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2014年08月25日

【話し方】『仕事も人生も変わる「影響力のある」話し方: あなたの「伝える力」を劇的に改善する!』佐藤昌弘


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仕事も人生も変わる「影響力のある」話し方: あなたの「伝える力」を劇的に改善する! (単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「伝説のマーケッター」佐藤昌弘さんの最新刊。

佐藤さんの作品は、当ブログがマーケット本ばかり扱っていた大昔に、何冊かレビューしたことがありましたが、久々に拝読させて頂きました。

アマゾンの内容紹介から。
最近、話す機会が増えている人へ―この1冊で、あなたの「人を動かす力」は倍増する!営業、会議、プレゼン、雑談、報・連・相…“すべて”に効く!

よくある「話し方」本とはひと味違う1冊です!





Conversation / mikecogh


【ポイント】

■1.相手に話を聞いてもらうことへの合意をとりつける
「話を聞いてもらうことへの合意をとりつける」といっても、難しく考える必要はありません。あなたが話を始める前に、
「今から○○の話をしますが、聞いていただけますか?」
 と、相手に確認するだけです。
 たったそれだけ?
 はい。たったそれだけ、なのですが、この、「今からする話を、聞いてくれるかどうか」を相手に確認し、それに対する合意を事前にとりつけることは、最も重要なポイントなのです。
 この「事前の合意」こそが、コミュニケーションを円滑なものにし、より影響力を発揮するために必要不可欠な条件なのです。


■2.相手の世界の言葉で話す
 相手が理解できない話し方で煙にまいてしまっても、相手を動かせません。動かせないどころか、それはむしろ、相手とのコミュニケーションそのものを拒否しようとする態度の表れです。
 ですから、専門用語でまくしたてられた相手は、「ああ、この人は、私とコミュニケーションをしようという気持ちがないのだな……」と、残念な気持ちで対応することになるでしょう。
 ぜひ、相手の世界の言葉で話す、相手が理解できる言葉を使う、ということを心がけてください。相手への伝わり方がよくなっていく手ごたえを感じられるはずです。


■3.話の地図をつくる
ここで大事なのは、たくさんのことを話の中に仕込むな、ということではありません。
 多くのテーマを会話の中に仕込むのは構わないが、その代わり、「話の地図」を提供しなさい、と言いたいのです。会話がどこへ向かうのか、そのロードマップを事前に提供する。それが大事なのです。(中略)
 では、どんな「地図」を準備して、どんなふうに相手に伝えればいいのか?
 ここでは、3つの方法を紹介してみたいと思います。
(1)数を宣言する
(2)時系列で示す
(3)ギブ・アンド・テイクで展開する
(詳細は本書を)


■4.「抽象度」を変えて言い換える
「抽象度を変えて言い換える」、それを別の言い方で説明すると、
「一般的な話をしてから、具体的な例を示す」
 または、
「具体的な例を示してから、一般的な話にまとめる」
 ということでもあります。
 たとえば、次のような具合です。
「きみは、メールを書くのがとても上手だね(一般化した言い方)。たとえば、211号のメールマガジンの冒頭部分なんて、とてもつかみが上手に書けていると感心したよ(具体化した言い方)」
 抽象的な話のあとに、具体的な例が出てくるわけです。


■5.「ダブル・バインド」で話さない
「なぜこんなことが起こったのか、怒らないから理由を言え!」
 言葉の内容と、それを伝えている態度が矛盾しています。
 言っている本人の顔は明らかに強い怒りの表情にあふれ、口調も強いのに、「怒らないから」と言っている――。
 こういう矛盾したコミュニケーションの状況が、「ダブル・バインド」なのです。
 実は、この二重構造、「ダブル・バインド」な話し方というのは、聞き手にとってすごくストレスになります。
 ですから仕事ができる人は、「ダブル・バインド」を使いません。
 もしくは逆に、「ダブル・バインド」を意識的に使いこなす人です。


■6.自分に「信条」があるように、他人にも「信条」があると理解する
 たとえば、議論の対立というのは、信条同士が戦っているようなものですから、ガチンコでぶつかり合うだけでは、必ず物別れになります。だから、「議論というのは、お互いに歩み寄る以外に解決策はない」のです。
「ここは相手の言うことを尊重しよう。ここは自分の意見を尊重してもらおう」
 そう思えるのは、相手のことだけでなく、「自分」のことも、よくわかっているからなのです。
 反対に、「自分」のことがわかっていない人は、「自分の感情に食いつぶされる」ことになるのです。
 信条の衝突に怒りを感じてしまい、その怒りをコントロールできず、怒りがあふれて相手にぶつけてしまう。そういう人は自分のことも、相手のことも客観視していないと言えます。


【感想】

◆上記ではサラッと書いてしまいましたが、実はポイントの1番目は本書のキモとも言うべきもの。

佐藤さん曰く「どんな話し方の本にも語られていないコツ」こそがまさにコレであり、結構なページ数を割いて解説されています。

たとえば、部下が上司に説明をしようとする場面において。

本書では
「部長、すみません。ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
という文例が出てきます。

「ん? まさに『相手に話を聞いてもらうことへの合意をとりつけている』んじゃない?」と思われる方が多い(私もそう思いました)のでしょうが、これは何と「ダメな例」。

もちろん、この場合の「OKな例」も挙げられているのですが、この「合意をとりつける」こそが「最も重要な手続き」とまで書かれているので、とりあえずここでは自重しておきます(すいません)。


◆なお、この「合意をとりつける」ことが、「どれだけ効果があるか」についても本書は触れられていて、とある自動車ディーラーは、成約率がこれまでの150%になったのだとか。

他の工夫や努力もあったとはいえ、確かに「目を見張る効果があがった」と言えると思います。

本書では、上記の「部長への報告」のほか、「不動産会社の店頭での対応」や「部品メーカーの営業マンのセールストーク」、さらには「佐藤さん自身のコンサルの様子」まで事例が収録されていますので、ご参考まで。

ちなみに、合意をとろうとしても、相手から明確な合意を得られない場合もあるワケで、そのときには、「会話を先に進めないほうが無難」とのこと。

たとえば、相手が首をかしげたり、「うーん、まぁいいですけど」などと微妙な反応だった場合、これは「明確な合意」ではないのだそう(詳しくは本書を)。


◆同じく、類書であまり見たことがないのが、上記ポイントの5番目の「ダブル・バインド」のお話。

ただ、今回の「ダブル・バインド」は、心理ネタ本やモテ本で読んだ「ダブル・バインド」とはちと違う感じです。

あちらは、「ホテルへ行く? それともウチに来る?」みたいなパターンだったと記憶しているのですが、改めてWikipediaを見てみると、むしろ本書で言われている内容の方に近いような。

ダブルバインド - Wikipedia

他にも本書で挙げられているのが、「それはいけません」と、相手に注意をしなくてはいけないときに、「苦笑いを含めて、笑顔をつくっている」パターン。

これも、自分の言ってる内容と表情が一致していない「ダブル・バインド」なので、避けなくてはいけないワケです。


◆冒頭でも触れたように、本書は「話し方」の本としては、類書や今まで当ブログでご紹介してきた本と若干違うような。

確かに本のタイトルにも「影響力のある」ですとか「伝える力を劇的に改善する」なんてフレーズがあるように、むしろ交渉術や説得術に近いテイストです。

これは佐藤さんがコンサルタントとして、セールストークに深く関わってきたことにも関係しているかと。

個人的には、キモである「話を聞いてもらうことへの合意をとりつける」ところから実践してみたいと思います。


「人を動かす」話し方をするために!

4837925545
仕事も人生も変わる「影響力のある」話し方: あなたの「伝える力」を劇的に改善する! (単行本)
1章 9割の人が、守っているようで守っていない「話し方のルール」
2章 ここを変えればあなたの「伝える力」は格段に上がる!
3章 「話さない話し方」‐そのすごい影響力の正体とは?
4章 なにが、あなたの「人を動かす魅力」をつくるのか
5章 「話し方」ほど、人生を好転させる武器はない!


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絶対に公開してはいけない『心を上手に操作する方法』(2012年06月29日)


【編集後記】

◆ちょっと気になる本。

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あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか ネット時代の老舗に学ぶ「戦わないマーケティング」

書影からもそこはかとなく分かるように(?)、私も愛用しているハンコの「しにものぐるい」さんが登場する模様。


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