2014年09月24日
【働き方】『500万人の成功体験からわかった「いい仕事」をする人の45の極意』デイヴィッド・スタート,O・C・タナー・インスティテュート
500万人の成功体験からわかった「いい仕事」をする人の45の極意
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。世界規模の人事コンサルティングファームであるO・C・タナー・インスティテュートと、その上級副社長であるデイヴィッド・スタートが、膨大なデータから「働き方」の秘訣を探ります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
500万件以上のデータベースと、200人以上に対する徹底インタビューから導き出された「誰にでもできるつまらない仕事」を「自分にしかできない素晴らしい仕事」に変える45の方法。
「もっとも人気のない仕事」と言われている病院の清掃員から、広告営業マン、保険会社のコールセンタースタッフ、ダイソンやネットフリックスといった大企業の創業者、建築家、作家、アーティスト、スポーツ選手まで、ありとあらゆる職業に共通する「仕事の極意」とは?
なお、内容的には「スキルアップ」というよりは、「問題解決」「イノベーション」の分野に近かったです!
DAIM - Rehearsing The Future / The Royal Danish Academy of Fine Arts, School of D
【ポイント】
■1.自分のまわりに丁寧に目を配るその後、ミンディはこう話してくれた。「結局、下を向いて仕事をしているか、前を向いて仕事をしているかのちがいなんです。つまり、自分のまわりで起きていることに丁寧に目を配るということです。自分の業務がほかの人々にどんな影響を与えるのか、人間関係がどう作用するのか、相手が何を望み、必要としているのか気にかけたら、仕事をこなしているだけじゃ気づかないことが見えてくるんだと思います」
自己の役割をリフレーミングするとはまさにそういうことだ。自分の仕事が他人にどんな影響を与えるか考える。誰かの役に立てないかとつねに自問し、大きな目標に向かって仕事に取り組む。自分にも変化を呼び起こす力があると知ることが重要な第一歩だ。
■2.常識に疑問を投げかける
変化を呼び起こす人々は常識に疑問を投げかける。決まりきったことについても見直し、従来のやり方から逸脱することも厭わない。「いつも通りに仕事をこなす」という発想を好まず、「仕事はクールなものを生み出す手段である」と捉えているからだ。たからこそ、彼らは鋭い疑問を投げかける――誰も思いつかない疑問や、身も蓋もないような疑問を投げかけることができるのだ。彼らの問いは課題を掘り起こし、議論を呼び、周囲を困惑させ、悩ませ、行動に駆り立てる。そして、そういった鋭い疑問を解決する答えとして生まれるのが「いい仕事」だ。
■3.自分の目で確かめる
優れた成果を評価された社員について調べてみると、改善策を自ら探そうとする人は、そうでない人に比べて17.1倍、仕事に対して情熱を感じやすかった。これはなかなか示唆に富むデータだ。自分の目で確かめると何かが起きる。変化を起こしたいという情熱が目覚めるのだ。利益の増加もしくは費用削減の功績が認められた表彰事例のうち87%において、受賞者は「何をしたら喜ばれるか」「プロセスはどう機能しているか」「別の解法はないだろうか」と、新しい視点から仕事を見つめ直していた。
■4.工夫を積み重ねる
デニースたちがいわゆる3R(リデュース、リユース、リサイクル)の方法を探し始めて以来、自動車1台につき22キロ発生していた廃棄物は、なんと32グラムにまで滅った。しかも、この32グラムも捨てられるわけではない。(中略)
「廃棄物ゼロ達成の裏にはどんなビッグ・プロジェクトがあったのですか、とよく尋ねられるのですが、そういうやり方ではありませんでした。大きなプロジェクトを1度動かしただけで、一足飛びに最終ゴールに到達するというものじゃありません。何千もの小さなプロジェクトの集大成なんです。1年間で何をしたかではなく、毎週何をしたかが大事でした。本当に、小さなことの積み重ねでした」
■5.外部とつながりを持つことの7つの利点
1.アイディアが磨かれる
2.将来の顧客像が見えてくる
3.否定的見解がきける
4.専門的知識を得られる
5.励ましてもらえる
6.変化を起こすコミュニティが生まれる
7.方向性がはっきりする
(詳細は本書を)
■6.仕事が終わった後も結果に注意を払う
インタビューを重ねるうち、「いい仕事」をする人は、「仕事の完了」に関して独自の基準を持っていることがわかってきた。(中略)
調査でわかったのは、優れた成果を達成した人々は、仕事がほぼ終わったあとも結果に注意を払っていたということだ。彼らは何が、どうして功を奏したのか知らなければ気がすまない。自分の仕事の結果を観察し、そこから得た情報を分析し、感覚をつかみ、受け手に愛された変化の本質を知ろうとする。そうすることによって、イノべーションはスキルとなる。1つのイノべーションが、つぎのイノべーションの発射台になるのだ。
【感想】
◆本書のタイトルにある「500万人の成功体験」というのは、O・C・タナー・インスティテュートが人事コンサルティングを行う過程で蓄積されたデータベースからのもの。彼らはまず、いくつかの仮定を立て、それに基づいて「いい仕事」に関する「500万件以上の情報」を精査し、そこから実際に表彰を受けた170万件を選び出しました。
その170万件から、1万件を無作為に抽出し、「姿勢」「行動」「スキル」といった観点から分類。
さらに、調査機関フォーブス・インサイトと共同で、1000人以上を対象にきき取り調査を実施しました。
そして最終的には、「いい仕事」をして、実際に大きな変化を起こした200人以上に対して、1対1のインタビューを行ったのだそう。
ちなみに、このインタビューの相手は、誰でも知っているような有名な起業家もいれば、まったく無名の新入社員もいて、まさに様々という(下記参照のこと)。
◆ところで、冒頭で触れたように、本書の内容は「スキルアップ」とは少々違います。
例えば下記に目次があるのですが、今まで当ブログで「仕事術」としてご紹介した作品とは「毛色が違う」といいますか、どちらかと言うと「イノベーション」に近い感じ。
また、大量のデータから共通項を抽出したせいか、TIPS自体は一般論的なお話が多かったです。
むしろ興味深かったのは、個々の事例内容の方。
実は私も、付箋自体は事例の方に貼りまくってしまいましたw
◆たとえば、アイスホッケーの名選手のウエイン・グレツキーの名言に「パック(目標)があるところを目指すのではない。パックが飛んでいくところに向かって滑り出すんだ」というのがあるのですが、これはご存知の方も多いハズ。
ただし、その背景までは、あまり知られていないのではないでしょうか?
なんでも、彼は子どもの頃から、テレビでアイスホッケーの試合を観戦する際、紙にアイスホッケーのリンクを描き、全神経を集中させ、そこにパックの軌道を鉛筆で記したのだとか。
もちろん、試合が終わる頃には紙のリンクは鉛筆の線でほとんど塗りつぶされてしまいます。
しかし、ある日父親から何をしているのか問われて曰く。
「見ての通りだよ。線が何度も交差しているところが、パックが一番よく通る場所なんだ」グレツキーがパックの動きを予測できた陰には、このような「観察」があったのだな、と。
◆ちなみに、その他登場する人々はこんな感じです。
●ラジオ広告の営業マン、エド
●病院の清掃員、モーゼス
●携帯電話の生みの親、マーティン・クーパー
●IDEOのベビーカー設計チーム
●生徒の記念写真を撮影するカメラマン、ティナ
●インスタグラムの開発者、ケビンとマイク
具体的に、本書が彼らのどこに注目したのかは、本書にてご確認を。
有名無名関係なく、いずれも本書で言うところの「いい仕事」をした方々ばかりですので……。
◆ところで、膨大なデータがバックにある割には、その数字自体は、本書ではほとんど表に出てこないのが、個人的には意外でした。
実際に出てきた数字も、件数ベースではなく、上記ポイントの3番目のように「●倍」「●%」というもののみという。
この辺は、「数字はあくまで自説を裏付けるためのもの」という位置づけなのかもしれませんが、数字好きやデータマニアの方(?)は、一応ご留意ください。
もっとも、本書に収録された「目からウロコの解決法」をいくつか目にしたら、そんなことは気にもならないのかもしれませんがw
「違いを生み出す」働き方がここに!
500万人の成功体験からわかった「いい仕事」をする人の45の極意
パート1:考えかたを変えてみる
第1章:「誰にでもできる仕事」を「自分にしかできない仕事」に変える
第2章:あなたの目の前にすでにあるものから取りかかる
パート2:行動を変えてみる
第3章:ひらめきのあとの「一呼吸」が結果を左右する
第4章:「どうして思いつかなかったのだろう」と後悔しないために観察する
第5章:脳に新しい回路を生み出す「人間関係」をつくる
第6章:行動する前に、浮かんだアイディアを頭のなかでスケッチする
第7章:仕事が完成するのは、それが誰かに愛されたとき
おわりに:「自分の実力はまだ十分じゃない」と感じるなら、出発しよう
【関連記事】
【仕事術】『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』大嶋祥誉(2014年07月26日)【仕事術】『なぜあの人は定時に帰っても信頼されるのか?』能町光香(2014年06月11日)
【マッキンゼー流思考術?】『思考を広げる まとめる 深める技術』太田薫正(2014年05月29日)
【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)
【思考術】『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』赤羽雄二(2013年12月27日)
【編集後記】
◆ツイッターで見かけて、ちょっと気になった本。人を振り向かせるプロデュースの力 クリエイター集団アゲハスプリングスの社外秘マニュアル
ちょっとお高いんですが、Kindle版なら手が届きそうなw
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「アイデア・発想・創造」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
10月10日まで
9月26日までのところ一部値引に移行して延長中
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです