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2014年09月02日

【弱者の戦略?】『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密 (ダビデとゴリアテ)』マルコム・グラッドウェル


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逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密 (ダビデとゴリアテ)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも取り上げた注目作。

ご存知、マルコム・グラッドウェルの最新作が、いよいよ登場です!

アマゾンの内容紹介から一部引用。
まったく無名の女子高校バスケットボールチームが州大会で優勝したのはなぜか?
二流大学の優秀な学生が、一流大学のそこその学生よりも優れているのはなぜか?
弱い立場の者が絶対的強者に勝つ方法とは?
小よく大を制す、その科学的方法論とは?
弱小チームでも、貧しくても、二流大学卒でも、「勝利の方程式」は必ず存在する!
『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある』、『アウトライアーズ』(邦題『天才!』)のグラッドウェルが、3年に及ぶ研究から徹底的に分析する!

強者「ゴリアテ」に立ち向かう、「ダビデ」なアナタは要チェックです!





Daniele da Volterra (1509-1566) - David and Goliath / bongo vongo


【ポイント】

■1.素人監督が採った2つの戦略
 レッドウッド・シティ代表チームの戦略は、2つの時間ルールを意識したものだった。ひとつはスローインの5秒ルールだ。バスケットボールでは得点が入ったあと、ゴールされたほうのチームがエンドライン外から5秒以内にスローインして試合が再開される。5秒を過ぎるとボールは相手方にわたるが、ふつうはそういうことは起こらない。スローインのとき、相手チームは自陣に戻ることを優先し、積極的にボールを取りに行くことはないからだ。しかしレッドウッド・シティはちがった。スローインする選手の前に陣どって、いきなりボールをカットするのだ。


■2.親が金持ち過ぎても子育ては大変
 だがグラブマンによると、「しない」はもっと難しい。「できない」は一度か二度言うだけで話は終了だ。中流家庭の子どもが「仔馬がほしい」と言いだしても、そんなことはとうてい不可能だから「無理」と言えばすむ。
 だが「仔馬は買わないよ」と言って却下するときは、対話が必要になる。買うお金があれば何でも買っていいというわけじゃない。そのことを誠実な態度で、しっかりとわからせなくてはならない。グラブマンは言う。「子どもに仔馬をねだられたという設定で裕福な親たちに対応させると、みんな言葉に詰まります。だから私が指導します。『買ってやることはできるけど、だめ。そういうのはうちのやりかたに合わない』とね」。
 となるともちろん、「うちのやりかた」を具体的に定め、それを明快な言葉で表現し、子どもに納得させなくてはならない。親がフェラーリや自家用ジェット機を持ち、ビバリーヒルズに邸宅を構えているような状況では、これはかなりの難題だ。


■3.理系の学位取得を左右するのは「周りとの関係」
 これはどういうことだろう。ハートウィックの上位グループとハーバードの下位グループが微積分や有機化学の同じ講義を履修するとしよう。どちらも同じ教科書を使い、同じ課題に取りくむ。テストの成績で見れば、能力はほぼ互角。しかしハートウィック・グループは、大多数が望みどおりにエンジニアや生物学者になるのに対し、ハーバード・グループはすっかりやる気を失い、文系に転部する者が続出するだろう。ハーバード・グループは大きくておっかない池で泳ぐ小魚、対してハートウィック・グループは居心地の良い小さな池で暮らす大魚なのだ。理系の学位取得を左右するのは、本人の頭の良し悪しではなく、クラスメートとくらべて頭が良いと感じられるかどうかなのである。


■4.問題文は読みにくい方が正解率が上がる
 CRT(認知反射テスト)はけっこう難しいが、実は正解率を簡単に上げる方法がある。ハードルをちょっとだけ高くするのだ。心理学者のアダム・オルターとダニエル・オッぺンハイマーが、プリンストン大学の学部生を対象に実験してみた。まずは通常どおりにCRTに挑戦してもらう。正解率は1.9だった。MITの2.18には及ばないものの、まずまずの成績だ。続いて、字の大きさや書体をわざと読みづらく印刷した問題文で解いてもらった――たとえば、文字をロダン墨東体にして30パーセントグレーをかけたものだと、こんな感じになる。

1 バットとボールの値段は合わせて1ドル10セント。バットの値段はボールより1ドル高い。ボールの値段はいくら?

 すると正解率は――2.45に上昇した。MITを抜いたのである。


■5.偉人達のある共通点とは?
 1960年代初頭、マーヴィン・アイゼンスタットという心理学者が「創造者インタビュー」プロジェクトを行なった。アーティストや起業家など、先入観を取りはらって斬新なことに挑戦する人たちの話を聞いて、共通するパターンや傾向をあぶりだそうというものだ。
 回答者の話を分析していたアイゼンスタットは、奇妙な共通項に気づいた。子ども時代に片方の親を亡くした人がやたらと多いのだ。調査対象者の数を考えると、たんなる偶然と言えなくもないが、どうもひっかかる。もし偶然ではなく、何か意味があるのだとしたら?(中略)
 信頼できる伝記的情報が入手できた573人のうち、約4分の1が10歳までに片方の親を失っていた。15歳までだとその割合は34.5パーセントになり、20歳まででは45パーセントにまでなった。病気や事故、戦争のせいで平均余命がいまよりずっと短かった時代を加味しても、かなり顕著な数字だ。


【感想】

◆上記での引用量が多いので、今回はこの辺で。

本書は下記目次の通り、3つの部に分かれています。

まず第1部は「不利は有利で、有利は不利」と題され、本書のイメージ通り「弱者が強者と戦うには?」に関するもの。

上記ポイントの1番目は、アマゾンの内容紹介にもあった「まったく無名の女子高校バスケットボールチームが州大会で優勝した」お話なのですが、2つの戦略のもう片方はネタバレ自重で。

ちなみに、大学バスケットボールでも似たような戦術はあって、「フルコートプレス戦術」と呼ばれています。

この戦術の大家であるリック・ピティーノは、現在ルイヴィル大学のヘッドコーチであり、「ゴリアテを倒したい多くのダビデたちが、ルイヴィル詣でをしてくる」のだとか。

……どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、こんな本を出されてる方でしたw

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成功をめざす人に知っておいてほしいこと


◆上記ポイントの3番目も、同様にこの第1部からで、第3章のタイトル通りの内容です。

本書では2つの大学だけでなく、10校ほどのデータが列挙されていますので、気になる方はそちらでご確認を。

なお、これは「理系」に関するお話でしたが、文系に関しては「経済学の博士課程修了者」を対象に、「各大学ごと/成績ごと」の「学術誌に掲載された論文の回数」を比較した研究結果が紹介されていました。

本書曰く、こうした専門誌は「独創性のある優れた論文しか受け入れない」ため、その掲載回数が、評価のものさしになる、とのこと。

その結果は……すいませんが、ネタバレ自重で。


◆一方、第2部のタイトルは「望ましい困難」であり、第1部のような「戦略」とは少々違います。

ここでは、「困難」と思われたことが、結果的にその人の人生にプラスになった事例を研究。

たとえば、識字障害を克服して、ゴールドマン・サックスの社長になったゲーリー・コーン氏や、上記ポイントの5番目にあるように親に先立たれた子が、アーティストや起業家になるなど。

実は、アメリカ大統領も同じパターンで、ジョージ・ワシントンからバラク・オバマに至る44人の大統領のうち、12人が少年時代に死別・生別を問わず父親を失っているのだそう。

ただし、片親をなくすことは良い場合だけでないのも当然で、ある調査によると、受刑者に占める「子ども時代に片親を失った人の割合は平均の2〜3倍も高い」のだとか……。


◆最後の第3部は、「強者の負け方」がテーマです。

ただし、上記で触れたように、そこに至るまでの引用量もさることながら、内容的に重いので、上記ポイントではここからは抜き出しておりません(すいません)。

ちなみに、割愛した中で興味深かったのが、「スリー・ストライク法」の制定の経緯と、その是非について。

三振法 - Wikipedia

お恥ずかしながら、この法律の事は、私は知りませんでしたが、「過去2度の前科がある者が3度目に捕まったら終身刑」というのは、ちょっと考えると、犯罪抑制には効果がありそうな。

しかし、この「法律」という「強者」が必ずしも勝てない、というお話も、これまた本書にてご確認頂ければ。


久しぶりのグラッドウェル節をお楽しみ下さい!

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逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密 (ダビデとゴリアテ)
第1部 不利は有利で、有利は不利
 第1章 弱小チームが勝つには 相手と同じ土俵で戦うな
 第2章 貧しい家の子が勝つには 裕福な家の子にハングリー精神は宿るか
 第3章 二流大学が勝つには 「そこそこの大学の優等生」と「一流大のそこそこの学生」はどちらが有望か
第2部 望ましい苦労
 第4章 識字障害者が勝つには 逆境を逆手にとる戦略
 第5章 親に先立たれた子が勝つには 不幸な体験がリモートミスに変わるとき
 第6章 マイノリティが勝つには 公民権運動とトリックスターの関係
第3部 力の限界
 第7章 精鋭の治安部隊に勝つには 正統性なき統治が失敗する理由
 第8章 突然の悲劇に勝つには 「アメリカ史上最も壮大な刑法運用実験」の盲点
 第9章 自分の運命に勝つには ナチスに抵抗をつづけたある牧師の生涯


【関連記事】

【勝間さん激賞!】「天才!成功する人々の法則」がいよいよ発売へ!(2009年05月13日)

【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)

『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)

【エレメント?】『才能を磨く ~自分の素質の生かし方、殺し方~』ケン・ロビンソン,ルー・アロニカ(2014年01月25日)

友達には秘密にしておきたい『自分を変える89の方法』(2013年10月01日)


【編集後記】

「プレミア付き新書」の加筆修正版が登場。

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なぜいつも“似たような人"を好きになるのか

これは「モテ本好き」の自分としては、要チェックかと……。


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