2014年10月03日
【脳のムダづかい?】『自分の力を最大限に発揮する! 脳のトリセツ』菅原洋平

自分の力を最大限に発揮する! 脳のトリセツ (DO BOOKS)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていた1冊。『あなたの人生を変える睡眠の法則』を、当ブログの月間ランキングの4位に送り込んだ菅原洋平さんの最新作です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
私たちの脳が発揮できる力には限りがあります。脳の力を大切なことに使うか、ムダなことに使うか。日々の生活でどちらを選ぶかによって、成果は大きく変わってきます。
本書では、脳のリハビリで用いられている「エラーレス・ラーニング(誤りなし学習)」の考え方をもとに、「言葉」「自律神経」「注意」を変える行動習慣を紹介。
いつもの行動をちょっと変えるだけで自分の脳が当たり前に能力を発揮できるようになる、「脳の上手な使い方」を教えます!
私も勘違いしていましたが、「脳はたくさん使えばいいわけではない」んですって!?

Lights of ideas / Saad Faruque
【ポイント】
■1.「脳のムダづかい」をやめる私たちの脳は、体の全体重の2.2%の重みしかありません。それにもかかわらず、心臓から送り出される血液の20%も使う、とても燃費の悪い内臓です。(中略)
実は、脳はそれほど多くのエネルギーを消費するにもかかわらず、エネルギーを貯蓄する仕組みを持っていません。それが、脳が他の内臓と大きく違うところです。(中略)
このように、客観的に脳を見てみると、脳の働きを高めて成果を上げるには、頑張れば頑張るほどいいのではなく、いかにムダなことにエネルギーを使わないようにするか、が重要だということがわかります。
■2.脳のムダづかいチェック(抜粋)
●気づくと口が空いている仕事の合間にネットサーフィンやスマホゲームをしているとき、口が空いてしまうのは、脳がエネルギーを消費しているサイン。●レジに並ぶとき、間がもたない本当に必要なこと以外にたくさんの情報を脳に入れていると、待つことができず短気になってしまう。●動く前に「よし!」と声を出す声を出すと一時的に脳が覚醒するが、実際は作業がはかどるわけではなく、結局何にも手をつけられていない、ということに。
■3.具体的な行動を言葉にする
例えば「書類をつくる作業にとりかからないと」と思ったら、「書類をつくる」と口に出してみましょう。すると、今までぐずぐず考えていたのがウソのように、体が自然に書類づくりにとりかかります。
言語化を使う重要なポイントは、行動する前に、具体的な行動を言葉にするということです。
やらなければならないのはわかっているのに、なかなかとりかかれないというときには、言語化をしてみましょう。先延ばしをしていた自分が変わるはずです。
■4.「多重感覚入力」で物忘れを防ぐ
例えば、スケジュールを手帳に書くときに、書いた内容をすっかり忘れてしまったり、書いたこと自体を忘れてしまうことはありませんか?
手帳に字を書く、というあまりにも簡単な課題だと、ハーフタスクにならず、自動化されてしまって頭の中に残らないことがあります。
このような場合は、逆に課題の難易度を少し上げて、ハーフタスクにすれば、印象が残り、忘れにくくなります。
やり方は簡単です。手帳に書くときに、口に出しながら書くだけです。
これは、「多重感覚入力」と呼ばれる方法です。
■5.ながら活動をやめてエネルギーをセーブする
例えば、朝の身支度の場面を思い浮かべてください。
テレビがついたままで、シャツにアイロンをかけているとします。スマホでSNSを見ています。キッチンではお湯を沸かしています。
このような何気ない場面でも、あなたの脳は、仕事でのイべント進行で使うのと同じエネルギーを消費しています。
これらは、いわゆる「ながら活動」、マルチタスクです。私たちは、効率アップを求めて「ながら活動」をするのですが、それによって、かなり脳のエネルギー効率を下げてしまっているのです。
■6.無意識に行う単純作業でタスク調整をする
あなたも、自分の生活を振り返ってみてください。なんとなくしている単純作業があり、それをしていると気分が落ち着くということはありませんか?・靴を磨く忙しくて頭が混乱したときに無意識にしていることは、自分のタスク調整にとても重要な行為です。
・マニキュアを塗る
・アイロンをかける(中略)
このシングルタスクを、脳のムダづかいを減らすための大事な行為だと位置づけましょう。
忙しくなったり、大きなチャレンジをするときは、それをすれば安定する、自分なりのシングルタスクを見つけることができれば、どんな状況でも乗り越えていけるはずです。
【感想】
◆当ブログでは、結構「脳ネタ」の本をご紹介してきたツモリでしたが、初見のお話が多々。まず、初っ端のポイントの1番目のお話からして初耳でした。
本書曰く、「脳は内臓の1つ」に過ぎず、かつ「燃費が悪い」「エネルギーを貯蓄する仕組みを持たない」臓器である、と。
そこで「脳のムダづかい」を防ぐことが、成果につながるわけですね。
◆例えば、「大きな挑戦をすれば、大きく成長できる」という考え方(ないしは、それに似た考え方)を目にすることもありますが、これは「常にもっと大きな挑戦をしなければ」という焦りが生まれ、頑張る割には空回りし、成果が上がらずに疲弊してしまうのだそう。
ここでキモとなるのが、冒頭の内容紹介にもあった「エラーレス・ラーニング」という考え方です。
これは「50%は当然できることだけど、残りの50%はやってみないとできるかどうかわからない」と言う状況にすることであり、この状況こそ、「私たちの脳が最も力を発揮する課題設定」なのだとか。
そこで、登場するのが、上記ポイントの4番目にある「ハーフタスク」。
これは「半分は経験済みの課題」のことで、仕事のデキる人や、新しいことに挑戦する人は、こうした「もうちょっとでできそう」という設定にする能力が長けているのだそうです。
つまり、「大きな挑戦」であっても、それを細かい課題に切り刻み、自分が経験済みのことと、まだ未経験なことをうまく組み合わせればよい、とのこと。
今後の課題設定の際には、ぜひご留意頂きたく。
◆また、上記ポイントの3番目の「言語化」に関連して、本書ではテニスのサーブの練習のお話が出てきます。
たとえば、サーブを打って、狙った場所からずれた場合、それを具体的に「右に20cmずれた」と発言すると、次のサーブは狙いに近づき、これを繰り返すことによって、意図するところにサーブが打てるようになるのだとか。
これは、「自分の動作の具体的な誤差を発言すると、ブローカ野によって、修正された動作が並べられ、リハーサルしてから次の動作をするので、効率よく動作の精度が上がる」から。
私たちの日常生活でも、やるべきことをやらないでいると「やらなきゃ」とあいまいな言語化をしがちですが、それを具体的に「●●をする!」と表現すると、「体が自然に動く」わけです。
なお、言語化には、実際に口に出す「外言語化」と、頭の中だけでつぶやく「内言語化」がありますが、まずは「外言語化」がオススメなのだそう。
◆今までも、マルチタスクの弊害(集中できない等)をうたっている本はありましたが、上記ポイントの5番目によると、マルチタスクをすることによって、脳が疲弊してしまうことがわかります。
実は神経心理学では、「注意」は「選択的注意「持続的注意」「同時注意」「転導注意」の4つに分けられ、この順に脳のエネルギーが必要なのですが、上記の「朝の身支度」は、まさに最後の「転導注意」に該当(詳細は本書を)。
何も問題なく支度ができているように見えても、実は「脳のムダづかい」そのものなわけです。
そこでどうするか、というと、まずは「どうでもいいこと」を1つだけやめよ、とのこと。
上記のケースであれば、テレビを消すだけでも、奪われるエネルギーは1つ減ります。
朝、「これから仕事をしよう」と意気込むところで、気づかぬうちに疲弊してはしょうがありませんから、「ながら活動」が多い方は、気を付けてみてください。
「脳のムダづかい」をやめて、効率的に活動するために!

自分の力を最大限に発揮する! 脳のトリセツ (DO BOOKS)
1章 「脳のムダづかい」していませんか?
2章 脳のムダづかいをやめる習慣1「言葉」を変える
3章 脳のムダづかいをやめる習慣2「自律神経」を変える
4章 脳のムダづかいをやめる習慣3「注意」を変える
5章 脳の使い方を変えれば、相手も変わる
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【編集後記】
◆今日の作品を読んで思い出したのが、「運転中の携帯電話の危険性」を説いたこちらの本。
錯覚の科学 (文春文庫)
「ハンズフリーであっても危険性は変わらない」という指摘も、思わず納得でした。
参考記事:『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

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