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2014年09月29日

【名著再び】『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ』橘玲


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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、橘玲さんの30万部を超えるベストセラーとなった『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の改訂版。

内容的には、あくまで原著をベースにしながらも、いくつかの章を削り、法改正等を踏まえた内容を追記する形になっています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「『黄金の羽根』を読んで人生が変わりました」という人、「この本に触発されて会社を辞め、いまは赤坂にビルを3棟持っています」という人などなど、この本を読んで経済的独立を手にした人が続出したベストセラー『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』を12年ぶりに全面改訂。リーマンショックや安倍バブルなどそのときどきで経済環境の浮き沈みはあったが、原理的なことはなにも変わっていない。経済的に成功するためには、経済合理的でなくてはならない。

原著がツボだった方には、当然お読み頂きたいですし、未読の方なら、なおさら要チェックな1冊です!

なお、Kindle版ももう出ていました!

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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ





The Golden Goose / Chill Mimi


【ポイント】

■1.「社会制度的な歪み」を利用する
 私も含めほとんどのひとは、国家から役得を得られるような立場でもなければ、法を犯すつもりもなく、"汚れ仕事"に人生を賭ける覚悟もありません。利益をもたらす歪みがあったとしても、それを利用できるひとは限られています。考えてみればこれは当たり前で、誰にでも利用できるなら収益機会はたちまち失われてしまうはずです。
 しかし、実はそのなかでひとつだけ、その気になれば誰でも利用できる歪みがあります。それが「社会制度的な歪み」です。そのための条件はただひとつ、自営業者(または中小企業の経営者)になって「個人」と「法人」のふたつの人格を使い分けることです。


■2.不動産を買ったら、そこで資産運用は終わり
 日本人の人生設計を考えるには、株式よりも不動産と生命保険に着目しなくてはなりません。ところが、資産運用を説く本はといえば、ポートフォリオの大半を占める不動産投資や、継続的に大きな支出を続けている生命保険は無視し、わずかな金融資産のなかだけで分散投資を勧めるものが大半です。分散投資が理論的にいくら優れているといっても、これではなんの意味もありません。資産運用の成否は不動産相場に直結しており、わずかな金融資産で何をしようが同じことだからです。


■3.投資信託はパッシブ運用で
 ファンドマネージャーが運用する投資信託をアクティブ運用、それに対して、いっさいの恣意性を排除して効率的ポートフォリオ(インデックス)で運用する投資信託をパッシブ運用と呼びます。この両者のどちらが有利かは金融業界で長年にわたって論争の種になっていますが、学問的にはほぼ決着がついています。アクティブ運用の投資信託の平均的なパフォーマンスを調べると、パッシブ運用に比べて、手数料コストの分だけ負けているということが、各種の統計調査で明らかになっているからです。星の数ほどある投資信託のなかから平均を上回るファンドを選ぶ慧眼がなければ、アクティブ運用のファンドへの投資は、ファンド会社に手数料を寄付しているのと同じことなのです。


■4.持ち家とは賃料の発生しない不動産投資である
 持ち家の購入は、不動産投資そのものです。購入した家に自分で住むか、他人に貸すかは、たんに利用法の違いに過ぎません。不動産投資で大損したひとが、その物件に住んだ(持ち家にした)からといって、魔法のように損失が消えるわけではありません。
 購入した不動産を他人に貸せば、賃料が支払われます。自分で住めば、当然、賃料を受け取ることができません。不動産投資と持ち家との違いは、たったこれだけです。
 この違いは、なんら決定的なものではありません。持ち家とは、「自分で自分に不動産を貸している」ことだからです。持ち家でも賃貸と同様に賃料が発生していますが、そのお金はあなたの右のポケットから左のポケットに移動するので、目に見えないだけなのです。


■5.生命保険は資産運用ではない!?
 世の中には生命保険を資産運用の一種と信じ込んでいる人がいますが、これは完全な誤解です。終身保険にしろ、個人年金にしろ、資産運用系の保険商品は、宝くじ(保険)部分のコストがかかってほかの資産運用手段よリパフォーマンスが落ちるからです。日本の保険会社はときどき、実現不可能な高利回りを約束して保険の勧誘をすることがありますが、そのほとんどが経営破綻して年金支給額は大幅に減額されてしまいました。
 最近は、死亡保障や医療保障に個人年金を加えた総合型の保険が大々的に宣伝されていますが、この手の商品を販売する大手生保は経費率が高く、格安生保と比べて商品に競争力がありません。それをごまかすためにわざと商品を複雑にしているので、検討するだけ時間の無駄です。


■6.税源を消費税のみにするという考え方
 たとえば所得税・法人税・相続税(贈与税)を廃止し、税源を消費税のみにすれば、徴税に関するトラブルはほとんど解決します。税務署の優秀で勤勉な職員は、もっと意義のある、国民から感謝される仕事に就くことができるでしょう。企業や個人は申告と納税の手間が不要になって、経済の効率が上がります。少なくとも、社会がいまよりもずっと明るくなることは間違いありません。消費税の逆進性を問題にするひともいるかもしれませんが、それは別のセーフティネットで対応すればいいことです(中略)。
 しかし現実には、こうしたシンプルな解決方法が採用される可能性はありません。そんなことになれば,税務行政に携わる多くの官僚が職と既得権を奪われるからです。


【感想】

◆私が原著を読んだのは、かなり昔になります。

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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門

本書も実は、単行本としてはやや大きめサイズなのですが、これも原著のままですね。

出てすぐかは忘れたのですが、国税当局でも話題となっていたらしい『マネーロンダリング』にはかなり衝撃を受けたので、その半年後に出た原著は、多分速攻で読んでいたハズ。

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マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

まだブログを始める前の話なので、いずれも当ブログではご紹介していないのですが(スイマセン)。


◆ただ、物語形式(と言うか普通にフィクション)の『マネーロンダリング』はさておき、その後の橘さんの著作の原点となっている原著の方は、橘さん曰く「スピンアウトするかたちでさまざまな著作」へとつながっています。

当ブログでレビューした作品としては、こんなところが。

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臆病者のための株入門 (文春新書)

参考記事:「臆病者のための株入門」橘 玲(著)(2006年05月01日)

4062153580
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

参考記事:【黄金の羽根】『貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』橘 玲(2009年06月08日)

4062171392
大震災の後で人生について語るということ

参考記事:【神話の終焉】『大震災の後で人生について語るということ』橘 玲(2011年08月03日)

実際、本書が原著をベースにしている関係上、内容的には上記の本で書かれている内容と、かぶっている部分は多々ありました。

もちろん、それぞれの作品が、出た当時での法や景気情勢をベースにしていたゆえ、本書によって変更点が軒並みアップデートされているという。


◆ただし大きな違いは、冒頭でも申しあげたように、章の削除で、具体的には「海外投資」と「PT(パーマネントトラベラー)」の2つの章がカットされました(割愛した理由等については本書にて)。

逆に、下記目次にあるように『「黄金の羽根」ができるまで』と題した、第0章が追加。

ここでは、橘さんが「なぜこのような考え方をするようになったか」を述べられているのですが、約40ページと結構なボリュームです。

私は「フェバリットな著者さん」の1人として橘さんを挙げているくらいなので、この0章については非常に楽しむことができました。

原著をお読みの方でも、できればここだけでもチェックして頂きたく。


◆ところで、私がブログでたまに使う表現として、「身も蓋もない」というフレーズがあります。

これは決してdisっているわけではなく、むしろ褒め言葉なのですが、元々は、橘さんの原著を最初に読んだときに強く感じたものでした。

ですから本書も上記で挙げたポイントを初めとして、当然「身も蓋もない」お話のオンパレードで、個人的には大満足w

しいて気になった点を言うなら、なまじ原著での表現を活かそうとしたために、当時との変更点の注書きの仕方が、まちまちだった(最初に述べていたり、最後にまとめてあったり、文中にいきなりあったり)ことでしょうか。

もっともこれも、「個々の内容次第」のところもありますし、もし厳密にやるとしたら、全部書き直すしかないでしょうから、致し方ないかと。


12年前の興奮が、今よみがえる1冊!

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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ
Prologue 1995-2014
0.「黄金の羽根」ができるまで
PART1 人生を最適設計する資産運用の知識
1.世界にひとつしかないお金持ちの方程式
2.誰も知らない資産運用の常識
3.不動産の呪縛を解き放つ法則
4.生命保険は損をすることに意味がある
5.見えない「貧困化」が拡がっている

PART2 人生を最適設計するマイクロ法人の知識
6.国家に惜しみなく奪われるひとびと
7.「個人」と「法人」、ふたつの人格を使いこなす
8.マイクロ法人で人生が変わる
9.不可能を可能にする奇跡のファイナンス
10.税金について知りたいほんとうのこと
11.税務調査の裏と表

PART3 人生を最適設計する働き方
12.クリエイティブクラスとマックジョブ

Epilogue 新宿中央公園のホームレス


【関連記事】

【神話の終焉】『大震災の後で人生について語るということ』橘 玲(2011年08月03日)

【問題作?!】『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』橘 玲(2010年10月01日)

【黄金の羽根】『貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』橘 玲(2009年06月08日)

【快作!】「亜玖夢博士の経済入門」橘玲(2007年12月12日)

「臆病者のための株入門」橘 玲(著)(2006年05月01日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

4087860507
世界はすでに破綻しているのか?

「身も蓋もない」といえば、高城剛さんの作品でも感じることがありますが、本書は果たして!?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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