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2014年09月11日

【オススメ】『電子書籍で1000万円儲かる方法』鈴木みそ,小沢高広(うめ)


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電子書籍で1000万円儲かる方法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、何やら情報商材にでもありそうな(?)怪しげなタイトルの本。

しかし、その著者が鈴木みそさんと、うめの原作担当である小沢高広さんという、この界隈で実際に活躍されているお2人の対談本となれば、買うしかないでしょう!?

アマゾンの内容紹介から。
これからの電子書籍は、出版業界はどうなる? 新時代のクリエイターの目指すところは? 漫画界のセルフ・パブリッシングの第一人者、鈴木みそと小沢高広(うめ)が、これまではなかなか語られなかった「クリエイター側から見た電子書籍の行方」を熱く斬る!

あまりの内容の濃さに、付箋貼りまくりました!








鈴木みそ『限界集落(ギリギリ)温泉』 / h_okumura


【ポイント】

■1.「電子書籍ユーザー」の特性を理解する
小沢 現時点でのマーケティングっていうところだと、ウチやみそさんがウケたのは、我々の読者の多くが、ネットと相性がよいお客さんだったから、というのもあると思うんです。ガジェットだったり、テクノロジーだったり、ネットワークだったりに興味をもっている人が好みそうなテーマの作品を、僕らもみそさんもよく描いているわけですから。たとえば藤井太洋さんの作品だとしても、純愛文学だったらこんな風にはウケないと思う。


■2.SNSやブログのアカウントは必須
小沢 逆に言えば、今、電子書籍を売っていくためにはSNSやブログを使った発信が、結構有効ということ。なので、これから電子書籍を個人で売っていこうと考えている人は、発信のためのアカウントを持っていることが最低条件になるとも言えます。その場合、当たり前のことですが、そのアカウントがどれくらい影響力を持っているかということが重要。我々の場合は、最初から1万とか2万とか、まとまった数のフォロワーがいましたし、その中に、我々よりさらに影響力があるユーザーがいたということが大きかったと思います。そのユーザーの目に留まることで、さらに情報が拡散していったから。


■3.巻をどこで区切るかで変わってくる
鈴木 なるべく売れるように、という意味だけでいえば、シリーズ作品の場合は、どこで巻を区切るかにもテクニックがあったりします。紙のコミックスでもやっている手法ですが、1巻の最後で話がきっちり終わらないようにして、2巻の購買を促進するとか。『限界集落温泉』が、たまたまなんですけど、そのパターンになってしまったんですよね。続きがすごく気になる感じで1巻の終わりになってしまって。だからお客さんも、2巻からは400円だけど気になるから買うか、って感じで付き合ってくれた。ただ、そのやり方を10巻、20巻みたいな長さで続けたらダメでしょうね。


■4.電子書籍の適正価格とは?
小沢 たとえば、ジュース1本の価格イコール150円っていう感覚は、結構な年月をかけて定着しているじゃないですか。だから、200円のジュースって言われると、抵抗を感じてしまう。でも、その一方で、ヤクルトは1本40円。でも同量だったら、どっちが得? と考えて買う人はあまりいない。つまり、同じ飲料でもジュースとヤクルトのパッケージでは、まったく違う価値観が成立している。それと同じで、電子書籍も、しっかりと独立したビジネスにしていくためには、紙の書籍とは違う、価値観のパッケージを確立させなければならない。


■5.自分のキャラクターとコンテンツ
鈴木 こないだ、noteの中の人と話していたときに聞いた話なんですけど、芸能人がやってる有料メルマガって、内容的には全然面白くないんだって。彼らにコンテンツを作る能力がないから。でも、なんでその有料メルマガを買う人がいるのかっていうと、その人のキャラクターを知りたいと思っているからだと。

小沢 つまり、芸能人はコンテンツではなくてキャラクターを売っている商売である、ということですね。


■6.面白ければきっと見出される
鈴木 まとめると、誰かが見つけてくれるのを信じて、面白いものを作り続けること。そしてチャンスの波を逃さないこと。そのために、少なくとも最低限、自分の作品をネットにアップできるくらいのスキルを身に付けておくこと。それくらいで十分だと思いますよ。もう、面白いのに名前がないから売れないっていう時代ではないんですよ。昔は、世に出る前に潰された才能もいっぱいあったけど、ネットがあるおかげで、もはやそういう心配はない。


【感想】

◆冒頭の画像のように、付箋を貼りまくっているワケですから、上記ポイントは本当にその一部に過ぎません。

と言いますか、実は上記で抜き出したのは、当ブログでのニーズ(ノウハウ志向w)を勘案して、第4章の「ネットで売れるマンガ家/クリエーターとなるために」からだけという。

この章では「売るための技術」として10項目挙げているのですが、実際にはさらに割愛している部分がいくつもあります。

たとえば、「電子書籍ならではの表紙デザイン」とはどのようなものか?

詳しくは本書にてご確認頂くとして、なるほどな、と思ったのが、書店販売と違い「立ち読みができない」前提で、タイトルも考えるということ。

そういう意味では、アマゾンのページの作り込み(内容紹介等)も非常に大事ですし、私も著者さんや編集者さんからご紹介頂いた本の、アマゾンのページがあんまりだと、手直しをお願いすることもありました(特に「書影がない」等)。


◆また、丸ごと割愛してしまった第1章と第2章も読みどころ満載です。

まず、第1章ではマンガ業界の今昔物語(?)が。

たとえば、2004年に小沢さんたちが、雑誌『モーニング』で『東京トイボックス』を描き始めた際、ブログで雑誌巻末の読者アンケートの応募をお願いしたところ、担当編集者に「とんでもない不正だ」と怒られたのだとか。

今でこそ、編集者から「SNSで拡散を!」と言われますが、ひと昔前のプロモーションの意識はそんな感じだったワケです。

また、今では作家が自分のメアドを作品やブログ等に明記したりしていますが、2001年頃までは、その行為に編集部が難色を示していたとのこと。

というのも、当時はまだ、編集部がマンガ家を抱え込んでおきたかったからで、極端な話、「他社の作家に会社の冠が付いた賞をあげるのは、連絡先を聞くための最終手段だった」なんて、今では考えられない裏話が炸裂しておりますw


◆続く第2章は、「ITサービスの進化」について。

お2人ともパソコンやネットに関してはかなり「アーリーアダプター」でして、鈴木さんは96,7年からMacならびにホームページをスタート。

小沢さんに至っては、Windows3.1と95の狭間……って、どんだけ早くから始めてたんですか、というw

そんなお2人ですから、電子書籍が始まる前に生まれては消えていったサービスについてもお詳しく、なるほど、そういう経緯を経て、今の業界があるのだな、と。

そして始まった、日本版KDPにどのように対応されていったのか……。

この辺の日本における「Kindle創世記」のお話は、読んでいてワクワクしました。


◆正直、この3つの章だけでもお腹一杯なので、出版業界やマーケティングに興味のある方なら本書は「買い!」なんですけど、毛色が違うのが第3章。

ここでは「電子書籍時代の新・マンガ家入門」と題して、かなりマンガ家寄りのテクニカルなお話が展開されています。

実際にマンガを描いていて、電子書籍として出版したい方なら、このパートこそ本書の価値があるのでしょうけど、残念ながら私のような素人には良く分からず。

ただ、マンガの「コマ割り」の話等、描き手の意図を知った上で読むと、さらにマンガが楽しめる、という点では、この章も一読の価値があると思います(ちなみに、「うめ」の作画担当の妹尾さんは「夢をコマ割りで見る」のだそう……)。

そして、おしまいの第5章では「これからのマンガ家が取るべき進路とは?」ということで、今後の展開の予想等。

ここの「日本のマンガを海外向けに最適化するには」というお話で知ったのですが、『ONE PIECE』のフキダシがほぼ真円なのは、英語版を意識して、英文を横長に配置することを前提としているからなのだとか。


◆そういえば、このお2人と堀江貴文さんとで、今年の4月に電子書籍をテーマとしてトークショーが開かれたのでした。

ホリエモン×鈴木みそ×うめ、電子書籍について大いに語る ―イベントレポート「春の電子書籍祭り with マンガHONZ」 | ダ・ヴィンチニュース

この記事を読んで、面白そう、と興味を持たれた方なら、本書は必読!

当たり前ですが、ここにあるテキストの何十倍ものお話が詰まっているワケですから。

さらに本書は、マンガ業界だけでなく、もっと広い意味での出版業界や電子書籍、さらにはマーケティングに関心のある方にも、きっと満足できる内容だと思います。

もちろん、Kindle版もありますしw

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電子書籍で1000万円儲かる方法


これはもう、オススメせざるを得ません!

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電子書籍で1000万円儲かる方法
第1章 マンガ業界こそ究極の"ブラック"だった
第2章 「脱・出版社」を実現するITサービスの進化
第3章 電子書籍時代の新・マンガ家入門
第4章 ネットで売れるマンガ家/クリエーターとなるために
第5章 これからのマンガ家が取るべき進路とは?


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【編集後記】

◆そんな鈴木みそ先生が、まさに「電子書籍」をテーマにしたマンガがこちら。

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ナナのリテラシー1

……登場人物として「鈴木みそ吉」なる漫画家も登場するようですw


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