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2014年10月06日

【儲けの仕組み?】『知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ』神樹兵輔・21世紀ビジョンの会


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知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。

「値付け」のお話も「儲け」のお話も大好きな私としては、これはもう読まざるを得ませんでした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
今流行の、もしくは問題の、日ごろ目にするモノやサービスの儲けの仕組みを一挙公開。通常知ることのできないカラクリの裏側まで、全部わかります。
たんに価格の実態のとどまらず、浮き沈みの激しい業界の変遷・現状・課題までグラフと図で詳述。マーケティングの研究・勉強に使えるだけでなく、賢い消費者になるための、これからの時代を生き抜く必需品です!

「なるほど、そんな裏があったとは!?」と目からウロコが落ちること必至カモ!?





Managing Business Models / Alex Osterwalder


【ポイント】

■1.スーパーの「冷凍食品半額セール」の秘密
 実は、冷凍食品の半額セールは巧砂な「おとり」商法なのです。(中略)
 半額の価格こそが、、メーカーやスーパーが、これで売れれば御の字と思っている本当の希望小売価格にほかなりません。つまり、冷凍食品は通常価格のときはもともと、あまり売れなくてもよいと、メーカーもスーパーも考えているのです。
 冷凍食品は「不当景品類及び不当表示防止法」に抵触しないよう、ふだんは倍以上の通常価格で販売しています。
 実際に通常価格で売り出している期間が長ければ、半額セールを行ってもウソではないことになります。(中略)
 厳密にいえば、安売りセール表示以前の8週間内に、半分以上の期間(4週間)において、通常価格で売られた実績があれば、虚偽の表示にならないのです。


■2.赤字覚悟の100円ショップの戦略
100円ショップの魅力は、どの商品も100円であり、豊富な品揃えがあることでしょう。「これが100円なの?」というサプライズは、販売価格を上回る商品まで仕入れる赤字覚悟の「ロスリーダー戦略」のおかげです。
 ゆえに、100円ショップには原価1円から120円の商品が並びます。粗利益率の異なる商品を売り、平均して原価率を6〜7割に抑えるのです(マージンミックス戦略)。(中略)
 昔は倒産処分品まで取り扱っていましたが、今では7〜8割の商品がメーカーに直接作らせたオリジナル商品(PB商品)です。数十万〜100万個単位での発注が商品原価圧縮につながっています。


■3.100円のコーラを10円で買う方法とは?
 賞味期限のある商品は、期限が近付くと価格が下げられます。(中略)
 清涼飲料水の場合も同じです。スーパーやコンビニは賞味期限が半年以下の製品は仕入れてくれません。
 そのため、格安自販機などを展開するべンダー業者が安く仕入れるのです。格安自販機は80円、50円などと種類別に分けています。中でも賞味期限1ヵ月を切った商品は、10円で売り切るわけです。
 安くしてでも売り切ったほうが、利益の最大化が図れます。


■4.高コストなシティホテルの体質
 日本のシティホテルは高コスト体質です。一流のサービスを心掛ければ、その分利用料金にも響きます。
 しかし、売上構成比を見ると驚くことに、飲食・宴会部門が75%、宿泊部門がたったの25%程度のところが少なくないのです。
 シティホテルは宿泊で稼ぐと思ったら大間違いで、飲食や宴会といった部門の売上のほうが大きく、その粗利益率は30%程度で儲けが薄いのです。
 粗利益率が、50〜60%に及ぶ宿泊部門は、売上のわずか25%ですから、シティホテルは儲けを出すのがむずかしくなっているのです。


■5.保険見直し業者の稼ぎはどこに?
 一般に、新規保険に加入させると、保険の種類によって違いはあるものの、定期の死亡保険で、加入者の年間支払い保険料の40〜50%が保険会社から2年間にわたってバックされ、3年目以降は解約防止の意味合いで10%前後に下がる仕組みになっています。ゆえに、保険を3年目で解約させ、別の新規保険に加入させたほうが、販売サイドは儲かるのです。


■6.さびれたたばこ屋のシャッターが半開きなワケ
 これには理由がありました。
 たばこ屋の小売免許の許可条件は、「手売り(対面販売)」が必須になっているからです。
 たばこの小売業は、店の前に自販機が置いてあっても、休業日でもないのに店を閉めてしまうと、財務大臣の許可が取り消されるのです。
 実は、こうした店は「出張販売」で驚くほどに稼いでいたりします。
 飲食店、パチンコ店、マンガ喫茶、ネットカフェ、浴場施設(中略)といった集客率の高いインドア施設に、自販機を設置するだけで売上を伸ばせるからです(設置場所ごとに出張販売許可が必要)。


【感想】

◆結構この手の「ビジネスモデル本」は読んできたツモリですが、それでもまだ知らない事が多々あったワタクシ。

まずは、初っ端のスーパーの冷凍食品のケースは初耳でした。

本書の例ですと、まず「希望小売価格500円」のチャーハンを、メーカーが175円(35%)でスーパーに出荷。

それをスーパーで、通常500円で売れば325円儲かり、粗利益率は65%にもなります。

そして、それをたまに「半額セール」で250円で売ったとしても、スーパーは75円の利益(粗利益率も30%)で、これでも十分な稼ぎとなるという。

ま、まさかこの美味しそうなチャーハンも、そんな価格設定が!?

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◆また、知っているネタであっても、周辺情報や追加知識が得られるものがありました。

たとえば「宝くじ」が、あらゆるギャンブルの中でも最も期待値が低い(配当割合が47%と低いため)ということを知ってる方は多いでしょうが、では買う人は何で買うのか、という「認知バイアス」まではご存知でしたでしょうか?

本書によると、まず該当するのが「他の人は当たらなくとも、自分だけは当たるような気がする」という「感情バイアス」や、「宝くじの考学当選者の7割は、10年以上買い続けた人」といった都市伝説を信じ込む「確証バイアス」。

さらには「今まで何年も買い続けてきたのを途中でやめると、これまでの努力も資金もムダになってしまう」と感じる「喪失不安バイアス」もそうです。

他にも「正常性バイアス」や「集団同調性バイアス」「正当化バイアス」といったバイアスも該当するようで、いかに宝くじが罪深いものかが良く分かりました。

実際、宝くじを買い続けてる方に、いくら説いてもムダなんですけどね……。


◆ちなみに、上記ポイントの4番目に関連して、シティホテルの「飲食・宴会部門」については、たとえ利益率が低かったとしても、顧客サービスの一環として、廃止することはできなかったハズ。

それに対してビジネスホテルでは、宿泊需要に特化して、利益を上げることを目指しています。

しかも「前払い自動入金機」や「客室清掃を簡素化するため脚のないベッドの導入」「客室電話の廃止」といった工夫は、シティホテルでは不可能なもの。

ウチのヨメは、最近地方出張が多いのですが、先日泊まったビジネスホテルの「共同大浴場」に、かえって満足しているようでした。


◆本書は、見開き2ページないしは4ページで1つのビジネスについて解説する形式であり、隙間時間にパラパラ読むことが可能です。

そして、その見開きの左ページは、ほぼすべて図解なのですが、ただのポンチ絵ではなく、グラフや表がが中心。

アマゾンにあった画像で見ると、こんな感じになります(クリックするとアマゾンのページに飛びます)。

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知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ

ただし、扱うテーマが多いため、個々のお話についての掘り下げ方が多少甘いのは、致し方がないところかと。

逆に本書を読んで、興味を持った業界なりビジネスモデルがあれば、別途ご自身でフォローして頂きたいと思います。


世の中の「価格」と「儲け」のヒミツを知るために!

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知らないとソンする!価格と儲けのカラクリ
●PART1 鉄板業界から探る「価格と儲けのカラクリ」――15項目
●PART2 縮小業界から探る「価格と儲けのカラクリ」――11項目
●PART3 価格破壊が激しい「儲けのカラクリ」――15項目
●PART4 意外においしい「儲けのカラクリ」――14項目
●PART5 今さら聞けない「儲けのカラクリ」――8項目


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【編集後記】

◆昨夜の土井さんのメルマガで紹介されていた作品。

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出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ)

なかなか当ブログ向きな気がするのですがw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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