2014年08月22日
【他人の目】『人の目を気にして成功する人、失敗する人』榎本博明,立花 薫

人の目を気にして成功する人、失敗する人
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「人の目」が気になりやすい方にとってはオススメの1冊。心理学博士の榎本博明さんが、MP人間科学研究所の部下である立花薫さんとともに、「人の目」のヒミツを解き明かして下さっています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
どうしてそんなに「人の目」が気になるのか。それは、人の目が自分を映し出してくれるからです。
「人の目」が気になって生きづらい人は、「人の目」を気にする心理を理解することで、自分の能力をさらに発揮することができるはずです。
本書は、人の目が気になる人の心理メカニズムを説き明かしつつ、人の目に縛られずに、生き生きと自分らしい人生を歩むためのヒントを示します。
私は比較的気にしない方(無神経とも言うw)なのですが、「なるほど!」と思う指摘もチラホラありました!

her eyes / Ranoush.
【ポイント】
■1.単に仕事がデキるように見られたいのか?残念なことに、人の目が気になる人は、仕事がデキるようになることよりも、仕事がデキる人に見られたいという思いのほうに重点を置きがちです。
仕事がデキる人に見られたいという思いが強ければ強いほど、失敗が怖くなります。失敗することで能力が低いとみなされ、バカにされるんじゃないか。知らない、わからないと言うことで、低く見られるんじゃないか。そんな不安が募ります。
その結果、自分を優秀に見せたり大きく見せたりできる範囲、つまり失敗しない範囲でしか仕事をしない保守的な働き方を選びがちです。そうなると成長の幅が狭まってしまいます。
■2.自己イメージは他人につくられたもの
たとえば、別の子には気軽に友だちが声をかけ、周りにみんな集まってワイワイ楽しげにやっているのに、自分にはだれも声をかけてこなくて、ひとリポツンとしている。そんな状況に置かれることが重なると、自分は声をかけにくい雰囲気を醸し出しているんだ、とっつきにくい感じなんだといった自己イメージがつくられていきます。
友だちから悩みごとの相談をされることが多いと、自分は頼れるタイプなんだという自己イメージを持つようになります。
このように、私たちは自己イメーシを自分自身身のものと思いがちですが、じつは人から投げかけられたコメントや人から示された態度を通して手に入れたものであり、人の目によってつくられたものなのだということがわかります。
■3.対立しても、メンツは潰さない
日本人は議論ができないとか、日本的組織には無意味な会議が多いとか言われますが、それもそのはずで、会議でさえも議論を闘わす場というよりも、関係性を損なわないように相手の気持ちに配慮すべき場となっているのです。
たとえ自分の意見や提案のほうに分があるときも、意見が対立している相手のメンツを潰さないような配慮が必要となります。それゆえに正論を振りかざす人物は煙たがられます。相手を論破しないことが鉄則です。だれのメンツも傷つかず、みんなが納得のいく落としどころを探る。だから決着まで時間がかかるのです。無意味に長い会議が多いのもそのせいです。
■4.ものごとをさまざまな角度から見てみる
たとえば、友だちの態度が最近なんとなくよそよそしい気がして、
「嫌われたのかな」
と思っても
「それとも、最近仕事が忙しいようだし、疲れてるのかもな」
という別の考えが浮かべば、イヤな気分に陥らないし、相手を思いやることもできます。
いろいろな人とかかわる機会を増やしたり、本を読んだり、旅行をしたりすることで、自分の知らない世界に触れたり、他人の視点を取り入れたり、さまざまな体験をすることができ、認知の複雑性が育まれます。
そうすれば、思い込みに苦しむことも少なくなるでしょう。人の目も徐々に気にならなくなってくるはずです。
■5.人の目を気にする理由は"人のため"か"自分のため"か?
"人のため"に人の目が気になる人は、人の気持ちに寄り添い、人のためによかれと思う行動をとろうとします。
「あの人は、こう思うだろうな。じゃあそっとしておいてあげよう」
「今、手伝ってほしいと思ってるんだな、声をかけてみよう」
これが気遣いです。
一方、"自分のため"に人の目が気になる人は、自分が人の目にどう映るか、人が自分をどう評価するかばかりが気になっています。人に親切にするときも、自分がよく思われるかばかり気にするので、相手の心情に寄り添った適切な心遣いができません。
■6.だれかに語って気持ちを整理する
うまくいかないときは、自分の進むべき方向がわからなかったり、今すべきことがわからなくなるものです。自信がないし、引け目を感じているので、人の目が気になって、萎縮しがちです。
そんなときは、イヤな感情をひとまず置いておき、思い切ってだれかにじっくり話を聴いてもらいましょう。語りを通して気持ちを整理できれば、おのずから道が開け、人の目も気にならなくなるものです。
【感想】
◆冒頭で申しあげたように、私は比較的、人の目が気にならないタイプの人間です。それゆえ、本書でピンと来る点はあまりないかと思っていたのですが、決してそうでもなく。
たとえば、本書によると「人からどう思われるか気にする人」は、「人の目を気にするわりには、人のことを見ていない」とのこと。
具体的な例として挙げられていたのが、好きな異性に対して「あの人は私のことをどう思っているんだろう」「ネガティブな印象は持たれてないと思うんだけど」と、その目を気にしている割には、その相手が元気がなかったり、落ち込んだりしていても、気遣いすることはおろか、その様子にも気が付かない、というもの。
これは要は、「自分にしか関心がない」ということです。
ちなみに、非モテ界隈でありがちなのが、「自分がいかに好きか」という想いのみで突進するものの、「相手に好かれる工夫をしてない」パターンなんですけど、これに少々似ている気が。
◆一方、一般人である私たちとは比べ物にならないくらい「人の目」にさらされているのが、スポーツ選手たち。
本書の第4章では、彼らがいかに「人の目」からの重圧に対処しているかを紹介しています。
その初っ端に登場しているのが、おなじみイチロー選手で、以前当ブログでも取り上げたことのある、このシーンについて触れられていました。
さすがのイチロー選手も、この大舞台では人の目に縛られてしまったとのこと。
そこでイチロー選手は「さあ、イチローが打席に入ります」と心の中で実況中継して、気持ちを落ち着かせたのだそうです。
◆続く第5章は、「人の目を味方につける22の技術」と題したTIPS集。
まとめやすいので、実は、当初ここからだけ引用して記事を書こうと思ったのですが、さすがにそれは自重しましたw
割愛した中で、「なるほど」と思ったのが、「人の目を気にする人は減点法でものごとを考えがち」という指摘。
逆に「人の目を気にしない人は、加点法で考える人が多いよう」とのことですので、人の目を気にしがちな方は、意識しても良いかもしれません。
◆ところで、私の知人や同世代の人でも、「人の目を気にする(であろう)」人はいましたが、最近の若い世代は、もっと深刻なようです。
これに関して本書曰く、「遊び環境の変化や情報ネットワーク時代の進展が関係している」とのこと。
確かに、私の若い頃は「匿名で中傷される」ことなど、ありえませんでした。
「どこで誰に何言われるかわからない」のであれば、それは「人の目」も気になります罠……。
「人の目」が気にならないようになるために!

人の目を気にして成功する人、失敗する人
第1章 人の目の気になり方は十人十色
第2章 なぜ、人の目が気になるのか
第3章 日本人特有の読み取りコミュニケーション
第4章 人の目にさらされる人たちに学ぶ
第5章 人の目を味方につける22の技術
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【編集後記】
◆今回のお2人によって書かれた1冊。
論理的に説得する技術 相手を意のままに操る極意 (サイエンス・アイ新書)
こちらは、よりビジネスチックな感じですね。

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