2014年09月22日
【超速スキル獲得法?】『たいていのことは20時間で習得できる』ジョシュ・カウフマン
たいていのことは20時間で習得できる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。著者のジョシュ・カウフマンは、ビジネススクールに行かずに、MBAの知識を身に付ける方法を説いた『Personal MBA』で知られる人物です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
マルコム・グラッドウェルは、1万時間費やして練習すれば、誰でも習熟レベルに達すると説いた。でも、そこまで我慢できる? たいていのことは上手になるまでおもしろくない。
普通の人がそこまで打ち込むのは難しいはずだ。もちろん、プロのレベルにはいかないが、何とか楽しめるレベルだったら、20時間あれば何とかなる。これから新しいことをいくつも習得したい人に、学習マニアのジョシュ・カウフマンが開発した速習術をお届けしよう!
速習したいスキルがある方なら、オススメです!
20140922追記:Kindle版も出ております。
たいていのことは20時間で習得できる 忙しい人のための超速スキル獲得術
Bach on a Soprano Ukulele / puliarf
【ポイント】
■1.スキルをサブスキルに分解するたいていのスキルは、小さなサブスキルが束になったものだ。集中して取りむスキルを決めたら、次のステップはそれをできるだけ小さなパーツに分解することだ。たとえばゴルフをプレイするというのも、様々な部品の集まったスキルだ。正しいクラブを選び、ティからボールを打ち、バンカーから出し、パッティングを決める、などなど。スキルを十分小さく分解すれば、最も重要と思われるサブスキルを特定するのもずっと楽になる。まずカギとなるサブスキルに集中することで、少ない努力でたくさん上達できる。
■2.何があっても20時間続ける
1日あたり投下できる時間が増えるほど、スキル獲得までの総時間数は短くなる。ぼくはできるだけ付加価値の低い活動をなくすことで、1日あたり最低90分の練習時間を確保することをおススメする。そして練習を始めたら、20時間に達するまで何があっても続ける。行き詰まっても、やりつづけるのだ。目標とするパフォーマンスレべルに到達するまで、あるいは20時間を投資するまでやめてはいけない。20時間も注ぎこむのが嫌だと思うぐらいなら、最初から別のスキルを選んだほうがいい。
この理由は単純だ。スキル獲得のプロセスでは、たいてい初期段階が特に辛く感じるからだ。混乱し、想定外の問題や障害にぶつかったりする。ちょっとした困難にぶつかったぐらいで諦めないように、最初から20時間はがんばると決めたほうが我慢しやすい。
■3.量と速さを重視する
新しいスキルを学ぼうとすると、完璧にやりたくなる。だがそれではイライラが募るばかりだ。もちろん初心者のパフォーマンスなど完璧には程遠い。
だから完璧を目指そうとせず、「これで十分」というフォームを維持しながら、できるだけ速く、できるだけたくさん練習することに集中しよう。
スキルは意識的で粘り強い練習の結果であり、練習の初期段階では量とスピードが絶対的な質よりも重要なのだ。速く、そしてたくさん練習するほど、スキル獲得のスピードは高まる。
■4.心的モデルと心的フックを知る
リサーチをしていると「パターン」、すなわち繰り返し登場する概念や技術に自然と気づくだろう。そういった概念は「心的モデル」と呼ばれ、とても重要だ。
心的モデルは、最も基本的な学習単位だ。世界に存在するモノ、あるいは関係性を理解し、分類する手段である。正確な心的モデルを集めるほど、特定の行動をしたとき次に何が起きるかを予測しやすくなる。また自分の経験を他の人と議論する際にも役立つ。(中略)
また、すでに知っていることと同じようなことにも気づくだろう。これが「心的フック」で、新しい概念を覚えるのに役立つ類似性や比愉である。
(詳細は本書を)
■5.チェックリストとルーティーンを設ける
練習のたびにしなければならないことを確認するにはチェックリストが便利だ。これはプロセスを体系化し、あなたがもっと重要なことに注意を集中できるようにする。
ルーティーンは、あなたがスキルの練習に毎回同じ方法で取り組めるようにする構造だ。バスケットボールのプレーヤーが、フリースローに入る前に毎回同じ手順を踏むようなものだ。手の汗をズポンでぬぐい、肩をほぐし、審判からボールを受けとり、3回パウンドさせて3秒間静止し、シュートを放つ。これがルーティーンだ。
チェックリストやルーティーンをつくることで、効率よく練習できるようになる。練習をイメージしやすくなり、頭の中でリハーサルできるようになり、それは実際に身体を動かす練習にも役立つ。
■6.就寝直前に練習する
効果的なスキル習得、特に運動技能の習得には、スキルを長期記憶に固定するうえで重要な役割を果たす睡眠が欠かせないようだ。最近の研究では、最大限の効果を引き出すには、運動技能の練習後4時間以内に眠るのが最適という結果が出ている。短時間の昼寝でも、まったく眠らないよりはましだという。それより時間が空くと、脳が練習中に集めた情報を固定する力が阻害されるという。
ぼくが就寝直前にタイピングの練習をすることにしたのはこのためだ。練習後、1時間以内に眠りにつけば、脳が指の動きをより効果的に固定できるだろう。不思議なことに、この効果は本当に実感できた。
【感想】
◆冒頭で触れられている、マルコム・グラッドウェルの「1万時間の法則」とは、この本に登場したお話でした。天才! 成功する人々の法則
ご存知の方も多いように、この本では、ビートルズやビル・ゲイツらが「1万時間(を超える)」の鍛錬によって、「他を圧倒する」経緯が述べられています。
ただしこれは、あくまで「超一流」「頂点」に立つ場合であって、本書の目指すところは、これとはほぼ「真逆」。
「自分の目標に合ったそこそこのレベル」に速やかに到達するための、「超速スキル獲得法」を指南してくれています。
◆そこでまず第1章では、こうした本書の意図するところや、アウトラインについて言及。
続く第2章にて「超速スキル獲得法10のルール」を、第3章にて「効果的学習のための10の基本ルール」を、といった具合に、具体的なTIPSが解説されています。
実は本書のキモは、この2つの章であり、せめて20のルールの小見出しだけでもご紹介したいところなのですが、一応ネタバレ自重ということで。
……この辺、先行者としては、周りの様子を窺えないのがツライです。
◆続く第4章以降は、実際にカウフマン氏がマスターしたスキルの数々と、その習得過程について。
「ヨガ」「プログラミング」「タッチタイピング」「囲碁」「ウクレレ」「ウインドサーフィン」のそれぞれのスキルに各1章ずつを割り当て、詳細に解説がなされています。
ちなみに、「タッチタイピング」というのは、普通のパソコンのキーボード(Qwerty配列)ではなく、「Colemak配列」を、新たにマスターしようというもの。
他の代替配列と比較して、Qwerty配列にかなり近いのですが、たとえば現在一等地(「A」キーの左隣)にある「Caps Lock」キーを、「削除キー」に替えることで、指の移動距離が15〜20%減少するのだとか。
もちろんカウフマン氏はQwerty配列でのタッチタイピングはマスターしており、そこから如何にColemak配列に移行するか(20時間で!)が描かれているワケです。
氏曰く「Qwertyよりはるかに使い心地がよく、戻ることなど考えられない」とのことなので、興味を持たれた方は要チェックで。
◆また、ウクレレのマスターは、楽器の初心者の方にとっては、非常に参考になるのではないか、と。
カウフマン氏は、本書のテーマで「ワールド・ドミネーション・サミット」(『1万円起業』のクリス・ギレボー氏主催)にて講演する際、実際に壇上でウクレレを弾いて、その手法が役立つことを証明することを思い付きます。
しかし、オファーがあってから講演までは、たったの10日間。
おまけに「弾き語り」までやろうとするのですが、果たしてその結果は!?
……さすがに、この時の映像はないようなのですが、YouTubeで探したら、TEDで演奏していた動画がありました!
この動画、内容はまさに本書のテーマですので、お時間がある時にでもご覧頂ければ。
◆ただ、ぶっちゃけ、興味のないスキルのパート(「ヨガ」「囲碁」等)については、読み流してしまったのも事実です。
また、たとえ興味があったとしても、まったく知識がない分野(「プログラミング」等)だと、内容的に「初心者レベル」とはいえ「着いていけなくなる」ワケでして。
もっとも、第2章&第3章が「一般論」なのに対して、第4章以降は「具体論」な分、この辺はトレードオフになっても致し方ないのかもしれません。
それでも、「スキルアップ好き」や「新たに何かを始めたい方」なら一読の価値アリかと。
まさに「忙しい人のための超速スキル獲得術」です!
たいていのことは20時間で習得できる
1 自己紹介― ぼくが学習中毒になったわけ
2 超速スキル獲得法10のルール
3 効果的学習のための10の基本ルール
4 ヨガ 必要以上に難しくない
5 プログラミング
6 タッチタイピング
7 囲碁
8 ウクレレ
9 ウィンドサーフィン
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【編集後記】
◆本書に興味を持たれた方なら、この2冊も激オススメ!才能を伸ばすシンプルな本
成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール
特に『才能を伸ばすシンプルな本』の方は、Kindle版も出ております!
レビューはいずれも、上記関連記事にて。
ご声援ありがとうございました!
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