2014年09月07日
【習慣】『良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』ジェレミー・ディーン
良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した「科学的自己啓発本」。原書である『Making Habits, Breaking Habits: How to Make Changes That Stick』は、フォーブスやロスアンゼルス・タイムスをはじめとして、各欧米の有力メディアでも紹介され、既にロシア語やポルトガル語を含め6ヵ国語で読まれている人気作なのだそう。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
習慣はどうつくられ、うまくつきあい、変えていくのか?
毎月100万アクセス超えの世界No.1の人気心理学ブログ「Psyblog」を主宰する気鋭の心理学者が心理学の視点から「習慣」を解剖する。150を超える世界の心理学の実験、最新の研究成果を紹介しながら、喫煙、飲酒、ダイエット、パソコン、SNS、食生活、買い物、思考法など、身近な実例やエピソードを交えながら、習慣について論じていく。すぐに使えるTips的なノウハウも紹介。自己啓発書をいくら読んでも変わらない人へ――。より幸福に、創造的、生産的に生きるための処方箋。
身につけたい習慣や、やめたい習慣がある方なら、必読です!
Mega Hamburger Seven - Tilted Treasure With Homemade Fries / Marshall Astor - Food Fetishist
【ポイント】
■1.習慣を身につけるための「21日」とはどこから来たのか?それなりに研究の訓練を積んできた心理学者の私に言わせれば、こうした大胆な言説には裏づけとなるデータがありそうなものだ。でも、そんなものは1つもなかった。
次いで図書館にあたってみた。そこでは、21という数字の起源にまつわる話がいろいろ見つかった。なかでも私のお気に入りは、形成外科医のマクスウェル・マルツ博士である。博士は1960年にPsycho-Cybernetics (邦題『自分を動かす』)という本を刊行している。その中で言うには、手足を切断した人はその事実を受け止めるのに平均21日かかるらしい。「人生の大きな変化になじむには、それが何であれ21日かかる」と彼は主張する。顔の手術をした人の場合も同じだという。整形した新しい顔に合わせて自尊心を高めるにせよ、前のままの自尊心で落ち着くにせよ、所要日数はだいたい21日なのだ。
■2.深く染みついた習慣は見直しが難しい
たとえば、冬の間についた習慣のせいで、自転車のほうが安上がりで健康的なのに、夏になっても車通勤を続けているかもしれない。あるいは、いつも車を使っているから、列車や飛行機などの交通手段もあるのに、旅の計画はつい自動車が前提になるかもしれない。ある研究によれば、徒歩圏外の店に車で出かける習慣がついた人は、徒歩圏内の店でも歩くという選択肢を考慮しないらしい。
移動手段の選択を変えさせるのはとても難しい。放っておけば無意識に車に乗り込んでしまうので、その前に選択肢の再検討を意識させるのがカギだという。
■3.食べる量は無意識に決定される
映画館でポップコーンを食べる人たちを調べたところ、一定の状況下では、私たちは自分が何を食べているのかほとんどわかっていないことが明らかになった。この実験では、240グラム入りのポップコーン容器を渡された人は、120グラム入りを渡された人よりも53%余分にポップコーンを食べた。
たくさん与えられればたくさん食べるのは、まあ当たり前だ。驚くべきは、どれくらい食べたかをあとになって聞いたとき、いつも以上に食べたと思った人が6%しかいなかったことである。次に容器が大きかったことを聞かされると、それが食べる量に影響したと考えた人はわずか5%だった。77%の人はおなかが減っていたせいだと言い、15%の人はいつも以上に食べたはずがないと言い放った。
■4.環境を変えると行動が変わりやすくなる
傷害予防に話を戻すと、要するに肝心なのはコンテクストを変えることだった。人々の意思決定のコンテクスト、すなわち背景となる環境を変えることができれば、その行動も変えやすくなる。習慣的な行動であればなおさらだ。シートべルト推進運動と同じように、タバコは体に悪いというだけではほとんど行動転換を促せなかった。だが、法律によって喫煙場所が制限されると、効果はてきめんだった。法律の変化、社会的環境の変化が長年の習慣を変えさせたのである。
■5.状況と行動の強い結びつきから新しい習慣ができる
足りないのは、具体的な行動、それをするときの具体的な状況である。もっとやさしくなりたいとか体を鍛えたいとか言う代わりに、「ベビーカーを動かすのに困っている人がいたら、手を貸す」「短い移動に車を使いそうになったら、歩く」と言わなければならない。
これは特定の状況と、それを受けての対応や行動を結びつける。思い出してほしい。必要なのは、状況と行動の強い結びつきである。このつながりが自動的になれば、新しい習慣のできあがりだ。この実行意図――「〜だったら〜する(IF・THEN)」のつながり――は、いわば習慣の初期段階、今後の習慣の設計図である。
■6.古い習慣をやめるには並行して新しい習慣をつくる
習慣の抑制が裏目に出るとすれば、それに代わる重要な方法があるはずだ。どうにかしたい悪習慣が、ずっと同じ場所を流れている川だと考えてみよう。その流れをいきなり止めたい。止めたいのだが、水があふれてしまうから、ダムのようにせき止めるわけにはいかない。とすれば、流れるコースを変えるしかない。古い習慣をやめるには、並行して新しい習慣をつくる必要がある。だから、禁煙しようとする人はガムをかむ。ガムはニコチンの代わりを果たすだけでなく、口の中に何かを入れる習慣を請け負っているのだ。
【感想】
◆本書は冒頭で申しあげたように、ネットではなくてリアル書店で見つけた作品なのですが、購入の決め手となったのが、本書の冒頭にあった、上記ポイントの1番目の「21日間」のお話でした。確かに「習慣づけるには21日間必要」という話は、よく聞きます。
しかし、その「科学的根拠」が実は乏しく、上記のマルツ博士の研究にしても「手足を失う」とか「整形手術を受ける」といった、食事やらお金の使い方とは関係のないものでした。
本書では、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われた調査が紹介されており、それによると「毎日できそうだがまだやっていない」行動(「昼食時に果物を1つ摂る」「夕食後に15分走る」等)が習慣づくには、平均で66日かかったのだそう。
もちろん、これは平均であり、実際にはどんな習慣をめざすかによって、所要時間には大きな差があるわけで、以降、本書は「習慣」のヒミツを探っていくことになります。
◆割愛した中で興味深かったのが、自己啓発書によくある「目標達成するにはイメージすることが大事」というお話の真偽について。
本書で紹介されている調査によると、学生たちに「テストで高得点をとるという最終目標」か「その目標達成のための手段(この場合は勉強)」のいずれかを視覚化してもらったところ、後者の方がテストの成績が良かったのだとか。
つまり、大金持ちになりたいからといって、豪邸の写真を壁に貼って眺めてもダメなんですなw
これと似たお話は、以前この本でも読んだ記憶が。
「先延ばし」にしない技術
参考記事:ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『「先延ばし」にしない技術』の真実(2012年01月09日)
「ゴールの視覚化」よりも「プロセスの視覚化」の方がはるかに大事、という指摘は、今さらながらに心に留めておきたいところです。
◆また、下記目次にあるように、本書の第8章は「ネットの悪習慣」について。
メールやTwitterのチェックがやめられない理由並びに、その対策等を探ります。
本書曰く、チェックするのは「スロットマシンでサクランボの絵が3つ並ぶのを待つのに似ている」とのこと。
要は「ギャンブルに近い」わけですね。
行動心理学的には「変動間隔強化スケジュール」と言うそうなのですが。
メールを上手くコントロールするには? | スラッシュドット・ジャパン
私はまだ、Twitterは放置気味なのでいい(と自分では思ってますw)ですけど、中毒気味の方はご注意を。
◆こうした「習慣」に対して掘り下げた書籍は、当ブログでも今まで何冊かご紹介してきました。
たとえば、本書の「解説」でも言及されているこの2冊ですとか。
習慣の力 The Power of Habit
参考記事:【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)
スタンフォードの自分を変える教室
参考記事:【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)
それらと比べると、本書はお堅い作り(?)で、「参考文献が250ほど」「実験や研究が150超」も盛り込まれており、その分、説得力もアリ!
なお、上記ポイントでは、それらが具体的に書かれていませんでしたが、全て「注」が付されて巻末にて確認できますのでご安心ください。
「習慣」への理解が深まる1冊!
良い習慣、悪い習慣: 世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法
Part I 習慣を解剖する
Chapter 1 習慣はいかに生まれるか
Chapter 2 習慣は思いどおりになるか
Chapter 3 知らぬ間に操られるあなた
Chapter 4 考えずに、とにかくやる!
Part II 日常的な習慣
Chapter 5 お決まりの日課の本質
Chapter 6 無限ループからの脱出
Chapter 7 悪い習慣がなくなるとき
Chapter 8 ネットがやめられない
Part III 習慣を変える
Chapter 9 習慣をつくる
Chapter 10 習慣をなくす
Chapter 11 習慣で健康づくり
Chapter 12 創造性を伸ばす習慣
Chapter 13 幸福をもたらす習慣
【関連記事】
【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)【オススメ!】『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル(2012年11月02日)
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【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
ビジネスの達人がこっそり教えてくれる『「先延ばし」にしない技術』の真実(2012年01月09日)
【編集後記】
◆同じくリアル書店で発見した作品。その問題、経済学で解決できます。
帯で「この50年間で最大のイノベーションだ!」と言われているのは、『ヤバい経済学』のレヴィット教授。
こ、これは読んでみたい……(分厚いですがw)。
ご声援ありがとうございました!
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