2014年09月12日
【読書術】『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』出口治明
本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、お馴染みライフネット生命会長の出口治明さんの最新作。今までの著作でも、読書に関する記述が多かったり、先日はガイドブックも出されていますが、今回は丸ごと1冊「読書術」ということで、当ブログ的には見逃せないところです。
アマゾンの内容紹介から。
本を読むときは、1行たりとも読み飛ばしてはいけない――本を選び、読み、活かすにはどうすればいいか。「自分の頭で考える力」をつけるための要諦を、稀代の読書家が具体的に説き明かす。著者初の新書書き下ろし。
根っからの「本の虫」である出口さんのお言葉だけに、色々と勉強になりました!
Chapter Thirteen / It'sGreg
【ポイント】
■1.本が持つ5つの優位性(1) 何百年も読み継がれたもの(古典)は当たりはずれが少ない
(2) コストと時間がかからない
(3) 場所を選ばず、どこでも情報が手に入る
(4) 時間軸と空間軸が圧倒的に広くて深い
(5) 実体験にも勝るイメージが得られる
(詳細は本書を)
■2.新聞、ネット、本を特性ごとに使い分ける
まず、新聞です。私は毎朝1時間程度、新聞を3紙読んでいます。見出しはすべて目を通し、興味のある記事なら、本文を読み進めていきます。(中略)
続いて、インターネット。空いた時間にオンラインニュースを見ることもありますが、基本的には、メールなどを除けば辞書や百科事典として活用しています。(中略)
本は、移動時間や就寝前の1時間、週末に読んでいます。趣味として読む場合と、まとまった知識を得るために読む場合があります。(中略)
まとまった知識は、本から得る。直近のニュースは、新聞で得る。そして、百科事典の代わりにインターネットを使う。それが私の基本的な使い分け方です。
■3.新しい知識を得るときは、「厚い本」を最初に読む
新しい知識を学ぶときには、私は必ず「分厚い本」から読むようにしています。厚い本が最初で、薄い本が最後です。
あくまで一般論ですが、「分厚い本に、それほど不出来な本はない」と私は考えています。なぜなら、不出来な人に分厚い本が書けるとはまず思えないからです。
分厚い本をつくるのにはお金もかかるので、出版社も、不出来な人にはまず書かせないと思います。分厚い本が書けるのは、力量のある人です。力量のある人が書いた本なら、ハズレの確率は低いと思います。
■4.古典の本の選び方
図書館でも書店でもいいので、岩波文庫のコーナーの前に立って、まず「薄い本」を10冊程度選びます。別に岩波文庫でなくてもいいのですが、古典のラインナップが充実しているので、選びやすいでしょう。(中略)
10冊ほど選んだらタイトルをボォ〜っと眺めて、「おもしろそうだな」と思うものを2〜3冊、残します。そして、読んでみる。
読んでみて「なかなか、おもしろいな」と興味を覚えたら、同じ著者の著作や傾向の似たものに手を伸ばしていけばいいでしょう。
■5.現代の本の選び方(抜粋)
●興味のあるジヤンルの本を選ぶ
●立ち読みをして、「最初の5ぺージ」で決める
●新聞3紙の「書評欄」を見て、ムラムラとした本を選ぶ
●基本的に「作者」は気にしない
(詳細は本書を)
■6.目次や見出しを拾っても、本を読んだことにはならない
どのような本の読み方をしても人それぞれでいいと思いますが、私は、速読は「百害あって一利なし」だと考えています。
私は、
「本は著者との対話である」
「本を読むことは、著者の思考のプロセスを追体験することである」
と考えているので、目次や見出しを拾うだけでは、本を読んだことにはならないと思います。
その本に何が書かれているかを知りたければ、ネット書店の商品紹介ぺージをザッと読めばわかりますし、情報を得たいだけなら、ウィキペディアのほうがはるかに効率的です。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、今までの著作でもその読書術や読書スタイルについての言及が多かった出口さんだけに、今回それらを1冊にまとめて下さったのは、非常にありがたかったです。もちろん、ネタ的にかぶるところもあるのですが、こと「読書」に関するなら、今後はむしろ本書がメインとなっていくのではないでしょうか?
特に上記ポイントの4番目の「古典の選び方」というのは、類書でもあまり読んだ記憶がありません。
今回割愛した中にも「「●●書」よりも「●●」を選ぶ」(ネタバレ自重w)なんてTIPSがあり、これは個人的には目からウロコでした。
◆選び方で言うなら、上記ポイントの5番目の「現代本」についても、他の方の選書法とは若干異なっている部分が。
たとえば、そこで言う「最初の5ページ」は、「まえがき」でも「はじめに」でもなく、本文の「最初の5ページ」なのだそう。
しかも出口さんの場合、目次をほとんど読まれません。
なぜなら、出口さん曰く「本をよむことと、人の話を聞くことは同じ」であり、「人の話には、目次がない」から。
ですから出口さんは「1ページ目から素直に」読んで、5ページ読んでダメなら、その本を読むことをやめてらっしゃいます。
また、読書家に多い「積読」や、付箋やメモ書きもなさらないのですが、否定的というよりは、「人それぞれで良い」とのこと。
◆ただし、相変わらず(?)速読には手厳しくて、それは上記ポイントの6番目にある通りです。
もっとも、ビジネス書をメインで読む人というのは、ノウハウなり情報を得るために、読書をしていることが多いハズ(私もそうですが)。
それならば、速読も致し方ない……となりそうなものですが、出口さんの場合、そもそもビジネス書(実務書を除く)自体あまり読まれないのだとか。
となると、確かに速読の必然性は薄れますよね。
実はわざわざ「なんでビジネス書が好きではないのか」というお話まで本書は収録しているのですが、それは別途、本書にて直接ご確認頂きたく。
◆ところで本書では、部分部分、さらに第4章と第5章でたくさんの本が紹介されています。
これまた私が未読な作品ばかりなのと、冒頭で触れたこの本との兼ね合いもあるので、今回は丸ごと割愛。
ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊
参考記事:【教養】『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』出口治明(2014年06月06日)
ただし、本書は第4章にて「目的別」の本、第5章にて出口さんの時代別に接した本が収録されていて、なかなか興味深かったです。
また、これらの本を含め、本書内で紹介されたすべての本が、巻末に一覧としてまとめられている点も、見逃せないところかと。
◆本書は新書という形式をとっていることからも、コストパフォーマンスは高いと思います。
「非ビジネス書」がメインの選書も、「教養を深める」意味では価値が高いですし(私がいつ読むかは別としてw)。
ただし、出口さんが本書でオススメされているように自分の頭で考えると、「アメリカの大学生が在学中に読む本が400冊」というのは、速読あってのものだと思います。
そもそもこの本によると、ハーバードでは速読の授業もあるようですし。
人生が2000%うまくいく ハーバードの秘密 (王様文庫)
参考記事:【ハーバード流?】『人生が2000%うまくいく ハーバードの秘密』左門 新(2014年09月04日)
まぁ、日本の学生の場合、速読うんぬん以前に、元から本を読む習慣があまりない、という指摘は否定できませんがw
教養を深めるために読んでおきたい1冊!
本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)
1章 本とは「何か」―教養について考える
2章 本を「選ぶ」―「おもしろそうな本」という鉄則
3章 本と「向き合う」―1行たりとも読み飛ばさない
4章 本を「使う」―著者に左右される人、されない人
5章 本を「愛する」―自分の滋養、他者への架け橋
【関連記事】
【教養】『ビジネスに効く最強の「読書」 本当の教養が身につく108冊』出口治明(2014年06月06日)【旅&読書】『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』出口治明(2010年12月29日)
【読書術大全】『大人のための読書の全技術』齋藤 孝(2014年08月07日)
【ハーバード流?】『人生が2000%うまくいく ハーバードの秘密』左門 新(2014年09月04日)
【読書術】『読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方』藤井孝一(2014年01月02日)
【編集後記】
◆もう1冊、本日出た読書本を。<問い>の読書術 (朝日新書)
アマゾンで見ると、こちらもなかなか興味深い選書になっています。
ご声援ありがとうございました!
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