、部下たちを早めに帰らせて、彼ら同士が飲みに行ける機会をつくろう。そしてあなたは、気が向かないかもしれないが、5歳、10歳年上の、話が合わない上司たちに混ざり込んでいくべきだ。


■5.出世の現実を会社は教えてくれない
 会社の中の人生は40歳で転機を迎えるが、そのことを説明してくれる人は少ない。
 なぜなら、会社としてはそこから10年間を頑張ってほしいからだ。40歳で課長にまで昇進させているのだから、ぜひ結果を出してほしい。活躍してほしい。しかし、その中の3人に2人は部長にはしない。さらに部長になったうちの3人に2人は執行役員にも取締役にもしない。そんなことを言うわけにはいかないので、人事評価制度を用意して、活躍に対して昇給や賞与で報いる。


■6.会社に専門性を認めさせるテクニック
現実に組織の中でプロフェッショナルとして生きるということは、部下のいない管理職としてのボスト獲得し続けるということに近い。
 そのための条件は2つある。
 明確な専門性があることが第一条件。プロフェッショナルを目指す人なら、この条件はクリアしやすいだろう。
 テクニックが求められるのは第二の条件=ビジネスモデルに貢献することだ。プロフェッショナルとしてのポストを獲得するには、プロフェッショナルとしてビジネスにどのように貢献できるのかを、わかりやすく示せなくてはならない。


【感想】

◆類書でも良く見かけるお話ではありますが、「係長」(会社によっては「主任」)までの評価方法と、課長以上の評価方法は違います。

まずそれに気づかないと、独りで仕事を抱え込んでしまい、部下をうまく使いこなせないままで、課長にすらなれません。

しかし本書によると、今度は課長からその上(次長、部長等)に進むに際しては、近年もっと厳しい基準になっている模様。

それは、「職務主義」と呼ばれるものです。

これは、「優秀な課長が部長になるのではなく、部長の仕事にふさわしい人を部長に据える」という考え方。

確かに、一部の企業では、転職してきた人やヘッドハンティングされてきた人が、いきなり部長になったりしているのは、ご承知の通りです。


◆さて「課長以上」になるための、具体的なテクニックに関するお話が、上記ポイントの2番目。

というか、これは逆に昇進審査をする方から見て「それを聞いてもムダ」というだけであって、実際には続きがあります。

こんな時、本書の著者の平康さんが「必ずたずねる問い」が、「あなたの自慢話をしてください」というものだそう。

この問いに対して、99%以上の人が、「いや、特に自慢することはないんですが……」と言いつつも何かを話し始めます。

その話を聞きながら、今度は平康さんは「思い」ではなく、「あること」を聞いて昇進判断をするのですが、こちらは一応ネタバレ自重で。

実際に一般的な会社でここまで問うのかは知りませんが、聞かれる前提で考えておいた方が良いと思います。


◆こうした出世のお話が最後まで続くのかと思いきや、第5章からは一変。

新しい職務や、組織内プロフェッショナルを目指す、といった「第2のスタート」のやり方が指南されます。

まず第5章では「人的資本の棚卸し」をすることによって、自分自身の強みを整理。

本書では「人的資本棚卸しシート」なるものが用意されているので、これに沿ってまとめると良いと思います。

実際、この棚卸しの結果、平康さんはクライアントの会社のとある課長のために「新しい課」をつくったことがあるのだとか。

一方、第6章は「組織内プロフェッショナル」について。

上記ポイントの6番目にあるように、「専門性」があるのは当然としても、「収益をあげる」ことが、キモとなるようです。


◆正直な話、当ブログではマネジメント系の本はあまり反応がよくありません。

逆にビジネススキル系の本が人気なところを踏まえると、当ブログの読者さんの多くが課長職以下の年齢層であることが想像できます。

上記で触れたように、係長までならビジネススキルを極めれば何とかなるのですが、問題はそこから先。

さすがに本書で指南されている経営層までは難しい(?)にしても、「課長〜部長」あたりを意識される方なら、本書は一読の価値があると思います。


出世をしたいなら、目を通すべし!

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出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)
はじめに
第1章 評価が低いあの人が、なぜ出世するのか――「使う側」「使われる側」の壁
第2章 課長手前までは「できる人」が出世する――組織における人事評価と昇進のルール
第3章 役員に上がるヒントは、ダイエット本の中にある――経営層に出世する人たち
第4章 採用試験の本番は40歳から始まる――課長ポストからのキャリアの見直し
第5章 飲みに行く相手にあなたの価値は表れる――第二のキャリアを設計する
第6章 レースの外で、居場所を確保する方法――組織内プロフェッショナルという生き残り方
第7章 「求められる人」であり続けるために――会社の外にあるキャリア
おわりに 「あしたの人事の話をしよう」


【関連記事】

【給料UP?】『うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ』平康慶浩(2012年10月23日)

【出世の秘訣?】『人事部だけが知っている あなたの評価を上げる方法』高野美佳(2014年05月31日)

【仕事術】『最強「出世」マニュアル』浅野泰生(2013年09月26日)

【出世の秘策?】『なぜか評価される人の仕事の習慣』濱田秀彦(2013年07月20日)

【出世のヒミツ!?】『上司から評価される人になる仕事のやり方・考え方』萱野 聡(2013年04月29日)

【出世作法】『課長になれない人の特徴』に学ぶ7つの出世のコツ(2012年01月20日)


【編集後記】

◆上記で何度か出てくる、平康さんのこの本は、一応読んでおくと良いかと。

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うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ

レビューは上記関連記事にて。

……ただ、アマゾンレビューにうちのブログで知ったという人がいるのですが、書店で立ち読みした上で買われているので、アマゾンアタックはされなかった模様w


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